ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

文字の大きさ
141 / 252
第5章 外国編

謎の女性

しおりを挟む
 意を決して二人が部屋から出ると、確かに少し離れた位置に誰かがいるようだ。誰かを待つかのように静かに立っている。二人は気付かないふりして宿の出入り口に向かおうとする。その直後だった。

「そこの二人、待ちなさい!」
「え?」
「……」

 その人物が二人に声を掛けてきた。ローグは落ち着いて、ミーラは恐る恐る、それぞれ振り向いた。するとそこにいたのは、足元まで届く白い上着が印象的なフードを被った人物だった。フードで顔と髪が見えないが、声と体格で女性だと分かる。実はこの女性、食堂でローグとミーラの会話を聞いて二人に注目していた人物だった。

「あの、何か?」
「……何のようだ」
「お前たちに大事な話がある」
「大事な話?」
「何だと?」

 フードで顔を見せない女性に対して、ローグとミーラは警戒を強める。流石にこんな所で戦うことになるとは思わないが……。

「大事な話というのはここでするべきか?」
「いや、ここではマズいな。外で話そう、ついてこい」
「待て、どこへ連れてくつもりだ?」
「私について行けば分かることだ。従ってもらおう」
「…………」

 女性は強気な口調で二人に指示してきた。女性は構わす歩きだした。様子を見るためにローグはついて行くことにした。

(やけに偉そうな感じだな。この国で高い身分の者か? 服装からして……)

「ローグ、いいの?」
「ああ、どうかしたか?」

 ローグが女性に対して歩きながら考察していると、ミーラが小声で声を掛けてきた。その顔には不満が見られる。

「あんな偉そうな人について行くなんて……」
「仕方あるまい。おそらく、そういう身分の人なんだろう」
「だからって……」
「俺も気に入らないから今は我慢してくれ」
「……分かった」

 ミーラは渋々承諾した。ローグの決定には逆らわないのが彼女の基本なのだ。ミーラの中では、彼女自身の意志よりもローグの意志のほうが優先順位が高いのだ。

「何をしている。しっかりついてこい」 
「はい?」
「心配しなくてもついてきているが?」
「何故私がお前たちなどを心配する必要がある」
「「え?」」
「ゆっくり歩くなと言っているんだ、行くぞ」
「「…………」」

 まるでリーダーであるかのように仕切っている。謎の女性がどれだけ偉そうにしても、二人は今だけはついて行く。だが、

(何なのよ、この女。さっきから偉そうに……)
(この女に価値がないと判断すれば切り捨てよう。あまり気に入らないしな)

 二人は女性に対して好印象を持っていない。持てるはずがなかった。しかし、この女性がローグとミーラのの運命を大きく変えるとは、この時は二人も思っていなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。 ※2026年半ば過ぎ完結予定→七月に完結(決定)

処理中です...