転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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「ほう?我の存在を知らずにここに踏み入れたのか?余程の大物か、大馬鹿か、どっちにしろ生きては帰れんぞ。」

 やけに人間臭い喋り方をするアンデットだな。

「で、名前は教えて貰えないのか?」

「物怖じせん奴だな。我の名前はボードウィン。人は我をエルダーリッチと呼ぶ。アンデットの王にして、このダンジョンのマスターでもある。」

 エルダーリッチねぇ、リッチより強いのかな?あれ?ダンジョンって事はダンジョンコアを壊せばダンジョンは死ぬんだっけ?

「あー、僕はエイジ。確かめたい事があって、ここに来た。場合に寄っては戦わずに帰っても構わない。」

「ほう?ここまで来て戦わずに帰ると言うのか?面白いな。」

 僕は徐々にエルダーリッチに向かい歩いて行く。1分も立たずに顔が見えた。蒼白な顔をしているが、人間っぽい。

「なあ、リッチって言うのは人間が魔術的にアンデットになった者で間違って無いか?」

「ふむ、認識としては間違っていないな。」

「アンデットを操れる冒険者と言うのに会った事があるか?」

「ああ、そんな奴が居たな。我に何やら仕掛けてきたが、返り討ちにしてやった。」

「殺したのか?」

「いや、取り込んだ。未だ我の中で生きておるぞ。」

 それって、その冒険者の知識も取り込めるのかな?

「ゾンビパウダーと聞いて、何か心当たりがあるか?」

「お主、あの冒険者の仲間か?」

 どうやら心当たりがあるらしい。

「もしかして、ここ最近の一連の事件はお前の仕業なのか?」

「はて、何の話か分からんな。」

 惚けられたら証拠が無い。どうする?

「出来れば戦わずに済ませたかったんだがなぁ。」

「ほう?我に戦いを挑むとは愚かな事を。」

 余程自信があるのか余裕な顔でエルダーリッチはニヤリと笑った。

 僕は構わず、つかつかと歩み寄ってエルダーリッチの頬を思いきり殴った。通常ならすり抜ける拳は確実にエルダーリッチを捉え、エルダーリッチは壁に向かって吹き飛んだ。

「な?」

 エルダーリッチが驚いた顔でこちらを見た。

 タネ明かしは簡単だ。体中に神聖魔法を充満させただけだ。後は純粋な武術だ。

「どうした?まだ話をする気にはならないか?」

「殴られたくらいでは我は死なんぞ。」

「お前を消滅させるのは簡単だ。僕はお前の話が聞きたい。」

「不死の王と言われる我を消滅させるだと?笑止。」

 いや、冗談じゃ無くて、本気で消滅させる事は簡単なんだけど?それをやっちゃうと今回の事件の真相が判らなくなっちゃうんだよね。

「話をする気は無いと言う事で良いのか?」

「お主に話す事は無い。」

「ふむ、そうなるとお前が望む、アンデットの王国は夢と消えるぞ。」

 明らかな動揺が漂う。やはり、それが目的か。どうやら冒険者を取り込んで知識を得た様だ。

「貴様一体何者だ?」

「ただの冒険者だよ。」

「ならば死ね。ここなら誰が死んでもおかしくは無い。死ねばダンジョンに吸収されるのみ。」

 初めてエルダーリッチが敵意をむき出しにして、襲い掛かって来る。

 エルダーリッチの攻撃手段は精神攻撃がメインだ。魔法防御で弾き、反撃のタイミングを伺う。

 流石はリッチの上位種、精神攻撃が波状に襲い掛かる。反撃のタイミングをずらされる。魔法防御で防いでいるが、防いでいるだけでは意味が無い。

 剣を抜き、精神攻撃を切ってみる。これにはエルダーリッチは驚いた様で一瞬の隙が出来た。

 その隙を突き、瞬動で近づき、腹を殴る。この時神聖魔法を流し込む。

 エルダーリッチは苦しみ悶え、攻撃が止む。畳み掛けるチャンスだ。真相は聞いてないが、こいつが関わっているのは間違いないだろう。消滅させても問題無いよな?

 アンデットに通常の魔法は効かない。僕は神聖魔法の中から浄化魔法を選び、エルダーリッチに流し込む。並大抵の量ではこいつは死なない。とにかく奴が消滅するまで延々と浄化魔法を流し続ける。

 およそ10分程経過した時点で、奴が丸い球になっているのに気が付く。なんか、これって精霊王の時に似てる。

 多分、浄化魔法をレジストして、消滅を防ぐ事だけに特化した姿なのだろう。僕は球を掴み握りつぶした。断末魔の様な声が聞こえたが、まだかろうじて生きてはいる様だ。

 アンデットって本当に死なないんだな。僕は適当な空間に穴を開けてそこにエルダーリッチを放り込んだ。すぐに空間を閉じる。違う次元に送ったので、この世界に戻ってくる可能性はゼロだ。更に、その次元でエルダーリッチが生きて行けるかどうかは解らない。事実上消滅した事になる。

 さて、エルダーリッチが座っていた玉座の裏にダンジョンコアがある。これは壊した方が良いのだろうか?

 壊せばダンジョンは死ぬ。ダンジョンに潜る事で生活をしている冒険者は多い。手を付けないのが良いかもしれない。

 放って置けば新しいダンジョンマスターが生まれるだろう。もしかしたら、この先、このダンジョンにはアンデットは出なくなるかもしれない。まあ、アンデットは倒しても大したお金にならないので、冒険者に影響は無いだろう。

 歩いて帰るのは面倒なので地上に転移する。これでゾンビパウダー事件が収束すれば良いのだが、エルダーリッチ1匹で可能な事件だったのだろうか?

 なんか腑に落ちないが、他に出来る事も無い。とりあえず、王都に帰る事にした。

 あれ?そう言えばゾンビパウダーは何処に行ったんだ?エルダーリッチがゾンビパウダーを増産していたとして、その作られたゾンビパウダーは何処に消えた?

 まだ、事件は終わって居ないと言う事か?

 王都のギルドでストレージの中の魔物を換金しながら情報を収集する。今の所、ゾンビパウダーに関係する事件は起こって居ない様だ。

 エルダーリッチは退治した。アンデットを使役できるテイマーは既に死んでいた。となると、誰がゾンビパウダーを使っているんだ?

 エルダーリッチが人間に協力するとは思えない。すると敵は誰だ?

 魔人と言う線は無い、悪魔か魔神辺りか?どちらも王都には反応が無いんだよね。

 これは王国で起きた事件だ。現に帝国では何も起こっていない。当然犯人も王国に居るはずなのだが、何故かサーチには掛からない。どう言う事だ?サーチに掛からない程力の無い存在なのか?

 何者かが王国をアンデットで埋め尽くそうとしている。しかし、その何者かが解らない。

 エルダーリッチを倒した今、ゾンビパウダーの供給は絶たれた。だが、実際どの位の量のゾンビパウダーが敵の手にあるのか判らない。これは困った事になった。

 数千人規模なら対処出来るが、数万人規模だと、対処しても損害が大き過ぎる。

 まして、身内や王族に被害が出たら色々と厄介な事になる。

 どうする?

 待てよ、時間逆行の魔法を上手く使えば何とかなるんじゃないかな?

 この魔法は僕が作った魔法だ。ベースは時越えの魔法だ。だが、この魔法には大きな欠点が幾つかある。

 一つは僕にだけしか使えない事、一つは一度経過した時間に対して一度しか使えない事。つまり、同じ日を何回も繰り返す事は出来ない。更に、この魔法を発動すると世界に僕が2人存在する事になると言う事だ。

 今までは王国と帝国と、違う場所に存在する事で回避していた問題だが、王国で同時刻に僕が2人存在するのを見られると色々と問題が起きそうだ。

 唯一の利点は僕が2人で相手と戦う事が出来ると言う事位だ。単純に戦力が2倍になる。だが、これを人に見られるのは避けたい。

 なるべく目立たない様に行動して、事件が起こったら時間逆行の魔法でその時間に戻って対処する。今の所考えられる方法はこれしかない様な気がする。

 なんだろう?今回の事件、僕は後手後手に回っている。空回りしている感もある。何処かで何かを間違えたのだろうか?

 言い様の無い不安に駆られながら僕は家へと帰った。
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