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18話、サウエム荒原(6)
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そこには二匹のサンドワーム、そしてデザートフィッシュの大群。
デザートフィッシュは逃げ場をなくした魚のように中心へと集まっている。
「うわー、もう入れ食いじゃない、二匹もいると凄いわね」
「しかも、あれは珍しく番じゃあないか!」
「サンドワームって雌雄の区別付くの?」
「もちろんさっ」
「この距離でわかるようなが特徴あるの!?」
「まぁね、歯の並びが違うんのさっ」
(……まったくわからんわ!)
リリには区別が付かない。
そこは、ソフィアは流石に錬金術師、研究者といったところなのだろう。
「ってことは、周りをジャイアントスコーピオンがウロウロしてるのは、はぐれたデザートフィッシュを狙ってるってこと?」
「どうだろうねぇ? 狩りのプロ、ラーナちゃんはどう思う?」
ソフィアが聞くと、珍しくボーッとしていたラーナが気怠げに答える。
「んー……そうじゃない? サンドワームのせいであんまり近づけないみたいだけど……っあ! 食われた」
視線の先、下から飛び出できたサンドワームに噛み砕かれるジャイアントスコーピオン。
この場の支配者はサンドワームだ。
「うへぇー、雨季の砂漠はこんな感じになってたんだねぇ」
「初めて見たの?」
「あぁ、全くもって素晴らしいじゃあないかっ」
「どこがよ! まるでデストピアじゃない!」
「それがいいのさっ! 生物の躍動、弱肉強食による自然淘汰、見えるものすべてが生きることのみに必死なのが興奮するねっ!!」
ただでさえテンションの高いソフィアが、いつもよりも何割か増しで高い。
それは今にも小躍りをしそうなほどだ。
「ただ残念なのは、珍しい生き物はいないことだよねぇ」
「そんな簡単にいたら、珍しくないじゃない!」
「そうだね、よっぽど君達のほうが珍しいよっ」
ピクシーのリリですら、このパーティーでは珍しくない。
小さなハイ・オークに、レヴァナントなど、物語ですら出会う事が無いような二人だ。
「っね! クリスタちゃん!」
砂漠を眺め座っているクリスタ、その肩に手を置き、優しく微笑むソフィア。
「ソフィア様?」
「ん? なんだいっ?」
「目が怖いです、貴方様がこんな方だとは、クリスタは知りませんでした」
(そっかぁ、クリスタは知らなかったかぁ)
「ソフィアはマッドサイエンティストだから、覚えといたほうがいいよ、特にクリスタは」
「リリちゃん、そんなに褒めなくっても、そんなんじゃ解剖してあげないよっ?」
「結構です!!」
「フフフ、冗談じゃないかっ、リリちゃんは死んじゃうからねっ」
クリスタにとっては冗談でもないことを、他愛もなく言い合う二人。
しかも、それが冗談ではない事がひしひしと伝わる。
なので急いで話題を変え、矛先を変えようとする。
「デザートフィッシュの大群、その中心に変な木が生えてませんか? ソフィア様あれはなにかわかりますか?」
「木? そんなものがこの荒野に有るわけが、どれどれ……」
ソフィアは言い合いを切り上げ、望遠鏡を出し覗き込んだ。
その様子を見て、クリスタはフゥーッと息を吐き、胸をなでおろす。
「あれは……なんだ? スライムの実をつけた木、かなっ?」
「そう、見えますね……」
そこにリリがビックリしたのか、直感に任せたまま呟く。
地球の感覚との違いに、今まで何度も予想を外しているので、固定観念は除いて。
「っえ? スライムって木から生えてくるの? 植物とは思ってなかったわー」
リリはこの世界のことには疎い、だからこその発想であったのだが……。
「それは、ありえんじゃろう」
「ボクもそう思う、スライムが生まれるところは見たことないけど」
ラーナとイヴァがはっきりと否定したのを聞いて、リリは考え直す。
(っあ、違うんだ! じゃああれは何なんだろう?)
「確かにラーナとイヴァンナ様が仰るとおりです、しかしそうだと思い考えると、効率的なのでは?」
効率的とは、面倒くさがりだがメイド業をしていたクリスタらしい言い分だ。
その疑問を聞き、ソフィアが振り返り、飛びつくように勢いよく反応した。
「たっ確かに、クリスタちゃんの言うことは、一理あるっ!」
悩むソフィアの横で、ピンと来てないリリは軽口を叩く。
「実が動き回って、いい場所を見つけては木になって、新たな実をつけてるってこと? まさかー」
「そのまさかだよっ!」
「えー、あり得ないわ!」
リリは否定をするが、ソフィアがすぐさま答える。
「雌雄同体で、なおかつ動けるモンスターだからこそ出来る荒業だねっ」
「それでも、流石にスライムが植物はきつくない?」
「いやいやっ、スライムの生態は分かってないことが多い、あり得ない話じゃないさっ」
「ふーん、まぁそれじゃ、考えてもわからないわね」
結論の出ない考えに、リリは諦めて両手を上げた。
リリが音を上げたのと同時に、ドドドドッっと轟音が地の底から鳴り響き、地面が揺れだした。
「あわわわ、リ、リリのせいで、大地が荒れとるじゃろうが!!」
「わたしのせいじゃないわよ」
「大地の怒りじゃー」
「慌て過ぎよ」
慌てふためくイヴァが意味の分からないことを言っている。
しかしリリは澄ました表情で答えた。
「お主は宙に浮いとるからそんなに落ち着けるんじゃ!」
「こんなのただの地震じゃない?」
「想像以上に揺れとるぞ!」
「ふーん、でもイヴァって大げさだからなぁ」
またイヴァの大げさなリアクションが始まったのだとリリは諦めた。
二人の会話を静かに聞いていたラーナも答える。
「別にそんなに揺れてる感じはしないよ? ルベルンダならこれぐらい普通だし」
ラーナの故郷ルベルンダは火山島だ、地震などしょっちゅう起きているのだろう。
だがサウエム荒原を始め、ドラコニス大陸は地震が多くない。
ましてやイヴァの故郷は森の奥深くだ。
地震は特に生死にかかわる天災、だからこそより一層驚いたのであろう。
「そうはいってもじゃなぁ……ぎゃっ」
価値観の違いからか、未知の現象からの不安からか言い争う三人。
そんな中で、揺れの正体があらわになった。
「あ、あれっ、なに?」
先程までスライムを着けた木だと思っていた物体。
そこを中心に、盛り上がるように地面が持ち上がる。
そして下から、サンドワームどころか、ロック鳥すら飲み込んでしまいそうな、巨大な空洞が急に現れた。
グパァーー!! ドドドドッ
スライムのようなプルプルとした魚が、広大な砂漠を水面かのように宙に飛び上がった。
急に現れた空洞は、信じられないが魚の口だったのだ。
バクンッ! ドグアァーー!!
デザートフィッシュの大群も、周りを囲んでいたジャイアントスコーピオンも、つがいのサンドワームも、そこにいた全てを丸呑みにして、地中へと消えたしまった。
巨大な魚はそのまま、するりと砂の中へ消え、大地は波紋のように砂が波打つ。
残ったのは生き物の存在しない砂漠のみだ。
「「「「「…………」」」」」
想像を絶する光景、あり得ない物を見て、五人は一瞬で声を失った。
やはり本当に驚いた時は、声など出ない。
雨音だけが鳴り響く中、堰を切ったかのようにイヴァとリリが喋り出す。
「いやいやいやいや、さっ流石にあれは目の錯覚じゃろうて!」
「そう! そうよ、わたしもそう思う! 雨が強すぎて幻影でも見たのよ」
顔の前で手をブンブン振りながら声を発したイヴァと、必死に同調するリリ。
現実逃避をしている二人、その幻想を打ち消すようにラーナが冷静に淡々と感想を口に出した。
「ナマズだったね」
ラーナがなんの臆面もなく発した言葉に、四人は一瞬黙ると思わず吹き出す。
「フフッ……」
「ク、クク……」
「クスクス……」
「アハハハハッ」
全員が見た瞬間にナマズだとは思っていたが、あまりのスケールに一度は押し黙り。
ラーナの言葉で現実を見て冷静に振り返ると、襲われなかった安堵感、ナマズの少し間抜けに見える見た目、目の前に広がる円形の波紋、モンスターのいない空間。
その全てが滑稽に見え、何が面白いのかは分からないが、笑いが込み上げてきたのだった。
荒原の中心で、五人の笑い声が雨の音に負けじと響いていた。
デザートフィッシュは逃げ場をなくした魚のように中心へと集まっている。
「うわー、もう入れ食いじゃない、二匹もいると凄いわね」
「しかも、あれは珍しく番じゃあないか!」
「サンドワームって雌雄の区別付くの?」
「もちろんさっ」
「この距離でわかるようなが特徴あるの!?」
「まぁね、歯の並びが違うんのさっ」
(……まったくわからんわ!)
リリには区別が付かない。
そこは、ソフィアは流石に錬金術師、研究者といったところなのだろう。
「ってことは、周りをジャイアントスコーピオンがウロウロしてるのは、はぐれたデザートフィッシュを狙ってるってこと?」
「どうだろうねぇ? 狩りのプロ、ラーナちゃんはどう思う?」
ソフィアが聞くと、珍しくボーッとしていたラーナが気怠げに答える。
「んー……そうじゃない? サンドワームのせいであんまり近づけないみたいだけど……っあ! 食われた」
視線の先、下から飛び出できたサンドワームに噛み砕かれるジャイアントスコーピオン。
この場の支配者はサンドワームだ。
「うへぇー、雨季の砂漠はこんな感じになってたんだねぇ」
「初めて見たの?」
「あぁ、全くもって素晴らしいじゃあないかっ」
「どこがよ! まるでデストピアじゃない!」
「それがいいのさっ! 生物の躍動、弱肉強食による自然淘汰、見えるものすべてが生きることのみに必死なのが興奮するねっ!!」
ただでさえテンションの高いソフィアが、いつもよりも何割か増しで高い。
それは今にも小躍りをしそうなほどだ。
「ただ残念なのは、珍しい生き物はいないことだよねぇ」
「そんな簡単にいたら、珍しくないじゃない!」
「そうだね、よっぽど君達のほうが珍しいよっ」
ピクシーのリリですら、このパーティーでは珍しくない。
小さなハイ・オークに、レヴァナントなど、物語ですら出会う事が無いような二人だ。
「っね! クリスタちゃん!」
砂漠を眺め座っているクリスタ、その肩に手を置き、優しく微笑むソフィア。
「ソフィア様?」
「ん? なんだいっ?」
「目が怖いです、貴方様がこんな方だとは、クリスタは知りませんでした」
(そっかぁ、クリスタは知らなかったかぁ)
「ソフィアはマッドサイエンティストだから、覚えといたほうがいいよ、特にクリスタは」
「リリちゃん、そんなに褒めなくっても、そんなんじゃ解剖してあげないよっ?」
「結構です!!」
「フフフ、冗談じゃないかっ、リリちゃんは死んじゃうからねっ」
クリスタにとっては冗談でもないことを、他愛もなく言い合う二人。
しかも、それが冗談ではない事がひしひしと伝わる。
なので急いで話題を変え、矛先を変えようとする。
「デザートフィッシュの大群、その中心に変な木が生えてませんか? ソフィア様あれはなにかわかりますか?」
「木? そんなものがこの荒野に有るわけが、どれどれ……」
ソフィアは言い合いを切り上げ、望遠鏡を出し覗き込んだ。
その様子を見て、クリスタはフゥーッと息を吐き、胸をなでおろす。
「あれは……なんだ? スライムの実をつけた木、かなっ?」
「そう、見えますね……」
そこにリリがビックリしたのか、直感に任せたまま呟く。
地球の感覚との違いに、今まで何度も予想を外しているので、固定観念は除いて。
「っえ? スライムって木から生えてくるの? 植物とは思ってなかったわー」
リリはこの世界のことには疎い、だからこその発想であったのだが……。
「それは、ありえんじゃろう」
「ボクもそう思う、スライムが生まれるところは見たことないけど」
ラーナとイヴァがはっきりと否定したのを聞いて、リリは考え直す。
(っあ、違うんだ! じゃああれは何なんだろう?)
「確かにラーナとイヴァンナ様が仰るとおりです、しかしそうだと思い考えると、効率的なのでは?」
効率的とは、面倒くさがりだがメイド業をしていたクリスタらしい言い分だ。
その疑問を聞き、ソフィアが振り返り、飛びつくように勢いよく反応した。
「たっ確かに、クリスタちゃんの言うことは、一理あるっ!」
悩むソフィアの横で、ピンと来てないリリは軽口を叩く。
「実が動き回って、いい場所を見つけては木になって、新たな実をつけてるってこと? まさかー」
「そのまさかだよっ!」
「えー、あり得ないわ!」
リリは否定をするが、ソフィアがすぐさま答える。
「雌雄同体で、なおかつ動けるモンスターだからこそ出来る荒業だねっ」
「それでも、流石にスライムが植物はきつくない?」
「いやいやっ、スライムの生態は分かってないことが多い、あり得ない話じゃないさっ」
「ふーん、まぁそれじゃ、考えてもわからないわね」
結論の出ない考えに、リリは諦めて両手を上げた。
リリが音を上げたのと同時に、ドドドドッっと轟音が地の底から鳴り響き、地面が揺れだした。
「あわわわ、リ、リリのせいで、大地が荒れとるじゃろうが!!」
「わたしのせいじゃないわよ」
「大地の怒りじゃー」
「慌て過ぎよ」
慌てふためくイヴァが意味の分からないことを言っている。
しかしリリは澄ました表情で答えた。
「お主は宙に浮いとるからそんなに落ち着けるんじゃ!」
「こんなのただの地震じゃない?」
「想像以上に揺れとるぞ!」
「ふーん、でもイヴァって大げさだからなぁ」
またイヴァの大げさなリアクションが始まったのだとリリは諦めた。
二人の会話を静かに聞いていたラーナも答える。
「別にそんなに揺れてる感じはしないよ? ルベルンダならこれぐらい普通だし」
ラーナの故郷ルベルンダは火山島だ、地震などしょっちゅう起きているのだろう。
だがサウエム荒原を始め、ドラコニス大陸は地震が多くない。
ましてやイヴァの故郷は森の奥深くだ。
地震は特に生死にかかわる天災、だからこそより一層驚いたのであろう。
「そうはいってもじゃなぁ……ぎゃっ」
価値観の違いからか、未知の現象からの不安からか言い争う三人。
そんな中で、揺れの正体があらわになった。
「あ、あれっ、なに?」
先程までスライムを着けた木だと思っていた物体。
そこを中心に、盛り上がるように地面が持ち上がる。
そして下から、サンドワームどころか、ロック鳥すら飲み込んでしまいそうな、巨大な空洞が急に現れた。
グパァーー!! ドドドドッ
スライムのようなプルプルとした魚が、広大な砂漠を水面かのように宙に飛び上がった。
急に現れた空洞は、信じられないが魚の口だったのだ。
バクンッ! ドグアァーー!!
デザートフィッシュの大群も、周りを囲んでいたジャイアントスコーピオンも、つがいのサンドワームも、そこにいた全てを丸呑みにして、地中へと消えたしまった。
巨大な魚はそのまま、するりと砂の中へ消え、大地は波紋のように砂が波打つ。
残ったのは生き物の存在しない砂漠のみだ。
「「「「「…………」」」」」
想像を絶する光景、あり得ない物を見て、五人は一瞬で声を失った。
やはり本当に驚いた時は、声など出ない。
雨音だけが鳴り響く中、堰を切ったかのようにイヴァとリリが喋り出す。
「いやいやいやいや、さっ流石にあれは目の錯覚じゃろうて!」
「そう! そうよ、わたしもそう思う! 雨が強すぎて幻影でも見たのよ」
顔の前で手をブンブン振りながら声を発したイヴァと、必死に同調するリリ。
現実逃避をしている二人、その幻想を打ち消すようにラーナが冷静に淡々と感想を口に出した。
「ナマズだったね」
ラーナがなんの臆面もなく発した言葉に、四人は一瞬黙ると思わず吹き出す。
「フフッ……」
「ク、クク……」
「クスクス……」
「アハハハハッ」
全員が見た瞬間にナマズだとは思っていたが、あまりのスケールに一度は押し黙り。
ラーナの言葉で現実を見て冷静に振り返ると、襲われなかった安堵感、ナマズの少し間抜けに見える見た目、目の前に広がる円形の波紋、モンスターのいない空間。
その全てが滑稽に見え、何が面白いのかは分からないが、笑いが込み上げてきたのだった。
荒原の中心で、五人の笑い声が雨の音に負けじと響いていた。
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