ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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第4章 因縁編

VSトリニティウルフ(前編)

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 トリニティウルフはローグをジッと見つめている。かなり警戒している様子だ。しかし、その目は奇妙だった。

キョロキョロ キョロキョロ 

 八つある目のうち、二つはローグを見ていて、他の六つの目は別々に動いていた。

(あの目は……何か意味があってか? それとも……)

 ローグは少し気になったが、トリニティウルフが動き出した。

「ウォルルルルルル!」

「っ!」

 トリニティウルフはローグに向かって走り出した。いや、突進してきた。普通の狼と変わらない動き方だが、

(速い! だが……)

 ローグはすぐに反応して、手から魔法を発動した。右手から赤紫色の魔力光が灯る。

「【外道魔法・……っ!?」

ダンッ!

 だが、トリニティウルフは、ローグに迫る一歩、いや、二歩ほど前に、急に方向転換した。その先には……

「ミーラ! ルドガー!」
「えっ?」
「何!? こっちに!?」

「ウォルルルルルル!」

 トリニティウルフの向かう先にいたのは、ミーラとルドガーだった。二人とも物陰に隠れていたはずだったが、トリニティウルフは間違いなく二人に迫ってきている。狼の嗅覚が二人を見つけ出したのだろうか。

(それもあるだろうが、八つもある目、あれが二人の位置を正確に見つけ出した要因だ!)

 ローグがそう考えたのは、その八つの目のうち六つがそれぞれ別に動いいたからだ。それは周りを観察するためだったのだ。残り二つはローグをしっかり見ていたのだが、その間に他の目が二人の位置を特定していたのかもしれない。

「ひっ! きゃあああああ!」
「くそっ!」

 戦闘能力も戦闘経験もないミーラは恐怖のあまり悲鳴を上げ、ルドガーはとっさに反応して剣を手を掛けた。だが、ルドガーが剣を抜いて構える時間は無い。

「【昇華魔法】『身体強化』!」

 ここでローグが【昇華魔法】で全身を強化させてトリニティウルフに向かって飛び出した。全身を強化したことで、脚力・腕力なども上がった。これなら、二人に向かったトリニティウルフに追いつき、そのまま攻撃して二人を助けることができる。右手に【外道魔法】で形成した光の剣を持ちながら、ローグはそう思った。



 それが、ローグを二つの目で見ていたトリニティウルフの作戦だったとも知らずに。



ダンッ!


 トリニティウルフは、再び方向転換した。その先にいるのは…………ローグだった。


「「っ!?」」
「何っ!?」

(こいつ! あんな体勢から!?)

 トリニティウルフは、ローグに狙いを戻した。というよりも、元からローグを狙っていたのだ。トリニティウルフは、さっきよりも低姿勢でローグに迫る。走ってきたのではなく、飛び出したローグを。その姿は、その目は、獲物を確実に仕留めようとする獣そのものだった。

(しまった! 足が地に着かない状態だと不利だ! これを狙ってたのか!?)

 魔法を放つ時、その反動や衝撃と言ったものが発生する。それが大きいものは地の上で行ったほうが有利だ。何故なら、反動や衝撃を体を通じて地に流すことができるからだ。更に魔法を放ちながら動けるというのもある。今のローグはそれができない。どう見ても不利だ。ミーラとルドガー、そして魔物から見ても。


「ウォルルルルルル!」



「うああああああっ!」

 ローグの血が舞い、ローグの叫びがその場に響いた。

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