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第5章 外国編
外国で決闘(中編)
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ローグの魔法が発動したのだ。ローグの至近距離にいた女性はまともにくらってしまった。
「うわああああああああ!」
「……こんなもんか」
フッ
魔法を解除すると、そこには服がボロボロになった女性がよろめいていた。正面から大ダメージを食らったのだから当然だ。一方、ローグのほうは無傷で済んだ。しかし、ローグの内心は落ち着いてはいなかった。
(あ……危なかった! なんて速さだ! 何て動きだ! 女性の身であんな動きができるなんて……魔法を持たなくて戦うものは皆あんなもんなのか!? あと一秒ほど魔法を使うのが遅かったら……! 相手を舐めすぎてたな、ヤバかった……)
ローグは心の中で、相手の力量を見誤った己の油断を恥じ、相手の身体能力を称賛していた。こんなことは滅多にない。ただし、ローグが驚くのはこれからだった。
「くっ……ぬん!」
ガッ!
「そんな!?」
「何!?」
今にも倒れそうに見えた女性が気合の入った声を出して土を蹴り、しっかりと立ちなおしたのだ。そして、剣を構えなおして刃をローグに向けなおす。破れたフードから鋭い目が覗いていた。
「ば、馬鹿な……大人の男一人を気絶させるぐらいの威力を放ったのに……!」
「ふん! やはり魔法の使い手か、卑怯な手を使いおって! だが残念だったな。その程度の力では私は倒せん!」
「な、なによそれ!?」
女性の口からはひるんだ様子が感じられなかった。それどころか、攻撃を受ける前よりも殺気と闘志に満ちているようにも感じる。
(なんて女だ……どんな体づくりしてんだ? どんな鍛え方すればこんな強さを手に入れられるんだ!? 体格と声からして女性の身でだぞ……ん?)
ローグは改めて女性を見やる。その時、破れたローブから鋭い眼だけでなく、女性の瞳が赤く、髪が白いことが分かった。
(あの髪は、白? 白い髪? それに赤い瞳? まさか……)
白髪と赤い瞳、それが女性の特徴だと認識したローグは、以前会った帝都の門番の話を思い出した。
約三週間前。
「ここだけの話なんだが、お二人が距離を置くようになってしまったのは皇帝陛下の病気のことなんだそうだ」
「どういうことだ?」
「実は、リオル様と他のお二方は髪の色と瞳の色が異なるんだ。アゼル…様とサーラ様は皇帝陛下と同じで金髪に青い瞳なのに対し、リオル様だけが白髪に赤い瞳なんだ」
門番は尊敬していない第一皇子にも一応、様付けしている(嫌そう)。こういうところはしっかりするようだ。
「それが二人とどう関係してるんだ?」
「皇帝陛下が体調を崩したときに、第一皇子がこんなことを言ったそうだ。『父上の病気は母親が違うリオルの髪と目の色が災いしたんだ』ってな」
「なによそれ、そんなひどいことを?」
「……最低な皇子だな」
帝国の家庭は複雑だった。第一皇子アゼルと第二皇女サーラは皇帝と第一王妃の間に生まれたが、第一皇女リオルだけは皇帝と第二王妃との間に生まれたのだ。母が違うためにアゼルとリオルの仲は悪かったが、リオルとサーラの仲はそれほど悪くはなかった。リオルはサーラの政治的手腕を評価しており、サーラも戦場に進んで立つリオルのことを尊敬していた。彼女たちの父が病気になるまでは。
「その言葉を真に受けたのか、リオル様とサーラ様の関係も良くなくなってしまったようなんだ」
「そんな……仲のいい姉妹だったのにですか?」
「逆に皇子のほうはどうなったんだ?」
「ああ、皇子はな……」
現在。
ローグは門番の情報と帝都の情報をまとめる。第一皇女リオルは白髪で赤い瞳、自分から戦場に立つほど戦闘能力が高く、現在は反逆者として指名手配されている。
(それに対して、目の前の女は……もしかして!)
目の前の女性も白髪で赤い瞳、戦闘能力が高い。フードで髪と顔を隠しているが、目元まで隠している理由が訳があって隠しているのだとすれば……!
「何をジロジロ見ている! 今は戦闘中だ!」
「っ!」
女性が切り込んできた。ローグは今度は【昇華魔法】を使って身体能力を強化する。
「【昇華魔法】『身体昇華・全』!」
全身の身体能力が強化されたローグは斬られる寸前で剣をかわす。一瞬驚いた女性は更に剣で切りかかるがかわされ続けてしまう。
「……いきなり動きは早くなったな。それも貴様の魔法か?」
「そうだな。だがこれだけじゃないぞ」
「だろうな。どうやら、ただものではなかったようだ。これは何としてでも捕まえるか殺してしまったほうがよさそうだな」
「俺はそんなつもりはない。すぐに決着をつけよう」
「ちっ、やってみろ!」
女性の動きが更に早くなった。これに対してローグも対応する。
「うわああああああああ!」
「……こんなもんか」
フッ
魔法を解除すると、そこには服がボロボロになった女性がよろめいていた。正面から大ダメージを食らったのだから当然だ。一方、ローグのほうは無傷で済んだ。しかし、ローグの内心は落ち着いてはいなかった。
(あ……危なかった! なんて速さだ! 何て動きだ! 女性の身であんな動きができるなんて……魔法を持たなくて戦うものは皆あんなもんなのか!? あと一秒ほど魔法を使うのが遅かったら……! 相手を舐めすぎてたな、ヤバかった……)
ローグは心の中で、相手の力量を見誤った己の油断を恥じ、相手の身体能力を称賛していた。こんなことは滅多にない。ただし、ローグが驚くのはこれからだった。
「くっ……ぬん!」
ガッ!
「そんな!?」
「何!?」
今にも倒れそうに見えた女性が気合の入った声を出して土を蹴り、しっかりと立ちなおしたのだ。そして、剣を構えなおして刃をローグに向けなおす。破れたフードから鋭い目が覗いていた。
「ば、馬鹿な……大人の男一人を気絶させるぐらいの威力を放ったのに……!」
「ふん! やはり魔法の使い手か、卑怯な手を使いおって! だが残念だったな。その程度の力では私は倒せん!」
「な、なによそれ!?」
女性の口からはひるんだ様子が感じられなかった。それどころか、攻撃を受ける前よりも殺気と闘志に満ちているようにも感じる。
(なんて女だ……どんな体づくりしてんだ? どんな鍛え方すればこんな強さを手に入れられるんだ!? 体格と声からして女性の身でだぞ……ん?)
ローグは改めて女性を見やる。その時、破れたローブから鋭い眼だけでなく、女性の瞳が赤く、髪が白いことが分かった。
(あの髪は、白? 白い髪? それに赤い瞳? まさか……)
白髪と赤い瞳、それが女性の特徴だと認識したローグは、以前会った帝都の門番の話を思い出した。
約三週間前。
「ここだけの話なんだが、お二人が距離を置くようになってしまったのは皇帝陛下の病気のことなんだそうだ」
「どういうことだ?」
「実は、リオル様と他のお二方は髪の色と瞳の色が異なるんだ。アゼル…様とサーラ様は皇帝陛下と同じで金髪に青い瞳なのに対し、リオル様だけが白髪に赤い瞳なんだ」
門番は尊敬していない第一皇子にも一応、様付けしている(嫌そう)。こういうところはしっかりするようだ。
「それが二人とどう関係してるんだ?」
「皇帝陛下が体調を崩したときに、第一皇子がこんなことを言ったそうだ。『父上の病気は母親が違うリオルの髪と目の色が災いしたんだ』ってな」
「なによそれ、そんなひどいことを?」
「……最低な皇子だな」
帝国の家庭は複雑だった。第一皇子アゼルと第二皇女サーラは皇帝と第一王妃の間に生まれたが、第一皇女リオルだけは皇帝と第二王妃との間に生まれたのだ。母が違うためにアゼルとリオルの仲は悪かったが、リオルとサーラの仲はそれほど悪くはなかった。リオルはサーラの政治的手腕を評価しており、サーラも戦場に進んで立つリオルのことを尊敬していた。彼女たちの父が病気になるまでは。
「その言葉を真に受けたのか、リオル様とサーラ様の関係も良くなくなってしまったようなんだ」
「そんな……仲のいい姉妹だったのにですか?」
「逆に皇子のほうはどうなったんだ?」
「ああ、皇子はな……」
現在。
ローグは門番の情報と帝都の情報をまとめる。第一皇女リオルは白髪で赤い瞳、自分から戦場に立つほど戦闘能力が高く、現在は反逆者として指名手配されている。
(それに対して、目の前の女は……もしかして!)
目の前の女性も白髪で赤い瞳、戦闘能力が高い。フードで髪と顔を隠しているが、目元まで隠している理由が訳があって隠しているのだとすれば……!
「何をジロジロ見ている! 今は戦闘中だ!」
「っ!」
女性が切り込んできた。ローグは今度は【昇華魔法】を使って身体能力を強化する。
「【昇華魔法】『身体昇華・全』!」
全身の身体能力が強化されたローグは斬られる寸前で剣をかわす。一瞬驚いた女性は更に剣で切りかかるがかわされ続けてしまう。
「……いきなり動きは早くなったな。それも貴様の魔法か?」
「そうだな。だがこれだけじゃないぞ」
「だろうな。どうやら、ただものではなかったようだ。これは何としてでも捕まえるか殺してしまったほうがよさそうだな」
「俺はそんなつもりはない。すぐに決着をつけよう」
「ちっ、やってみろ!」
女性の動きが更に早くなった。これに対してローグも対応する。
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