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パスカル大山脈
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獣王国ビステリアへと進軍を開始した国王軍。
道中に獣王国からの襲撃があることも考えられ周囲を警戒しながら行軍していたのだが、そのような気配は一切見られず順調に進行を続けていた。
「案外何も起きないものね」
「そうっすね~。なんか拍子抜けっす」
「いやいや…二人とも、何事も無い方が良いに決まってるよ」
今回の作戦に救護班として参加することになった宿り木。
これほどの大規模な戦いが初めてな彼女たちも進軍開始直後こそ緊張した姿が見て取れたのだが、時間の経過と共に少しずつそれも解けていき、さらに何事も起きない状況が続いたことも重なりリラックスした様子を見せ始めていた。
「アッハッハッハッハッ。相変わらずだな~お前らは」
「「「「「「 ガウェインさん!! 」」」」」」
そんなスズネたちに声を掛けてきたのは、王国聖騎士団団長にして十二の剣第四席に名を連ねる男、ガウェインであった。
今回の作戦では、十の聖騎士団と二つの冒険者クランを合わせた十二の団を三組ずつ計四つの軍に分けている。
スズネたち宿り木は聖騎士長アーサーの軍に組み込まれ、ガウェイン率いる第四聖騎士団と同じ軍となっていた。
因みに、今回の軍の構成に関しては聖騎士長アーサー・第一席ランスロット・第二席トリスタン・第三席ケイによって話し合いが行われ振り分けられた。
そして、今回の進軍に参加しない三つの聖騎士団と魔法師団は王都メルサの防衛を任されたのであった。
=========================
【第一軍】
聖騎士長アーサー直属の団
第四聖騎士団
第十二聖騎士団
救護班(宿り木配置の班)
【第二軍】
第一聖騎士団
第八聖騎士団
トライデント
救護班
【第三軍】
第二聖騎士団
第七聖騎士団
第十聖騎士団
救護班
【第四軍】
第三聖騎士団
第十一聖騎士団
ローズガーデン
救護班
=========================
「いや~まさか同じ軍にお前らがいるとは思わなかったぜ。今回は救護班として同行するんだって?」
「はい。私たちこんなに大きな戦いに参加するのが初めてで不安もあるんですけど、少しでも皆さんの役に立てるように頑張ります!」
「アッハッハッ。気合い入ってんな。まぁ~あんまり張り切り過ぎないように気をつけるんだぞ」
「あの~ガウェインさんって戦争に参加したことってあるんすか?」
「うん?俺か?流石にここまでデカいものは経験が無いが、ヒト族同士や他種族との争いは何度もあるぞ」
ガウェインからの返答に少し戸惑いを覚えるスズネたち。
それはガウェインがどうということではなく、自分たち自身の無知に対するもの。
今回の戦争ほどの規模ではないにしろ、これまでにも種族間で何度も衝突があったということ。
さらに同じヒト族同士でもそういった事が起こっているという事実に言葉では言い表せない感情を抱いたのであった。
「どうした?何か変なことでも言ったか?」
スズネたちの微かな変化を察したガウェインが不思議そうな顔をしながら問い掛ける。
「いえ、なんか…アタシたちが知らないだけで争い事ってあちこちで起きてるんだなって思って・・・」
「基本的に種族間の問題で起きた争いには聖騎士団が派遣されるっすからね。今回みたいにウチら冒険者に話が来ること自体が珍しいことなんすよ」
「まぁ~そう深刻に考え過ぎるな。この世界に生きる全ての者たちがそれぞれ異なる時間や環境、文化の中で育ち、そして異なる教育を受けて学びを得てきたわけだからな。その考え方や捉え方が違っていて当然なんだ。それが時としてぶつかり合うこともあるってだけの話だ」
「でも…それを暴力で解決するっていうのは ──────── 」
ガウェインの話を聞く中でどうしても腑に落ちない部分があるようなのだが、それを上手く言葉にすることが出来ないスズネなのであった。
「スズネ、お前のその考えもまた一つの答えだ。そして、そんなお前と同じ想いを持って世界に変革を起こそうとしているのが現ガルディア王国国王レオンハルト様だ。今回お前たちは陛下の想いを受けてこの作戦に参加しているんだろ?」
どうやらガウェインはスズネたちが今回の作戦に参加している理由を知っているようだ。
国王レオンハルトと聖騎士長アーサー以外には口外されていないはずの情報を知っているというのは、彼が国王と聖騎士長から深く信頼されているということなのだろう。
そんなガウェインの言葉を優しい微笑みによって、今回の作戦における自分たちの役割と目的を再認識することが出来た宿り木なのであった。
そして、そうこうしている内に一同は最初の目的地となる場所へと到着する。
王都メルサを出発してから三時間ほどが経過し、順調に歩を進めてきた国王軍の目の前に大きな山々が姿を現したのだった。
獣王国ビステリアを囲むようにして守る難攻不落の天然要塞『パスカル大山脈』である。
「こっ…これが…パスカル大山脈」
「デ・・・デカい・・・」
「これを越えた先に獣王国ビステリアが」
「いったい何処から攻めるんだ?」
目的の地へと到着した国王軍であったのだが、その見上げるほどの高さと左右に大きく広がる広大な大山脈を前に騎士たちは驚きを隠すことが出来ず驚愕の声を漏らしたのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
王国軍が目の前に聳え立つ大山脈に目を奪われていたその頃、獣王国に一報が伝えられていた。
「獣王様、ご報告致します。我が国に攻め入ろうとするガルディア軍がパスカル大山脈の麓へと到着した模様です」
「ようやく来たか!せっかく大人数で来たみたいだしな、しっかりもてなしてやろう。ただし ───── 俺たち獣人族のもてなしは少々過激だがな。ガーッハッハッハッハッハッハッ」
道中に獣王国からの襲撃があることも考えられ周囲を警戒しながら行軍していたのだが、そのような気配は一切見られず順調に進行を続けていた。
「案外何も起きないものね」
「そうっすね~。なんか拍子抜けっす」
「いやいや…二人とも、何事も無い方が良いに決まってるよ」
今回の作戦に救護班として参加することになった宿り木。
これほどの大規模な戦いが初めてな彼女たちも進軍開始直後こそ緊張した姿が見て取れたのだが、時間の経過と共に少しずつそれも解けていき、さらに何事も起きない状況が続いたことも重なりリラックスした様子を見せ始めていた。
「アッハッハッハッハッ。相変わらずだな~お前らは」
「「「「「「 ガウェインさん!! 」」」」」」
そんなスズネたちに声を掛けてきたのは、王国聖騎士団団長にして十二の剣第四席に名を連ねる男、ガウェインであった。
今回の作戦では、十の聖騎士団と二つの冒険者クランを合わせた十二の団を三組ずつ計四つの軍に分けている。
スズネたち宿り木は聖騎士長アーサーの軍に組み込まれ、ガウェイン率いる第四聖騎士団と同じ軍となっていた。
因みに、今回の軍の構成に関しては聖騎士長アーサー・第一席ランスロット・第二席トリスタン・第三席ケイによって話し合いが行われ振り分けられた。
そして、今回の進軍に参加しない三つの聖騎士団と魔法師団は王都メルサの防衛を任されたのであった。
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【第一軍】
聖騎士長アーサー直属の団
第四聖騎士団
第十二聖騎士団
救護班(宿り木配置の班)
【第二軍】
第一聖騎士団
第八聖騎士団
トライデント
救護班
【第三軍】
第二聖騎士団
第七聖騎士団
第十聖騎士団
救護班
【第四軍】
第三聖騎士団
第十一聖騎士団
ローズガーデン
救護班
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「いや~まさか同じ軍にお前らがいるとは思わなかったぜ。今回は救護班として同行するんだって?」
「はい。私たちこんなに大きな戦いに参加するのが初めてで不安もあるんですけど、少しでも皆さんの役に立てるように頑張ります!」
「アッハッハッ。気合い入ってんな。まぁ~あんまり張り切り過ぎないように気をつけるんだぞ」
「あの~ガウェインさんって戦争に参加したことってあるんすか?」
「うん?俺か?流石にここまでデカいものは経験が無いが、ヒト族同士や他種族との争いは何度もあるぞ」
ガウェインからの返答に少し戸惑いを覚えるスズネたち。
それはガウェインがどうということではなく、自分たち自身の無知に対するもの。
今回の戦争ほどの規模ではないにしろ、これまでにも種族間で何度も衝突があったということ。
さらに同じヒト族同士でもそういった事が起こっているという事実に言葉では言い表せない感情を抱いたのであった。
「どうした?何か変なことでも言ったか?」
スズネたちの微かな変化を察したガウェインが不思議そうな顔をしながら問い掛ける。
「いえ、なんか…アタシたちが知らないだけで争い事ってあちこちで起きてるんだなって思って・・・」
「基本的に種族間の問題で起きた争いには聖騎士団が派遣されるっすからね。今回みたいにウチら冒険者に話が来ること自体が珍しいことなんすよ」
「まぁ~そう深刻に考え過ぎるな。この世界に生きる全ての者たちがそれぞれ異なる時間や環境、文化の中で育ち、そして異なる教育を受けて学びを得てきたわけだからな。その考え方や捉え方が違っていて当然なんだ。それが時としてぶつかり合うこともあるってだけの話だ」
「でも…それを暴力で解決するっていうのは ──────── 」
ガウェインの話を聞く中でどうしても腑に落ちない部分があるようなのだが、それを上手く言葉にすることが出来ないスズネなのであった。
「スズネ、お前のその考えもまた一つの答えだ。そして、そんなお前と同じ想いを持って世界に変革を起こそうとしているのが現ガルディア王国国王レオンハルト様だ。今回お前たちは陛下の想いを受けてこの作戦に参加しているんだろ?」
どうやらガウェインはスズネたちが今回の作戦に参加している理由を知っているようだ。
国王レオンハルトと聖騎士長アーサー以外には口外されていないはずの情報を知っているというのは、彼が国王と聖騎士長から深く信頼されているということなのだろう。
そんなガウェインの言葉を優しい微笑みによって、今回の作戦における自分たちの役割と目的を再認識することが出来た宿り木なのであった。
そして、そうこうしている内に一同は最初の目的地となる場所へと到着する。
王都メルサを出発してから三時間ほどが経過し、順調に歩を進めてきた国王軍の目の前に大きな山々が姿を現したのだった。
獣王国ビステリアを囲むようにして守る難攻不落の天然要塞『パスカル大山脈』である。
「こっ…これが…パスカル大山脈」
「デ・・・デカい・・・」
「これを越えた先に獣王国ビステリアが」
「いったい何処から攻めるんだ?」
目的の地へと到着した国王軍であったのだが、その見上げるほどの高さと左右に大きく広がる広大な大山脈を前に騎士たちは驚きを隠すことが出来ず驚愕の声を漏らしたのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
王国軍が目の前に聳え立つ大山脈に目を奪われていたその頃、獣王国に一報が伝えられていた。
「獣王様、ご報告致します。我が国に攻め入ろうとするガルディア軍がパスカル大山脈の麓へと到着した模様です」
「ようやく来たか!せっかく大人数で来たみたいだしな、しっかりもてなしてやろう。ただし ───── 俺たち獣人族のもてなしは少々過激だがな。ガーッハッハッハッハッハッハッ」
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