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そろそろ帰ろうかと思い席を立ったら、博士に止められた。
「なぁ、お主の話では帝国軍は壊滅したんだよな?」
「正確には壊滅では無く無力化なんですが、まあ、戦場で無力化されれば壊滅と言っても良いでしょうね。」
「ふむ、そいつはちょっと不味いかもしれんぞ。」
「え?どう言う事ですか?」
作戦的には問題は無かったし、死傷者も出て居ない。
「帝都の軍隊ってのは帝国でも選りすぐりのエリートだ。相手がドラゴンとは言え壊滅ってのは不味いな。噂はすぐに広まる。恐らく数日で北の王国や西の共和国にもこの話は届くだろう。」
「噂だけで国が動くと言うのですか?」
「人と言うのは見たい物を見、聞きたい事を聞き、信じたい物を信じる愚かな生き物じゃ。帝国の弱みを握った2国は同盟を組み、速やかに軍を進めて来るだろう。」
「壊滅したのは帝都の軍だけですよ?帝国にはその何倍もの軍があるんでしょ?」
博士はゆっくりと首を横に振った。
「残念ながら、この大陸の3国は、そう言った愚かな行為を長い年月続けて来た歴史があるのじゃよ。」
「愚かにもほどがあるでしょう。いっその事、他の2国を滅ぼしましょうか?」
「お主が言うとシャレにならんぞ。」
いや、割とマジで滅ぼしたい。
「博士の予想ではどの位の確率で戦争になると考えているんですか?」
「70%と言った所じゃな。」
「フローネル嬢や皇帝は、そうなる事を解って居て、この作戦を決行したのでしょうか?」
博士は竜泉酒を一口飲んでから話を続ける。
「おそらくじゃが、予想はしておったと思う。仮に戦争になったとしても、軍は無傷、更にフローネル嬢やお主が居れば、戦争に負ける事は無いと考えたのではないかな?」
ん?僕も計算に入ってるの?意外に抜け目が無いなあの皇帝。だが、計算が甘いぞ、僕が計算に入っているなら、敵国は滅亡する。
「で、僕はどうしたら良いのでしょうか?」
「好きにすれば良いのでは無いか?フローネル嬢が居れば、おかしな事にはなるまい。」
「ちなみに僕、子爵位を持っているのですが、強制参加ですかね?」
「ほう?お主貴族か?それは難儀じゃのぉ。皇帝からの命令書が来れば拒む事は出来んぞ。」
やっぱりそうなるのか。いっそ、帝国を引き上げるかな?
「戦争に参加するのであれば、フローネル嬢の面倒を見てやって欲しい。幾ら力を付けたと言っても戦争に関しては素人じゃからな。」
「確かに戦術レベルで彼女が負ける事は無いでしょうが、戦争は戦略が重要ですからね。」
「お主は、そう言う所も抜け目が無さそうじゃからな。」
確かに戦略で戦争をコントロールする事は不可能ではない。だが。
「一介の子爵に参謀の真似をさせて貰えると思いますか?」
「全軍の指揮は無理じゃろうな。だが、フローネル嬢付きの参謀なら可能性はあるのでは無いか?」
なるほど、それはアリかもしれない。そうなればフローネル嬢の部隊が最大戦力になる。上手く立ち回れば、前線のコントロールは可能になる。
しかし、この戦争勝っても良い物なのだろうか?皇太子が統治する。大帝国になったら、国民は不幸になりそうだ。
「フローネル嬢を補佐する事には異論はありません。問題は、そうなると、この戦争に勝ってしまいますよ。」
「ふむ、勝つ事は悪い事ではないじゃろう?問題は戦後の処理じゃな。陛下なら何とかしてくれそうじゃが。皇太子が黙って居なさそうじゃな。」
「そこです。何とかあの皇太子を排除出来ないでしょうか?」
「難しいじゃろうな。」
「だとすれば、この戦争。勝たずに負けない程度に留めないとイケませんね。」
「そんな事が可能なのか?」
「フローネル嬢の協力があれば可能ですね。」
博士は難しい顔で何か考えている。
「これは、我々だけで話をしていても答えは出んな。皇帝とフローネル嬢を交えて話さなければ意味が無い。」
確かにそうだ。だいたい、皇帝陛下が戦争に勝つつもりなら、そもそも、この話合いに意味はない。
「もし、この戦争。勝つ事が前提ならば僕は参加しません。もし、負けない事に意義を見出したのなら、フローネル嬢の補佐を引き受けます。博士が陛下かフローネル嬢に会う事があったら、そう伝えて置いて下さい。」
「解った。私も、戦争の兆しが見えたら、進言するつもりなので覚えて置くよ。」
その日はそれで博士の家を辞した。
そう言えば、何で博士はあんなに皇帝の家族に影響力があるんだろう?進言するって言ってたし、皇帝と古い知り合いなのかな?
戦争は何としても回避したい。もし、3国が統一されてしまうと、いずれ大森林に手を付けるだろう。そうなると王国の存在がバレてしまう。統一された帝国と王国では圧倒的な戦力差がある。侵略されるのは目に見えている。
まあ、僕がそうはさせないが、それはそれで厄介だ。帝国にもそれなりの思い入れがあるので壊滅させてしまう訳にも行かない。
そもそも、北の王国と西の共和国の和平が成り立たなければ、戦争は起こらない。王国は帝国に縁談を申し込んでいる。これは同盟の申し込みと考えて良いだろう。帝国はまだ正式な返事をしていない。この状況で王国が、共和国との同盟を結ぶ可能性はどの位なのだろうか?
どうも3国とも戦争をしたくて仕方ない様な印象を受けるが、3国が2国になったらどうなるか、想像力を働かせた事が無いのであろうか?
そして、1週間が経過する。帝国が1匹のドラゴンに軍隊を壊滅させられたと言うニュースは王国も共和国も知る事となり。各国とも情報を集めている様だ。
帝国の市民は戦争が起こるのでは無いかと噂をしている。
僕も各国の動向が気になり、情報を集めているが、ネットワークが整っていないこの世界で、正しい情報を早く知るのは意外に難しい。
たまに博士の所にお邪魔するが、博士もそこまで詳しい情報を掴んでは居ない様だ。皇帝にもまだ会えていないらしい。
皇帝とフローネル嬢は帝都の軍隊の再編に忙しい様で、滅多に姿を現さないのだそうだ。
現段階では王国と共和国が接点を持ったと言う情報は入って居ないが、情報の速度が遅いこの世界では、既に会談を行っていても不思議ではない。
こうなったらルシルに王国と共和国の上空を飛んで貰うかな?そうすれば2国とも戦争どころでは無くなるはずだ。
そんな事を考えて居たら、共和国の首都の上空でドラゴンの目撃情報があったと言う情報が入って来た。
情報からすると古龍の様だ。ただ、大きさから推測するに竜王の爺さんでは無さそうだ。この大陸に古龍が居るとは思わなかった。是非会ってみたい。
サーチを駆使するが、なかなか引っ掛からない。共和国に乗り込むしか無いかな?
あ、そう言えば共和国の近くの森にドライアドが住んでいたな。彼女なら何か知って居るかもしれない。
転移で聖獣の森へ飛ぶ。久しぶりに来たが、前よりも緑が濃くなっている気がする。さて、ドライアドは何処だろう?サーチを掛けようとしたら目の前に女性が立っていた。
「お久しぶりです、使徒様。前と少し雰囲気が変わりましたね。」
ああ、多分神格が封印されているからだな。
「そうか?君は相変わらずの様で嬉しいよ。」
「今日は聖獣様に御用ですか?それとも神樹の葉?」
「いや、どちらでもない。君に用があって来た。最近この辺りで古龍を見なかったか?」
「古龍ですか?それなら共和国の更に西ですね。最近あそこに古龍が住み着いています。」
「助かる。何か困った事があったら連絡をくれ。」
そう言ってフライで上空へ飛ぶ。共和国の西と言う事は共和国の上を越えないとイケない。
僕のサイズならドラゴンと間違われる事は無いと思うが、慎重に行こう。すこし高度を上げて、共和国を横断する。
サーチに大きな反応が引っかかる。たぶん古龍だろう。
共和国を超えると巨大な森が広がっている。
徐々にサーチの反応が強くなる。古龍は気が付いているはずだが何故か動かない。
どう言う事だ?
「なぁ、お主の話では帝国軍は壊滅したんだよな?」
「正確には壊滅では無く無力化なんですが、まあ、戦場で無力化されれば壊滅と言っても良いでしょうね。」
「ふむ、そいつはちょっと不味いかもしれんぞ。」
「え?どう言う事ですか?」
作戦的には問題は無かったし、死傷者も出て居ない。
「帝都の軍隊ってのは帝国でも選りすぐりのエリートだ。相手がドラゴンとは言え壊滅ってのは不味いな。噂はすぐに広まる。恐らく数日で北の王国や西の共和国にもこの話は届くだろう。」
「噂だけで国が動くと言うのですか?」
「人と言うのは見たい物を見、聞きたい事を聞き、信じたい物を信じる愚かな生き物じゃ。帝国の弱みを握った2国は同盟を組み、速やかに軍を進めて来るだろう。」
「壊滅したのは帝都の軍だけですよ?帝国にはその何倍もの軍があるんでしょ?」
博士はゆっくりと首を横に振った。
「残念ながら、この大陸の3国は、そう言った愚かな行為を長い年月続けて来た歴史があるのじゃよ。」
「愚かにもほどがあるでしょう。いっその事、他の2国を滅ぼしましょうか?」
「お主が言うとシャレにならんぞ。」
いや、割とマジで滅ぼしたい。
「博士の予想ではどの位の確率で戦争になると考えているんですか?」
「70%と言った所じゃな。」
「フローネル嬢や皇帝は、そうなる事を解って居て、この作戦を決行したのでしょうか?」
博士は竜泉酒を一口飲んでから話を続ける。
「おそらくじゃが、予想はしておったと思う。仮に戦争になったとしても、軍は無傷、更にフローネル嬢やお主が居れば、戦争に負ける事は無いと考えたのではないかな?」
ん?僕も計算に入ってるの?意外に抜け目が無いなあの皇帝。だが、計算が甘いぞ、僕が計算に入っているなら、敵国は滅亡する。
「で、僕はどうしたら良いのでしょうか?」
「好きにすれば良いのでは無いか?フローネル嬢が居れば、おかしな事にはなるまい。」
「ちなみに僕、子爵位を持っているのですが、強制参加ですかね?」
「ほう?お主貴族か?それは難儀じゃのぉ。皇帝からの命令書が来れば拒む事は出来んぞ。」
やっぱりそうなるのか。いっそ、帝国を引き上げるかな?
「戦争に参加するのであれば、フローネル嬢の面倒を見てやって欲しい。幾ら力を付けたと言っても戦争に関しては素人じゃからな。」
「確かに戦術レベルで彼女が負ける事は無いでしょうが、戦争は戦略が重要ですからね。」
「お主は、そう言う所も抜け目が無さそうじゃからな。」
確かに戦略で戦争をコントロールする事は不可能ではない。だが。
「一介の子爵に参謀の真似をさせて貰えると思いますか?」
「全軍の指揮は無理じゃろうな。だが、フローネル嬢付きの参謀なら可能性はあるのでは無いか?」
なるほど、それはアリかもしれない。そうなればフローネル嬢の部隊が最大戦力になる。上手く立ち回れば、前線のコントロールは可能になる。
しかし、この戦争勝っても良い物なのだろうか?皇太子が統治する。大帝国になったら、国民は不幸になりそうだ。
「フローネル嬢を補佐する事には異論はありません。問題は、そうなると、この戦争に勝ってしまいますよ。」
「ふむ、勝つ事は悪い事ではないじゃろう?問題は戦後の処理じゃな。陛下なら何とかしてくれそうじゃが。皇太子が黙って居なさそうじゃな。」
「そこです。何とかあの皇太子を排除出来ないでしょうか?」
「難しいじゃろうな。」
「だとすれば、この戦争。勝たずに負けない程度に留めないとイケませんね。」
「そんな事が可能なのか?」
「フローネル嬢の協力があれば可能ですね。」
博士は難しい顔で何か考えている。
「これは、我々だけで話をしていても答えは出んな。皇帝とフローネル嬢を交えて話さなければ意味が無い。」
確かにそうだ。だいたい、皇帝陛下が戦争に勝つつもりなら、そもそも、この話合いに意味はない。
「もし、この戦争。勝つ事が前提ならば僕は参加しません。もし、負けない事に意義を見出したのなら、フローネル嬢の補佐を引き受けます。博士が陛下かフローネル嬢に会う事があったら、そう伝えて置いて下さい。」
「解った。私も、戦争の兆しが見えたら、進言するつもりなので覚えて置くよ。」
その日はそれで博士の家を辞した。
そう言えば、何で博士はあんなに皇帝の家族に影響力があるんだろう?進言するって言ってたし、皇帝と古い知り合いなのかな?
戦争は何としても回避したい。もし、3国が統一されてしまうと、いずれ大森林に手を付けるだろう。そうなると王国の存在がバレてしまう。統一された帝国と王国では圧倒的な戦力差がある。侵略されるのは目に見えている。
まあ、僕がそうはさせないが、それはそれで厄介だ。帝国にもそれなりの思い入れがあるので壊滅させてしまう訳にも行かない。
そもそも、北の王国と西の共和国の和平が成り立たなければ、戦争は起こらない。王国は帝国に縁談を申し込んでいる。これは同盟の申し込みと考えて良いだろう。帝国はまだ正式な返事をしていない。この状況で王国が、共和国との同盟を結ぶ可能性はどの位なのだろうか?
どうも3国とも戦争をしたくて仕方ない様な印象を受けるが、3国が2国になったらどうなるか、想像力を働かせた事が無いのであろうか?
そして、1週間が経過する。帝国が1匹のドラゴンに軍隊を壊滅させられたと言うニュースは王国も共和国も知る事となり。各国とも情報を集めている様だ。
帝国の市民は戦争が起こるのでは無いかと噂をしている。
僕も各国の動向が気になり、情報を集めているが、ネットワークが整っていないこの世界で、正しい情報を早く知るのは意外に難しい。
たまに博士の所にお邪魔するが、博士もそこまで詳しい情報を掴んでは居ない様だ。皇帝にもまだ会えていないらしい。
皇帝とフローネル嬢は帝都の軍隊の再編に忙しい様で、滅多に姿を現さないのだそうだ。
現段階では王国と共和国が接点を持ったと言う情報は入って居ないが、情報の速度が遅いこの世界では、既に会談を行っていても不思議ではない。
こうなったらルシルに王国と共和国の上空を飛んで貰うかな?そうすれば2国とも戦争どころでは無くなるはずだ。
そんな事を考えて居たら、共和国の首都の上空でドラゴンの目撃情報があったと言う情報が入って来た。
情報からすると古龍の様だ。ただ、大きさから推測するに竜王の爺さんでは無さそうだ。この大陸に古龍が居るとは思わなかった。是非会ってみたい。
サーチを駆使するが、なかなか引っ掛からない。共和国に乗り込むしか無いかな?
あ、そう言えば共和国の近くの森にドライアドが住んでいたな。彼女なら何か知って居るかもしれない。
転移で聖獣の森へ飛ぶ。久しぶりに来たが、前よりも緑が濃くなっている気がする。さて、ドライアドは何処だろう?サーチを掛けようとしたら目の前に女性が立っていた。
「お久しぶりです、使徒様。前と少し雰囲気が変わりましたね。」
ああ、多分神格が封印されているからだな。
「そうか?君は相変わらずの様で嬉しいよ。」
「今日は聖獣様に御用ですか?それとも神樹の葉?」
「いや、どちらでもない。君に用があって来た。最近この辺りで古龍を見なかったか?」
「古龍ですか?それなら共和国の更に西ですね。最近あそこに古龍が住み着いています。」
「助かる。何か困った事があったら連絡をくれ。」
そう言ってフライで上空へ飛ぶ。共和国の西と言う事は共和国の上を越えないとイケない。
僕のサイズならドラゴンと間違われる事は無いと思うが、慎重に行こう。すこし高度を上げて、共和国を横断する。
サーチに大きな反応が引っかかる。たぶん古龍だろう。
共和国を超えると巨大な森が広がっている。
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どう言う事だ?
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