【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第1章 復讐の魔女

第9話 宿屋にて

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 ビオレールの冒険者ギルドの横に宿があるのはやはり冒険者の宿泊を狙ってのことだろうか。
 宿屋は木造3階建ての建物で、1階が酒場と宿の受付になっている。

「お代は1人小銀貨2枚よ。一応言っておくけど、めっちゃ重そうな男を背負ってるけど、酔わして部屋に連れ込んでベッドに寝かせて、起きたら犯されたんだから金よこせなんてのはなしにしてくれよ」

 宿の受付に座った20代半ばぐらいの女性からとんでもないことをあくび交じりで言われた。
 どうしたらそんな発想になるんだっての。

「ローゼ。私お金ないわよ」

「はいはい、じゃあ小銀貨6枚出します」

 ベレニスに適当に相槌を打ってから、受付の女性にお金を渡す。

「部屋は一つしか空いてないからね。ベッドを汚したら追加で金貰うよ」

 部屋の鍵を受け取り、軽く頭を下げてから宿の受付を後にする。
 場所は3階の一番奥にある部屋。
 鍵を差し込んで開けると、小さな部屋でベッドが一つだけ置いてあった。
 一応シーツとかは新しいみたい。

 リョウをベッドに寝かせると、ふうっとため息が自然と出てきた。

「風魔法をずっと発動させて運ぶなんて、面白いことするのねローゼ。それにこの男を眠らせた魔法もさあ、あれ多分ゴーレムにも効くわよ。てかそんな強大な魔力を浴びたんだし、これいつ目覚めるかわかんなくない?」

 ベレニスがリョウの顔の前で手をヒラヒラと振りながらあっけらかんと言う。

「いやいやいや、ゴーレムって無機物だし」

「ふ~ん、まあいいわ。それで? これからどうすんの?」

「まあ見てて」

 杖に意識を集中させてゆく。
 回復魔法は得意ではないけど、睡眠魔法を解くのは出来るはず。
 要は魔法を解くか、もしくは眠気を追い払うイメージで魔力を解放させれば良いのだ。
 そう考えて杖に魔力を流し込むと、リョウの体がピクリと動く。

「目覚められてもなんか面倒になりそうだし、縛っておいたほうがよくない?」

「いやいや、縛ったら目覚めた時にもっとめんどくさいよ」

 ベレニスが木製のロープを持って、リョウの体を縛り始めようとするので慌てて止める。

 私はベッドの端に座り込んで意識を集中させる。
 そして杖に魔力を流し込みながら、ついでに初級魔法であるライトを発動して部屋の中を照らす。
 闇を払う光、それがライト。
 光属性を持っていなくても使える魔法で、私もたまに夜寝る前にベッドサイドランプ代わりに使っている。

 眩しくしたら起きるでしょ。

「うっく……ここは? ……何がどうなってんだ?」

 ようやくリョウの意識が戻ったらしく、上半身を起き上がらせて私とベレニスの顔を見てからクソっと悪態をついて項垂れる。

「うわ~、これだから男ってのは。素直にお礼を言ったらどうなのよ」

 ベレニスが腕を組みながら、呆れたようにリョウを見下ろしてゆく。

「お礼だと?」

「あんた城の前で、お偉いさんたちに斬りつけようとか考えてたでしょ? やっていたら死んでたわよ。特攻するバカなんて初めて見たわ」

「……その場で勝っても数千のビオレール兵に追われ、王国全土に指名手配される。結果、待っているのは無惨な死。……そんなこともわからないリョウじゃないでしょ?」

 私がそう言うけど、リョウはフンと鼻を鳴らし、そっぽを向く。

「うわ~何その態度、超ムカつくんだけど。ローゼ、こいつ追い出そうよ。てかベッド一つしかないし、寝ないならどいてほしいんだけど」

 ベレニスがリョウに、今にも蹴りを入れそうな感じで言う。

「話したくないなら無理に聞かないけど、命を無駄にしてほしくないかな? ほら? 偶然出会ったのも何かの縁だしさ。それにリョウは悪い人じゃないって私は思うし」

 私がそう話すとベレニスが、はあ~っと深いため息を吐いてから頭を左右に振る。

「女にこんなこと言わせる男なんて最低ね。でもここから何も話さない男はもっと最低よ」

 ベレニスの言うことも一理あるけど、私はリョウが何か理由があってこんな行動をしたと信じてる。

 だから……

 私がベッドの端に座ると、その横にベレニスも座る。

 そして私とベレニスは、じーっと無言でリョウを見つめるのだった。

「はあ……わかったよ、話せばいいんだろ話せば」

 リョウは諦めたかのように深いため息を吐くと、ポツリポツリと話し出した。
 
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