異世界キャンプ チートどころか低スペックのまま転移させられた妖精は楽しい旅にする為にモンスターを美味しく料理してやろうと思います~

綾川鈴鹿

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8話、クエスト受注(3)

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『ワイワイガヤガヤ、ワイワイガヤガヤ』

 門をくぐった二人は音のより大きな方へと向かう。
 大きな城壁が作り出す影で薄暗さに目が慣れていたリリは、お日様の光を浴びると、少しだけ顔をしかめた、そして改めて周りを見渡す。

「うわぁ~お、露店がいっぱーい!!」

 趣きは日本で言う所のアメヤ横丁、海外的に言えば、バンコクの露店街や、ラオスのナイトマーケットのような感じだった。
 煩雑に並ぶ露店、行き交う人々の物凄い活気、更に頭上には左右に並ぶ建物を紐で結び、売り物なのか、洗濯物なのか、よくわからない衣類がぶら下がっている。
 店頭に立っている売り子は、様々な動物の姿をした亜人達ばかりだ。

「人族のが少ないわよっ、ほらっあそこ……」
「リリ、はしゃぎすぎ、目立つよ」

 見るからにファンタジー世界!
 圧倒的な異世界感に、リリのテンションは天井知らずに上がる。
 さっきまでの冷静さはどこに行ったのか、というほど興奮している。
 今までで一番と言ってもいいほどに、リリの羽根はパタパタと動いている。

(これってなんていうんだっけ? テント? 違う、えーっと、っあ! そうバラック!)

 バラックとは、ありあわせの材料で作った簡易屋台(小屋)のようなものだ。
 それが通路の両側、場所によっては二列、多い所は三列にもなって不規則に並んでいる。
 食材に装飾品、良く分からない魔道具まで、様々なものが飾ってある。

「すごい数! っあ、串焼き! なんの串焼きなんだろ? すっごくいい匂いねラーナ」

(ジャイアントスコーピオンを食べていなかったら、飛びついちゃいそうなほどいー匂いー)

「ビッグボアだよ、森で取れるらしい」

 ラーナは小さな声で答える。

「へぇ~、ビッグボアってでっかい猪よね? 今度、食べてみたーい」

 キョロキョロと身体ごと左右に振り、辺りを見回すリリは物珍しさに色々なものに興味を示す。

「っあ! あれは織物よね? 不思議な形の服がいっぱい並んでるー、しかもカメさんが売っているわよ! 甲羅を背負ったカメさんが服を売っているって……なんか可笑しいわね、フフッ」
「リリ、静かに……」

 注意をしたラーナだったが、直ぐに諦めて顔が見えないようにフードを深く被り直す。

「あそこに座っているトカゲさん、宝石を売っていますよー?」

 リリはラーナの注意など耳に届いていないようだ、吸い寄せられるように露店へと向かう。

「これ見てラーナ、これはなんの宝石かな? 見たことないし、魔法石とか? キレイー」

 目の前の宝石を眺めキャッキャッとはしゃぐリリに露天商のリザードマンが明るく声をかける。

「っお、ピクシーのお嬢さんお目が高い、お嬢さんが言った通り、魔法石なのさ、ここに四色あるだろう? それぞれの属性に……」

 割り込むようにラーナがリザードマンに話しかけた。

「待った!」
「なんだい? お連れのお嬢さん?」
「これ魔力なんて感じないけど、本当に魔法石?」

 ラーナは目深に被っていたフードを少しだけ上げて、リザードマンをギロリと睨んだ。

「っひ! っ鬼……っか。帰んな! あんたらに売るもんはここには無い、さっさと行っちまえ……くそっ!」
「リリ、行くよ!」
「っえ? っあ、はい」

 ラーナはリリに手を出し、リリが乗ったのを確認する。
 そしてフードを目深に被り直すと歩きだす、そのまま手を顔の前に持ってくると、リリへコソコソと喋りだした。

「リリ! あんな偽物に引っかかってバカなの!?」
「えぇ!? 偽物だったの?」
「あんな露店で、魔法石なんて珍しいものを、売ってるわけがないじゃん! ただの色のついた石だよ、宝石ですらない!」
「ごめんごめん、ついついテンションが上がっちゃって」
「まぁ気持ちはわかる、ボクも初めて大陸の街に入った時は引っかかったからね、ボクの時は御神木のアクセサリーだった」

 ラーナはリリにだけ見えるようにニコッと笑いかけた、リリも「お互い様ね」と言い、ニッコリ笑った。

「じゃあ、急いで冒険者ギルドに行こうか!」
「そうね、ここにいたらまた騙されちゃうわ」

 二人は小声でクスクスと笑いながら、煩雑に並ぶ露店をすり抜け衛兵に言われた道を進む、進めば進むほどに人と露店の数が減っていく。
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