異世界キャンプ チートどころか低スペックのまま転移させられた妖精は楽しい旅にする為にモンスターを美味しく料理してやろうと思います~

綾川鈴鹿

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9話、サウエムサンドワーム(6)“料理パート”

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[下ごしらえ]

①サンドワームを開き、肝を取ったあとに、食べやすいサイズに切り分ける

「まずはサンドワームを一口大にたくさん切って」
「オッケー、全部?」
「皿に乗るサイズの大きめなものも3枚以上用意して、あとは切っちゃっていいわ」
「わかった、任せて!」

 ラーナもいつも以上にやる気満々に見える。

「なになに? 味見だけじゃなくて本当にサンドワームを食べるのかいっ?」
「食べるわよ?」
「生は不味いから食べなかったが、料理なら私も食べてみたいねぇ、一緒に用意してもらっていいかい?」
「いいわよ? もともとイヴァとソフィアの分も用意するつもりだったし」

(味を知っていて、さっきは断っていたのねー)

「ソフィアは、なにか調味料って持ってたりする?」
「私がかいっ? この肝油と、ブドウの絞り汁ぐらいかな? 私はこれを混ぜた物が好きでねっ、私しか作れない幻の調味料さっ」

(それって、ヘーゼルナッツオイルに赤ワインビネガーよね? ただのドレッシングでは? っま、言っても伝わらないだろうから、言わないけどー)

 ブドウ汁がワインだったら火にかけとけば良い。
 これならなんとかなると思ったリリだが、ここまで来ると欲が出てきた。

(ドレッシングにするならマスタードが欲しいなぁ、絶対に美味しくなりそうなのに……)

 そうは思ったが、無いものねだりをしてもしょうがないので、諦めることにした。

「じゃそれも使うから、置いてって」
「ゲテモノ料理なんて初めて食べるんだから美味しく頼むよ! 私はまた樽の具合を確認しているから出来たら教えておくれっ!」
「はーい」

(ゲテモノ料理って、まぁモンスターですからそう取られてもおかしくは無いけど……)

 リリはこの世界に来てからモンスターを常食している。

(普通なものなんて、食べたことがないんですけど!)

「リリ終わったよ! 次はどうする?」

 リリとソフィアが軽い雑談をしているうちに、下ごしらえを終えたラーナが、声をかけた。


“サンドワームの串焼き”

①下味を付ける

「これどうするのー?」

 ラーナが大きく切った切り身を指差して聞く。

(フフッラーナらしいわ、大きい方が興味あるのね)

「塩と胡椒とオリーブオイル、あとは……唐辛子、ニンニク、ローズマリーのみじん切りを塗り込んで」
「塗りこむの?」
「しっかりとね! 後で焼く時に落ちないようにね」
「オッケー!」

 ラーナはテキパキとみじん切りを作り出す。
 そこでリリはいい忘れたことに気づいた。

「っあ、唐辛子と胡椒はラーナの好きな量でいいわよ、わたしの分は少な目でねー」
「リリは辛いのが苦手だもんねー」

 ラーナはケタケタと笑いながら、作ったみじん切りをサンドワームに塗り込んでいく。

(しょうがないじゃん、ピクシーの身体って刺激物に弱いんだもん)


③串にさし、皮目を下にして焼く

「できたー!!」
「じゃあ焼こっか」
「うん! 何で焼くの? この前みたいにオーブン?」
「今回は串焼きにしましょ」
「刺せばいいの?」

 ラーナは小首を傾げて聞く。
 リリは身振り手振りを加えて説明を始めた。

「平らに伸ばして、針を扇状に一定の間隔で刺すの」
「こんな感じ?」

 ラーナはスッ、スッと針を刺していく。

(傍から見ると熟練の鰻屋さんじゃん)

 ラーナは武器の使い方に長けているからなのか、調理器具の使い方もとても上手だった。
 気持ちよく針を刺すのを、リリは感心しながら見ていた。 

「ラーナ、上手ね!」
「ありがとう、これなら両面焼きやすいねー」
「でしょう? しかも縮みにくいからパリッと焼きやすいのよ」
「なるほどねぇ、もう焼いちゃっていいの?」
「皮面から焼いてくださいねー」
「わかったよー」

 ジュージュー、パチパチと心地のいい音が鳴る。


“サンドワームの温性サラダ ~エストラゴンの風味を添えて~”

①一口大に切ったサンドワームを塩茹でにする

「フン、フン、フフン、こんな感じかなぁ?」

 ラーナは鼻歌交じりにサンドワームを茹でる。
 楽しそうに茹でている姿は、見ているだけで楽しい気持ちになってくる、ラーナ自体も茹でたサンドワームがどうなるのか、ワクワクしているのが見て取れる。

「でーきたっと、リリのところに持っていこー」

 ラーナは鼻歌交じりで、茹で上がったサンドワームをリリのところに持っていく。


②温かいうちにドレッシングと和える

「イヴァ、手伝ってもらって良い?」
「なにをするのかや?」
「ラーナが茹でてくれたサンドワームに、ソフィアの幻の薬、別名ドレッシングを混ぜてください」
「これかや? めんどいのぉ」

(混ぜるだけじゃない!)

 あとはどうしようかとリリは頭を悩ませる。
 本当は野菜も混ぜたいが、新鮮な野菜など持っていないので、リリはハーブでも混ぜることにした。

「エストラゴンを持って来るわ、みじん切りにして混ぜてもらって良い?」

 リリはラーナのカバンから、細長い葉をしたハーブを取り出す。

「妾、包丁など持ったことないぞ?」
「えぇ!?」

(どんな箱入り娘よ!)

「じゃあ、千切っていれよっか……」

 二人がエストラゴンを千切り入れているとソフィアが声をかける。

「っお! できているじゃあないかー、どれどれ味見をさせてもらおうかなぁ」

 リリが味見するよりも先に、ソフィアが戻ってきて早々につまむと感想を述べた。

「っお! これは面白い食感だ、味は私の秘伝の薬だね? この少し独特の香りは……エストラゴンだねっ! リリちゃんは料理上手だねぇ」
「そんなー、照れるわ」

 照れながらリリも味見をしてみることにした。

(生のときのブチュブチュとした気持ち悪い食感は、茹でたことで魚卵のようなプチプチと程よい食感に変わっていた)

 味は相変わらずの薄味だが、塩茹でにしたので塩味もつき、ソフィアの作ったドレッシングが本当に美味しい。
 更にはブドウの酸味にヘーゼルナッツの香ばしい香り、そこに加えたエストラゴンのほのかな辛味と甘く爽やかな香りがアクセントとなっている。

「美味しいわぁ」
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