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第5章 外国編
協力関係
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サーラから聞いた話を要約すると、ウルクスに催眠術のような暗示をかけられていいように操られたということだった。ろくに今の状況を知らないのもそのためだろう。操られている者には情報など必要はないのだ。今まで生かしておいたのは、死んで騒ぎになるのも面倒だったのだろう。
事実を把握したリオルは当然憤慨した。
「おのれ、クロズクめ! 私の妹を何だと思っているんだ!」
「都合のいい操り人形になってもらったほうが都合がいいんだろうな」
「ふざけるな!」
リオルは地団駄を踏む。リオルの怒り狂う姿を見たサーラは一瞬ひるんだが、やがてリオルほどでもなくても怒りが込み上げてきた。
「許せないです……お父様を病気にして……お兄様をたぶらかして……私を操った挙句、お姉さまを追い詰めるなんて……!」
「兄上はどうなっているんだ! 操られたのか? たぶらかされたのか? どっちにしろ、奴らの側にいるのは情けない!」
「落ち着け、興奮しすぎだ。これから直に会って見極めるんだろ?」
ローグは興奮状態になったリオルをなだめる。怒る理由は分かるが、状況を考えれば落ち着いてほしいのだ。
「しかしだな!」
「いいえ、彼の言う通りです。冷静になってください、お姉さま」
「サーラ?」
「「!」」
今度はサーラからリオルに声を掛けてきた。操られた時とは違い、その顔には強い意志が感じられる。
「お兄様のことはこれから会って確かめる、それがいいでしょう。ですが、そのためにはクロズクが障害になることは間違いありません。彼らは戦闘ではだまし討ちや暗殺などに優れたものが多い。そんな者たちと戦うのに冷静さを欠いてはなりません。ただでさえお姉さまの苦手な分野でしょう」
「そ、それは、そうだな……」
サーラの言うことはもっともだった。事実を言われてリオルも頭が冷えてきたようだ。事実、クロズク達はリオルにとっていろんな意味で苦手な連中なのだ。
「ですが、クロズク達に対して私達が不利かというかどうか……そこにいるローグ・ナイトさんが鍵を握るでしょう」
「ほう、いきなりそう来るか」
「え?」
「何?」
サーラはローグに視線を向けた。先の話で、リオルが王国の反逆者であるローグ・ナイト及びミーラ・リラと成り行きで協力関係を築いたことに知った。サーラはそのことに驚き、複雑な気持ちを抱いたが、今は真剣な目でローグを見ている。
「ローグ・ナイトさん。あなたは王国から帝国に逃げ込んだと聞いていますが、お姉さまに協力してくださるのは何故ですか? 帝国の事情はあなたに関係ないはずです。見返りが目的ですか?」
「そうだな。王国には復讐したい奴がいるし、そもそも王国を潰したいと思っている。魔法の在り方を変えるためにもな」
ローグは素直に答えた。大事なことを伏せて省略して答えたのは、嘘を見抜けるリオルが隣にいるからだ。サーラも例外とは限らない。サーラはローグの言葉を吟味して考える。
「……復讐、そのために私達帝国の戦力を利用したいと? 外国人の、それも元とはいえ王国出身のあなたが?」
「その通りだ。その代わりに可能な限り協力するし、俺自身の戦闘能力と魔法に関する知識を提供するつもりでいる。帝国側としてはいい条件だろ」
ローグが売り込む内容は帝国側にとって旨味がある。強力な魔法と魔法の知識は帝国にとって敵を知る武器になる。ただ、リオルと違ってサーラは頭がよくて政に詳しい。落ち着いて物事を考えてから発言し行動するタイプだ。
「……今回もそれを条件に協力してくれるというのですか? しかし、私達はあなたのことを何も知りません。王国に反逆した事実以外は」
「確かに俺達を信用する理由がないな。だが、俺はあんたを正気に戻しただろ。姉のリオさんをここまで導いたのも俺達だ。ある程度信用してもいいんじゃないか? そもそも、こんな状況で選り好みしてる場合かな?」
「……お姉さまの意見も聞かせていただきます」
「あ、ああ」
(やはり、そう上手くはいかないか)
何も知らないからこそ信用する理由がない、当然だ。サーラの反応はローグが予想していた通りだった。
「わ、私としては、決闘したり助けをもらったりした後で協力し合うようになってからは、嘘を感じられない……だから、現時点では信用しても問題ないかと……」
……リオルは説明が下手だとローグは思った。決闘だの助けだのは言葉にしなくていい。しかし、
「……決闘したのに助けられた、ですか。その後で嘘は感じられないと?」
「そうだ。正直に言っている」
サーラもリオルに嘘が効かないことは知っている。あやふやな情報でもリオルの発言は信用できるようだ。つまり、
「……お姉さまがそういうならそういうことでしょう。複雑な気もしますが、信用できるかできないかは保留としましょう。今は協力し合うことを優先します」
「サーラ!」
「まあ、そうなるよな」
「一緒に頑張りましょう!」
結局、ローグはサーラとも協力関係を築くことができた。
「ただし!」
「「「!」」」
サーラはにっこりと笑顔で告げる。
「裏切れば敵です。そこは覚えていてくださいね」
「……正しい判断だ。リオさんよりも利口だな」
「おい! そ、それは……そうだな」
「元気出してリオさん」
リオルは流石に自分が利口ではないと言われたことに気付いたが何も反論できなかった。ミーラにまで心配されてしまう始末だ。
事実を把握したリオルは当然憤慨した。
「おのれ、クロズクめ! 私の妹を何だと思っているんだ!」
「都合のいい操り人形になってもらったほうが都合がいいんだろうな」
「ふざけるな!」
リオルは地団駄を踏む。リオルの怒り狂う姿を見たサーラは一瞬ひるんだが、やがてリオルほどでもなくても怒りが込み上げてきた。
「許せないです……お父様を病気にして……お兄様をたぶらかして……私を操った挙句、お姉さまを追い詰めるなんて……!」
「兄上はどうなっているんだ! 操られたのか? たぶらかされたのか? どっちにしろ、奴らの側にいるのは情けない!」
「落ち着け、興奮しすぎだ。これから直に会って見極めるんだろ?」
ローグは興奮状態になったリオルをなだめる。怒る理由は分かるが、状況を考えれば落ち着いてほしいのだ。
「しかしだな!」
「いいえ、彼の言う通りです。冷静になってください、お姉さま」
「サーラ?」
「「!」」
今度はサーラからリオルに声を掛けてきた。操られた時とは違い、その顔には強い意志が感じられる。
「お兄様のことはこれから会って確かめる、それがいいでしょう。ですが、そのためにはクロズクが障害になることは間違いありません。彼らは戦闘ではだまし討ちや暗殺などに優れたものが多い。そんな者たちと戦うのに冷静さを欠いてはなりません。ただでさえお姉さまの苦手な分野でしょう」
「そ、それは、そうだな……」
サーラの言うことはもっともだった。事実を言われてリオルも頭が冷えてきたようだ。事実、クロズク達はリオルにとっていろんな意味で苦手な連中なのだ。
「ですが、クロズク達に対して私達が不利かというかどうか……そこにいるローグ・ナイトさんが鍵を握るでしょう」
「ほう、いきなりそう来るか」
「え?」
「何?」
サーラはローグに視線を向けた。先の話で、リオルが王国の反逆者であるローグ・ナイト及びミーラ・リラと成り行きで協力関係を築いたことに知った。サーラはそのことに驚き、複雑な気持ちを抱いたが、今は真剣な目でローグを見ている。
「ローグ・ナイトさん。あなたは王国から帝国に逃げ込んだと聞いていますが、お姉さまに協力してくださるのは何故ですか? 帝国の事情はあなたに関係ないはずです。見返りが目的ですか?」
「そうだな。王国には復讐したい奴がいるし、そもそも王国を潰したいと思っている。魔法の在り方を変えるためにもな」
ローグは素直に答えた。大事なことを伏せて省略して答えたのは、嘘を見抜けるリオルが隣にいるからだ。サーラも例外とは限らない。サーラはローグの言葉を吟味して考える。
「……復讐、そのために私達帝国の戦力を利用したいと? 外国人の、それも元とはいえ王国出身のあなたが?」
「その通りだ。その代わりに可能な限り協力するし、俺自身の戦闘能力と魔法に関する知識を提供するつもりでいる。帝国側としてはいい条件だろ」
ローグが売り込む内容は帝国側にとって旨味がある。強力な魔法と魔法の知識は帝国にとって敵を知る武器になる。ただ、リオルと違ってサーラは頭がよくて政に詳しい。落ち着いて物事を考えてから発言し行動するタイプだ。
「……今回もそれを条件に協力してくれるというのですか? しかし、私達はあなたのことを何も知りません。王国に反逆した事実以外は」
「確かに俺達を信用する理由がないな。だが、俺はあんたを正気に戻しただろ。姉のリオさんをここまで導いたのも俺達だ。ある程度信用してもいいんじゃないか? そもそも、こんな状況で選り好みしてる場合かな?」
「……お姉さまの意見も聞かせていただきます」
「あ、ああ」
(やはり、そう上手くはいかないか)
何も知らないからこそ信用する理由がない、当然だ。サーラの反応はローグが予想していた通りだった。
「わ、私としては、決闘したり助けをもらったりした後で協力し合うようになってからは、嘘を感じられない……だから、現時点では信用しても問題ないかと……」
……リオルは説明が下手だとローグは思った。決闘だの助けだのは言葉にしなくていい。しかし、
「……決闘したのに助けられた、ですか。その後で嘘は感じられないと?」
「そうだ。正直に言っている」
サーラもリオルに嘘が効かないことは知っている。あやふやな情報でもリオルの発言は信用できるようだ。つまり、
「……お姉さまがそういうならそういうことでしょう。複雑な気もしますが、信用できるかできないかは保留としましょう。今は協力し合うことを優先します」
「サーラ!」
「まあ、そうなるよな」
「一緒に頑張りましょう!」
結局、ローグはサーラとも協力関係を築くことができた。
「ただし!」
「「「!」」」
サーラはにっこりと笑顔で告げる。
「裏切れば敵です。そこは覚えていてくださいね」
「……正しい判断だ。リオさんよりも利口だな」
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