魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ

文字の大きさ
117 / 208

パスカル大山脈

しおりを挟む
獣王国ビステリアへと進軍を開始した国王軍。
道中に獣王国からの襲撃があることも考えられ周囲を警戒しながら行軍していたのだが、そのような気配は一切見られず順調に進行を続けていた。


「案外何も起きないものね」

「そうっすね~。なんか拍子抜けっす」

「いやいや…二人とも、何事も無い方が良いに決まってるよ」


今回の作戦に救護班として参加することになった宿り木。
これほどの大規模な戦いが初めてな彼女たちも進軍開始直後こそ緊張した姿が見て取れたのだが、時間の経過と共に少しずつそれも解けていき、さらに何事も起きない状況が続いたことも重なりリラックスした様子を見せ始めていた。


「アッハッハッハッハッ。相変わらずだな~お前らは」

「「「「「「 ガウェインさん!! 」」」」」」


そんなスズネたちに声を掛けてきたのは、王国聖騎士団団長にして十二の剣ナンバーズ第四席に名を連ねる男、ガウェインであった。

今回の作戦では、十の聖騎士団と二つの冒険者クランを合わせた十二の団を三組ずつ計四つの軍に分けている。
スズネたち宿り木は聖騎士長アーサーの軍に組み込まれ、ガウェイン率いる第四聖騎士団と同じ軍となっていた。

因みに、今回の軍の構成に関しては聖騎士長アーサー・第一席ランスロット・第二席トリスタン・第三席ケイによって話し合いが行われ振り分けられた。
そして、今回の進軍に参加しない三つの聖騎士団と魔法師団は王都メルサの防衛を任されたのであった。


=========================

【第一軍】
聖騎士長アーサー直属の団
第四聖騎士団
第十二聖騎士団
救護班(宿り木配置の班)


【第二軍】
第一聖騎士団
第八聖騎士団
トライデント
救護班


【第三軍】
第二聖騎士団
第七聖騎士団
第十聖騎士団
救護班


【第四軍】
第三聖騎士団
第十一聖騎士団
ローズガーデン
救護班

=========================


「いや~まさか同じ軍にお前らがいるとは思わなかったぜ。今回は救護班として同行するんだって?」

「はい。私たちこんなに大きな戦いに参加するのが初めてで不安もあるんですけど、少しでも皆さんの役に立てるように頑張ります!」

「アッハッハッ。気合い入ってんな。まぁ~あんまり張り切り過ぎないように気をつけるんだぞ」

「あの~ガウェインさんって戦争に参加したことってあるんすか?」

「うん?俺か?流石にここまでデカいものは経験が無いが、ヒト族同士や他種族との争いは何度もあるぞ」


ガウェインからの返答に少し戸惑いを覚えるスズネたち。
それはガウェインがどうということではなく、自分たち自身の無知に対するもの。
今回の戦争ほどの規模ではないにしろ、これまでにも種族間で何度も衝突があったということ。
さらに同じヒト族同士でもそういった事が起こっているという事実に言葉では言い表せない感情を抱いたのであった。


「どうした?何か変なことでも言ったか?」


スズネたちの微かな変化を察したガウェインが不思議そうな顔をしながら問い掛ける。


「いえ、なんか…アタシたちが知らないだけで争い事ってあちこちで起きてるんだなって思って・・・」

「基本的に種族間の問題で起きた争いには聖騎士団が派遣されるっすからね。今回みたいにウチら冒険者に話が来ること自体が珍しいことなんすよ」

「まぁ~そう深刻に考え過ぎるな。この世界に生きる全ての者たちがそれぞれ異なる時間や環境、文化の中で育ち、そして異なる教育を受けて学びを得てきたわけだからな。その考え方や捉え方が違っていて当然なんだ。それが時としてぶつかり合うこともあるってだけの話だ」

「でも…それを暴力で解決するっていうのは ──────── 」


ガウェインの話を聞く中でどうしても腑に落ちない部分があるようなのだが、それを上手く言葉にすることが出来ないスズネなのであった。


「スズネ、お前のその考えもまた一つの答えだ。そして、そんなお前と同じ想いを持って世界に変革を起こそうとしているのが現ガルディア王国国王レオンハルト様だ。今回お前たちは陛下の想いを受けてこの作戦に参加しているんだろ?」


どうやらガウェインはスズネたちが今回の作戦に参加している理由を知っているようだ。
国王レオンハルトと聖騎士長アーサー以外には口外されていないはずの情報を知っているというのは、彼が国王と聖騎士長から深く信頼されているということなのだろう。
そんなガウェインの言葉を優しい微笑みによって、今回の作戦における自分たちの役割と目的を再認識することが出来た宿り木なのであった。

そして、そうこうしている内に一同は最初の目的地となる場所へと到着する。
王都メルサを出発してから三時間ほどが経過し、順調に歩を進めてきた国王軍の目の前に大きな山々が姿を現したのだった。
獣王国ビステリアを囲むようにして守る難攻不落の天然要塞『パスカル大山脈』である。


「こっ…これが…パスカル大山脈」

「デ・・・デカい・・・」

「これを越えた先に獣王国ビステリアが」

「いったい何処から攻めるんだ?」


目的の地へと到着した国王軍であったのだが、その見上げるほどの高さと左右に大きく広がる広大な大山脈を前に騎士たちは驚きを隠すことが出来ず驚愕の声を漏らしたのだった。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


王国軍が目の前に聳え立つ大山脈に目を奪われていたその頃、獣王国に一報が伝えられていた。


「獣王様、ご報告致します。我が国に攻め入ろうとするガルディア軍がパスカル大山脈の麓へと到着した模様です」

「ようやく来たか!せっかく大人数で来たみたいだしな、しっかりもてなしてやろう。ただし ───── 俺たち獣人族のもてなしは少々過激だがな。ガーッハッハッハッハッハッハッ」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます! ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。 この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。 戦闘力ゼロ。 「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」 親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。 「感謝するぜ、囮として」 嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。 そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。 「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」 情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。 かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。 見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...