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3話
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「この男が時期国王だと……そんな馬鹿げた話があるものか! マルコスは貴族でも何でもない! 武術の才のみでのし上がってきた兵士だぞ!」
ルーザ王子は、胸のあたりを苦しそうにおさえながら、恐ろしい形相でこちらを睨む。
「仮にもし、武術の才のみでマルコス様が国王まで上り詰めるというのならば、それは本当に凄まじいことですね。馬鹿げた話どころか、伝説となりそうですが?」
「メリッサの言う通りだ。ルーザよ、人は地位ではなく中身で決まる。どんな功績を残したか、どんな性格をしているか、それが一番重要なんだ。生まれ持った権力だけが取り柄のお前では話にならん。貴様が国王になる方がよっぽど馬鹿げた話だ。そもそも王とは、国を統治する者だ。民を想う心が最も重要であり、民のために命を捧げる覚悟のある者にしか務まらん」
流石は、皇帝陛下様だ。
誰よりも愛のある国王で本当に良かったと、言葉一つ一つから実感できる。
「お父様は、何も分かっておられない……いいですか? 人間の価値とは生まれたその時に決まるものです。身分と容姿。その二つが優れている人間こそ、選ばれし者であり、権能が与えられる。つまりは、私こそが真の国王候補なわけです!」
「ほう? 馬鹿は滅びても治らんなどというが、ルーザのことだったとはな」
「お父様……いや、皇帝陛下……それは流石に私を侮辱しすぎてはいませんか?」
「そんなことはない。現にお前は今ひとりだ」
「ひとり……? 何の話です?」
「誰も助けてくれないということだ。兵士も今やメリッサ側についている。親である私ですら彼女側の人間だ」
「それはメリッサの手によって騙されているからで……」
「いいや違うな。彼女の正義に惹かれたからだ。兵士にも私にも心があるからだ。正しくないと思う者に、従うことに拒絶を覚えたからだ!」
私の正義。
そう言われると、なんだかむず痒い気持ちになると同時に、少しの罪悪感が湧く。
たしかに結果的に、ルーザ王子を更生させるいい機会にはなるが、あくまでこれは復讐の一環だ。
正義感からではなく復讐心からの行動であり、利己的なものだからだ。
「皇帝陛下様、私は正義ではなくあくまで彼に恨みがあるからですよ……」
「それはわかっているさ。しかし、恨まれる行いを数えきれぬほど重ねてきたのは紛れもなくルーザという男の責任だ。そこで、提案がある。ルーザはドルリアス家から追放しようと思う」
ルーザ王子は、胸のあたりを苦しそうにおさえながら、恐ろしい形相でこちらを睨む。
「仮にもし、武術の才のみでマルコス様が国王まで上り詰めるというのならば、それは本当に凄まじいことですね。馬鹿げた話どころか、伝説となりそうですが?」
「メリッサの言う通りだ。ルーザよ、人は地位ではなく中身で決まる。どんな功績を残したか、どんな性格をしているか、それが一番重要なんだ。生まれ持った権力だけが取り柄のお前では話にならん。貴様が国王になる方がよっぽど馬鹿げた話だ。そもそも王とは、国を統治する者だ。民を想う心が最も重要であり、民のために命を捧げる覚悟のある者にしか務まらん」
流石は、皇帝陛下様だ。
誰よりも愛のある国王で本当に良かったと、言葉一つ一つから実感できる。
「お父様は、何も分かっておられない……いいですか? 人間の価値とは生まれたその時に決まるものです。身分と容姿。その二つが優れている人間こそ、選ばれし者であり、権能が与えられる。つまりは、私こそが真の国王候補なわけです!」
「ほう? 馬鹿は滅びても治らんなどというが、ルーザのことだったとはな」
「お父様……いや、皇帝陛下……それは流石に私を侮辱しすぎてはいませんか?」
「そんなことはない。現にお前は今ひとりだ」
「ひとり……? 何の話です?」
「誰も助けてくれないということだ。兵士も今やメリッサ側についている。親である私ですら彼女側の人間だ」
「それはメリッサの手によって騙されているからで……」
「いいや違うな。彼女の正義に惹かれたからだ。兵士にも私にも心があるからだ。正しくないと思う者に、従うことに拒絶を覚えたからだ!」
私の正義。
そう言われると、なんだかむず痒い気持ちになると同時に、少しの罪悪感が湧く。
たしかに結果的に、ルーザ王子を更生させるいい機会にはなるが、あくまでこれは復讐の一環だ。
正義感からではなく復讐心からの行動であり、利己的なものだからだ。
「皇帝陛下様、私は正義ではなくあくまで彼に恨みがあるからですよ……」
「それはわかっているさ。しかし、恨まれる行いを数えきれぬほど重ねてきたのは紛れもなくルーザという男の責任だ。そこで、提案がある。ルーザはドルリアス家から追放しようと思う」
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