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4話
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「追放だと……。この私が……そんなこと断じてありえない! 私は今、皆のメリッサの洗脳を解くために闘う!」
「先ほど、無様に宙を舞っていたのにも関わらずまだやるおつもりですか……物好きなお方ですこと」
「うるさい! 全部お前のせいだメリッサ! 私はお前の魔の手から皆を救うのだァァァァァ‼︎」
ルーザ王子は、雄叫びを上げて私に飛びかかる勢いで突っ込んでくる。
闘うって、そういうことでしたか……生身の私を襲うなんてどこまで卑劣な。
ですが、私は弱くとも私の衛兵は強いですからね。
「いい加減にしてはどうですか? 僕は貴方を命が滅ぼうと許すことはありませんよ!」
ずっと黙っていたマルコスが叫ぶように言い放つと、ルーザ王子の心を打ち砕くような華麗な剣技を魅せる。
「マルコス……! 元平民のお前が私にそんな口を利いていいと思っているのかあああああ!!」
血管を顔中に浮き上がらせて、ルーザ王子はマルコスの頭上目掛けて剣を振り下ろす。
しかしながら、またも残念な結果になりそうだ。
マルコスがその剣を払い除けたのだ。
それどころか、折ってしまった。
「どういうことだ……この剣は黒曜石をふんだんに使用して造られた代物だというのに! 特に何の加工も施されてない普通の剣で二つに折っただと?!」
折れた刃が、宙を舞い地面を強く叩いた。
うるさい金属音が鼓膜に響く。
「あたりまえです。僕は剣士です。如何なる相手にも屈せず勝たなければいけません。それが僕の使命なのですから」
「何を格好つけたことを。それじゃあまるで、私が悪役のようじゃないか!」
「残念ですが、ルーザ王子は悪役でしかありません」
「まったく、メリッサの言うとおりだ。ルーザ、もうすぐ他の兵士もこの屋敷にやってくる。もう茶番はここまでだ。大人くししておけ」
皇帝陛下は、立ちすくむルーザ王子にゆっくりと近づくと、目にも留まらぬ速さで思いっきり彼の頬を殴った。
「単純な力比べなら、ワシはまだまだ強いぞ。少なくとも国を治めるものとしての武力はある。ドルリアス王国にお前は要らん。よーく聞いておけ。お前は国民でも何でもない! ただの罪人だ!」
その言葉はルーザ王子の耳にしっかり届いたのだろうか。
殴られた途端に気を失ったルーザ王子のことだ。おそらく、何もわからぬまま気づけば知らない土地に運ばれていることだろう。
間も無くすると、たくさんの兵士が到着し、気を失っているルーザ王子を連れ去っていった。
数日後、マルコスがドルリアス家の養子として受け入れられた。
ルーザ王子の身分はマルコスに無事変わったというわけだ。
強くて正義感の強い、マルコスであれば国をしっかりと守ってくれそうだ。
そして、私は今、奇妙な場面に直面している。
「メリッサ様……僕と婚約してはくれませんでしょうか……?」
「マルコス、急に何を言い出すのです?!」
「僕は、前からずっとメリッサ様のことが好きでした。ですが、その気持ちに蓋をしていました。今となっては隠す必要もありませんし、一生幸せにするので僕と婚約してください」
「いいえ! 次こそは慎重に殿方を選びたいので! まずは、お友達からということで構いませんか?」
「勿論、光栄です。是非、よろしくお願い致します」
それから三年が経った今、マルコスがドルリアス王国の皇帝の座を継ぎ、私は彼の妻として、幸せに暮らしている。
気になるルーザ(元)王子はというと、他国の畑で一日中休むことなく農作に励んでいるという。
「先ほど、無様に宙を舞っていたのにも関わらずまだやるおつもりですか……物好きなお方ですこと」
「うるさい! 全部お前のせいだメリッサ! 私はお前の魔の手から皆を救うのだァァァァァ‼︎」
ルーザ王子は、雄叫びを上げて私に飛びかかる勢いで突っ込んでくる。
闘うって、そういうことでしたか……生身の私を襲うなんてどこまで卑劣な。
ですが、私は弱くとも私の衛兵は強いですからね。
「いい加減にしてはどうですか? 僕は貴方を命が滅ぼうと許すことはありませんよ!」
ずっと黙っていたマルコスが叫ぶように言い放つと、ルーザ王子の心を打ち砕くような華麗な剣技を魅せる。
「マルコス……! 元平民のお前が私にそんな口を利いていいと思っているのかあああああ!!」
血管を顔中に浮き上がらせて、ルーザ王子はマルコスの頭上目掛けて剣を振り下ろす。
しかしながら、またも残念な結果になりそうだ。
マルコスがその剣を払い除けたのだ。
それどころか、折ってしまった。
「どういうことだ……この剣は黒曜石をふんだんに使用して造られた代物だというのに! 特に何の加工も施されてない普通の剣で二つに折っただと?!」
折れた刃が、宙を舞い地面を強く叩いた。
うるさい金属音が鼓膜に響く。
「あたりまえです。僕は剣士です。如何なる相手にも屈せず勝たなければいけません。それが僕の使命なのですから」
「何を格好つけたことを。それじゃあまるで、私が悪役のようじゃないか!」
「残念ですが、ルーザ王子は悪役でしかありません」
「まったく、メリッサの言うとおりだ。ルーザ、もうすぐ他の兵士もこの屋敷にやってくる。もう茶番はここまでだ。大人くししておけ」
皇帝陛下は、立ちすくむルーザ王子にゆっくりと近づくと、目にも留まらぬ速さで思いっきり彼の頬を殴った。
「単純な力比べなら、ワシはまだまだ強いぞ。少なくとも国を治めるものとしての武力はある。ドルリアス王国にお前は要らん。よーく聞いておけ。お前は国民でも何でもない! ただの罪人だ!」
その言葉はルーザ王子の耳にしっかり届いたのだろうか。
殴られた途端に気を失ったルーザ王子のことだ。おそらく、何もわからぬまま気づけば知らない土地に運ばれていることだろう。
間も無くすると、たくさんの兵士が到着し、気を失っているルーザ王子を連れ去っていった。
数日後、マルコスがドルリアス家の養子として受け入れられた。
ルーザ王子の身分はマルコスに無事変わったというわけだ。
強くて正義感の強い、マルコスであれば国をしっかりと守ってくれそうだ。
そして、私は今、奇妙な場面に直面している。
「メリッサ様……僕と婚約してはくれませんでしょうか……?」
「マルコス、急に何を言い出すのです?!」
「僕は、前からずっとメリッサ様のことが好きでした。ですが、その気持ちに蓋をしていました。今となっては隠す必要もありませんし、一生幸せにするので僕と婚約してください」
「いいえ! 次こそは慎重に殿方を選びたいので! まずは、お友達からということで構いませんか?」
「勿論、光栄です。是非、よろしくお願い致します」
それから三年が経った今、マルコスがドルリアス王国の皇帝の座を継ぎ、私は彼の妻として、幸せに暮らしている。
気になるルーザ(元)王子はというと、他国の畑で一日中休むことなく農作に励んでいるという。
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