転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

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 翌日からクラ―ネルに剣技を教える。これがまた信じられない位お粗末だ。

 魔法は理論的に組み立てられるのに、なんで剣技は理論通りに振れないんだ?

 これは、作戦を変更した方が早いのでは無いだろうか?

「んー、困ったな。絶望的に剣の才能が無いぞ。」

 そう言うとクラ―ネルが、シュンとした子猫の様な顔をする。

「冒険者は魔物と戦う。魔物と戦うなら、最低限魔物の速度に着いて行ける足が必要だ。身体強化魔法は知ってるんだろう?」

「はい、理論は解って居ます。」

「ならば、剣技でも身体強化魔法を使えば良いと思わないか?」

「え?使って良いんですか?」

「冒険者は使える物は何でも使う。でなければ生き残れない。それに君は剣士では無く魔法使いだ。剣士の剣と、魔法使いの剣が一緒と言うのはおかしいだろう?」

「確かにそうですね。ところで、魔法で魔物を倒すのでは駄目なのですか?」

「駄目じゃない。むしろ普段は魔法で魔物を倒すのが冒険者の魔法使いの役目だ。だが、敵の数が多かったり、自分よりスピードが速かったりすると、魔法では追い付か無い場合がある。その時に身を守るのが魔法使いの剣だな。」

「昨日、鎧を買う時に言ってましたよね。当たらなければ問題無いと。」

 お、そこに気が付くとは、なかなかセンスがあるな。

「その通りだ。だが、冒険者と言うのはどんな事態に見舞われるか判らない。そして、それが死に直結している。だから、出来る事は全部やって置く。あとで、後悔しても、死んだ後では意味が無いだろう?」

「解りました。では、最初は避ける事だけに全神経を使ってみます。」

 ほう?自分で考える事は良い事だ。やる気が出て来た様だな。

 それから4時間程剣の稽古を続けたのだが、時々クラ―ネルの動きが変化していた、おそらく何かを試していたんじゃ無いだろうか?

「今日はこの辺で終わりにしよう。」

 そう言って、僕はストレージから1冊の本を取り出した。

「これは、貴族が使う魔法の教科書だ。家に帰ってからじっくり読むと良いだろう。体は明日の為に休めて置けよ。」

 渡したのは帝国の魔法道場の教科書を翻訳した物だ。まあ、元々は王国の魔法学院の教科書を元に僕が手を加えた物を帝国語に翻訳した物なのだが、それをまた王国語に翻訳すると言う訳の判らない事をしている。

 王国の魔法学院の教科書を元にして居るとは言え原型は殆ど留めていない。古代の魔法の知識も取り入れているし、解り辛い場所は解り易く書き直しているので、別物と言っても良いだろう。

 おそらく今のクラ―ネルならば、3日もすれば全部の内容を理解出来るのでは無いかと思っている。

「家まで送ろう。疲れただろう?」

 そう言って、帰路につく。家に着くまで1時間以上歩くので、この時間も有効に使って魔法理論を教えたりもする。

「そう言えば、回復魔法も使えるんだったな。どこまで使える?」

「エクストラヒールまでは覚えました。」

「ならば、次はリカバリーを覚えると良い。状態回復魔法の上位魔法だ。生まれつきでなければ大抵の病気を治す事が出来るぞ。ある意味エクストラヒールより強力だ。」

「生まれつきでなければと言う事は欠損も治せるんですか?」

「ああ、状態回復つまり、健康だった時の状態に戻す魔法だからな。」

「それは是非覚えたいですね。」

「では、明日にでも教えてやろう。理論は状態回復魔法とさして変わらない。魔素操作で大量の魔素を集められれば、すぐに使える様になるだろう。」

 クラ―ネルの家族に誰か欠損を持っている人物でも居るのかな?

 家に帰ると、セリーが待っていた。

「お帰りなさいませ。ご報告がありますが宜しいですか?」

「着替えながらでも良いか?」

「構いません。クラ―ネルの容姿についてですが、調べさせました。どうやら、特殊な容姿をして居る様ですね。我々の調査に、最初引っ掛からなかった理由もその辺にあるようです。どうも、リドリル家ではクラ―ネルを対外的には娘として扱っている様です。」

「それは酷いな。」

「町の噂も、魔法使いと言うだけで性別までは判りませんでした。が、一部では聖女様と言う単語が出て来ていますので、クラ―ネルを女性と勘違いした者が流した噂もあるのだと思います。」

「聖女様ねぇ。この国にはそう言った伝承があるのか?」

「どうでしょう?歴史の本には出て居ませんでしたが。それから、クラ―ネルの婿入り先ですが、年齢的に釣り合う候補が見つかりました。条件も悪くありません。ただ、爵位が子爵と若干低目なのが引っかかりますが。」

「良いんじゃ無いかな?もともとリドリル家は男爵だし、子爵なら十分だろう?」

「我が派閥に入るのであれば伯爵以上を狙いたかったのですが。」

 それはセリーの願望じゃないのか?

 伯爵家以上は上級貴族になる、当然跡取りが生まれなかった時の準備も怠りは無いと言う事だろう。

 クラ―ネルならば、子爵でも十分だ。陞爵して、伯爵になる可能性だってある。

「とりあえず、その子爵家の情報を良く調べてくれ、後で報告書にまとめて置いて貰えると助かる。」

「畏まりました。」

 セリーが部屋から出て行く。僕は子供達と戯れに嫁たちの部屋を回る。ひとしきり子供達と触れ合ってから風呂に向かった。

 夕食後、自分の部屋でストレージを使い、古代の魔法書を3冊、必要な部分だけ抜き出して、編集し、翻訳して、僕の理論も追加し、新しい魔法書を作る。一応クラ―ネル用に作った本だが、これはある意味画期的な本だ、もしかしたら高く売れるかもしれない。

 翻訳して帝国で売っても儲かるだろう。市場を2つ持っている強みだな。

 翌日は、前半は剣の稽古、後半は回復魔法の稽古をした。

 相変わらず剣は下手だが、動きは様になって来た。どうだろう?冒険者登録して実戦で鍛えた方が伸びるのかな?

 魔法は相変わらず習得が早い。リカバリーは理論を説明した後に僕が見本を見せるとすぐにマスターした。もしかしたら、パーフェクトヒールもイケるんじゃないかな?でも、あれは人間が使って良い魔法なのだろうか?って、僕は適当に使ってるしなぁ。

「そう言えば、欠損の治癒に興味があるみたいだったが、誰か治したい人でも居るのか?」

「実は母上の弟、叔父にあたる人なんですが、冒険者をやっていたのですが、魔物に足を食いちぎられて、今、実家で療養中なんです。エクストラヒールを試したのですが、完治はしませんでした。」

「なるほどな、それならリカバリーを掛けた後にハイヒールを掛ければ完治するだろう。急いでいるなら今から行ってやれ。」

「良いのですか?」

「ああ、今日の訓練はここまでだ。明日は冒険者ギルドに行くぞ。」

「え?冒険者ギルドですか?」

 走り出しかけた、クラ―ネルが思わず振り返った。

「叔父さんがそんな目にあったのに冒険者になりたいのか?」

「はい、叔父の様にはなれませんが、魔法使いとしてなら冒険者としてやって行けるんじゃないかと。」

「変わった奴だな。まあ良い、話は明日だ。今は叔父さんの所へ急げ。」

 そう言うと、今度は本当に走って行った。身体強化を使っているのか、思ったより早い。

 そう言えば、お母さんは第二夫人だったな。あいつも案外苦労しているのかもしれないな。

 多分、家でも学院でもその見た目のせいで居場所が無かったのかもしれない。

 果たして、そんなクラ―ネルに立派な家庭を築く事が出来るのだろうか?って言うか、結婚自体想像出来んのだが、子供はちゃんと作れるのだろうか?

 子爵家に婿入りとセリーは言っていたが、両親はちゃんと受け入れてくれるのかな?何より、子爵家の令嬢はクラ―ネルに拒否反応を起こさないで居られるだろうか?

 最悪の場合、僕の手持ちの男爵のカードを切る事も考えて置いた方が良いかもしれない。

 そんな事を考えながら、侯爵家に転移した。

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