ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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第5章 外国編

これまでの経緯(ローグ編3)

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「その外町の住人のほとんどが魔法協会の被害者だったのさ。魔法を奪われた者たちの集まりだったわけだ」
「! そうか、彼らを味方につけたのか!」
「正解。魔法協会を攻めるなら恨みを持ったものに頼ったほうが早いんでな」
「な、なるほど……。ん? 待てよ?」
「何だ?」
「魔法を奪われた者たちを協力者にだと?」

 リオルは『恨みを持ったもの』という言葉に若干引いたようだが、協力者たちのことが気になったようだ。彼らは『魔法なし』のはずなのだ。

「魔法を持たない者たちをどうやって戦力にするんだ? 王国には魔法に対抗する手段があるのか?」
「……それなんだが」
「?」

 ローグはどう説明するか考えた。実は復讐のために故郷の村人から奪った魔法を協力者たちに与えて戦力にしたと言えば、『魔法を奪った』ことを魔法協会と同じだと言われて警戒されるかもしれない。下手をすれば協力し合うことができなくなる。だからといって嘘を見抜けるリオルには事実を言わなければならない。ならば、都合の悪い事実は伏せて説明するしかない。

「魔法に対抗する手段は、魔法を与えることなんだ」
「は? 魔法を与える!? そんなことができるのか!?」
「ああ、この魔封書でな」
「その本か!」
「この本は魔導具の一種で、いろんな魔法が詰まっているんだ。本の中の魔法を使ったり、魔法を人に与えることもできる」
「そんな本にいろんな魔法が詰まっていて、しかも人に与えるだと!」

 リオルはさっきとは別の意味で身を乗り出した。今度は怒りではなく、驚きによるものだ。にわかに信じられないのか、ローグの顔をまじまじと凝視する。

「……本当のようだな、嘘が感じられない」
「事実しか言ってないからな」
「その本、見せてもらっていいか?」
「いいけど、奪うことはできないし意味はないぞ」
「何?」
「俺が目の前にいるのに奪うなんて不可能なのは分かるだろ」
「何を言う! 私がそんな姑息なことをするはずがないだろ!」

 リオルはムッとするが、ローグは魔封書を指さして淡々と告げる。

「この本を帝国が使うことができるようになれば、魔法を持つ王国に対抗できるだろう。それを手土産にすれば帝国での立場を巻き返す交渉材料に……なんてできそうじゃないか?」
「! そ、それは……だが……」
「もっとも使えればの話だけどな。この本はかなり使い方が難しいから魔法持ちが少ない帝国には使いこなせないだろうがな」
「ま、まあ、そうだな……」
「皇女様もこれ見て何が分かる?」
「……! こ、これは……あ~……」
 
 ローグはリオルに魔封書を手渡した。リオルは魔封書を開いてみたが、その中身はリオルにはよく分からない文字がびっしり記されていた。少なくとも、文字も言語も通貨も共通しているこの時代の文字でないことは理解するだろう。何しろローグの前世の時代の文字なのだから。

「……こ、この文字は?」
「古代文字だな。この時代よりもはるか昔に使われた文字だ」
「何故、そんな文字が使われているんだ?」
「その魔封書そのものが、その時代のものだからだ」
「そ、そうなのか……しかし……」
「ん?」
「どうしてお前がこんなものを持っているんだ? はっきり言ってすごいぞ、この本は!」
「ああ、それなんだが迷宮で手に入れたんだ」
「迷宮!? あの魔物どもがたくさん住み着いているというあの迷宮のことか!?」
「その迷宮で間違いない。迷宮で迷い込んだ時に見つけて以来、持ち歩いてるのさ。便利だからな」
「! ……それも嘘ではないようだな」
「事実だからな」
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