魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ

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ショータイム

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「貴様は…殺戮ピエロキラークラウンか・・・?」

「おぉ~こんなしがないピエロのことをご存知頂けていましたかぁ。“アンダークラスヒーロー”のリーダーパトリックさん」

「ちょっ…ちょっと、殺戮ピエロキラークラウンって・・・」


突然暗闇から現れた殺戮ピエロキラークラウンを前にして、パトリックたち“アンダークラスヒーロー”に緊張が走る。
そして、その緊張の度合いを表すかのように彼らの額と首筋から冷や汗が流れ落ち、まさに背筋が凍りついていたのだった。


「僕たちも冒険者だからね。Sランククラン“デス・パレード”。貴様らの残虐非道な行いの噂は時折耳にしているよ」

「イ~ッヒッヒッ。嫌だなぁ~、噂はあくまでも噂ですよぉ。それに、何の証拠も無いから聖騎士団や冒険者ギルドも捕まえないんでしょぉぉぉ?」


=========================

《デス・パレード》
冒険者の最高峰であるSランククラン。
その頂に立つ総数十名という現存するSランククランの中で最小人数の猛者たちである。
メンバー全員がサーカス団員のような衣装を着ており、リーダーのクラウンはピエロの格好をしているため“殺戮ピエロキラークラウン”という通り名で多くの人々から恐れられている。
そして、彼らには黒い噂というものが絶えず、これまでにいくつもの冒険者パーティやクランを壊滅させているのだというのだが ───── いつも確固たる証拠を見つけることが出来ず、聖騎士団も冒険者ギルドも不問としてきたのである。

=========================


「それで、たった一人で僕たちとろうっていうのかい」

「イッヒッヒッ、それはそうでしょう。他のやつらを連れてきたりしちゃ~奪い合いになっちゃいますからねぇぇぇ。まぁ~ハンデだとでも思っておいてくださいぃぃぃ」

「あの野郎、ナメやがって!!」

「落ち着くんだモンロン。焦って心を乱すと相手の思う壺だよ。いつも通り『心は熱く、頭は冷静に』ね!」

「本当に昔っから頭に血が上りやすいんだから」

「悪ぃ悪ぃ」

「相手がその気ならしっかりと私たちの実力を見せつけて返り討ちにしてあげましょう」

「俺たちに喧嘩を売ったことを後悔させてやる。そして、捕まえてこれまでの罪も含めて全て洗いざらい話してもらおうじゃないか」


リーダーのパトリックを中心に素晴らしい一体感をを生み出す“アンダークラスヒーロー”。
そんな中でも、一対五という圧倒的に不利な状況にも関わらず変わらない笑みを浮かべる殺戮ピエロキラークラウン
しかし、そんなことなど関係ないと言わんばかりに先手を取る“アンダークラスヒーロー”はいつも通りの陣形と連携で殺戮ピエロキラークラウンへと襲い掛かる。


「ここで貴様を倒し、これまでの悪事の全てを吐かせてやるからな。覚悟しろ、殺戮ピエロキラークラウン!!」

「イッヒッヒッ。前ばかり気にしてていいんですかぁ?」


!? !? !?


その時、後方支援のために後ろに下がっていた魔法師のメルと射手者アーチャーのサラサを除く前衛三人が殺戮ピエロキラークラウンに迫る中、背後から火球ファイアボールがパトリックたちに向けて放たれたのだった。


ヴゥォゥ ──────── 。

ザッ ─────── 。


ドーーーーーーーーン!!


「あっぶねぇ~」


間一髪のところで回避したパトリック、モンロン、ケリクの三人。
そして、自分たちに向けて火球ファイアボールを放った者に向かってモンロンが叫ぶ。


「おい!いったい何の真似だメル。俺たちを殺す気か!!」

「ちっ…違う…私じゃない」

「何言ってんだ。今の火球ファイアボールを放ったのはどう見てもお前だっただろ」


モンロンから問い詰められたメルは青ざめた表情をし困惑した様子を見せる。
そして、次の瞬間メルの口から思いもよらない言葉が飛び出す。


「動かない・・・」

「はぁ?何言ってんだよ」

「だから、身体が動かないのよ」


!? !? !? !?


「正確には身体が勝手に動いて制御が出来ない」


メルの様子からして嘘を言っているようには思えない。
そして、今は冗談など言っている場合ではない。
ということは、原因として考えられるのはただ一つ ─────── 。


「貴様の仕業だろ!クラウン。メルにいったい何をした!」

「イッヒッヒッ。はてさて?いったい何のことでしょう?ワタクシはここから一歩も動いておりませんよぉ?」

「貴様~・・・」

「イ~ッヒッヒッ。もう我慢出来ません ────── さぁ~始めましょう。ショータイムですよぉぉぉ」


何かの準備が整ったのか、殺戮ピエロキラークラウンが両腕を大きく広げながら改めて開戦の咆哮を上げる。


「キャーーーーーッ」


──────── ドサッ 。


殺戮ピエロキラークラウンによる開戦の声が上がると同時に女性の悲鳴が夜のメルサに響き渡る。
突然の悲鳴に驚いたパトリックたちが声のした方へ視線を向けると、援護のために塀の上に登っていたサラサが地面に落ちていたのだった。
そして、苦悶の表情に顔を歪めているサラサをよく見てみると、なんと左足が切り落とされていたのであった。


「サラサーーーーー!!」


慌ててサラサの元へと駆けつけるパトリックたち。
急いで止血草で止血をし応急処置を済ませる。
こんな時にメルがいれば回復魔法で傷口を塞ぐことも出来るのだが、身体の自由を奪われている今それは不可能である。
そして、左足を失ったサラサはこれ以上の戦闘への参加は難しい・・・。


「あの野郎…よくもサラサを。ぶっ殺してやる」


──────── ガッ 。


完全にブチ切れた様子のモンロンが殺戮ピエロキラークラウンの元へと向かおうとしたその時、パトリックがモンロンの腕を掴む。


「おい、止めるなよ」

「そんなことしないさ。僕だって仲間をやられて頭にきてるんだから。でも、僕たちはパーティだ。一緒に行こう!」

「当然、俺も行くぞ」


処置を終えたサラサを休ませ、戦闘へと戻るパトリックたち。
一対五で始まった戦いも一瞬のうちに状況が変わってしまった。
一人は身体の自由を奪われ、一人は負傷により戦線離脱を余儀なくされてしまい、残ったのは三人。

これがSランクの実力なのか ─────── 。

そんなことを胸に抱きながらパトリックたちは歩みを進める。


「ここからは死闘になるよ」

「望むところだ!」

「この戦いに勝てば俺たちもSランクになれそうだな」


笑みを浮かべるパトリック、モンロン、ケリク。
それは虚勢などではない。
これまでにもどうしようもない危機的な状況はいくつもあった。
それでも、いつも仲間と共にその全てを乗り越えてきた。
元々何も無かった自分たちが力を合わせてAランクの冒険者となり、いつしか人々からも憧れられる存在となった。
そして、それはこれからも変わらない。

今回の危機的状況も幼少期から共に生きてきたこのメンバーとなら必ず乗り越えられる。
そう信じて一歩また一歩と歩みを進めていく ─────── 。


「さぁ、行こう!!」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


~ 翌朝 ~


チュンチュンチュン ──────── 。

チュンチュンチュン ──────── 。


爽やかな朝。
小鳥たちが囀り、澄んだ空気が王都メルサの街を包み込んでいる。
まだまだ日中の騒がしさもない静かな街の一角にそんな心地の良い朝の街並みには似つかわしくない悲惨な光景が広がっていたのだった ────── 。


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