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6話、デザートフィッシュ(3)
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「ラーナがマントを脱いだの始めてみたわ、思ってたよりスラっとしてるわね」
(すこしダボっとしてるのは民族衣装かしら? ちょっと中華っぽいわ)
独り言を言うリリの遥か前で、両手をガッツリと握り込んだラーナは空に向けて吠える
「ヴォオオォォォォー!!」
地面の砂が震えるほどの大声!
(ッッ!! これは人が出せる声なの?)
そう思うリリ、まさに野獣!
まるで虎と恐竜を足した様な咆哮、遠くで聞いていたリリですら、恐怖で瞬間的にビクッと動きが止まる。
その咆哮で驚いたのか、ラーナの周りに5匹ほどの大小様々な巨大魚が飛び出してきた。
「あれがデザートフィッシュ……おっきぃわ!」
大きなものでラーナと同じサイズ、小さくても半分ぐらいの大きさ。
リリが始めてみるモンスターだった、うち2匹は出てきたというより、逃げ出たのかビクン、ビクン、と跳ねるのみ。
(咆哮だけで失神しちゃってるじゃない、怖ッ)
周りのデザートフィッシュを一瞥したラーナは、目の前の一番活きの良さそうな、大きいデザートフィッシュに向けて駆けていく、そして思いっきりぶん殴った。
ドゴォ! という音と共に、殴られたデザートフィッシュは遥か遠くへと吹き飛んでいってしまった。
「ハッ、ハハッ、ハハハッ」
不敵に嗤い、唸りながら戦うラーナはまさに獣そのもの。
飛び掛かってきた一匹は、頭を物凄い勢いで地面に叩き潰し、もう一匹のデザートフィッシュは、思いっきり噛みつき腹を食いちぎった
「噛みついてるわ、これがハイ・オーク……鬼、なのね」
昨日のラーナと同じ人とは思えないほどの野性味のある動きと、野獣の様な鋭い目付きにリリは恐怖を覚え、無意識ながら顔を歪め、後退りをしていた。
(欲望のまま戦うハイ・オークがここまで怖いものだとは……正直なめてたわ、ここまでだったとは……)
本性を出したハイオークに恐怖に身を竦めながらも、なんとか納得しようと恐怖を抑えるリリ
(目の前で、残虐とも言える狩りをしているハイ・オークだって、ラーナなのよね)
本性がこれなのであれば、さっきまでの天真爛漫なラーナはハイ・オークらしくない、偽りの姿だったのかと、そんな錯覚するほどの豹変ぶり
(ラーナが、今まで嘘をついていたとは思はない……けどこれは)
モンスターを相手に暴れまわるラーナの姿は正に野獣。
「ううん、違うわね、わたし自身が信じられないんだわ」
暫くすると、ラーナは空を見上げてピタリと動きを止めた。
もう周りに動いているものは何もない、池のようになった地溜まり、体中にデザートフィッシュの血を浴びたラーナは、静かにただただ立ち尽くしていた。
(凄い戦いだった……)
そっと振り返ったラーナの表情は、まだ少しだけ嗤いが残っている。
自分の嗤った顔に気付いたのか、それともリリが怯えていたのに気づいたのか、ラーナは強く握られた拳をゆっくりと解くと、静かにその場で膝を抱え、体育座りになる。
(あッ!!)
遠目に見ていたリリは、慌てて空から近づく。
「ラーナ!」
「どうだった?」
「どうもなにも、怪我はない? 大丈夫?」
「ボクは妖精族と比べると、醜かった……でしょ?」
なんて覇気のない声なんだろう。
(さっきまで……いやっ、今までとはまったくの別人だわ)
リリが見ていた天真爛漫で、あっけらかんとした態度で『ボクは天涯孤独なんだ』と言っていたラーナ。
嗤いながら野獣の様にモンスターを襲っていたラーナ。
そのどちらでもないようにリリには見えた。
「正直、とても恐かった、けどラーナは楽しかったんでしょ?」
「うん、そうだね」
「なら気にしなくていいわよ」
「暴れ回ってる時は、なんというかこう、凄く……気持ちがいいんだ……」
「もういい! 言わなくていいわ!」
少しの沈黙が流れる。
乾いた砂漠を風が駆け巡る、ジリジリとした熱風に、リリには何か背中を押されている気がした。
「うおぉぉぉぉー」
先程のラーナの様に、叫びながら頬を思いっきり殴ったリリ。
「っえ? なに?」
ラーナは何が起こったのかよく分からないのか、目をパチクリさせる。
対してリリは胸を張り自慢気に話す。
「どうよ! わたしもラーナを真似してみたわ!」
「弱すぎて蚊に刺されたかと思った」
「それは言いすぎよ!」
ラーナの発言にリリが注意をした。
「だってー、本当にそう思ったんだもん」
「まぁいいわ、これがわたしの全力なの」
「うん?」
「わたしはさっきのラーナと同じことをしただけなの」
「リリ、どういうこと?」
言葉の意図が分からないのか、俯きつつも目は真っすぐリリを見て、聞き返した。
「ラーナは力があるからデザートフィッシュはこんなに粉々になっちゃったけど、わたしでは蚊に刺された程度」
「…………?」
「同じことをしただけなのよ、結果は雲泥の差があったとしてもね!」
リリは殴ってしまったラーナの血に濡れた頬を優しく撫でる。
「せっかくのかわいい顔をこんなに汚して」
「ごめん」
「あとでお説教だからね!」
「……うん」
「分かればいいわ。この血、きれいに洗い落とさなきゃね」
「ありがとう」
リリは気にしてないと伝えたかったのだろう。
しかし恐怖を感じたのは事実、気にならないと言っても、ラーナには信じてもらえないであろう、なのでリリはこういう対応を取ったのだった。
「気にしなくていいわよ、この後に粉々のデザートフィッシュを集めて、料理を作るのはラーナなんだから」
「食べるの? ボロボロだよ?」
周りを見渡したラーナは、少し申し訳なさそうにリリに聞いた。
しかしリリは何も気にせず答える。
「食べるために狩りをするのは当然、なら逆もまたしかりよ」
「でも……」
「いいの、いいの! さっきも言ったでしょ? ボロボロになったのは、ラーナの力が強すぎただけなんだから気にしないで」
「う、うん」
「次からはきれいに捕まえてね」
「分かった」
「ほらっ顔上げて!」
リリは手を差し出し、ウォーターボールをラーナの顔に強めに当てる。
「ハハッ、そっかぁ……当然かぁ」
ラーナはその場に仰向けに倒れ込んむと、呟きながらも腕で顔を隠した。
(また汚れちゃう! まぁいっか、伝わってたらいいんだけど……)
リリは気を使ってかその場を離れる。
とりあえずは、ラーナから一番遠くのデザートフィッシュに向かうことにした。
(さて、と……どうしましょうか?)
デザートフィッシュを眺めるリリは、考え始める。
砂漠の熱気の中、食材は魚ときたから悩ましい物だ。
「……これは、腐るわね……」
(ラーナにあぁ言った以上、腐らせるのはNO! わたしのポリシー的にもNO! 絶対にNO!)
「取りすぎちゃったね、って笑い話になるぐらいにはしたいわよねぇ」
(そうなると保存食か、それなら塩蔵か干物か燻製が王道よねー)
頭の中で想像をするが、塩蔵は手持ちの塩の量的にも、質的にも、場所的にも不可能。
干物にするとしても海水魚ならともかく、設備も器具もない中作るのは厳しい。
燻製なんて量が量だ、人サイズの魚を五匹も燻製にするには厳しい。
「詰んでない?」
考えてれば考えるほどに、厳しさに目が行く。
「っん? そういえば」
(デザートフィッシュは砂を泳いでいたけど、何に分類されるの? 肺魚?)
肺魚という生き物を言葉の上では知ってはいる。
しかし、見たことも聞いたこともない生き物だ。
「って言っても、ファンタジー世界なんだから地球の価値観で分かる訳ないか」
デザートフィッシュの生態など詳しく聞きたいが、落ち込んでいるであろうラーナに話しかけるのは気が引けたのか、リリは直接的な行動に移した。
「うんっ、まっ、とりあえずは食べなきゃわかんないわよね!」
まだ天を仰ぐラーナを横目に捉えながらも、リリは投げ飛ばされたマントと鞄から、一番小さなナイフを取り出す。
それでも刃渡りはリリの身の丈ほどはある。
「さぁーて、どうしよっかなぁ?」
パッと見では鱗は大きいが鮫肌に近い、これは砂の逆流を防いだ上で、前への強い推進力を得ているのであろう。
「こうやって見ると、エラみたいな部分もあるし、ほんと陸の魚って感じね」
(頭が三角なのは砂漠仕様かしら)
リリは魚を捌くのと同じ要領で、まずは刃の裏を使いナイフで鱗を剥がそうとする。
「かっっったーー!!」
(この身体、力がなさすぎるんじゃない?)
しょうがないのでナイフの刃を使い切る様に鱗をはがすことにした。
ラーナの手入れが丁寧に行き届いているので、なんとか刃は通る。
リリはヒィヒィと言いながらも、なんとかかんとか解体を始めていった。
(すこしダボっとしてるのは民族衣装かしら? ちょっと中華っぽいわ)
独り言を言うリリの遥か前で、両手をガッツリと握り込んだラーナは空に向けて吠える
「ヴォオオォォォォー!!」
地面の砂が震えるほどの大声!
(ッッ!! これは人が出せる声なの?)
そう思うリリ、まさに野獣!
まるで虎と恐竜を足した様な咆哮、遠くで聞いていたリリですら、恐怖で瞬間的にビクッと動きが止まる。
その咆哮で驚いたのか、ラーナの周りに5匹ほどの大小様々な巨大魚が飛び出してきた。
「あれがデザートフィッシュ……おっきぃわ!」
大きなものでラーナと同じサイズ、小さくても半分ぐらいの大きさ。
リリが始めてみるモンスターだった、うち2匹は出てきたというより、逃げ出たのかビクン、ビクン、と跳ねるのみ。
(咆哮だけで失神しちゃってるじゃない、怖ッ)
周りのデザートフィッシュを一瞥したラーナは、目の前の一番活きの良さそうな、大きいデザートフィッシュに向けて駆けていく、そして思いっきりぶん殴った。
ドゴォ! という音と共に、殴られたデザートフィッシュは遥か遠くへと吹き飛んでいってしまった。
「ハッ、ハハッ、ハハハッ」
不敵に嗤い、唸りながら戦うラーナはまさに獣そのもの。
飛び掛かってきた一匹は、頭を物凄い勢いで地面に叩き潰し、もう一匹のデザートフィッシュは、思いっきり噛みつき腹を食いちぎった
「噛みついてるわ、これがハイ・オーク……鬼、なのね」
昨日のラーナと同じ人とは思えないほどの野性味のある動きと、野獣の様な鋭い目付きにリリは恐怖を覚え、無意識ながら顔を歪め、後退りをしていた。
(欲望のまま戦うハイ・オークがここまで怖いものだとは……正直なめてたわ、ここまでだったとは……)
本性を出したハイオークに恐怖に身を竦めながらも、なんとか納得しようと恐怖を抑えるリリ
(目の前で、残虐とも言える狩りをしているハイ・オークだって、ラーナなのよね)
本性がこれなのであれば、さっきまでの天真爛漫なラーナはハイ・オークらしくない、偽りの姿だったのかと、そんな錯覚するほどの豹変ぶり
(ラーナが、今まで嘘をついていたとは思はない……けどこれは)
モンスターを相手に暴れまわるラーナの姿は正に野獣。
「ううん、違うわね、わたし自身が信じられないんだわ」
暫くすると、ラーナは空を見上げてピタリと動きを止めた。
もう周りに動いているものは何もない、池のようになった地溜まり、体中にデザートフィッシュの血を浴びたラーナは、静かにただただ立ち尽くしていた。
(凄い戦いだった……)
そっと振り返ったラーナの表情は、まだ少しだけ嗤いが残っている。
自分の嗤った顔に気付いたのか、それともリリが怯えていたのに気づいたのか、ラーナは強く握られた拳をゆっくりと解くと、静かにその場で膝を抱え、体育座りになる。
(あッ!!)
遠目に見ていたリリは、慌てて空から近づく。
「ラーナ!」
「どうだった?」
「どうもなにも、怪我はない? 大丈夫?」
「ボクは妖精族と比べると、醜かった……でしょ?」
なんて覇気のない声なんだろう。
(さっきまで……いやっ、今までとはまったくの別人だわ)
リリが見ていた天真爛漫で、あっけらかんとした態度で『ボクは天涯孤独なんだ』と言っていたラーナ。
嗤いながら野獣の様にモンスターを襲っていたラーナ。
そのどちらでもないようにリリには見えた。
「正直、とても恐かった、けどラーナは楽しかったんでしょ?」
「うん、そうだね」
「なら気にしなくていいわよ」
「暴れ回ってる時は、なんというかこう、凄く……気持ちがいいんだ……」
「もういい! 言わなくていいわ!」
少しの沈黙が流れる。
乾いた砂漠を風が駆け巡る、ジリジリとした熱風に、リリには何か背中を押されている気がした。
「うおぉぉぉぉー」
先程のラーナの様に、叫びながら頬を思いっきり殴ったリリ。
「っえ? なに?」
ラーナは何が起こったのかよく分からないのか、目をパチクリさせる。
対してリリは胸を張り自慢気に話す。
「どうよ! わたしもラーナを真似してみたわ!」
「弱すぎて蚊に刺されたかと思った」
「それは言いすぎよ!」
ラーナの発言にリリが注意をした。
「だってー、本当にそう思ったんだもん」
「まぁいいわ、これがわたしの全力なの」
「うん?」
「わたしはさっきのラーナと同じことをしただけなの」
「リリ、どういうこと?」
言葉の意図が分からないのか、俯きつつも目は真っすぐリリを見て、聞き返した。
「ラーナは力があるからデザートフィッシュはこんなに粉々になっちゃったけど、わたしでは蚊に刺された程度」
「…………?」
「同じことをしただけなのよ、結果は雲泥の差があったとしてもね!」
リリは殴ってしまったラーナの血に濡れた頬を優しく撫でる。
「せっかくのかわいい顔をこんなに汚して」
「ごめん」
「あとでお説教だからね!」
「……うん」
「分かればいいわ。この血、きれいに洗い落とさなきゃね」
「ありがとう」
リリは気にしてないと伝えたかったのだろう。
しかし恐怖を感じたのは事実、気にならないと言っても、ラーナには信じてもらえないであろう、なのでリリはこういう対応を取ったのだった。
「気にしなくていいわよ、この後に粉々のデザートフィッシュを集めて、料理を作るのはラーナなんだから」
「食べるの? ボロボロだよ?」
周りを見渡したラーナは、少し申し訳なさそうにリリに聞いた。
しかしリリは何も気にせず答える。
「食べるために狩りをするのは当然、なら逆もまたしかりよ」
「でも……」
「いいの、いいの! さっきも言ったでしょ? ボロボロになったのは、ラーナの力が強すぎただけなんだから気にしないで」
「う、うん」
「次からはきれいに捕まえてね」
「分かった」
「ほらっ顔上げて!」
リリは手を差し出し、ウォーターボールをラーナの顔に強めに当てる。
「ハハッ、そっかぁ……当然かぁ」
ラーナはその場に仰向けに倒れ込んむと、呟きながらも腕で顔を隠した。
(また汚れちゃう! まぁいっか、伝わってたらいいんだけど……)
リリは気を使ってかその場を離れる。
とりあえずは、ラーナから一番遠くのデザートフィッシュに向かうことにした。
(さて、と……どうしましょうか?)
デザートフィッシュを眺めるリリは、考え始める。
砂漠の熱気の中、食材は魚ときたから悩ましい物だ。
「……これは、腐るわね……」
(ラーナにあぁ言った以上、腐らせるのはNO! わたしのポリシー的にもNO! 絶対にNO!)
「取りすぎちゃったね、って笑い話になるぐらいにはしたいわよねぇ」
(そうなると保存食か、それなら塩蔵か干物か燻製が王道よねー)
頭の中で想像をするが、塩蔵は手持ちの塩の量的にも、質的にも、場所的にも不可能。
干物にするとしても海水魚ならともかく、設備も器具もない中作るのは厳しい。
燻製なんて量が量だ、人サイズの魚を五匹も燻製にするには厳しい。
「詰んでない?」
考えてれば考えるほどに、厳しさに目が行く。
「っん? そういえば」
(デザートフィッシュは砂を泳いでいたけど、何に分類されるの? 肺魚?)
肺魚という生き物を言葉の上では知ってはいる。
しかし、見たことも聞いたこともない生き物だ。
「って言っても、ファンタジー世界なんだから地球の価値観で分かる訳ないか」
デザートフィッシュの生態など詳しく聞きたいが、落ち込んでいるであろうラーナに話しかけるのは気が引けたのか、リリは直接的な行動に移した。
「うんっ、まっ、とりあえずは食べなきゃわかんないわよね!」
まだ天を仰ぐラーナを横目に捉えながらも、リリは投げ飛ばされたマントと鞄から、一番小さなナイフを取り出す。
それでも刃渡りはリリの身の丈ほどはある。
「さぁーて、どうしよっかなぁ?」
パッと見では鱗は大きいが鮫肌に近い、これは砂の逆流を防いだ上で、前への強い推進力を得ているのであろう。
「こうやって見ると、エラみたいな部分もあるし、ほんと陸の魚って感じね」
(頭が三角なのは砂漠仕様かしら)
リリは魚を捌くのと同じ要領で、まずは刃の裏を使いナイフで鱗を剥がそうとする。
「かっっったーー!!」
(この身体、力がなさすぎるんじゃない?)
しょうがないのでナイフの刃を使い切る様に鱗をはがすことにした。
ラーナの手入れが丁寧に行き届いているので、なんとか刃は通る。
リリはヒィヒィと言いながらも、なんとかかんとか解体を始めていった。
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