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第1章 復讐の魔女
第17話 新たな依頼
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テーブル席に向かい合って座る私たちに、他の冒険者や受付嬢の視線が鋭く刺さる。
居心地が悪いかな?
アデルの子供と対面しているという事実もあるけど、何より注目の的であるオルタナさんの存在だ。
冒険者ギルドに異物な王国軍の隊長。
どんな目的で私たちに話しかけてきたのか。
ささっと終わらせるために、体験した事実を話していく。
「ふむ。ありがとう。君たちの話を聞く限り、ロック鳥に人が食べられたとみて間違いないようだね」
私の説明に満足したのかオルタナさんは頷く。
てか、ベレニスはニコニコしてオルタナさんを見てるだけだし、リョウも紅茶を飲みながら黙っていないで何か言えっての!
私1人に対応させて!
するとオルタナさんは革袋を取り出すと、テーブルの上に小金貨6枚を置いていく。
「どうかな? ギルドの調査とは別に私の依頼を引き受けてくれないだろうか? 勿論成功の暁には追加報酬を支払う」
おおお‼ いきなり小金貨6枚!
しかも追加報酬まで⁉
こんな美味しい依頼は滅多にないよ。
「……何故そこまでする? 領民が何人死のうが、貴族には関係ないのではないのか?」
こらリョウ! そんな言い方しない! 空気を読め。
この美青年騎士が、わざわざ私たちに依頼を持ちかけてきたんだよ?
何か思惑があるに決まってるでしょ!
それは承知で引き受けるのが大人な対応ってもんでしょ!
オルタナさんは少し面食らった表情をし、そして苦笑する。
「私は貴族ではないよ。私の父は一代限りの准男爵を陛下から賜っただけでね。それに、父アデルは先王陛下に仕える前にアラン傭兵団に所属していたんだ。それもあってか、個人的にも君たちのような若い冒険者に、敬意を抱いて協力をお願いしたいのさ」
「そーよそーよ、傭兵って心が狭いから、世の中全部裏があると思ってるんでしょ? 任せてオルタナ! 私がローゼとついでに傭兵と、キッチリバッチリ解決してあげるから!」
ベレニスが立ち上がって堂々と宣言する。
いや、まだ何をするのか聞いてないんだから、そこまで言わないほうがいいのに。
小金貨6枚なんていう、平民の給金半年分を提示されている依頼なのだ。
かなり危険か、難易度がとんでもなく高いに決まっている。
「ふふっ、この身分で金貨を6枚持っているのを奇異に思われたかな? 察しの通り、この金貨は私の物ではない。上から頂いた調査費さ」
調査費? ポンとこれだけの額を出す、か。
相当身分の高い人がオルタナさんの背後にいそうだ。
依頼内容は何だろうか?
ギルドが調査する以上の収穫を、私たちが出せるとは思えないけど。
「それで何をすればいいんでしょうか?」
そんな私の問いに、オルタナさんの柔和な笑みが引き締まる。
「ビオレール城の隣にある、教会との関連性を探って欲しい。ロック鳥に人骨、それに魔法陣のね」
ビオレール城の隣にある教会?
ああ、あれか。一昨日復讐に逸るリョウを眠らせた時にチラッと目にしたっけ。
大陸中どこにでもある、女神フェロニアを信仰する教会だ。
魔王軍を討滅した七英雄が存在した千年前より、遥か昔より信仰されている女神を祭る教会。
この大陸に生きる全ての者に、平等と慈悲を与えるフェロニアの加護は、大陸に生きる全ての人に注がれていると一般的に広く信じられている。
教徒を名乗らない者でも、教えが深く身体に染み付いているぐらいだ。
そんな教会は大陸に山ほどあり、祈りを捧げる場所として誰でも気軽に訪れることができるのだ。
対して南の山でロック鳥が棲み着いていた教会は、邪神を崇拝するカルト宗教。
こういうのは歴史の中で時折登場してくる。
大抵は滅んでは消え復活し、滅んでは消えの繰り返し。
魔女ディルの書庫にある多量の本の中に、邪神についての研究本もあったけど、曖昧な記述や非人道的な魔術の行使が連なるばかりで、読んでいて気分がいい代物ではなかった。
魔王の侵攻は邪神崇拝組織の陰謀説が、七英雄好きの私に結構な興味を与えてくれたけど。
女神の教会が邪神と関わりがある?
「わかりました。リョウ、受けるよね? ベレニスは確認する必要はなさそうね」
「当然ね。オルタナの頼みだし」
即答するベレニスだが、リョウは険しい顔のままだ。
「何よ傭兵、受けないつもり?」
「いや……受けるさ。ただオルタナ殿、何かを俺に言いたそうな……いや、戦いたいと思ってそうな気配を感じたんだが?」
リョウの答えに、オルタナさんは少し驚いたような顔をした。
だが、すぐに元の表情へと戻ると、笑顔を見せた。
「はっはっは、君は中々鋭いね。実のところ一昨日に、ビオレール城前で君を見かけた時から剣を交えたいと思っていてね」
その言葉に、私たちは顔色を変えた。
まさか見られ、気づかれていた⁉
リョウがトール・カークスという、王都から来ている宰相の側近を狙っていたのを⁉
「おっとすまない。安心したまえ。私以外、気づいていないし語るつもりもない。ただもし実行するなら、職務として君と戦うことになるだろうね。それもまた面白かろう」
快活に笑ってみせる美青年騎士。
この人も根っからの武人のようだ。
オルタナさんは背中にゾクリとしたものが走り抜ける感覚を残して、受付で正式な依頼の手続きを終えて去っていった。
「傭兵対オルタナかあ。この場合迷わずオルタナを応援するわ」
ベレニスがそう呟くのに私はこらこらと言いつつ、リョウへ視線を送る。
「……安心しろ。そんなことにはならんよ。あのオルタナという人物は、俺たち3人が相手しても勝てるか怪しい」
「そんなに? でも、私やベレニスの魔法とリョウの剣の腕前で勝てない相手なんて……」
「七剣神に匹敵する腕前だろうな。七剣神のノイズやグレン団長を間近で見ていた俺だ。それぐらいは見抜ける」
リョウがそこまで言うからにはそうなんだろう。
オルタナさんの血筋は、父親が七剣神のアデルだし。
「いい人なんだし美形だし、傭兵が変な気を起こさなければいいだけよね。戦いたいなら傭兵1人で模擬戦でもやればいいわ」
そう呟いたベレニスは、取り分の小金貨2枚にご満悦な様子。
「教会か。それじゃ早速行ってみよっか。変な噂とかあるかもちゃんと調査して、中に入ってみよ?」
私がそう提案すると2人は同意し、立ち上がる。
ギルドを出る際にディアナさんと目が合い会釈する。
行ってきますと。
***
ローゼたちが出ていった、いつも通りになったギルドの喧騒。
ディアナはティーカップ片手に、誰にも聞こえない小声で呟く。
「精々頑張りなさい、王女様」
居心地が悪いかな?
アデルの子供と対面しているという事実もあるけど、何より注目の的であるオルタナさんの存在だ。
冒険者ギルドに異物な王国軍の隊長。
どんな目的で私たちに話しかけてきたのか。
ささっと終わらせるために、体験した事実を話していく。
「ふむ。ありがとう。君たちの話を聞く限り、ロック鳥に人が食べられたとみて間違いないようだね」
私の説明に満足したのかオルタナさんは頷く。
てか、ベレニスはニコニコしてオルタナさんを見てるだけだし、リョウも紅茶を飲みながら黙っていないで何か言えっての!
私1人に対応させて!
するとオルタナさんは革袋を取り出すと、テーブルの上に小金貨6枚を置いていく。
「どうかな? ギルドの調査とは別に私の依頼を引き受けてくれないだろうか? 勿論成功の暁には追加報酬を支払う」
おおお‼ いきなり小金貨6枚!
しかも追加報酬まで⁉
こんな美味しい依頼は滅多にないよ。
「……何故そこまでする? 領民が何人死のうが、貴族には関係ないのではないのか?」
こらリョウ! そんな言い方しない! 空気を読め。
この美青年騎士が、わざわざ私たちに依頼を持ちかけてきたんだよ?
何か思惑があるに決まってるでしょ!
それは承知で引き受けるのが大人な対応ってもんでしょ!
オルタナさんは少し面食らった表情をし、そして苦笑する。
「私は貴族ではないよ。私の父は一代限りの准男爵を陛下から賜っただけでね。それに、父アデルは先王陛下に仕える前にアラン傭兵団に所属していたんだ。それもあってか、個人的にも君たちのような若い冒険者に、敬意を抱いて協力をお願いしたいのさ」
「そーよそーよ、傭兵って心が狭いから、世の中全部裏があると思ってるんでしょ? 任せてオルタナ! 私がローゼとついでに傭兵と、キッチリバッチリ解決してあげるから!」
ベレニスが立ち上がって堂々と宣言する。
いや、まだ何をするのか聞いてないんだから、そこまで言わないほうがいいのに。
小金貨6枚なんていう、平民の給金半年分を提示されている依頼なのだ。
かなり危険か、難易度がとんでもなく高いに決まっている。
「ふふっ、この身分で金貨を6枚持っているのを奇異に思われたかな? 察しの通り、この金貨は私の物ではない。上から頂いた調査費さ」
調査費? ポンとこれだけの額を出す、か。
相当身分の高い人がオルタナさんの背後にいそうだ。
依頼内容は何だろうか?
ギルドが調査する以上の収穫を、私たちが出せるとは思えないけど。
「それで何をすればいいんでしょうか?」
そんな私の問いに、オルタナさんの柔和な笑みが引き締まる。
「ビオレール城の隣にある、教会との関連性を探って欲しい。ロック鳥に人骨、それに魔法陣のね」
ビオレール城の隣にある教会?
ああ、あれか。一昨日復讐に逸るリョウを眠らせた時にチラッと目にしたっけ。
大陸中どこにでもある、女神フェロニアを信仰する教会だ。
魔王軍を討滅した七英雄が存在した千年前より、遥か昔より信仰されている女神を祭る教会。
この大陸に生きる全ての者に、平等と慈悲を与えるフェロニアの加護は、大陸に生きる全ての人に注がれていると一般的に広く信じられている。
教徒を名乗らない者でも、教えが深く身体に染み付いているぐらいだ。
そんな教会は大陸に山ほどあり、祈りを捧げる場所として誰でも気軽に訪れることができるのだ。
対して南の山でロック鳥が棲み着いていた教会は、邪神を崇拝するカルト宗教。
こういうのは歴史の中で時折登場してくる。
大抵は滅んでは消え復活し、滅んでは消えの繰り返し。
魔女ディルの書庫にある多量の本の中に、邪神についての研究本もあったけど、曖昧な記述や非人道的な魔術の行使が連なるばかりで、読んでいて気分がいい代物ではなかった。
魔王の侵攻は邪神崇拝組織の陰謀説が、七英雄好きの私に結構な興味を与えてくれたけど。
女神の教会が邪神と関わりがある?
「わかりました。リョウ、受けるよね? ベレニスは確認する必要はなさそうね」
「当然ね。オルタナの頼みだし」
即答するベレニスだが、リョウは険しい顔のままだ。
「何よ傭兵、受けないつもり?」
「いや……受けるさ。ただオルタナ殿、何かを俺に言いたそうな……いや、戦いたいと思ってそうな気配を感じたんだが?」
リョウの答えに、オルタナさんは少し驚いたような顔をした。
だが、すぐに元の表情へと戻ると、笑顔を見せた。
「はっはっは、君は中々鋭いね。実のところ一昨日に、ビオレール城前で君を見かけた時から剣を交えたいと思っていてね」
その言葉に、私たちは顔色を変えた。
まさか見られ、気づかれていた⁉
リョウがトール・カークスという、王都から来ている宰相の側近を狙っていたのを⁉
「おっとすまない。安心したまえ。私以外、気づいていないし語るつもりもない。ただもし実行するなら、職務として君と戦うことになるだろうね。それもまた面白かろう」
快活に笑ってみせる美青年騎士。
この人も根っからの武人のようだ。
オルタナさんは背中にゾクリとしたものが走り抜ける感覚を残して、受付で正式な依頼の手続きを終えて去っていった。
「傭兵対オルタナかあ。この場合迷わずオルタナを応援するわ」
ベレニスがそう呟くのに私はこらこらと言いつつ、リョウへ視線を送る。
「……安心しろ。そんなことにはならんよ。あのオルタナという人物は、俺たち3人が相手しても勝てるか怪しい」
「そんなに? でも、私やベレニスの魔法とリョウの剣の腕前で勝てない相手なんて……」
「七剣神に匹敵する腕前だろうな。七剣神のノイズやグレン団長を間近で見ていた俺だ。それぐらいは見抜ける」
リョウがそこまで言うからにはそうなんだろう。
オルタナさんの血筋は、父親が七剣神のアデルだし。
「いい人なんだし美形だし、傭兵が変な気を起こさなければいいだけよね。戦いたいなら傭兵1人で模擬戦でもやればいいわ」
そう呟いたベレニスは、取り分の小金貨2枚にご満悦な様子。
「教会か。それじゃ早速行ってみよっか。変な噂とかあるかもちゃんと調査して、中に入ってみよ?」
私がそう提案すると2人は同意し、立ち上がる。
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