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最終章
エピローグ1
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帝国に戻ったローグは、皇帝が座する帝城に赴くのではなく、先に自分に与えられた屋敷に足を運んだ。本人も気付かないうちに急ぎ足になったのは、ただ単に自分のためだけではなかった。
「………!」
ローグの頭の中には一人の少女の姿があった。幼馴染であり憎んだうちの一人であり、自身に忠実な従者であり、そして今は……一番気になる女性でもあった。
「ふう……」
自身の住む屋敷に着いたローグは門を開けてある人物の名前を口にした。早く会いたいから、かつての彼はそんなことを思ったことなどないのに。
「戻ったぞ……戻ったぞ、ミーラ!」
「……!」
ローグの声に反応して、奥の部屋の方で慌ただしく足音が聞こえる。どうやら名前を呼ばれたほうも会いたかったようだ。当然ことながら。
「ローグ!」
そして、ローグの名を呼ぶ茶髪でポニーテールの少女が現れた。彼女こそ、『今の』ローグにとっては大切な女性であるミーラ・リラだ。彼女は実力不足を理由に帝国にとどまってローグのことを待っていたのだ。自分もいきたいとローグに懇願していたが、実力不足以外にも無理をさせられない理由をローグに諭されたため渋々屋敷で留守番していた。屋敷でローグの無事を祈りながらずっと待っていたのだ。
「ローグ、お帰りなさい! 無事だったのね!」
ミーラはローグに抱き着いた。全身でローグが生きて戻ってきたことを確認するかのように。ローグの生還を心から喜ぶミーラは目に涙を浮かべ、鼻水も垂れている。ローグもミーラを抱きしめ返して彼女の熱を感じ取る。
「ああ、ただいま! 王国に勝利して戻ってきたんだ。待たせてすまなかったな」
「いいよ、無事に生きて戻ってきてくれたんだもの、私はそれだけでいいんだよ!」
「そうか……」
ローグは自分でも驚くほど優しい笑顔になっていた。それはかつて彼が名前を改める前の自分に戻ったような、いや、これが本来の彼の姿なのかもしれない。かつて、『無能』と罵られる以前の『ロー・ライト』だった頃の。
◇
――翌日。
帝国は熱狂に包まれていた。皇帝が直々に帝国の勝利を公式に発表したのだ。長きにわたり帝国を苦しめ、屈辱を与えてきた憎むべき仇敵・王国に勝利した。その事実は、帝国の民が狂喜するには十分すぎるものだった。
もちろん、帝城の内部もお祭り騒ぎだった。戦の最前線で戦ったリオルは、城の内と外でも英雄として讃えられて騒がれる。本人はとても困ったような顔をしているが、リオル自身も心が熱いようだった。
帝国の皇帝も第二皇女サーラも熱い気持ちになっていた。特に、皇帝は勝利したことよりも娘のリオルが無事に戻ってきたことが何よりも嬉しかったようだ。それはリオルの妹であるサーラも同じだ。また、帝都を守っていた兵士たちも勝利と共にリオルの生還を感謝していた。それほどまでにリオルの人望が厚いのだ。
そして、英雄となったリオルの要望もあって、一人の少年が帝国の勝利の立役者として称賛されることになった。その少年は、元は王国の人間であったが祖国を見限って帝国に亡命し、先の混乱を治めるのにも一役買ったとされる英雄にふさわしい偉業を成し遂げたのだ……と、国民に向けてリオルが紹介した。
その名はもちろん、
「……ろ、ローグ・ナイトです」
謁見の間にて、皇帝や多くの文官・武官、それに大臣や騎士達に見守られる中で、珍しく緊張している黒髪黒目の少年、彼こそがリオルの称賛する『ローグ・ナイト』。王国打倒の最大の功労者だ。
この後、ローグは面倒な長い社交辞令やら無駄に長い話を聞かされ、最後には貴族に相当する地位と名誉と財産を与えられるのであった。
「………!」
ローグの頭の中には一人の少女の姿があった。幼馴染であり憎んだうちの一人であり、自身に忠実な従者であり、そして今は……一番気になる女性でもあった。
「ふう……」
自身の住む屋敷に着いたローグは門を開けてある人物の名前を口にした。早く会いたいから、かつての彼はそんなことを思ったことなどないのに。
「戻ったぞ……戻ったぞ、ミーラ!」
「……!」
ローグの声に反応して、奥の部屋の方で慌ただしく足音が聞こえる。どうやら名前を呼ばれたほうも会いたかったようだ。当然ことながら。
「ローグ!」
そして、ローグの名を呼ぶ茶髪でポニーテールの少女が現れた。彼女こそ、『今の』ローグにとっては大切な女性であるミーラ・リラだ。彼女は実力不足を理由に帝国にとどまってローグのことを待っていたのだ。自分もいきたいとローグに懇願していたが、実力不足以外にも無理をさせられない理由をローグに諭されたため渋々屋敷で留守番していた。屋敷でローグの無事を祈りながらずっと待っていたのだ。
「ローグ、お帰りなさい! 無事だったのね!」
ミーラはローグに抱き着いた。全身でローグが生きて戻ってきたことを確認するかのように。ローグの生還を心から喜ぶミーラは目に涙を浮かべ、鼻水も垂れている。ローグもミーラを抱きしめ返して彼女の熱を感じ取る。
「ああ、ただいま! 王国に勝利して戻ってきたんだ。待たせてすまなかったな」
「いいよ、無事に生きて戻ってきてくれたんだもの、私はそれだけでいいんだよ!」
「そうか……」
ローグは自分でも驚くほど優しい笑顔になっていた。それはかつて彼が名前を改める前の自分に戻ったような、いや、これが本来の彼の姿なのかもしれない。かつて、『無能』と罵られる以前の『ロー・ライト』だった頃の。
◇
――翌日。
帝国は熱狂に包まれていた。皇帝が直々に帝国の勝利を公式に発表したのだ。長きにわたり帝国を苦しめ、屈辱を与えてきた憎むべき仇敵・王国に勝利した。その事実は、帝国の民が狂喜するには十分すぎるものだった。
もちろん、帝城の内部もお祭り騒ぎだった。戦の最前線で戦ったリオルは、城の内と外でも英雄として讃えられて騒がれる。本人はとても困ったような顔をしているが、リオル自身も心が熱いようだった。
帝国の皇帝も第二皇女サーラも熱い気持ちになっていた。特に、皇帝は勝利したことよりも娘のリオルが無事に戻ってきたことが何よりも嬉しかったようだ。それはリオルの妹であるサーラも同じだ。また、帝都を守っていた兵士たちも勝利と共にリオルの生還を感謝していた。それほどまでにリオルの人望が厚いのだ。
そして、英雄となったリオルの要望もあって、一人の少年が帝国の勝利の立役者として称賛されることになった。その少年は、元は王国の人間であったが祖国を見限って帝国に亡命し、先の混乱を治めるのにも一役買ったとされる英雄にふさわしい偉業を成し遂げたのだ……と、国民に向けてリオルが紹介した。
その名はもちろん、
「……ろ、ローグ・ナイトです」
謁見の間にて、皇帝や多くの文官・武官、それに大臣や騎士達に見守られる中で、珍しく緊張している黒髪黒目の少年、彼こそがリオルの称賛する『ローグ・ナイト』。王国打倒の最大の功労者だ。
この後、ローグは面倒な長い社交辞令やら無駄に長い話を聞かされ、最後には貴族に相当する地位と名誉と財産を与えられるのであった。
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