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「アルマーニ・カレン、君との婚約を破棄させてもらう。そして、アルマーニ・ハルカを婚約者とすることをここに誓う」
殿下の宣言に、耳を疑った。
私との婚約を破棄して、妹のハルカを婚約者に選ぶ!?
そんなの納得いきません。でも…やっぱりそうだったのですね。
私と殿下は同じ学園に通っていた。
そして、数時間前に卒業式を終え、今はその歓迎会としてのパーティーに参加している。
せっかくの卒業パーティーは、嫌な記憶として一生脳裏に焼きつきそうだ。
夜空には無数の星々がパーティーを祝うように、煌びやかに彩っているのに対し、現状として、アウス殿下に婚約破棄を宣言されてしまった。
内心、立ち直れないくらいにショックを受けていますが、大事なパーティーですので、涙を流すのは城に帰ってからにします。
「アウス殿下……それは一体、何故でしょう? 私のことを愛しているとあんなにも……」
なんて訊いてはいるけれど、薄々気づいていたことではありました。
殿下は最近、考えなくとも分かるくらいに素っ気なかったので……。
「本当に申し訳ないと思っている。だが、僕はハルカに心を奪われてしまったのだ。これはもしかするといけないことなのかもしれないと理解はしていたが、どうしても気持ちが収まらないんだ。だから、すまない。僕は、君との婚約を解消して、ハルカを婚約者とすることにしたのだ」
殿下は、妹のハルカの元へと近づき、手を握る。
それを見ると同時に、何だかすごく、胸が熱くなるのを感じた。
「ごめんなさい……お姉様。ですが、私も殿下のことを愛してしまいました。もう引き返すことなどできません」
心なしか妹の表情は、勝ち誇っているように見えた。
優越感に浸っているのだろうか。
普段はいい子なのだけれど、私に対する嫉妬心が強いハルカのこと。
その態度にも、納得がいってしまうのが少し悲しいです。
「そうですか。それでしたらもう、私は何も言いません。ただ、互いに両親を説得する手段はありますの?」
すると、二人は顔を見合わせて顔色を赤く染める。
なんだか、嫌な予感がします。
「まさかとは思いますが、その……純潔を捧げたりなんてしてないわよね、ハルカ……?」
「そ、その……一応まあ……そういったことは」
煮え切らない様子から察してしまいました。
「そ、そんな! アウス殿下何をお考えなのですか!」
「な、なんだそんなに焦って!」
そう、二人はとんでもないことをやらかしてしまったということに……。
国の掟に触れてしまったのです。
殿下の宣言に、耳を疑った。
私との婚約を破棄して、妹のハルカを婚約者に選ぶ!?
そんなの納得いきません。でも…やっぱりそうだったのですね。
私と殿下は同じ学園に通っていた。
そして、数時間前に卒業式を終え、今はその歓迎会としてのパーティーに参加している。
せっかくの卒業パーティーは、嫌な記憶として一生脳裏に焼きつきそうだ。
夜空には無数の星々がパーティーを祝うように、煌びやかに彩っているのに対し、現状として、アウス殿下に婚約破棄を宣言されてしまった。
内心、立ち直れないくらいにショックを受けていますが、大事なパーティーですので、涙を流すのは城に帰ってからにします。
「アウス殿下……それは一体、何故でしょう? 私のことを愛しているとあんなにも……」
なんて訊いてはいるけれど、薄々気づいていたことではありました。
殿下は最近、考えなくとも分かるくらいに素っ気なかったので……。
「本当に申し訳ないと思っている。だが、僕はハルカに心を奪われてしまったのだ。これはもしかするといけないことなのかもしれないと理解はしていたが、どうしても気持ちが収まらないんだ。だから、すまない。僕は、君との婚約を解消して、ハルカを婚約者とすることにしたのだ」
殿下は、妹のハルカの元へと近づき、手を握る。
それを見ると同時に、何だかすごく、胸が熱くなるのを感じた。
「ごめんなさい……お姉様。ですが、私も殿下のことを愛してしまいました。もう引き返すことなどできません」
心なしか妹の表情は、勝ち誇っているように見えた。
優越感に浸っているのだろうか。
普段はいい子なのだけれど、私に対する嫉妬心が強いハルカのこと。
その態度にも、納得がいってしまうのが少し悲しいです。
「そうですか。それでしたらもう、私は何も言いません。ただ、互いに両親を説得する手段はありますの?」
すると、二人は顔を見合わせて顔色を赤く染める。
なんだか、嫌な予感がします。
「まさかとは思いますが、その……純潔を捧げたりなんてしてないわよね、ハルカ……?」
「そ、その……一応まあ……そういったことは」
煮え切らない様子から察してしまいました。
「そ、そんな! アウス殿下何をお考えなのですか!」
「な、なんだそんなに焦って!」
そう、二人はとんでもないことをやらかしてしまったということに……。
国の掟に触れてしまったのです。
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