魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ

文字の大きさ
97 / 208

獣王国ビステリア

しおりを挟む
「おい!いったいどういうことだ!!」

「落ち着け、ドルーマン。陛下の前だぞ」

「これが落ち着いていられるか」

「少し黙れ。アーサーも言ったが、陛下の前で醜態を晒すな」

「グッ…ギュスターヴ…貴様…」

「まぁまぁ、みんな落ち着け。ここで我々が取り乱しても仕方がないぞ」

「しかし陛下、これは一大事ですぞ。最悪の場合、獣王国ビステリアとの戦争にもなりかねない事態です」


ガルディア王国首都メルサ ───── 王宮内会議室 。

そこに集まったのは、国王レオンハルト・聖騎士長アーサー・筆頭魔法師ギュスターヴ・大臣ドルーマンの四名。
今後の方針を決めるべく各方面の主要な人物が国王によって集められたのだった。
そして、今回急遽この会議が開かれた理由は先程ドルーマンが発した“一大事”にある。

先刻ガルディア王国の首都メルサと獣王国ビステリアを繋ぐ道中にて、獣人の商人二十名にからなる一団が襲われたのだ。
それだけでも大事であるにも関わらず、ガルディア王国を震撼させたのはその一団を襲撃したのがヒト族であると報告されたからである。
しかも襲撃者たちがガルディア王国の紋章が刻まれた胸当てを装備していたというのだ。

そして、言うまでもなくこれはただ事ではない ──────── 。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 


ガルディア王国にはその国内において治外法権が認められている種族が三つ存在する。

※治外法権
ガルディア王国の領土内にあってその法律及びルールに縛られない独自の統治が許された特権。


まず首都メルサから見て東方に位置する森に住まうエルフ族。

次に北方にある大山脈の奥に王国を築く獣人族。

そして最後に南方にある広大な大森林を守護し、ガルディア王国と最南端の領地を収める魔族の間に超強力な結界で壁を作り続けている精霊族。


しかし、この三種族において獣人族だけが他の二種族と状況が大きく異なる。
エルフ族と精霊族がヒト族とほとんど直接的な関係を行なっていないのに対して、獣人族だけは積極的な国交を行なっていた。
そんな中で起きた今回の事件。
先程のドルーマンの言葉通り事と次第によっては両国の戦争にまで発展しかねないほどの大問題なのである。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 


「それで、実際のところどうなんだ?アーサー」

「はい。目撃者の証言によりますと七~八名の武装した者たちが商人の一団を襲ったとのことです。そして、その者たちが装備していた胸当てに我らがガルディアの紋章が刻まれていたと報告が入っております」

「これは困りましたね。その様相ですとガルディアの兵士ということになりますし、もちろんその情報はビステリアの方にも届いていることでしょう」


実際のところ真相は分からない。
しかし、今はそういう話ではない。
獣人族が襲われ、目撃者もおり、その上で襲撃者はヒト族、さらにガルディア王国の紋章が刻まれた物を装備していた。
実際に事件が起き、人的証拠に供述証拠まで揃った上で知らぬ存ぜぬでは済まされない。


「陛下、一先ず一度ビステリアへ使者を送り、縦横にこの度の謝罪と真相究明に全力を尽くす旨を伝えるべきかと」

「うむ ───── そうだな。真相が分からぬとはいえヒト族が起こした事。私が行こう」


!? !? !?


「へ…陛下!まさか陛下自らビステリアへ行くおつもりですか?」

「ああ、今のこの状況下ではそうすることが最善であろう」


国王レオンハルトの発言に驚愕する三人。
使者を送るとはいったもののまさか国王が自ら行くと言い出すとは誰も予想していなかった。
そして、国を代表する王同士の会談ともなれば両国にとっても準備が必要となる。
その時、国王レオンハルトのことを誰よりもよく理解しているアーサーが口を開いた。


「陛下、恐れながら申し上げます」

「なんだ?アーサー」

「陛下自らビステリアへ赴き謝罪するというのは、獣王国に対して最大限の誠意と敬意を示すという意味では良いかと思われます。しかし、陛下が赴くとなれば両国においてそれ相応の準備が必要となります。ですので、まず先に使節団を向かわせ陛下と獣王の会談を申し込み、その間にこちらで準備を済ませておくというのが得策かと愚行致します」

「陛下、私も聖騎士長に同意します」

「わ…私も同意します」


こうしてアーサー・ギュスターヴ・ドルーマンの説得もあり、突発的な獣王国への訪問を考え直した国王レオンハルト。
まずは王宮からの使節団を派遣し、謝罪の意を示しつつ獣王に後日改めて国王との会談を申し込むという方向で話がまとまったのだった。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 


翌日。
ガルディア王国王宮内 ───── 謁見の間。


「それでは宜しく頼む」

「ハッ!必ずや国王様のご期待に応えてみせます」

「しっかりやるんだぞ!ハルトマン」

「はい、父上。必ず獣王との会談の約束を取り付けて参ります」


今回の使節団の代表に任命されたのはハルトマンという男。
王宮内の文官たちのトップに立つドルーマン、その息子である。
ハルトマンは若くして父親を超える才覚の持ち主と云われ、王宮の者たちからも将来を嘱望されていた。
そうした背景もあり今回の重要な獣王国への使者を任されたのであった。


「フゥー・・・」

「大丈夫か?ドルーマン」

「ん?なんだアーサーか。心配していないと言えば嘘にはなるな。なにせ相手はあの獣王だ。一筋縄ではいかんだろう」

「まぁまぁ、ハルトマンは王国内でも指折りの才の持ち主だ。きっと上手くやるさ。俺たちは吉報を待てばいい」

「ああ…そうだな」


こうしてハルトマンを含む五名の使者に護衛の騎士三十名を合わせた総勢三十五名の使節団が北の大山脈にある獣王国ビステリアへと出発したのだった。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 


五日後。
獣王国ビステリア ───── 玉座の間。


「獣王様、ご報告致します。ガルディア王国からの使節団が獣王様への謁見を求めてこちらに向かっております。数刻の後には到着致しますが、如何されますか?」

「あん?ガルディアの使節団?国王レオンハルトでも直々に来たのか?もし、クソみてぇ~な奴を使いで寄越していたらブッ殺してやるからな」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます! ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。 この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。 戦闘力ゼロ。 「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」 親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。 「感謝するぜ、囮として」 嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。 そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。 「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」 情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。 かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。 見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...