魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ

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対峙

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パスカル大山脈へと入山した王国軍。
各軍が獣王国へ向けて歩みを進める中、それを阻むかのように魔獣の群れが現れたり、急な霧の発生により足止めをくらったりとなかなか思うように進軍することが出来ずにいた。


~ 第三軍 ~

「トリスタン様、先遣隊より報告が入りました。前方にて濃霧が発生しており進軍が困難とのことです」

「了解した。ベディヴィアとグリフレットにも全軍停止と伝えよ」

「ハッ!」


ただでさえ陽の光が入らない山中において、突如として発生した濃度の濃い霧によって数メートル先の景色さえも遮られる。
それは先を急ぐ王国軍にとって少なからずストレスとなりじわりじわりと精神を削っていく。
そんな彼らには一時の猶予すら与えられることはなく、視界の悪さに苦しむ中で漆黒の狼ブラックウルフ大爪熊ベアクロー魔猪ワイルドボア粘魔体スライムなどの魔獣による強襲を受け応戦せざるを得ないのであった。

険しい山道、思うように進まない歩み、濃霧による視界の遮断、魔獣による強襲、慣れない山中での戦闘、それらによって騎士たちは必要以上に体力と精神を疲弊させていく。
そして入山から二時間が経ち、獣王国までまだ半分の道のりも進んでいない中で騎士たちは疲れを見せ始めていた。


~ 第二軍 ~

「おい、そろそろ出発するぞ」

「えっ!?」お言葉ですがランスロット様、まだ霧も濃く視界も悪い中での行軍は危険かと。またいつ何処から魔獣の群れが現れるかも分かりません」

「それがどうした?」

「い…いえ、もしまた強襲を受けるような事になっては ─────── 」

「気配察知の範囲を広げさせろ。そうすれば霧があろうが獣の気配や殺気くらい分かるだろ?ガレスと冒険者どもにも言っておけ。俺の軍に弱者は必要ない」

「は…はい。畏まりました」


この時点で最も進軍していたのはランスロットが率いる第二軍であった。
それは他の軍を率いる軍長たちが状況や自軍の騎士たちの状態などを鑑みながら進軍していることに比べ、多少強引にでも軍を進めてきたからである。
それでもランスロットが団長を務める第二聖騎士団が前線で戦い魔獣を殲滅することによって軍の被害はほとんど無かった。


~ 第四軍 ~

「ケイ様、魔猪ワイルドボアの群れ討伐完了致しました」

「了解しました。皆さんご苦労様でした。それでは少し休息の時間を取りましょう。この霧の中での戦闘で皆さんいつも以上に披露しているはずです」

「確かにこの状況では常に気を張り続けねばなりませんからね。負傷者の治療もありますので賢明な判断だと思います」

「フフフフフ。では、十五分休憩したのち作戦を再開します。エクター様とシャルロッテ様にもそのようにお伝えください」

「畏まりました」


第二・第三・第四軍が濃霧と度重なる魔獣の強襲を受けながらもなんとか進軍を続けている中、アーサー率いる第一軍の状況は他の軍と異なっていた。


何も起きない ──────── 。


パスカル大山脈に足を踏み入れてからずっとそんな状況が続いていたのだ。
いつ何時戦闘が始まるかも分からないということもあり、アーサーは騎士たちの疲労を考え小まめに休息を挟みながら進軍していた。
しかし、そんなアーサーの考えとは相反して何も起きない。
突如として霧が発生することもなければ、魔獣の群れが襲ってくることも獣王国からの襲撃を受けることもない。
順調といえば聞こえは良いが、この状況はあまりにも不気味であり、作為的なのではと勘繰りたくもなる。


「アーサー様、ここまで何も起こらないと ────── 」

「ああ、何か作為的なものを感じるな」

「やはり獣王による策か何かでしょうか?」

「そう考えるべきだ。今の獣王は一癖も二癖もある人物だからな…。皆に警戒を怠らないよう注意させておいてくれ」

「畏まりました」


何かある。
そう思いながら進軍を続ける第一軍であったのだが、その後も結局何かが起こることはなかった。
そして、王国軍がパスカル大山脈に足を踏み入れてから三時間を超えた頃、ようやく山の中腹へと辿り着いたのであった。
そのタイミングは計られたように各軍ほぼ同時となり、それぞれが残り半分の攻略に向けて準備を進めていた。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


~ 獣王国 ~

「獣王様、ガルディア軍がようやく山の中腹へと到着致しました」

「おお、やっとか。まったくヒト族ってのは軟弱だな。こんな山くらい三十分で登りきれよ」

「それは我々獣人族でも不可能です。そのような離れ業が出来るのは獣王様だけですよ」

「ガーッハッハッハッ。どいつもこいつも鍛錬が足りねぇ~んじゃないのか?まぁ~いい、中腹まで来たってことはそろそろあいつらも動き出す頃だろう。せいぜい楽しませてくれよガルディア軍」



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


~ 第四軍休息地 ~

「ガルルルル…。やっと来やがったかガルディア軍。全員食い千切ってやる」

「あんまり山を汚さないでほしいピョン」

「確かにヒト族なんかの血で我らの土地を汚されたくはないわね。ゆっくりと絞め殺してあげましょう」


~ 第三軍休息地 ~

「侵略者どもが来たようだ。さっさと片付けるぞ」

「クワックワックワッ。やっと出番かい。我らの土地に足を踏み入れたことを後悔させてやるよん」

「蹴り殺す・・・全員血祭りだ!!」


~ 第二軍休息地 ~

「ウッキッキッ。わざわざ殺されに来るなんて馬鹿なやつらッキ」

「はしゃいでヘマすんなよ猿!」

「はぁ?誰に言ってるッキか?お前こそやられそうになってキャンキャン喚くなよ犬っころ!!」

「先にお前から噛み殺してやろうか?猿野郎…」

「やれるもんならやってみろッキー」

「イノッシッシッ。二人とも戯れ合うのはそこまでにしましょう。我々には目の前の蛮族どもに鉄槌を下すという使命があるのですからね。猪突猛進ですよーーー!!」


~ 第一軍休息地 ~

「・・・・・」

「さぁ~て~、ヒト族も~現れましたし~、そろそろ~始めましょうか~」

「はぁ~…面倒臭いなぁ…。そもそもドランさんがいれば僕たち必要ないでしょ…」

「そんなこと~言わないの~。これは~獣人族の~誇りを賭けた~戦いよ~」

「はぁ~分かりましたよ…。メールさんには敵わないなぁ…」

「・・・・・」



─────────────────────────


そして、その時は突然訪れる。


ドーーーーーーン!!!!!


「アーサー様、突如前方に敵が現れました!」

「獣王国か!!」

「はい。率いているのは十二支臣かと思われます」


この時、他の軍の前にも同じように獣王国の軍勢が姿を現していたのだった。
まさに一触即発。
疲労の色を隠せない王国軍に対しやる気満々の獣王国軍。
そして、両者の睨み合いは一分と経たず終わりを迎える。


「ガオーーーーーーーーー」


パスカル大山脈中に響き渡る大きな咆哮が放たれる。
それは、標的を前に興奮を抑えることが出来ない猛獣による開戦の合図であった。


「ガルルルル…。さぁ~さぁ~始めようぜ!ガルディア軍!!」


=========================


【第一軍戦闘地】

(王国軍)
聖騎士長:アーサー
第四席:ガウェイン
第十二席:ガラハッド

(獣王国軍)
辰:炎獄のドラン
未:幻惑のメール
子:月日のマウルス


【第二軍戦闘地】

(王国軍)
第一席:ランスロット
第八席:ガレス
トライデント:アルバート

(獣王国軍)
申:妖猿サルザール
戌:噛砕ドルグ
亥:猛進ボウア


【第三軍戦闘地】

(王国軍)
第二席:トリスタン
第七席:ベディヴィア
第十席:グリフレット

(獣王国軍)
丑:闘牛のブル
酉:飛翔バルバドール
午:暴脚ホルス


【第四軍戦闘地】

(王国軍)
第三席:ケイ
第十一席:エクター
ローズガーデン:シャルロッテ

(獣王国軍)
寅:猛獣タイガード
卯:跳弾ピヨン
巳:万毒のスネル



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