転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 翌日、待ち合わせ場所に現れたクラ―ネルは暗い顔をしていた。

「どうした?何かあったのか?」

 僕らは門を潜り歩きながら話をする。

「実は昨日、帰ってすぐに叔父さんにリカバリーを試したのですが。」

「失敗したのか?」

「いえ、魔法は成功しました。」

「じゃあ、なんで落ち込んでいるんだ?」

「叔父さんに言われました。1年半も経ってから治っても、今更冒険者には戻れない。なんで、すぐに直してくれなかったんだって。」

 ああ、1年半のブランクかそれはキツイな。

「ちなみに叔父さんの年齢とランクは?」

「えっと、母の2つ下ですから31歳ですね。ランクはCだったと思います。」

「なるほど、優秀な冒険者なら30歳までにはAランクに上がって居る物だ。おそらく叔父さんは、それほど優秀では無い冒険者だったんだろうな。だが、Cランクと言うのは上級の冒険者だ。併せて考えるに、怪我で冒険者を引退と言うのは叔父さんにとっては丁度良い口実だったのかもしれない。」

「それって、治しちゃ行けないって事ですか?」

「んー、難しい所だが、人はそれぞれ事情を抱えている。ただ無闇になんでも治せば良いと言う物でも無いと言う事だな。今回の場合、叔父さんは実家で農業か何かやってるんだろう?だったら、今は混乱していてそう言う態度を取っているが、そのうちクラ―ネルに感謝する日が来ると思うぞ。」

「僕がやった事は間違っては居ないと言う事でしょうか?」

「ああ、おそらく。今頃クラ―ネルに行き場の無い怒りをぶつけてしまった事を叔父さんは悔いて居るんじゃないかな?時間が解決してくれるさ。」

 そう言うとクラ―ネルの表情が少しだけ緩んだ気がした。

「さて、今日は午前中にテストをする。テストの結果次第では午後に冒険者ギルドで冒険者登録をして貰うぞ。」

「それは楽しみですね。でも、テストって何ですか?」

「簡単に言えば冒険者の資質のテストだな。」

「資質ですか?そう言えば、貰った魔法の教科書とても興味深い内容でした。あれは何処で使われていた教科書なんですか?」

 あら?中身じゃ無くてそっちに興味持っちゃう?

「あれは、魔法学院の教科書を僕が改訂した物だ。まだ使われては居ない。教科書を変えると言うのは手続きとか検証とか色々面倒なんだよ。まあ、あと数年はかかるだろうな。」

「そうなんですか?あれが、僕が入学した時にあれば、僕はもっと強くなれたかもしれません。」

「ちなみに、上級編もあるぞ。そのうち上げるから楽しみにしてろ。」

 そう言うとクラ―ネルが良い笑顔になった。

 草原に着いたので早速テストの説明に入る。

「テストは簡単だ。僕がある魔物を想定して、攻撃するので、避けて反撃する。これだけだ。」

「簡単に言いますが、想定した魔物次第で難易度が大きく変わりますよね?」

「大丈夫だ、あくまでも冒険者としての資質を見るだけなので、勝敗は結果に影響しない。」

「勝敗って、僕がエイジさんに勝てる未来が想像出ませんが?」

「とにかく始めるぞ。魔物は待ってくれないぞ。」

 僕が想定した魔物はオークだ。まあ、オークに勝てるなら冒険者をやりながら鍛えても問題無いだろうと判断した。攻撃力的には問題無いのは解って居る。見るべきは敏捷性と体力かな。

 僕は木刀を持って無造作に近づく。クラ―ネルは物理障壁を張っている。これでは、クラ―ネルの動きが判らないので、物理障壁を霧散させて、更に近づいてみた。

 クラ―ネルは驚きながらもファイヤーボールで攻撃しながら後退する。ファイヤーボールは火災を引き起こすのでマイナス点だな。とりあえず魔法は全て霧散させてやる。

 すると身体強化で左に回り込み、後方からエアカッターを撃って来た。うん。これは悪く無い攻撃だ。ただ、頭では無く狙うのは足がお勧めだぞ。

 エアカッターも霧散させると、一旦距離を取る。僕がさっきから歩く以上の速度を出して無いのにやっと気が付いたかな?

 魔法使いは距離を取った方が戦いやすい。それを本能で知っているのは強みだ。

 距離を取ったクラ―ネルが、魔法障壁を掛けて来た。これは中級魔法を発動する準備だ。オークに中級魔法はオーバーキルだな。

「そこまで!テストは合格だ。だが、森で火魔法は火災に繋がる。その点はマイナス点になる。覚えて置け。」

「あの?魔法を消す魔法って反則だと思うのですが、僕には教えて貰えないのでしょうか?」

「いずれ教える。今は使える魔法の種類を増やす事が先決だな。」

 テストに合格したので、冒険者登録の為に冒険者ギルドに向かう事にする。ここからだと結構掛かる。転移を使いたいが、今見せるのは危険だろう。

 歩いて冒険者ギルドに向かう。

「ちなみに想定した魔物って何ですか?」

「オークだな。」

「オークですか。解って居れば違う対処も出来たのに、悔しいなぁ。」

「僕が飛び掛からなかった時点で、だいたいの魔物の種類は特定出来たはずだが?」

「はい。飛び掛からなかったのは僕より格上の魔物だと判断しました。」

 お?一応そこは見て居たんだな。

「でも、途中で動きの遅い魔物だと気が付いただろう?」

「はい、ですが、オークと言う線は考えませんでした。」

「君は少し、魔法で事を済ませようとし過ぎる帰来がある。」

「それは、僕が自分が弱い事を知っているからですね。」

「冒険者になるなら、自分を相手より格上に見せる演技も必要になるぞ。」

 冒険者ギルドは町の中央のやや南寄りにある。草原から西門まで30分。西門からギルドまで40分と言った所だろう。

 時間は午後1時を過ぎている、この時間なら冒険者の数も少ないだろう。

 ギルドに入ると、予想通り空いている。僕は適当な窓口を選んで順番を待つ。クラ―ネルも僕の後ろに並んでいる。

 10分程で順番が回って来た。

「エイジさんじゃ無いですか。今日は何のご用件でしょうか?」

「ああ、この子の冒険者登録を頼みたい。」

「えっと、未成年じゃ無いですよね?」

「大丈夫だ。ちゃんと成人している。」

 クラ―ネルの冒険者登録は無事に終わった。初めて知ったが、冒険者登録に性別って欄は無いんだな。

「詳しい説明が必要でしょうか?」

「いや、それはこっちで引き受ける。助かったよ。」

 僕は受付嬢に礼を言って次の人に順番を譲る。クラ―ネルは貰ったギルドカードを嬉しそうに眺めている。

 一旦ギルドから出て、適当な場所を陣取る。

「ギルドカードを裏返して魔力を流してみろ。」

「魔力ですか?」

「魔素操作が出来るなら出来るはずだ。カードに自分の中の魔素が流れ込むイメージで構わない。」

 するとカードにクラ―ネルのステータスが浮き上がる。

「それが自分のステータスだ。あまり他人には見せるなよ。」

「なんと言うか、明らかに低い数字ばかりですね。」

「最初はそんな物だ。1か月もすれば、全ての数字が10倍になるだろう。」

 そう言うと喜ぶと思ったクラ―ネルが、急に落ち込んだ表情になる。

「どうした?」

「約束は1か月でしたね。僕がエイジさんの弟子になる期間。」

「出会ってまだ数日だぞ?今、そんな事を気にしてもしょうがないと思うが?」

「それは、そうなんですが。エイジさんは不思議な人で、なんと言うか、知れば知る程、底が知れないと言うか、奥が見えないんです。初めてです、こう言う人になりたいと思ったのは。」

 なんだろう?その顔とその声で言われると、女子高生に告白されたおっさんになった気分だ。

 あ、僕まだ17歳なんだけど、前世の記憶が混じって来ているのかな?

「とりあえずって言ったろう?1か月ってのはお試し期間だ。その後も僕の弟子を続けたいと思うなら、その時に検討するよ。」

「本当ですか?なんか頑張れる気がして来ました。」

 その小悪魔っぽい笑顔はやめてくれ。精神的ダメージが凄いぞ。

 まあ、クラ―ネルを1か月で手放す予定は無い。最低でも貴族にして、囲い込む。そして、その体に封印された精霊を何とかする手段を見つけるまでは放っておけない。
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