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召喚契約
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全身から光を放ち灰まみれとなっていたグリーンアイランドを元の緑豊かな姿へと変えたスズネ。
しかし、その代償として力を使い果たし地に倒れたのであった。
「スズネーーーーー」
大声を上げ倒れたスズネの元へと駆け寄るミリア。
他のメンバーたちも何が起こったのかまだ理解出来ていない中でそれに続いたのだった。
「スズネ!スズネ!」
「うっ…う~ん・・・」
ミリアの呼び掛けに微かではあるが反応を見せるスズネ。
気を失ってはいるが命に別状はなさそうである。
「よ…良かった~」
「スズネは大丈夫そうっすか?」
「ええ、とりあえず気を失ってるだけみたい」
「魔力を使い過ぎたんだろう。ゆっくり休ませておけば時期に目を覚ます」
クロノの言葉に安堵したミリアたちはホッと胸を撫で下ろす。
しかし、そんな彼女たちとは対照的な感情を剥き出しにしている者がいた。
「おいおいおい、なんてことしてくれたんだよ!僕が三年も掛けて進めてきた計画をぶち壊しやがって」
長い年月を掛けて進めてきた計画を台無しにされ、怒りの感情を隠すことなく全面的に押し出してくるセロフト。
その表情は完全にキレている。
そして、当然その矛先は全てをぶち壊したスズネへと向けられた。
「その女、今すぐに殺してやる。喰らえ! ────── 連魔弾」
セロフトによって放たれた無数の黒い魔弾がスズネに襲い掛かる。
その圧倒的な数を前にスズネを守ろうと身を挺するミリアたちであったのだが、それよりも前にクロノの手によって全ての魔弾は掻き消されたのだった。
「この裏切り者が!魔族のくせになんでヒト族を守るんだよ」
「黙れ下郎が!貴様ごとき下級魔族がこの俺に敵うと思うな。そして、こいつとは今現在契約中だ。こいつに牙を向けるということは、すなわち俺に牙を向けることだと思え」
しかし、この言葉がセロフトの心に火を点けることとなる。
歴代最強と云われるクロノに自分の力がどこまで通用するのか ─────── 。
「へぇ~そういうことなんだ。歴代最強と云われるあなたと戦える機会なんてそうそうないよね」
セロフトはその好奇心を抑えることが出来ずクロノに対して戦闘を開始する。
「さぁ~行っくよーーーーー」
ボッ、ボッ、ボッ、ボッ ────── 。
「フンッ」
ドーン、ドーン、ドーン、ドーン ────── 。
「まだまだ ───── 地獄の業火」
ブウォォォォォゴォォォォォ ───── 。
「はぁ~くだらん。さっさと死ね」
ズブウォン ───── 。
────── ズバァァァン!!
セロフトによる強力な火炎魔法をさらに強力な風の刃で切り裂いたクロノ。
そして、その刃は紫黒色の炎を打ち破った後も消えることはなく、そのままセロフトの左腕を斬り落としたのであった。
「グッ・・・」
「よーし、やったわ」
「さすがは旦那様なのじゃ」
「まだだ!そいつはどんな攻撃を受けても再生する!!」
クロノの攻撃を受けて膝から崩れ落ちたセロフトの姿を見て歓喜する宿り木のメンバーたちであったが、その時疲労困憊で倒れていたファイングによってセロフトの再生能力が伝えられる。
すると、その言葉通りにセロフトは斬り落とされた左腕を拾うと元通りにくっ付けたのだった。
「ちょっ…なんすかアレ!?」
「き…傷が塞がったというよりも元通りにくっ付いたみたいでしたね」
「慌てるな。恐らく奴はスライムの細胞を有しているんだろう。その力で分断されたものを元に戻しただけだ」
その光景に驚愕する宿り木であったが、クロノはそれを冷静に分析する。
そして、その分析を聞いたセロフトは嬉しそうに肯定したのだった。
「さすがはクロノ様、スライムなどという最底辺の魔族のことまでご存知とは博識ですね。僕には母から受け継いだスライムの細胞がある。この力があれば如何なる傷も全て再生することが出来るんですよ」
「はぁ?再生能力って、そんなのチートじゃない。いったいどうやって倒すのよ」
「だから慌てんなって言ってんだろ。奴が再生するってんなら、こっちはそれが出来ないほどの攻撃を喰らわせればいいだけだ」
「ハハハハハ。やれるものならやってみなよ」
両者が睨み合い激突必至と思われたその時、陽の光を遮るほどの大きな影によって一帯が覆われる。
バサーッ、バサーッ、バサーッ。
突然辺り一帯が薄暗くなったことに驚きその場にいた全員が上空に目をやると、そこには巨大な龍の姿が ────── 。
それは長きに渡る自身とグリーンアイランドを蝕み続けてきた元凶であるセロフトへの怒りに満ちた緑龍ラフネリアスの姿であった。
「貴様か?我に牙を向けようなどと血迷ったことをしている輩は」
「りょ…緑龍ラフネリアス」
「逃しはせんぞ。この積年の恨み今ここで返させてもらう ───── 龍の咆哮」
ドゴゴゴゴーーーーーーーーーーン!!!!!!
その圧倒的なプレッシャー前に後退りするセロフトに対してラフネリアスは口から超強力なエネルギー砲を放つ。
そして、それをまともに受けたセロフトは跡形も無く消し去られたのだった。
こうして三年にも及びグリーンアイランドを襲った悪夢のような出来事は、それがまるで嘘であったかと思えるほどに元の姿を取り戻したのであった。
─────────────────────────
自身とグリーンアイランドを襲った元凶であるセロフトを打ち倒したラフネリアスは、クロノたちの方へと視線を送るとそのまま地上に降りてきた。
「この島と我を元の姿に戻したのは貴様の魔法か?」
「あ?残念ながら俺ではない」
「それでは誰がこれほどの大規模な魔法を」
「そこで気を失ってぶっ倒れてる女だ」
「そうか」
ズシーーーン、ズシーーーン、ズシーーーン。
そう言うとラフネリアスはゆっくりとスズネたちの元へと歩を進め、横たわるスズネの姿を見て頭を下げる。
そして、意識を失いミリアの膝の上で横たわるスズネに感謝を伝えると四天龍に数えられるその力の一端をみせる。
それは龍族の中でもラフネリアスだけが使える回復魔法であり、どんな万病も癒すことが出来るというものであった。
「此度の其方の助力に感謝する ───── 龍の癒吹き」
ラフネリアスから放たれた柔らかな風はスズネの身体を優しく包み込んだ。
そして、その魔法によって身体の傷と共に使い果たした魔力も回復したスズネが目を覚ます。
それを見たミリアたちは安堵のあまり涙を流しながらスズネに抱きついたのだった。
「スズネ~~~~~」
「本当に良かったっすーーー」
「無事で何よりなのじゃ」
「はぁ~、本当に…本当に良かった」
「もう、ほ…本当に心配したんですからね」
「あれ?みんなどうしたの?」
スズネは何が何やら分からず驚きながらも、涙を流し嬉しそうな仲間たちの姿を目にし笑みを浮かべるのだった。
そして、意識を取り戻したスズネは事の経緯をミリアから伝え聞くとラフネリアスに深く頭を下げて感謝を伝えた。
「ラフネリアスさん、この度は危ないところを救って頂きありがとうございました」
「な~に其方から受けたモノと比べれば大したことではない」
自身の行ったことよりもそれによって救われたグリーンアイランドとラフネリアスのことを喜び、さらに受けた恩に対して誠心誠意の感謝を返す。
その姿にスズネの人となりを見たラフネリアスはスズネたちが思いもよらないことを口にする。
それは、スズネに新たな力が芽生え始めているということと、自身やグリーンアイランドを救ってくれた恩に報いるために力になりたいという申し出であった。
「スズネ、我と契約しないか?」
「えっ!?契約…ですか?」
「左様、其方を主として我を喚び出すことが出来る“召喚契約”だ」
ラフネリアスから提案された契約とは、いつ如何なる時であろうともスズネの呼び掛けによってラフネリアスを召喚することが出来るという“召喚契約”というものであった。
スズネが主となりいつでもラフネリアスを喚び出せるというとんでもない話を前に驚きを隠せないスズネたち。
「で…でも、今回のことは偶然というか、私の力なのかどうかも分からないですし・・・」
「ワッハッハッハッ、そう謙遜するな。何も今回のことだけという話ではない。我が其方を気に入り、其方の力になりたいと思った ───── ただそれだけのこと」
「そういうことなら・・・分かりました。契約します!」
最初はその提案に戸惑っていたスズネだが、ラフネリアスの想いに押される形で契約することに。
しかし、契約するにあたりスズネからも一つの条件が出される。
その条件とは、『契約はするが、それは主従の関係ではなく友人としてお互いに助け合う』というものであった。
世界でもトップクラスの力を有する龍族。
その中でもさらに上位に位置する“四天龍”を従えるというのは、誰もが喉から手が出るほどに欲するものである。
それがヒト族ともなれば、ヒト族の世界を牛耳ることも何等難しくはない。
しかし、スズネはそんなものを望みはしない。
あくまでも対等であり、ラフネリアスと友人であることを望んだのだ。
その言葉に笑みを浮かべると、ラフネリアスはスッと頭を下げてスズネの前に顔を突き出した。
「我ここに友好の証として“緑龍ラフネリアス”と契約の契りを交わす」
「その契り謹んで受けよう」
そして、スズネはラフネリアスの鼻先に優しくキスをした。
「これで契約は完了だ。困ったことがあれば我を喚ぶがいい」
「ありがとう。ラフネリアスさん」
「“さん”は不要だ。我らは友人なのであろう?」
「アハハハハ、そうだね。これからよろしく!ラフネリアス」
こうしてスズネは新しく“緑龍ラフネリアス”と召喚契約を結び、意図せずまた強大な力を得ることとなったのだった。
─────────────────────────
「ハァ…ハァ…ハァ…。さすがは四天龍、全く歯が立たなかったよ。ザイオン様の言ってた通りだね。とっさに身体の一部を切り離しておいて正解だったよ」
グリーンアイランド南西の森。
そこにほとんどの魔力を使い果たし疲労困憊のセロフトの姿が。
実はラフネリアスの攻撃を受ける直前に身体の一部を切り離し離脱させていたのだ。
そして、そこから身体を再生させ今に至るのであった。
「計画は失敗に終わっちゃったけど面白い情報も手に入ったしね。さっさと魔族領に帰ってザイオン様に報告しなくちゃ。生きていたクロノ様、一瞬にして島を元通りにしてしまう魔法師の女、これからますます面白くなりそうだよ」
ザッ、ザッ、ザッ ──────── 。
「誰だ!!」
その時、魔族領へと帰還するために歩を進めるセロフトの前に一つの影が現れる。
「フフフフフッ。勝手なことをされては困りますよ」
「何なんだい君は」
「ワタクシですか?まぁ~自己紹介をしても構いませんが・・・今から死にゆくアナタには必要ないでしょう」
「僕を殺す?あんまりナメな ─────── 」
──────── ドサッ。
!?
《何をされた?目の前の男が何かしたようには見えなかった。それじゃ、何故僕の首は落とされているんだ?》
「フフフフフッ。少しは楽しめるかと思いましたが、アナタ本当に弱いですね」
「だ…黙れ…」
「おやおや、まだ喋る元気があるのですか。これは逞しい。ですが、二度と再生などさせませんよ」
「君は…いったい…」
「フフフフフッ。それではご機嫌よう」
グシャッ ──────── 。
しかし、その代償として力を使い果たし地に倒れたのであった。
「スズネーーーーー」
大声を上げ倒れたスズネの元へと駆け寄るミリア。
他のメンバーたちも何が起こったのかまだ理解出来ていない中でそれに続いたのだった。
「スズネ!スズネ!」
「うっ…う~ん・・・」
ミリアの呼び掛けに微かではあるが反応を見せるスズネ。
気を失ってはいるが命に別状はなさそうである。
「よ…良かった~」
「スズネは大丈夫そうっすか?」
「ええ、とりあえず気を失ってるだけみたい」
「魔力を使い過ぎたんだろう。ゆっくり休ませておけば時期に目を覚ます」
クロノの言葉に安堵したミリアたちはホッと胸を撫で下ろす。
しかし、そんな彼女たちとは対照的な感情を剥き出しにしている者がいた。
「おいおいおい、なんてことしてくれたんだよ!僕が三年も掛けて進めてきた計画をぶち壊しやがって」
長い年月を掛けて進めてきた計画を台無しにされ、怒りの感情を隠すことなく全面的に押し出してくるセロフト。
その表情は完全にキレている。
そして、当然その矛先は全てをぶち壊したスズネへと向けられた。
「その女、今すぐに殺してやる。喰らえ! ────── 連魔弾」
セロフトによって放たれた無数の黒い魔弾がスズネに襲い掛かる。
その圧倒的な数を前にスズネを守ろうと身を挺するミリアたちであったのだが、それよりも前にクロノの手によって全ての魔弾は掻き消されたのだった。
「この裏切り者が!魔族のくせになんでヒト族を守るんだよ」
「黙れ下郎が!貴様ごとき下級魔族がこの俺に敵うと思うな。そして、こいつとは今現在契約中だ。こいつに牙を向けるということは、すなわち俺に牙を向けることだと思え」
しかし、この言葉がセロフトの心に火を点けることとなる。
歴代最強と云われるクロノに自分の力がどこまで通用するのか ─────── 。
「へぇ~そういうことなんだ。歴代最強と云われるあなたと戦える機会なんてそうそうないよね」
セロフトはその好奇心を抑えることが出来ずクロノに対して戦闘を開始する。
「さぁ~行っくよーーーーー」
ボッ、ボッ、ボッ、ボッ ────── 。
「フンッ」
ドーン、ドーン、ドーン、ドーン ────── 。
「まだまだ ───── 地獄の業火」
ブウォォォォォゴォォォォォ ───── 。
「はぁ~くだらん。さっさと死ね」
ズブウォン ───── 。
────── ズバァァァン!!
セロフトによる強力な火炎魔法をさらに強力な風の刃で切り裂いたクロノ。
そして、その刃は紫黒色の炎を打ち破った後も消えることはなく、そのままセロフトの左腕を斬り落としたのであった。
「グッ・・・」
「よーし、やったわ」
「さすがは旦那様なのじゃ」
「まだだ!そいつはどんな攻撃を受けても再生する!!」
クロノの攻撃を受けて膝から崩れ落ちたセロフトの姿を見て歓喜する宿り木のメンバーたちであったが、その時疲労困憊で倒れていたファイングによってセロフトの再生能力が伝えられる。
すると、その言葉通りにセロフトは斬り落とされた左腕を拾うと元通りにくっ付けたのだった。
「ちょっ…なんすかアレ!?」
「き…傷が塞がったというよりも元通りにくっ付いたみたいでしたね」
「慌てるな。恐らく奴はスライムの細胞を有しているんだろう。その力で分断されたものを元に戻しただけだ」
その光景に驚愕する宿り木であったが、クロノはそれを冷静に分析する。
そして、その分析を聞いたセロフトは嬉しそうに肯定したのだった。
「さすがはクロノ様、スライムなどという最底辺の魔族のことまでご存知とは博識ですね。僕には母から受け継いだスライムの細胞がある。この力があれば如何なる傷も全て再生することが出来るんですよ」
「はぁ?再生能力って、そんなのチートじゃない。いったいどうやって倒すのよ」
「だから慌てんなって言ってんだろ。奴が再生するってんなら、こっちはそれが出来ないほどの攻撃を喰らわせればいいだけだ」
「ハハハハハ。やれるものならやってみなよ」
両者が睨み合い激突必至と思われたその時、陽の光を遮るほどの大きな影によって一帯が覆われる。
バサーッ、バサーッ、バサーッ。
突然辺り一帯が薄暗くなったことに驚きその場にいた全員が上空に目をやると、そこには巨大な龍の姿が ────── 。
それは長きに渡る自身とグリーンアイランドを蝕み続けてきた元凶であるセロフトへの怒りに満ちた緑龍ラフネリアスの姿であった。
「貴様か?我に牙を向けようなどと血迷ったことをしている輩は」
「りょ…緑龍ラフネリアス」
「逃しはせんぞ。この積年の恨み今ここで返させてもらう ───── 龍の咆哮」
ドゴゴゴゴーーーーーーーーーーン!!!!!!
その圧倒的なプレッシャー前に後退りするセロフトに対してラフネリアスは口から超強力なエネルギー砲を放つ。
そして、それをまともに受けたセロフトは跡形も無く消し去られたのだった。
こうして三年にも及びグリーンアイランドを襲った悪夢のような出来事は、それがまるで嘘であったかと思えるほどに元の姿を取り戻したのであった。
─────────────────────────
自身とグリーンアイランドを襲った元凶であるセロフトを打ち倒したラフネリアスは、クロノたちの方へと視線を送るとそのまま地上に降りてきた。
「この島と我を元の姿に戻したのは貴様の魔法か?」
「あ?残念ながら俺ではない」
「それでは誰がこれほどの大規模な魔法を」
「そこで気を失ってぶっ倒れてる女だ」
「そうか」
ズシーーーン、ズシーーーン、ズシーーーン。
そう言うとラフネリアスはゆっくりとスズネたちの元へと歩を進め、横たわるスズネの姿を見て頭を下げる。
そして、意識を失いミリアの膝の上で横たわるスズネに感謝を伝えると四天龍に数えられるその力の一端をみせる。
それは龍族の中でもラフネリアスだけが使える回復魔法であり、どんな万病も癒すことが出来るというものであった。
「此度の其方の助力に感謝する ───── 龍の癒吹き」
ラフネリアスから放たれた柔らかな風はスズネの身体を優しく包み込んだ。
そして、その魔法によって身体の傷と共に使い果たした魔力も回復したスズネが目を覚ます。
それを見たミリアたちは安堵のあまり涙を流しながらスズネに抱きついたのだった。
「スズネ~~~~~」
「本当に良かったっすーーー」
「無事で何よりなのじゃ」
「はぁ~、本当に…本当に良かった」
「もう、ほ…本当に心配したんですからね」
「あれ?みんなどうしたの?」
スズネは何が何やら分からず驚きながらも、涙を流し嬉しそうな仲間たちの姿を目にし笑みを浮かべるのだった。
そして、意識を取り戻したスズネは事の経緯をミリアから伝え聞くとラフネリアスに深く頭を下げて感謝を伝えた。
「ラフネリアスさん、この度は危ないところを救って頂きありがとうございました」
「な~に其方から受けたモノと比べれば大したことではない」
自身の行ったことよりもそれによって救われたグリーンアイランドとラフネリアスのことを喜び、さらに受けた恩に対して誠心誠意の感謝を返す。
その姿にスズネの人となりを見たラフネリアスはスズネたちが思いもよらないことを口にする。
それは、スズネに新たな力が芽生え始めているということと、自身やグリーンアイランドを救ってくれた恩に報いるために力になりたいという申し出であった。
「スズネ、我と契約しないか?」
「えっ!?契約…ですか?」
「左様、其方を主として我を喚び出すことが出来る“召喚契約”だ」
ラフネリアスから提案された契約とは、いつ如何なる時であろうともスズネの呼び掛けによってラフネリアスを召喚することが出来るという“召喚契約”というものであった。
スズネが主となりいつでもラフネリアスを喚び出せるというとんでもない話を前に驚きを隠せないスズネたち。
「で…でも、今回のことは偶然というか、私の力なのかどうかも分からないですし・・・」
「ワッハッハッハッ、そう謙遜するな。何も今回のことだけという話ではない。我が其方を気に入り、其方の力になりたいと思った ───── ただそれだけのこと」
「そういうことなら・・・分かりました。契約します!」
最初はその提案に戸惑っていたスズネだが、ラフネリアスの想いに押される形で契約することに。
しかし、契約するにあたりスズネからも一つの条件が出される。
その条件とは、『契約はするが、それは主従の関係ではなく友人としてお互いに助け合う』というものであった。
世界でもトップクラスの力を有する龍族。
その中でもさらに上位に位置する“四天龍”を従えるというのは、誰もが喉から手が出るほどに欲するものである。
それがヒト族ともなれば、ヒト族の世界を牛耳ることも何等難しくはない。
しかし、スズネはそんなものを望みはしない。
あくまでも対等であり、ラフネリアスと友人であることを望んだのだ。
その言葉に笑みを浮かべると、ラフネリアスはスッと頭を下げてスズネの前に顔を突き出した。
「我ここに友好の証として“緑龍ラフネリアス”と契約の契りを交わす」
「その契り謹んで受けよう」
そして、スズネはラフネリアスの鼻先に優しくキスをした。
「これで契約は完了だ。困ったことがあれば我を喚ぶがいい」
「ありがとう。ラフネリアスさん」
「“さん”は不要だ。我らは友人なのであろう?」
「アハハハハ、そうだね。これからよろしく!ラフネリアス」
こうしてスズネは新しく“緑龍ラフネリアス”と召喚契約を結び、意図せずまた強大な力を得ることとなったのだった。
─────────────────────────
「ハァ…ハァ…ハァ…。さすがは四天龍、全く歯が立たなかったよ。ザイオン様の言ってた通りだね。とっさに身体の一部を切り離しておいて正解だったよ」
グリーンアイランド南西の森。
そこにほとんどの魔力を使い果たし疲労困憊のセロフトの姿が。
実はラフネリアスの攻撃を受ける直前に身体の一部を切り離し離脱させていたのだ。
そして、そこから身体を再生させ今に至るのであった。
「計画は失敗に終わっちゃったけど面白い情報も手に入ったしね。さっさと魔族領に帰ってザイオン様に報告しなくちゃ。生きていたクロノ様、一瞬にして島を元通りにしてしまう魔法師の女、これからますます面白くなりそうだよ」
ザッ、ザッ、ザッ ──────── 。
「誰だ!!」
その時、魔族領へと帰還するために歩を進めるセロフトの前に一つの影が現れる。
「フフフフフッ。勝手なことをされては困りますよ」
「何なんだい君は」
「ワタクシですか?まぁ~自己紹介をしても構いませんが・・・今から死にゆくアナタには必要ないでしょう」
「僕を殺す?あんまりナメな ─────── 」
──────── ドサッ。
!?
《何をされた?目の前の男が何かしたようには見えなかった。それじゃ、何故僕の首は落とされているんだ?》
「フフフフフッ。少しは楽しめるかと思いましたが、アナタ本当に弱いですね」
「だ…黙れ…」
「おやおや、まだ喋る元気があるのですか。これは逞しい。ですが、二度と再生などさせませんよ」
「君は…いったい…」
「フフフフフッ。それではご機嫌よう」
グシャッ ──────── 。
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