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第5章 外国編
外国で決闘(前編)
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三人は、宿から出た後に人目のつかない路地裏に来た。女性がローグとミーラをここまで連れてきたのだ。ここなら『大事な話』をしても第三者には聞かれることはないだろう。普通ならば……
「……こんな場所にくるなんて」
「ここならめったに人が通ったりはしないな」
「そういうことだ。では話をしようではないか」
女性は、ローグ達に向き直ると警戒心を高め、敵意を向けてきた。顔が見えなくても分かるほどに。
「な、何よ……」
「ほう……」
「単刀直入に言おう、お前たちは王国の者だな」
「「!」」
女性の質問に二人は驚きの反応を示した。ローグはいつかこんな質問を投げられる時が来ることを想定していたため動揺しなかったが、ミーラは動揺を隠せなかった。
「な、な、なななな何を根拠にっ! そっ、そんなことを!?」
(あの時の門番が黙ってくれているっていう根拠がないから疑われるのも覚悟しろとあれほど言ったのに……)
一応、ミーラには疑われた時は動揺するなと言っていたのだが、やはり上手くはいかなかったようだ。ローグは心の中で嘆いた。
「……どうしてそう思った?」
「食堂でその女が『王国』と言いかけた時に、お前はうまく話題を変えてしまっただろう? そうする理由があるとすればなんだ?」
「あっ! ……って、そんなことで疑われるの!?」
「あの時は偶然だ。たまたま別の話題を思いついたから、そっちの話をしたかったから話をそらしたんだ」
「そっ、そう! その通りよ!」
今更遅い顔しれないが(ミーラのせい)、ローグはいい感じに疑いを晴らそうと弁明する。ミーラもそれに乗っかってくる。だが、女性のほうは甘くはなかった。
「嘘だな」
「え?」
「何?」
「お前たちの言葉には嘘が混ざっている。偶然ではない、意図したものだな。そうだろう?」
「な、何を!?」
「何故、そんなことが分かる?」
女性はローグとミーラの言葉を嘘とみなした。そして、二人との距離をじりじりと縮めてくる。
「否定しないのだな?」
「そ、それは…………。」
「今度はこっちの質問に答えろ。何を根拠に分かるってんだ?」
「私には子供の頃から、言葉を聞いただけでそこに嘘があるかないかが分かるんだ。信じられない特技だろうがな」
「「!?」」
(ちっ、そういう魔法か。嘘が聞かないタイプか。だが……)
相手には嘘が通じない。何も言っても無駄だということが分かった。ローグは戦うことになると判断したが、ここで疑問に思ったことがある。
「そんなのあり!?」
「……特技?」
(特技だと? 自分の魔法の能力を特技だと? 王国の人間にしては何か違和感があるな)
王国の人間ならば己の魔法を特技とは言わない。魔法は能力であって特技とは言わないのが王国の人間の考え方なのだ。それが二人の目の前の女性にはない。
「特技じゃなくて魔法じゃないのか?」
「そうよ! 何が特技よ! 魔法じゃない!」
ローグが女性の特技を魔法だと言うと、女性の敵意が更に高くなった。怒声を上げて否定してきたのだ。
「魔法だと!? あんな得体のしれない力と一緒にするな! これだから王国の異常者は嫌なんだ! ちょっと強いものを見れば魔法魔法と……本当の努力と才能を何だと思っているんだ!」
「え?」
「え?」
(この女、王国出身じゃないのか! 魔法をこんなに否定するなんて、まさか本当に……)
女性は腰に下げていた剣を抜いた。フードは身に着けたままで。
「ふん! このやり取りでお前たちが王国の人間だということは確定させてもらった! 拘束させてもらうが拒むというのであれば……」
「ひいい!」
「命はないっていうのか?」
「その通りだ。どうする? 大人しく降伏するか?」
女性は剣をローグに向かって突きつける。対するローグは、
「お断りだ。一戦交えようじゃないか」
「ちょ!? ローグ!?」
「……いい度胸だ、覚悟するがいい。王国の手先め!」
ローグは戦うことにした。ローグの人生の経験上、こういう人物は知って得する情報を持っているのだ。つまり、謎の女性が何者であるにしろ、利用するのには変わりはない。戦って勝つ必要があるのならそうするまでというだけだ。
(まさか帝国の者だったか。まあいい……気になることもあるしな)
「じゃあ、戦闘開始と行こうか。ミーラは下がってろ、俺一人でやってみる」
「う、うん、分かった。気を付けてね!」
「一対一で戦うというのか、この私を相手に!」
「そういうことだ、かかってきな」
「ならば覚悟せよ! はああああああああ!」
女性は剣で切りつけようと一気に距離を詰めてきた。だが、剣がローグの首をはねる直前、ローグの体が赤紫に光りだした。
「【外道魔法・憤怒】『理不尽の拡散』!」
ビリビリビリビリビリビリビリビリ!
「……こんな場所にくるなんて」
「ここならめったに人が通ったりはしないな」
「そういうことだ。では話をしようではないか」
女性は、ローグ達に向き直ると警戒心を高め、敵意を向けてきた。顔が見えなくても分かるほどに。
「な、何よ……」
「ほう……」
「単刀直入に言おう、お前たちは王国の者だな」
「「!」」
女性の質問に二人は驚きの反応を示した。ローグはいつかこんな質問を投げられる時が来ることを想定していたため動揺しなかったが、ミーラは動揺を隠せなかった。
「な、な、なななな何を根拠にっ! そっ、そんなことを!?」
(あの時の門番が黙ってくれているっていう根拠がないから疑われるのも覚悟しろとあれほど言ったのに……)
一応、ミーラには疑われた時は動揺するなと言っていたのだが、やはり上手くはいかなかったようだ。ローグは心の中で嘆いた。
「……どうしてそう思った?」
「食堂でその女が『王国』と言いかけた時に、お前はうまく話題を変えてしまっただろう? そうする理由があるとすればなんだ?」
「あっ! ……って、そんなことで疑われるの!?」
「あの時は偶然だ。たまたま別の話題を思いついたから、そっちの話をしたかったから話をそらしたんだ」
「そっ、そう! その通りよ!」
今更遅い顔しれないが(ミーラのせい)、ローグはいい感じに疑いを晴らそうと弁明する。ミーラもそれに乗っかってくる。だが、女性のほうは甘くはなかった。
「嘘だな」
「え?」
「何?」
「お前たちの言葉には嘘が混ざっている。偶然ではない、意図したものだな。そうだろう?」
「な、何を!?」
「何故、そんなことが分かる?」
女性はローグとミーラの言葉を嘘とみなした。そして、二人との距離をじりじりと縮めてくる。
「否定しないのだな?」
「そ、それは…………。」
「今度はこっちの質問に答えろ。何を根拠に分かるってんだ?」
「私には子供の頃から、言葉を聞いただけでそこに嘘があるかないかが分かるんだ。信じられない特技だろうがな」
「「!?」」
(ちっ、そういう魔法か。嘘が聞かないタイプか。だが……)
相手には嘘が通じない。何も言っても無駄だということが分かった。ローグは戦うことになると判断したが、ここで疑問に思ったことがある。
「そんなのあり!?」
「……特技?」
(特技だと? 自分の魔法の能力を特技だと? 王国の人間にしては何か違和感があるな)
王国の人間ならば己の魔法を特技とは言わない。魔法は能力であって特技とは言わないのが王国の人間の考え方なのだ。それが二人の目の前の女性にはない。
「特技じゃなくて魔法じゃないのか?」
「そうよ! 何が特技よ! 魔法じゃない!」
ローグが女性の特技を魔法だと言うと、女性の敵意が更に高くなった。怒声を上げて否定してきたのだ。
「魔法だと!? あんな得体のしれない力と一緒にするな! これだから王国の異常者は嫌なんだ! ちょっと強いものを見れば魔法魔法と……本当の努力と才能を何だと思っているんだ!」
「え?」
「え?」
(この女、王国出身じゃないのか! 魔法をこんなに否定するなんて、まさか本当に……)
女性は腰に下げていた剣を抜いた。フードは身に着けたままで。
「ふん! このやり取りでお前たちが王国の人間だということは確定させてもらった! 拘束させてもらうが拒むというのであれば……」
「ひいい!」
「命はないっていうのか?」
「その通りだ。どうする? 大人しく降伏するか?」
女性は剣をローグに向かって突きつける。対するローグは、
「お断りだ。一戦交えようじゃないか」
「ちょ!? ローグ!?」
「……いい度胸だ、覚悟するがいい。王国の手先め!」
ローグは戦うことにした。ローグの人生の経験上、こういう人物は知って得する情報を持っているのだ。つまり、謎の女性が何者であるにしろ、利用するのには変わりはない。戦って勝つ必要があるのならそうするまでというだけだ。
(まさか帝国の者だったか。まあいい……気になることもあるしな)
「じゃあ、戦闘開始と行こうか。ミーラは下がってろ、俺一人でやってみる」
「う、うん、分かった。気を付けてね!」
「一対一で戦うというのか、この私を相手に!」
「そういうことだ、かかってきな」
「ならば覚悟せよ! はああああああああ!」
女性は剣で切りつけようと一気に距離を詰めてきた。だが、剣がローグの首をはねる直前、ローグの体が赤紫に光りだした。
「【外道魔法・憤怒】『理不尽の拡散』!」
ビリビリビリビリビリビリビリビリ!
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