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第10章 第11話
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アリステラの歴代の女王、8翼のアシーナと6翼のアマヤに向けて、レインは遣田ハオトがショウゴを消滅させた際に使った以上の魔法を放ったが、その魔法は彼女たちの強固な翼に弾かれてしまった。
ふたりの女王は、結晶化したエーテル=ヒヒイロカネの翼に、バリアのような魔法をかけているのだろう。
おそらく、レインが小久保ハルミやソウジという少年が発症したカーズウィルスから自身とタカミを守るために使ったものよりはるかに強固なバリアだった。
「アナスタシア、あなたは野蛮なホモサピエンスの側につくつもりなのですね?」
8翼のアシーナの問いに、レインはゆっくりとうなづいた。
「わたくしは確かにあなた方の末裔かもしれません」
顔を上げると、
「ですが、わたくしは朝倉レインという、あなた方の言う野蛮なホモサピエンスのひとりです。
アナスタシアなどという名前ではありません。アリステラのこの時代の女王になるつもりもありません」
はっきりと言いきった。
そうですか、とふたりの女王は無表情な機械の顔と声で呟いた。
それが残念そうな「そうですか」なのか、それとも全く別の意味の「そうですか」だったのか、その顔や声からはわからなかった。
「では、朝倉レイン。野蛮なホモサピエンスの代表者のひとりよ、あなたが放った魔法は、この翼に弾かれたことによって今どうなっているか、わかりますか?」
レインは首を横に振りながらも、
「何の心配もいりませんわ。わたくしはちゃんと範囲を絞った上で魔法を放ちましたから。
弾かれた魔法が一体どこに飛んでいようが、その被害は人がふたり消える程度のものでしかありません。
犠牲になってしまった人がいたら、それは大変申し訳ないですが、もしかしたらあなたたちのお仲間に当たっているのではなくて?」
冷や汗を頬に伝わせながらも、気丈に振る舞った。
だが、タカミには本当に嫌な予感しかしなかった。
そうでなければ、弾かれた魔法がどこへ向かったのかをわざわざ話題にあげるわけがなかった。球技の試合の反省会ではないのだ。
「あなたのご自慢の魔法は、この翼によって弾いた瞬間に、あなたが絞った範囲を元通りにしておきました」
「どうやらあの魔法はアメリカ大陸というところに直撃したようですよ」
レインの顔が一瞬で青ざめた。
それはつまり、レインが放った大陸ひとつを消失させるだけの威力を秘めた魔法が、アメリカ大陸を消失させてしまったということだったからだ。
「今ごろはもう、大陸ごと消失し、大洪水が周辺の島や大陸に押し寄せていることでしょう」
「野蛮なホモサピエンスの側についたあなたが、大陸ごと数億人の野蛮なホモサピエンスを滅ぼしたというわけです」
膝から崩れ落ちるレインをタカミは支えた。
彼女はもう戦意を喪失していた。
この女王たちを止めるすべはないものか、タカミは必死に頭を回転させていた。
歴代の女王たちの人格が人造人間兵士たちの魔導人工頭脳に再誕した彼女たちは、サタナハマアカと呼ばれていたときとは形も違えば、その能力も桁違いだ。
もう一度初期化することができたなら、彼女たちを強制的に活動停止させることができるかもしれないが、彼の手元には肝心のパソコンがなかった。
パソコンの中身がどのようになっており、どんな部品が使われ、どんなOSで動いているか、彼はすべて把握していたが、エーテルを結晶化させそれを再現する能力は彼にはなかった。
たとえパソコンを作ることができたとしても、目の前にいるふたりの女王と戦いながらそのOSをプログラミングするなんていう荒業は、ショウゴと同じ苗字のロボットアニメの主人公にしかできないことだった。
6翼のアマヤは、両手の手のひらと、6枚の機械の翼に再びエーテルを集めはじめていた。
8翼のアシーナは、アマヤが炎、氷、風、土、雷の五つの魔法に加え、3種類の魔法を発動しようとしているのに対し、さらに2種類の魔法のためのエーテルを翼に集めていた。
もう終わりだ。
タカミは、ふたりの女王と翼に膨大なエネルギーが集まるのをその目と肌でひしひしと感じながら思った。
ふたりの女王は、結晶化したエーテル=ヒヒイロカネの翼に、バリアのような魔法をかけているのだろう。
おそらく、レインが小久保ハルミやソウジという少年が発症したカーズウィルスから自身とタカミを守るために使ったものよりはるかに強固なバリアだった。
「アナスタシア、あなたは野蛮なホモサピエンスの側につくつもりなのですね?」
8翼のアシーナの問いに、レインはゆっくりとうなづいた。
「わたくしは確かにあなた方の末裔かもしれません」
顔を上げると、
「ですが、わたくしは朝倉レインという、あなた方の言う野蛮なホモサピエンスのひとりです。
アナスタシアなどという名前ではありません。アリステラのこの時代の女王になるつもりもありません」
はっきりと言いきった。
そうですか、とふたりの女王は無表情な機械の顔と声で呟いた。
それが残念そうな「そうですか」なのか、それとも全く別の意味の「そうですか」だったのか、その顔や声からはわからなかった。
「では、朝倉レイン。野蛮なホモサピエンスの代表者のひとりよ、あなたが放った魔法は、この翼に弾かれたことによって今どうなっているか、わかりますか?」
レインは首を横に振りながらも、
「何の心配もいりませんわ。わたくしはちゃんと範囲を絞った上で魔法を放ちましたから。
弾かれた魔法が一体どこに飛んでいようが、その被害は人がふたり消える程度のものでしかありません。
犠牲になってしまった人がいたら、それは大変申し訳ないですが、もしかしたらあなたたちのお仲間に当たっているのではなくて?」
冷や汗を頬に伝わせながらも、気丈に振る舞った。
だが、タカミには本当に嫌な予感しかしなかった。
そうでなければ、弾かれた魔法がどこへ向かったのかをわざわざ話題にあげるわけがなかった。球技の試合の反省会ではないのだ。
「あなたのご自慢の魔法は、この翼によって弾いた瞬間に、あなたが絞った範囲を元通りにしておきました」
「どうやらあの魔法はアメリカ大陸というところに直撃したようですよ」
レインの顔が一瞬で青ざめた。
それはつまり、レインが放った大陸ひとつを消失させるだけの威力を秘めた魔法が、アメリカ大陸を消失させてしまったということだったからだ。
「今ごろはもう、大陸ごと消失し、大洪水が周辺の島や大陸に押し寄せていることでしょう」
「野蛮なホモサピエンスの側についたあなたが、大陸ごと数億人の野蛮なホモサピエンスを滅ぼしたというわけです」
膝から崩れ落ちるレインをタカミは支えた。
彼女はもう戦意を喪失していた。
この女王たちを止めるすべはないものか、タカミは必死に頭を回転させていた。
歴代の女王たちの人格が人造人間兵士たちの魔導人工頭脳に再誕した彼女たちは、サタナハマアカと呼ばれていたときとは形も違えば、その能力も桁違いだ。
もう一度初期化することができたなら、彼女たちを強制的に活動停止させることができるかもしれないが、彼の手元には肝心のパソコンがなかった。
パソコンの中身がどのようになっており、どんな部品が使われ、どんなOSで動いているか、彼はすべて把握していたが、エーテルを結晶化させそれを再現する能力は彼にはなかった。
たとえパソコンを作ることができたとしても、目の前にいるふたりの女王と戦いながらそのOSをプログラミングするなんていう荒業は、ショウゴと同じ苗字のロボットアニメの主人公にしかできないことだった。
6翼のアマヤは、両手の手のひらと、6枚の機械の翼に再びエーテルを集めはじめていた。
8翼のアシーナは、アマヤが炎、氷、風、土、雷の五つの魔法に加え、3種類の魔法を発動しようとしているのに対し、さらに2種類の魔法のためのエーテルを翼に集めていた。
もう終わりだ。
タカミは、ふたりの女王と翼に膨大なエネルギーが集まるのをその目と肌でひしひしと感じながら思った。
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