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第5章 第8話
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アリステラは4年前、野蛮なホモサピエンスに対し、ひとつの選択を迫った。
その結果、エーテルを雨と共に世界に撒きはじめたというのが本当なら、アンナの能力はその別の存在が持っていたか作り出したかしたエーテルに似た何かによって、与えられたもの、という可能性があった。
それは、つまり、
「私の能力は、我が教祖や教団をカルト教団と死刑囚に貶めた存在に与えられた……?」
ということになる。なってしまう。
アンナの顔が青ざめていた。身体が小刻みに震え、目に涙を浮かべていた。
「まだそうだと決まったわけじゃないです」
ショウゴが慌ててアンナをフォローしようとすると、
「ねぇ、アンナ。さっきからずーっと、ふたりの話がよくわからないのだけれど、それってこういうことなのかしら?」
アナスタシアがそう言って、アンナの興味を自分に向けた。
彼女は手のひらをロビーの窓の方に向けていた。
その手のひらに翡翠色の光が集まり、テニスボールほどの大きさになっていく。
「アナスタシア様……?」
「それ、何かな……うん……アナスタシアさん……それ、何だろうね……」
どう見てもエーテルだった。
アナスタシアの手のひらに集束され、テニスボール大の球体に凝縮されたエーテルは、ボッという音と共に炎を上げて燃え上がった。
火球は縦3メートル横2メートルはあるであろう大きな窓に向かって飛んでいく。
「アンナさん、なんかやばそうですよ……」
「アナスタシア様、大和さん、伏せて!」
「え? 全然だいじょうぶだと思うんだけど?」
ショウゴとアンナは、嫌がるアナスタシアに覆い被さるようにして、ソファーを盾に身を伏せた。
その瞬間、轟音と共に窓が割れ、マンションの前にあった大きな木が一本、一瞬で全焼した。
その光景をアンナとショウゴは呆然と見ていた。
アンナとアナスタシアに怪我はない。自分もどうやら大丈夫そうだ。
安堵するアンナとショウゴを尻目に、アナスタシアはふふんと鼻を鳴らして立ち上がった。
「今のはメラゾーマではない。メラだ」
何故か勝ち誇った様子だったが、
「アナスタシア様! あなた一体どこの大魔王様ですか!?」
「だってだって! 何だか出来そうだったんですもの!!
一度でいいから言ってみたいセリフのナンバー8だったんですもの!!」
アンナに思いっきり叱られると、目に涙を溜めて、そう反論した。
というか、まだ上に7個もあるのか。全部大魔王クラスのセリフでないことを祈るばかりだった。
二度と生き返らぬよう、そなたらのはらわたを食らい尽くしてやろう、とかは本当に怖い。やめてほしい。
世界の半分をくれてやろう、くらいが丁度いい。
「まったく……いつからそんなすごいことできたんですか?」
「え? 物心ついたときからずっとだけど? 知らなかった?」
「知りませんでした。すみませんね!」
今までアンナに能力を見せなかったのも、今になって見せる気になったのも、きっとアナスタシアなりの優しさなのだろう。
アンナの顔に笑顔が浮かんでいた。
トラックがマンションの一階ロビーに突っ込んできたのは、アンナの顔に笑顔が浮かんだ瞬間のことだった。
その結果、エーテルを雨と共に世界に撒きはじめたというのが本当なら、アンナの能力はその別の存在が持っていたか作り出したかしたエーテルに似た何かによって、与えられたもの、という可能性があった。
それは、つまり、
「私の能力は、我が教祖や教団をカルト教団と死刑囚に貶めた存在に与えられた……?」
ということになる。なってしまう。
アンナの顔が青ざめていた。身体が小刻みに震え、目に涙を浮かべていた。
「まだそうだと決まったわけじゃないです」
ショウゴが慌ててアンナをフォローしようとすると、
「ねぇ、アンナ。さっきからずーっと、ふたりの話がよくわからないのだけれど、それってこういうことなのかしら?」
アナスタシアがそう言って、アンナの興味を自分に向けた。
彼女は手のひらをロビーの窓の方に向けていた。
その手のひらに翡翠色の光が集まり、テニスボールほどの大きさになっていく。
「アナスタシア様……?」
「それ、何かな……うん……アナスタシアさん……それ、何だろうね……」
どう見てもエーテルだった。
アナスタシアの手のひらに集束され、テニスボール大の球体に凝縮されたエーテルは、ボッという音と共に炎を上げて燃え上がった。
火球は縦3メートル横2メートルはあるであろう大きな窓に向かって飛んでいく。
「アンナさん、なんかやばそうですよ……」
「アナスタシア様、大和さん、伏せて!」
「え? 全然だいじょうぶだと思うんだけど?」
ショウゴとアンナは、嫌がるアナスタシアに覆い被さるようにして、ソファーを盾に身を伏せた。
その瞬間、轟音と共に窓が割れ、マンションの前にあった大きな木が一本、一瞬で全焼した。
その光景をアンナとショウゴは呆然と見ていた。
アンナとアナスタシアに怪我はない。自分もどうやら大丈夫そうだ。
安堵するアンナとショウゴを尻目に、アナスタシアはふふんと鼻を鳴らして立ち上がった。
「今のはメラゾーマではない。メラだ」
何故か勝ち誇った様子だったが、
「アナスタシア様! あなた一体どこの大魔王様ですか!?」
「だってだって! 何だか出来そうだったんですもの!!
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アンナに思いっきり叱られると、目に涙を溜めて、そう反論した。
というか、まだ上に7個もあるのか。全部大魔王クラスのセリフでないことを祈るばかりだった。
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「まったく……いつからそんなすごいことできたんですか?」
「え? 物心ついたときからずっとだけど? 知らなかった?」
「知りませんでした。すみませんね!」
今までアンナに能力を見せなかったのも、今になって見せる気になったのも、きっとアナスタシアなりの優しさなのだろう。
アンナの顔に笑顔が浮かんでいた。
トラックがマンションの一階ロビーに突っ込んできたのは、アンナの顔に笑顔が浮かんだ瞬間のことだった。
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