転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ

文字の大きさ
285 / 308

285

しおりを挟む
 サントスの町は思った以上に活気がある。ブレイルより2回り位大きそうだ。川が近い為、漁業も盛んらしい。何となく漁村の趣もある。所々に串焼きでは無く焼き魚の屋台が出ていた。

 僕は適当な屋台で焼き魚を注文してみる。見た事の無い魚が炭火で香ばしい匂いに焼き上がっている。味付けは塩だけかな?

 食べてみるとニジマスっぽい味がする。やはり淡水魚は似た様な味になるのだろうか?まあ、これはこれで美味しい。

「最近この辺で面白い噂って聞かない?」

 僕は屋台のおじさんにそう声を掛けた。

「んー、ここ最近は王都の噂ぐらいしか聞かないな。」

 やはり王都の噂はこんな所まで届いているんだな。

 しかし、王国の東ってのはもっとこう田舎を想像していたのだが、思ったより栄えているんだな。もしかしたら独自の文化とかもあるのだろうか?

 僕は屋台のおじさんに冒険者ギルドの場所を聞いて、ギルドへ向かう。

 冒険者ギルドは町の中央よりやや北寄りにあるらしい。北には領主館があるらしいが、寄らなくても良いよね?

 やがてギルドが見えて来る。周りの建物と比べると結構大きいが、王都のギルドを見慣れてると小さく感じる。ブレイルのギルドと同じ位かな?

 時間は12時過ぎ、この時間なら空いているだろうと入ったら思っていた以上に混んでいる。どうやら朝一で出かけたパーティーが帰って来ている様だ。

 適当な列に並んで待っていると順番が来たのでギルドカードを見せ、ギルマスに会いたい旨を話す。受付嬢はSランクのカードを見て吃驚していた。おそらくこの町には滅多にSランカーが来ないのだろう。

「あのー、誠に申し訳ないのですが、Sランクだからと言ってギルマスにすぐに会えると言う訳では無いのです。ギルマスも忙しいので、申請を出して通らないと会えません。申請を出しますか?」

「申請を出して、どの位でギルマスに会えるんだ?」

「申請が通れば数日後には会えると思います。」

 そいつは困ったな。今日中に話を聞きたかったのだが。って言うか、ここのギルマスはそんなに偉いのか?

「じゃあ、なるべく偉い人ですぐに会える人って居ないか?」

「急ぎの用事ですか?」

「そうだ。」

「それでしたら、ギルマスの補佐官でも構いませんでしょうか?」

「ん?補佐官ってサブギルドマスターとは違うのか?」

「はい、全く違います。補佐官は文字通りギルマスの補佐をする文官です。」

 文官か、まあ良い。その補佐官とやらに僕の身分を明かせばギルマスに会えるだろう。

「解った。その補佐官で構わないから会わせてくれ。」

「畏まりました。階段の横にあるソファに掛けてお待ちください。」

 何だか良く解らないが、階段の横のスペースが待合室の様になって居る。僕は固いソファに座って大人しく待っている。

 10分程待たされ、補佐官と言う人物が現れた。

「何やら緊急の用事だそうで、どの様なお話でしょうか?」

 僕がSランク冒険者だと受付嬢から聞いたのか、丁寧な口調で話す補佐官。

「悪いが、人に聞かれたくない。何処か2人で話せる場所は無いか?」

 それでしたらと会議室に連れて行かれた。まあ、ここなら大丈夫かな。

「で、どの様なお話でしょうか?」

 僕はストレージから貴族の証を取り出す。

「ゼルマキア公爵だ。ギルマスに話がある。至急取り次いで貰いたい。」

 補佐官は何やら青ざめた顔で、すぐにと言って会議室から飛び出して行った。

 数分で補佐官が戻って来た。すぐにギルマスが会うそうだ。

「これはようこそ公爵様。当ギルドのマスターをしているコルジアーノと申します。」

「ん?名前からすると貴族か?」

「はい、一応男爵の末席を務めさせて頂いております。」

 そう言えばSランク冒険者は引退後爵位を貰えるんだよな。だけど、この人は冒険者の匂いがしない。おそらく男爵の地位でギルマスになったのだろう。

「国王陛下の指示で王国の東を調査している。ここ最近、このサントスの町でおかしな事とか起きていないか?」

「おかしな事ですか?」

「ああ、些細な事でも良いのであったら教えてくれ。」

「そうですね。申し上げる程の事かどうか解りませんが、川で取れる魚の量が去年に比べて2割ほど落ちています。」

 漁獲高か、これは年によって微妙に変化するのは仕方がない事だとは思うが、2割と言うのは結構大きい気がする。

「その件に関して、町の経済に影響が出たりしているのか?」

「いや、そこまで大きな打撃はありません。」

「そうか。ちなみにこの町の治安はどんな感じだ?」

「ここは平和な町ですよ。領主様が優秀ですので。」

 あれ?この町の領主って常駐しているのか?普通の貴族なら年間半年は王都で暮らす必要があるはずだ。その間は代官が町を運営する。唯一辺境伯だけは王都に家を持つ必要が無い。

「解った。ではこの町の周辺の町や村で何か異変があると言った話は聞いた事があるか?」

「いえ、その様な話はギルドには上がって来てませんね。」

「ふむ、少し町の周辺を見て回りたいのだが、問題は無いか?」

「構いません。ご存分にお調べください。」

 何と言うか、タヌキだな。何かを隠している気がする。恐らく領主か代官と組んで不正でも働いているのだろう。まあ、僕の領地じゃ無いから構わないけどね。

 田舎なので貴族と庶民の身分の差が激しいのかもしれない。Sランク冒険者が用があると言っても会わないギルマスって初めてだぞ。

 時間も無いのでギルドを辞し、サントスの町の周囲を調べる事にする。フライで飛んでいると、小さな町を見つけた。町だよな?村よりは大きい気がするし。

 少し手前で地上に降り、その町に向かう。門番が2人しか居ないけど大丈夫なのか?

 ギルドカードを見せて町へ入る。相変わらずSランクのカードは2度見される位驚かれる。これはこれで目立つので何か違う身分証が欲しいな。

 どうやら町らしいが、ギルドや領主館は無いらしい。代官邸があるだけだ。この町は主に漁業が中心で魔物狩りは滅多にしないと、門番が言っていた。

 適当な屋台で焼き魚を買い、店主に話を聞く。どうやらこっちの町では漁獲高が減ったと言う事は無いらしい。なんだ?話がおかしく無いか?

 他に大した情報は得られなかった。これ以上の情報を求めるなら。対岸の大きな町に行かないと難しいだろう。

 普通は対岸の町に行くには王国をぐるりと一周しなければ行けないらしい。馬車でおよそ3か月かかるそうだ。僕ならフライで10分位かな。

 フライを使い対岸の町まで飛ぶ。対岸の町はギルガムと言うらしい。そろそろ日が傾いて来たので調査は明日にしよう。とりあえず、転移出来る様に人気のない場所をチェックして置く。

 転移で王都に飛ぶ。あまり危険は無さそうだし明日はビアンカも連れて来るかな。

 僕の様に転移を使えるならともかく、救済の箱舟がそう簡単に王国の東に行くとは考えにくい。もし、王都を出るとしても王都の近郊の都市に隠れ家があると考える方が自然だ。

 しかし、王都から一番近いプレイースは僕の領地だ。しかもあそこにあった救済の箱舟の拠点は僕が潰した。僕の目がある場所に隠れ家を作ると言うのはちょっと考えにくい。

 となると王都の南か?確か3侯爵の1人の領地があるはずだ。3侯爵と救済の箱舟が繋がっていると言う話は聞いていない。それは元公爵の調べでも解って居る。

 やはり王都に潜伏していると見た方が良いのかな?

 王都の人口は他の都市に比べて圧倒的に多い。木の葉を隠すなら森と言う理論から行けば、人を隠すなら人口の多い都市だよな。

 まして、僕らは長老の正体を知らないと来れば、わざわざ地方都市に流れる必要は無いんだよね。

 けど、救済の箱舟の構成員が地方都市で暗躍して、人を集めて王都で合流したらと考えると、地方を無視する訳には行かないんだよね。

 見えない敵と戦うのがこんなに厄介だとは思わなかったよ。
しおりを挟む
感想 299

あなたにおすすめの小説

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

処理中です...