155 / 252
第5章 外国編
これまでの経緯(ローグ編4)
しおりを挟む
確かに事実だった。迷宮に迷い込んだ事件も、そこで魔封書を手に入れたのも、魔法を協力者たちに与えたことも事実だ。ただ、迷宮の事件が復讐の動機だったこと、その迷宮が魔封書も含めて前世の自分が作ったことも、魔封書の中身が最初は空で後で村人たちから奪った魔法を入れたことはうまく伏せてはいるが。
王国の騎士団にいる『奴』を倒すためには帝国の協力が不可欠になる。そのためにはリオルとの関係はなるべく悪い方向に向けるわけにはいかないのだ。
「そんなことが……それだけのことを乗り越えてきたなんて……。ローグ・ナイト、お前は壮絶な過去を経験していたのだな。そして、それらを乗り越えて今に至ると……」
「苦労したけどな」
「兵士でもない村人がどうしてあれほどのの実力を持っているのか疑問に思っていたが、迷宮での戦いで得たものというわけか。それなら納得できるな」
「ついでに迷宮の中で窮地に陥った時に初めて魔法が覚醒したのも生き残れた要因の一つだ。雷みたいな魔法なんだ」
ローグはリオルの目の前で指先から赤紫色の光を灯した。指先からバチバチっという音が弾ける。リオルは興味深そうに見やる。
「……そんな時に魔法の覚醒か。運がよかったんだな」
「こういうのは不幸中の幸いっていうんじゃないか?」
「……それは……」
不幸中の幸いというのは確かなことだ。友達に突き落とされた先が迷宮で、その中で窮地に陥るなど不幸すぎる。リオルは気まずそうになり、顔をそらしてしまった。ここで中断するっわけにはいかないためローグは話を戻す。
「……話に戻るぞ。うまく戦力を整えた俺達は作戦を立てて魔法協会を襲撃した。最初の作戦で魔法協会内部の全ての魔道具や魔術に干渉して内部に混乱を起こし、第二の作戦で正面から戦闘を行って、第三の作戦で隠し通路から乗り込んで追い詰めたんだ」
「ほう。かなり手の込んだ作戦を思いついて実行したんだな。いや、当然か。相手は王国の誇る一大組織なのだからな」
「襲撃中に魔法協会のトップにあたる会長を捕まえて俺の目の前で真実を喋ってもらったんだ。王都全土に喋っているとも知らずにな」
「王都全土に? どういうことだ?」
リオルは訝しむ。たった一人の声をどうやって王都全土に伝えるのかが想像できないのだ。
「実は襲撃する前に、会話を記録して大音量で流すことができる魔道具を作ったんだ。それを王都周辺になるべく人目のつかず高いところに設置していたんだ」
「え? 会話を記録? そんなこともでき……あっ!」
「気付いたか? 魔法協会会長との会話の内容は魔法協会の悪事と王国の実態がメインだ。これが魔道具を通して王都全土に流れる。するとどうなる?」
「…………!」
ここまで聞いていれば魔法の知識について疎いリオルでも分かる。それから王国で何が起こるのか、どうなっていくのかが。
「……王都に住まう人々の隅々まで知り尽くされるだろうな。聞いた内容が人道に反する行為だとすれば……」
「その後は予想通りさ」
「……それがお前が起こした王国の混乱というわけか」
「そういうことだ。正直言って、あそこまでの暴動になるとは思ってもいなかったけどな。っていうか、帝国側は王国の騒動についてどこまで知っているんだ?」
「王国から国家転覆の大罪人であるローグ・ナイトを捕らえるよう求められたことを機に、間者を放って何が起こったか調べさせていたんだが……」
「間者か」
「報告によれば、魔法協会の不祥事が発覚して国民が怒り狂い暴動を起こしたと聞いていた。ただ……」
「ただ?」
リオルは何か迷っているようだが、ローグはそれが『魔法の真実』のことを聞き出そうとしていると分かった。自身の名前まで知っている様子だと、帝国は優秀なスパイを従えている。だとすれば、魔法の真実は隠しても無駄なのだろう。
王国の騎士団にいる『奴』を倒すためには帝国の協力が不可欠になる。そのためにはリオルとの関係はなるべく悪い方向に向けるわけにはいかないのだ。
「そんなことが……それだけのことを乗り越えてきたなんて……。ローグ・ナイト、お前は壮絶な過去を経験していたのだな。そして、それらを乗り越えて今に至ると……」
「苦労したけどな」
「兵士でもない村人がどうしてあれほどのの実力を持っているのか疑問に思っていたが、迷宮での戦いで得たものというわけか。それなら納得できるな」
「ついでに迷宮の中で窮地に陥った時に初めて魔法が覚醒したのも生き残れた要因の一つだ。雷みたいな魔法なんだ」
ローグはリオルの目の前で指先から赤紫色の光を灯した。指先からバチバチっという音が弾ける。リオルは興味深そうに見やる。
「……そんな時に魔法の覚醒か。運がよかったんだな」
「こういうのは不幸中の幸いっていうんじゃないか?」
「……それは……」
不幸中の幸いというのは確かなことだ。友達に突き落とされた先が迷宮で、その中で窮地に陥るなど不幸すぎる。リオルは気まずそうになり、顔をそらしてしまった。ここで中断するっわけにはいかないためローグは話を戻す。
「……話に戻るぞ。うまく戦力を整えた俺達は作戦を立てて魔法協会を襲撃した。最初の作戦で魔法協会内部の全ての魔道具や魔術に干渉して内部に混乱を起こし、第二の作戦で正面から戦闘を行って、第三の作戦で隠し通路から乗り込んで追い詰めたんだ」
「ほう。かなり手の込んだ作戦を思いついて実行したんだな。いや、当然か。相手は王国の誇る一大組織なのだからな」
「襲撃中に魔法協会のトップにあたる会長を捕まえて俺の目の前で真実を喋ってもらったんだ。王都全土に喋っているとも知らずにな」
「王都全土に? どういうことだ?」
リオルは訝しむ。たった一人の声をどうやって王都全土に伝えるのかが想像できないのだ。
「実は襲撃する前に、会話を記録して大音量で流すことができる魔道具を作ったんだ。それを王都周辺になるべく人目のつかず高いところに設置していたんだ」
「え? 会話を記録? そんなこともでき……あっ!」
「気付いたか? 魔法協会会長との会話の内容は魔法協会の悪事と王国の実態がメインだ。これが魔道具を通して王都全土に流れる。するとどうなる?」
「…………!」
ここまで聞いていれば魔法の知識について疎いリオルでも分かる。それから王国で何が起こるのか、どうなっていくのかが。
「……王都に住まう人々の隅々まで知り尽くされるだろうな。聞いた内容が人道に反する行為だとすれば……」
「その後は予想通りさ」
「……それがお前が起こした王国の混乱というわけか」
「そういうことだ。正直言って、あそこまでの暴動になるとは思ってもいなかったけどな。っていうか、帝国側は王国の騒動についてどこまで知っているんだ?」
「王国から国家転覆の大罪人であるローグ・ナイトを捕らえるよう求められたことを機に、間者を放って何が起こったか調べさせていたんだが……」
「間者か」
「報告によれば、魔法協会の不祥事が発覚して国民が怒り狂い暴動を起こしたと聞いていた。ただ……」
「ただ?」
リオルは何か迷っているようだが、ローグはそれが『魔法の真実』のことを聞き出そうとしていると分かった。自身の名前まで知っている様子だと、帝国は優秀なスパイを従えている。だとすれば、魔法の真実は隠しても無駄なのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!
たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。
途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。
鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒!
素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。
裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!
おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。
お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
母を訪ねて十万里
サクラ近衛将監
ファンタジー
エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。
この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。
概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる