転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃

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父上と別れてから、リエルと俺は一言も喋れずに俺の自室に戻ってきた。

「カイト兄上…どうしよう。明日から私が魔王だって。無理だよ…父上みたいになんかなれない…」

あぁ、もうまた手が…そっと手に触れる。

「リエル、父上みたいにならなくてもいいんだ。お前はお前のやり方で魔王としてやってけばいい。隣には、ベルンにバラン…それに俺もいる。不安か?」

そりゃ不安だろう。心の準備も何もせずに急に言われたのだ。少しでも俺がいることで不安を取り除きたい。リエルは1人じゃないんだから…

「そうだよね、カイト兄上がずっと隣にいてくれるんだから何も心配することはない」

うん?確かに俺がいることで不安が取り除けたらと願ったが、そこまで信頼されるとは思ってなかった。逆に不安になるのだが?

「よしっ、早く着替えて、ちゃちゃっと今日の分の執務を終わらせよう!」

「お、おう」

切替はっや!あんなにさっきは不安そうな顔をしてたのに、もういつものキラキラした顔に戻った。せっかく、このカイトお兄様が慰めてあげようと思ったのになぁ。





➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖



「リエル様、魔王就任おめでとうございます」
「おめでとー」
「おめでとうございますっ!」

コイツらに不安という感情はないのだろうか?…めっちゃいい笑顔だね。

「ありがとう。だが、なんかおめでとうと言われるのもな…」

うーん、確かにね。父上がいなくなってしまった訳だから、おめでとうと言われてもなという感じはあるな。

「リエル様が魔王になるべき存在だと認めたから、任命したのでしょう?それに、リエル様に任せて大丈夫だと思ったから国民からあんなに祝福されてたのですよ」

…それは考えてなかった。父上や国民に認められたのはリエルへの信頼があったからだ。だから、この人に任せて大丈夫だと、皆は祝福してくれたのだな。

「そうだよな。国民も父上もしっかりと私を信じて見守ってくれている。そう思うと肩の力が抜けた気がするよ」

もう吹っ切れたのか、早いな。と思っていたのだが、やっぱり不安は拭いきれてなかったか。

「そうですよ。みんな見守ってます。貴方の味方ばかりなんですから、肩の力を抜いていきましょう。さぁ、そろそろ席に座ってください。始めますよ!」

味方ばかりの空間はとても居心地がいい。リエルもきっと分かっているだろう。それにこの執務室には絶対的な味方が集まっていると俺は思う。だから、安心して今日も執務が出来るのだ。

リエルが、此処で執務をするのは今日が最後となる。明日からは、魔王専用の執務室だ。
まあ、俺は魔王じゃないから、自分の執務室に戻ることになるだろうけど。
その為に、俺の執務室を作ってくれたのかな?
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