ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

文字の大きさ
129 / 252
第4章 因縁編

VSレオン(後編)

しおりを挟む
 ローグは顔を引き攣らせた。流石のローグもレオンの心の全ては分かっていなかったが、ここまでわがままで戦いを望むような男だとは思ってもいなかった。騎士団ではどんな立場にいるのか分からないが、孤立しているんじゃないかとも思った。

(いや、そうでもないか。こいつは人の気持ちの変化を読み取るのが上手いみたいだからな。騎士団でもうまくやってるかもしれん。騎士団が実力主義かどうか知らないが実力は確かだしな)

「さて、おしゃべりはこの辺にして続きを始めようよ」
「ああ、そうだな。さっさと終わらせてやる」

 二人は武器を構えなおして、お互いに改めて相手を見る。ローグは鋭い目で真剣な顔をしているが、レオンは楽しそうな子供の顔をしている。その事実にローグは腹立たしく感じる。戦いを楽しむなど、戦闘狂の思考、犯罪者に陥る要因にしかならない、ローグはそう思っているのだ。前世も今も。

(女の子の顔を平気で焼くようなやつだ。もうすでに犯罪者と同じだけどな)

「【外道魔法・嫉妬】『認識遮断』!」
「えっ!?」

 レオンの目の前でローグが姿を消した……のではなく、レオンがローグを認識できなくなったのだ。姿を認識できなければ、レオンはローグを攻撃できない。ローグは本当に「さっさと終わらせる」つもりになったのだ。だが、レオンもすぐに対策を施す。

「【炎魔法】『火炎広場』!」

ボオオオオオオッ!

 レオンが赤く光った後に爆発した。いや、レオンを中心に炎が四方八方に放たれたのだ。こんなことをすれば、レオンに認識されないローグも何らかの行動に出るしかない。

(くそっ! 考えたな! こうも早く対策できるとは!)

「【外道魔法・怠惰】『堕落の壁』!」

 ローグは波のように押し寄せる炎を『堕落の壁』で防ぐ。だが、そんなことをしたことでレオンに居場所がバレてしまった。放たれた炎の波に不自然な箇所があれば、ローグ自身が認識できなくても特定できる。レオンはこれを狙っていたのだ。

「見つけた! そこだね!」
「ちっ!」
「【炎魔法】『爆裂跳躍』!」

ドゴオッ!

 レオンの足元が爆発した。爆発の勢いで、レオンがローグのほうに吹っ飛んできた。しかも、ちょうどローグのすぐ後ろに着地した。ローグはまだ『堕落の壁』を出し続けている。

(まさか! 爆発の勢いを利用して、一気に距離を詰めたってのか!? ヤバい!)

 ローグの『堕落の壁』は炎を防ぐためだけに出したために、結界型ではなく盾形にしていた。つまり、ローグの後ろはがら空きなのだ。レオンの狙いはそこだった。

「隙あり!」
「くっ!」

 レオンの剣がローグに迫る。ローグは絶体絶命だった。だが、ローグの背中に刃が触れる寸前、ギリギリのところで防がれた。レオンの剣とローグの間に結界が生じたのだ。

「おや、これは?」
「はぁ……はぁ……!」

 ローグは斬られる寸前で、『堕落の壁』を盾形から結界型に切り替えたのだ。しかし、無理矢理かつ急いで切り替えたために、魔力の消費も少なくはなかった。

「ふうん。こんな結界まで作れたんだ。面白いね」
「はぁ……どうも……!」
「でも、結構つらくない? 多様性のある魔法みたいだけど、その分だけ魔力の消費も多いんじゃないかな」
「くぅ……黙れ!」

 レオンの言うことは正しい。ローグの【外道魔法】は多様性に富んでいるが、魔力の消費も多いのだ。それに加え、ローグは昨日の疲れも残っている。思っていたよりも不利な状況になってしまった。

(まさか、こいつがここまで強くなっていたのは誤算だった……どうすれば……)

 ローグはこの状況をどう打開すればいいか結界の中で考える。結界も長くはもたないため、すぐにでも決着をつけなければ負ける。今のレオンはそれだけの実力者なのだ。そんな時だった。ミーラが二人の前に出てきた。

「ローグ! 敵の増援が来るよ!」




 この時のミーラの行動が運命を変えた。後にローグはそう思うことになる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

母を訪ねて十万里

サクラ近衛将監
ファンタジー
 エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。  この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。  概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。

処理中です...