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第10章 第10話
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名もわからない女王は、両手の手のひらと、6枚の機械の翼にエーテルを集めていた。
そのそれぞれが、炎、氷、風、土、雷の五つの魔法に加え、さらに3種類の魔法を発動させようとしていた。
「おやめなさい、アマヤ。
その娘は私たちの遠い遠い子孫。
この時代に生きる唯一のアリステラの女王の末裔ですよ」
8枚の機械の翼と8本の脚を持つ別の女王が、アマヤと呼ばれた6翼の女王のそばに降り立った。
「アシーナ様……」
6翼の女王は8翼の女王の名を呼ぶと、両の手のひらと6枚の翼から発動させようとしていた魔法を解除した。
「失礼しましたね、アナスタシア」
アシーナという名前らしい8翼の女王は、申し訳なさそうにレインに言うと、
「私の名はアシーナ。
10万年前にこの世界にアリステラを転移させ、亜人らと共に野蛮なホモサピエンスとユーラシア大陸全土を支配した、『知恵と戦争』を司るアリステラの女王です」
その名を名乗り、
「私はアマヤ。
野蛮なホモサピエンス共に滅ぼされたアリステラの『終わり』の女王」
アマヤと呼ばれた6翼の女王がそれに続いた。
「アリステラの『復活』を意味する名を与えられたこの時代の女王、アナスタシアよ」
「よくぞわたしたちに機械の体を与えてくれました」
ふたりは交互にレインに語りかけ、
「それから、あなたは雨野タカミといいましたか」
タカミにも目を向けた。
「あなたちふたりのおかげで、アリステラの歴代女王たちは皆、こうして『知恵の館バイトゥルヒクマ』から解放され、黄泉返(よみがえ)ることができました。
わたしやアマヤだけでなく、すべての女王たちが」
「この機械の身体が持つ、知識や記憶、経験などのあらゆる『情報の並列化』によって、歴代の女王たちはアリステラが一度支配したはずの野蛮なホモサピエンスが、わたしが女王であった時代にどのような形でアリステラを滅ぼし、その後わたしたちの子や子孫たちにどのような仕打ちをしたのか知ることができたのです」
知恵の館? バイトゥルヒクマ?
そこに彼女たちの知識や記憶、経験が保存されていた、ということだろうか。
確かレインは、歴代の女王たちのそれらの記憶は、レインの頭の中にあるが、彼女の人格には影響を与えない場所にあると言っていた。
それが、知恵の館バイトゥルヒクマという場所ということだろうか。
「アナスタシアをアリステラを継ぐ者として」
「そして、雨野タカミ、あなたを野蛮なホモサピエンスの代表として、わたしたちアリステラの歴代の女王による総意をあなたたちに伝えます」
嫌な予感がした。今までにないほどの嫌な予感だった。
「「歴代の女王の総意により、わたしたちは、野蛮なホモサピエンスとその文明をすべて滅ぼすことにしました」」
タカミの嫌な予感は昔から必ず当たる。
彼が9歳になったばかりの頃、ユワが彼の両親の養女になった頃から、それは始まっていた。
特にこの4年間はずっとそうだった。
もしかしたら、彼は「嫌な予感が必ず当たる」という能力を、いつの間にか開花させていたのかもしれない。
不幸な生い立ちを持つユワが無意識に、血の繋がらない兄までが不幸になってしまわないように、能力の兆しを与えてくれたのかもしれなかった。
「そんな馬鹿げたことはさせませんわ!」
その瞬間、レインはふたりの女王に向けて魔法を放った。
「だめだ、レイン! その魔法はこのふたりには効かない!!」
タカミにはわかってしまうのだ。
嫌な予感だけは必ず、ユワが彼に教えてくれるのだ。
案の定、レインが放った魔法は女王たちが持つ6翼と8翼の翼によって弾かれてしまった。
「アリステラの父ブライが編み出した大量破壊魔法『エーテリオン』は、大都市をひとつ消滅させる程度のものでしかありませんでしたが」
「アナスタシア、あなたが今放った大量破壊魔法は、第43代女王ステラの妹である大賢者ピノアが、エーテリオンの破壊力はそのままに大陸規模にまで範囲を広げることに成功した『サンドリオン』ですね」
「しかも、大陸ひとつを消滅させるほどの威力を持った魔法を、その範囲をわたしたちふたりに絞るとは」
ふたりの女王は驚いていた。
遣田ハオトがショウゴを消滅させた魔法より、その何倍、何十倍も強力な魔法をレインは放ったにもかかわらず、その魔法も弾かれてしまった。
レインには、もはやこのふたりや、世界中を蹂躙した人造人間兵士たちの魔導人工頭脳に再誕した歴代の女王たちを止めるすべはないだろう。
これはゲームでもなんでもないが、完全に「詰み」の状態だった。
そのそれぞれが、炎、氷、風、土、雷の五つの魔法に加え、さらに3種類の魔法を発動させようとしていた。
「おやめなさい、アマヤ。
その娘は私たちの遠い遠い子孫。
この時代に生きる唯一のアリステラの女王の末裔ですよ」
8枚の機械の翼と8本の脚を持つ別の女王が、アマヤと呼ばれた6翼の女王のそばに降り立った。
「アシーナ様……」
6翼の女王は8翼の女王の名を呼ぶと、両の手のひらと6枚の翼から発動させようとしていた魔法を解除した。
「失礼しましたね、アナスタシア」
アシーナという名前らしい8翼の女王は、申し訳なさそうにレインに言うと、
「私の名はアシーナ。
10万年前にこの世界にアリステラを転移させ、亜人らと共に野蛮なホモサピエンスとユーラシア大陸全土を支配した、『知恵と戦争』を司るアリステラの女王です」
その名を名乗り、
「私はアマヤ。
野蛮なホモサピエンス共に滅ぼされたアリステラの『終わり』の女王」
アマヤと呼ばれた6翼の女王がそれに続いた。
「アリステラの『復活』を意味する名を与えられたこの時代の女王、アナスタシアよ」
「よくぞわたしたちに機械の体を与えてくれました」
ふたりは交互にレインに語りかけ、
「それから、あなたは雨野タカミといいましたか」
タカミにも目を向けた。
「あなたちふたりのおかげで、アリステラの歴代女王たちは皆、こうして『知恵の館バイトゥルヒクマ』から解放され、黄泉返(よみがえ)ることができました。
わたしやアマヤだけでなく、すべての女王たちが」
「この機械の身体が持つ、知識や記憶、経験などのあらゆる『情報の並列化』によって、歴代の女王たちはアリステラが一度支配したはずの野蛮なホモサピエンスが、わたしが女王であった時代にどのような形でアリステラを滅ぼし、その後わたしたちの子や子孫たちにどのような仕打ちをしたのか知ることができたのです」
知恵の館? バイトゥルヒクマ?
そこに彼女たちの知識や記憶、経験が保存されていた、ということだろうか。
確かレインは、歴代の女王たちのそれらの記憶は、レインの頭の中にあるが、彼女の人格には影響を与えない場所にあると言っていた。
それが、知恵の館バイトゥルヒクマという場所ということだろうか。
「アナスタシアをアリステラを継ぐ者として」
「そして、雨野タカミ、あなたを野蛮なホモサピエンスの代表として、わたしたちアリステラの歴代の女王による総意をあなたたちに伝えます」
嫌な予感がした。今までにないほどの嫌な予感だった。
「「歴代の女王の総意により、わたしたちは、野蛮なホモサピエンスとその文明をすべて滅ぼすことにしました」」
タカミの嫌な予感は昔から必ず当たる。
彼が9歳になったばかりの頃、ユワが彼の両親の養女になった頃から、それは始まっていた。
特にこの4年間はずっとそうだった。
もしかしたら、彼は「嫌な予感が必ず当たる」という能力を、いつの間にか開花させていたのかもしれない。
不幸な生い立ちを持つユワが無意識に、血の繋がらない兄までが不幸になってしまわないように、能力の兆しを与えてくれたのかもしれなかった。
「そんな馬鹿げたことはさせませんわ!」
その瞬間、レインはふたりの女王に向けて魔法を放った。
「だめだ、レイン! その魔法はこのふたりには効かない!!」
タカミにはわかってしまうのだ。
嫌な予感だけは必ず、ユワが彼に教えてくれるのだ。
案の定、レインが放った魔法は女王たちが持つ6翼と8翼の翼によって弾かれてしまった。
「アリステラの父ブライが編み出した大量破壊魔法『エーテリオン』は、大都市をひとつ消滅させる程度のものでしかありませんでしたが」
「アナスタシア、あなたが今放った大量破壊魔法は、第43代女王ステラの妹である大賢者ピノアが、エーテリオンの破壊力はそのままに大陸規模にまで範囲を広げることに成功した『サンドリオン』ですね」
「しかも、大陸ひとつを消滅させるほどの威力を持った魔法を、その範囲をわたしたちふたりに絞るとは」
ふたりの女王は驚いていた。
遣田ハオトがショウゴを消滅させた魔法より、その何倍、何十倍も強力な魔法をレインは放ったにもかかわらず、その魔法も弾かれてしまった。
レインには、もはやこのふたりや、世界中を蹂躙した人造人間兵士たちの魔導人工頭脳に再誕した歴代の女王たちを止めるすべはないだろう。
これはゲームでもなんでもないが、完全に「詰み」の状態だった。
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