5 / 5
4話
しおりを挟む
「追放だと……。この私が……そんなこと断じてありえない! 私は今、皆のメリッサの洗脳を解くために闘う!」
「先ほど、無様に宙を舞っていたのにも関わらずまだやるおつもりですか……物好きなお方ですこと」
「うるさい! 全部お前のせいだメリッサ! 私はお前の魔の手から皆を救うのだァァァァァ‼︎」
ルーザ王子は、雄叫びを上げて私に飛びかかる勢いで突っ込んでくる。
闘うって、そういうことでしたか……生身の私を襲うなんてどこまで卑劣な。
ですが、私は弱くとも私の衛兵は強いですからね。
「いい加減にしてはどうですか? 僕は貴方を命が滅ぼうと許すことはありませんよ!」
ずっと黙っていたマルコスが叫ぶように言い放つと、ルーザ王子の心を打ち砕くような華麗な剣技を魅せる。
「マルコス……! 元平民のお前が私にそんな口を利いていいと思っているのかあああああ!!」
血管を顔中に浮き上がらせて、ルーザ王子はマルコスの頭上目掛けて剣を振り下ろす。
しかしながら、またも残念な結果になりそうだ。
マルコスがその剣を払い除けたのだ。
それどころか、折ってしまった。
「どういうことだ……この剣は黒曜石をふんだんに使用して造られた代物だというのに! 特に何の加工も施されてない普通の剣で二つに折っただと?!」
折れた刃が、宙を舞い地面を強く叩いた。
うるさい金属音が鼓膜に響く。
「あたりまえです。僕は剣士です。如何なる相手にも屈せず勝たなければいけません。それが僕の使命なのですから」
「何を格好つけたことを。それじゃあまるで、私が悪役のようじゃないか!」
「残念ですが、ルーザ王子は悪役でしかありません」
「まったく、メリッサの言うとおりだ。ルーザ、もうすぐ他の兵士もこの屋敷にやってくる。もう茶番はここまでだ。大人くししておけ」
皇帝陛下は、立ちすくむルーザ王子にゆっくりと近づくと、目にも留まらぬ速さで思いっきり彼の頬を殴った。
「単純な力比べなら、ワシはまだまだ強いぞ。少なくとも国を治めるものとしての武力はある。ドルリアス王国にお前は要らん。よーく聞いておけ。お前は国民でも何でもない! ただの罪人だ!」
その言葉はルーザ王子の耳にしっかり届いたのだろうか。
殴られた途端に気を失ったルーザ王子のことだ。おそらく、何もわからぬまま気づけば知らない土地に運ばれていることだろう。
間も無くすると、たくさんの兵士が到着し、気を失っているルーザ王子を連れ去っていった。
数日後、マルコスがドルリアス家の養子として受け入れられた。
ルーザ王子の身分はマルコスに無事変わったというわけだ。
強くて正義感の強い、マルコスであれば国をしっかりと守ってくれそうだ。
そして、私は今、奇妙な場面に直面している。
「メリッサ様……僕と婚約してはくれませんでしょうか……?」
「マルコス、急に何を言い出すのです?!」
「僕は、前からずっとメリッサ様のことが好きでした。ですが、その気持ちに蓋をしていました。今となっては隠す必要もありませんし、一生幸せにするので僕と婚約してください」
「いいえ! 次こそは慎重に殿方を選びたいので! まずは、お友達からということで構いませんか?」
「勿論、光栄です。是非、よろしくお願い致します」
それから三年が経った今、マルコスがドルリアス王国の皇帝の座を継ぎ、私は彼の妻として、幸せに暮らしている。
気になるルーザ(元)王子はというと、他国の畑で一日中休むことなく農作に励んでいるという。
「先ほど、無様に宙を舞っていたのにも関わらずまだやるおつもりですか……物好きなお方ですこと」
「うるさい! 全部お前のせいだメリッサ! 私はお前の魔の手から皆を救うのだァァァァァ‼︎」
ルーザ王子は、雄叫びを上げて私に飛びかかる勢いで突っ込んでくる。
闘うって、そういうことでしたか……生身の私を襲うなんてどこまで卑劣な。
ですが、私は弱くとも私の衛兵は強いですからね。
「いい加減にしてはどうですか? 僕は貴方を命が滅ぼうと許すことはありませんよ!」
ずっと黙っていたマルコスが叫ぶように言い放つと、ルーザ王子の心を打ち砕くような華麗な剣技を魅せる。
「マルコス……! 元平民のお前が私にそんな口を利いていいと思っているのかあああああ!!」
血管を顔中に浮き上がらせて、ルーザ王子はマルコスの頭上目掛けて剣を振り下ろす。
しかしながら、またも残念な結果になりそうだ。
マルコスがその剣を払い除けたのだ。
それどころか、折ってしまった。
「どういうことだ……この剣は黒曜石をふんだんに使用して造られた代物だというのに! 特に何の加工も施されてない普通の剣で二つに折っただと?!」
折れた刃が、宙を舞い地面を強く叩いた。
うるさい金属音が鼓膜に響く。
「あたりまえです。僕は剣士です。如何なる相手にも屈せず勝たなければいけません。それが僕の使命なのですから」
「何を格好つけたことを。それじゃあまるで、私が悪役のようじゃないか!」
「残念ですが、ルーザ王子は悪役でしかありません」
「まったく、メリッサの言うとおりだ。ルーザ、もうすぐ他の兵士もこの屋敷にやってくる。もう茶番はここまでだ。大人くししておけ」
皇帝陛下は、立ちすくむルーザ王子にゆっくりと近づくと、目にも留まらぬ速さで思いっきり彼の頬を殴った。
「単純な力比べなら、ワシはまだまだ強いぞ。少なくとも国を治めるものとしての武力はある。ドルリアス王国にお前は要らん。よーく聞いておけ。お前は国民でも何でもない! ただの罪人だ!」
その言葉はルーザ王子の耳にしっかり届いたのだろうか。
殴られた途端に気を失ったルーザ王子のことだ。おそらく、何もわからぬまま気づけば知らない土地に運ばれていることだろう。
間も無くすると、たくさんの兵士が到着し、気を失っているルーザ王子を連れ去っていった。
数日後、マルコスがドルリアス家の養子として受け入れられた。
ルーザ王子の身分はマルコスに無事変わったというわけだ。
強くて正義感の強い、マルコスであれば国をしっかりと守ってくれそうだ。
そして、私は今、奇妙な場面に直面している。
「メリッサ様……僕と婚約してはくれませんでしょうか……?」
「マルコス、急に何を言い出すのです?!」
「僕は、前からずっとメリッサ様のことが好きでした。ですが、その気持ちに蓋をしていました。今となっては隠す必要もありませんし、一生幸せにするので僕と婚約してください」
「いいえ! 次こそは慎重に殿方を選びたいので! まずは、お友達からということで構いませんか?」
「勿論、光栄です。是非、よろしくお願い致します」
それから三年が経った今、マルコスがドルリアス王国の皇帝の座を継ぎ、私は彼の妻として、幸せに暮らしている。
気になるルーザ(元)王子はというと、他国の畑で一日中休むことなく農作に励んでいるという。
78
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
完結 白皙の神聖巫女は私でしたので、さようなら。今更婚約したいとか知りません。
音爽(ネソウ)
恋愛
もっとも色白で魔力あるものが神聖の巫女であると言われている国があった。
アデリナはそんな理由から巫女候補に祀り上げらて王太子の婚約者として選ばれた。だが、より色白で魔力が高いと噂の女性が現れたことで「彼女こそが巫女に違いない」と王子は婚約をした。ところが神聖巫女を選ぶ儀式祈祷がされた時、白色に光輝いたのはアデリナであった……
それが全てです 〜口は災の元〜
一 千之助
恋愛
主人公のモールドレにはヘンドリクセンという美貌の婚約者がいた。
男女の機微に疎く、誰かれ構わず優しくしてしまう彼に懸想する女性は数しれず。そしてその反動で、モールドレは敵対視する女性らから陰湿なイジメを受けていた。
ヘンドリクセンに相談するも虚しく、彼はモールドレの誤解だと軽く受け流し、彼女の言葉を取り合ってくれない。
……もう、お前みたいな婚約者、要らんわぁぁーっ!
ブチ切れしたモールドと大慌てするヘンドリクセンが別れ、その後、反省するお話。
☆自業自得はありますが、ざまあは皆無です。
☆計算出来ない男と、計算高い女の後日談つき。
☆最終的に茶番です。ちょいとツンデレ風味あります。
上記をふまえた上で、良いよと言う方は御笑覧ください♪
双子だからと捨てておいて、妹の代わりに死神辺境伯に嫁げと言われても従えません。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
ツビンズ公爵家の長女に生まれたパウリナだったが、畜生腹と忌み嫌われる双子であった上に、顔に醜い大きな痣があったため、殺されそうになった。なんとか筆頭家老のとりなしで教会の前に捨てられることになった。時が流れ、ツビンズ公爵家に死神と恐れられる成り上がりの猛将軍との縁談話を国王から命じられる。ツビンズ公爵家で大切に育てられていた妹のアイリンは、王太子と結婚して王妃になる事を望んでいて……
婚約破棄されたのでグルメ旅に出ます。後悔したって知りませんと言いましたよ、王子様。
みらいつりびと
恋愛
「汚らわしい魔女め! 即刻王宮から出て行け! おまえとの婚約は破棄する!」
月光と魔族の返り血を浴びているわたしに、ルカ王子が罵声を浴びせかけます。
王国の第二王子から婚約を破棄された伯爵令嬢の復讐の物語。
聖女姉妹の姉は、妹に婚約者を奪われました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私ミレッサと妹シアノは数週間前に聖女の力を得て、聖女姉妹と呼ばれていた。
一週間前に私はルグド王子、シアノは侯爵令息カインとの婚約が決まる。
そして――シアノの方が優秀だから、婚約者を変えたいとルグド王子が言い出した。
これはシアノの提案のようで、私は婚約者を奪われてしまう。
ルグド王子よりカインは遙かにいい人で、私は婚約者が変わったことを喜んでいた。
そして数ヶ月後――私の方が、妹より優れていることが判明した。
婚約者を奪われた私は、他国で新しい生活を送ります
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルクルは、エドガー王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。
聖女を好きにったようで、婚約破棄の理由を全て私のせいにしてきた。
聖女と王子が考えた嘘の言い分を家族は信じ、私に勘当を言い渡す。
平民になった私だけど、問題なく他国で新しい生活を送ることができていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
王国なのに皇帝?