【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

文字の大きさ
23 / 314
第1章 復讐の魔女

第21話 まさかの再会

しおりを挟む
 冒険者ギルドのマスター、バルドさんの行動は迅速だった。
 王国軍騎士のオルタナさんの協力もあって、ビオレール兵が気づく前に教会を制圧。

 司祭やシスターは、ハインツ領主がさらなる地位を手に入れれば、美味しい思いが出来る程度の浅い考えだったようだ。
 詳しいことは何も知らず、ただ利用されていたようだった。

 でも、女神フェロニアを崇めず、邪教の教えのように魔獣を使役し、欲望のままに生きようとした。
 これは、女神フェロニアを祀る教会が、邪神崇拝に汚染されていた事実が明るみになったと言えよう。

 ジーニアの捜索も同時に行われているが、3日経った今も、判明していない。

 領主は、だんまりを決め込んでいる。
 まるで、教会と自分は無関係だと宣言するかのように。

「司祭もシスターも、命惜しさに知っていることは全て話してくれている。だが、我々が領主に話を聞こうとしても病気だと言われて門前払いでね。全く……王都から遠いここだと、王命を振りかざそうにも時間がかかって困ってしまうよ」

 冒険者ギルドの酒場、優雅に紅茶を飲みながらオルタナさんが報告してくれる。

「王国軍で城を制圧出来ないの?」

「ハハ、ベレニスちゃん。そんなことをしたらビオレール領内に留まらず、王国各地で激震が走ってしまうさ。私とて平和主義者なんだ」

 オルタナさんの返答にベレニスが眉を顰める。

「フフ、ベレニスちゃん。それだと、そのジーニアって人と同じく、混沌を撒き散らす側になってしまうわ。人には言葉があるの。死者を出さないために努力するのも、力ある者の努めなのよ?」

 同じく優雅に、紅茶を口に含むのはディアナさん。
 占い師の彼女は事件後から、ジーニア捜索や教会内部に、まだ危険やカラクリがあるかを調査する人員に加わっている。

 教会内部では大いに活躍した彼女だが、ジーニアに関しては、本名ジーニア・クレッセント。16歳、女性、出生はレアード王国。
 どうやら孤児らしい、とまでしかわからなかった。

「ロック鳥に喰われた人骨だが、旅人もいれば恐らくこの街の人間もいそうだ。ディアナ、悪いがそっちの調査もお願いできるか?」

「あらあら、ギルドマスターにお願いされてはねえ。……お金払ってもらえればやりますわ」

 嘆息するディアナさんに対し、バルドさんはウムとだけ頷く。

「私たちに、何か出来ることありますか?」

 現状、領主やジーニアや、邪教と関係した人物が報復に動く可能性もある。
 なら私とベレニスも、このままボーッとしているわけにはいかないだろう。
 リョウはジーニアに標的にされていたし、私たち以上に狙われる可能性は高い。
 ならば少しでも力になりたいと思うのが人情だ。

 私の申し出に、オルタナさんとディアナさんはクスッと笑う。

「ローゼちゃん。君って子は本当に良い子だね。大丈夫さ、君たちにはギルドから依頼したいことがあるそうだ。まずはそれをこなしてくれるかい?」

 オルタナさんは満面の笑みで言うのだった。
 バルドさんが口にした依頼内容は、通常の冒険者業務。
 薬草採取や、近隣の村の畑を荒らす魔獣の討伐依頼。

「な~んか体良く追っ払われようとしてない?」

「魔獣も、薬草を必要としている者も騒動とは関係ない。普段通りに振る舞うのが一番さ」

 ギルドから出された依頼にベレニスは不満げだったが、オルタナさんは軽く流すのだった。

 そんな会話の数時間後、私たちは盗賊共に囲まれていた。
 数は10人以上で、驚くべきことに、見たことのある顔ばかりだった。

「テメエら! なんでここにいやがる‼」

「それはこっちのセリフ! あんたたちは捕まったはずでしょ⁉」

 そう、ビオレール近郊の村から怪しい気配がするという依頼で来てみれば、私とリョウが初めて出会った際に倒した、カルデ村を襲っていた盗賊たちだったのだ。

「よくわかんないけど、やっつければいいのよね!」

 問答無用と、レイピアを手にして走り出すベレニス。
 私は手を翳し炎の波を生み出すと、ベレニスの風魔法が炎を運び盗賊共に放つ。
 火柱が上がり、盗賊共は燃え上がる。
 だが3人ほど逃れた。
 リョウは剣を構えて駆け出し、瞬く間に2人を倒した。
 そして残った1人、盗賊のリーダーは私が炎で焼き、盗賊共は私たちの連携に為す術なく、全滅するのだった。

「あの貴族……盗賊を逃がしてたなんて」

 気絶した盗賊たちを縛り上げつつ、ムスッとする私。

「衛兵ではなく、王国軍に引き渡したほうがいいかも」

「そうね。オルタナなら信用できるんじゃない?」

 私とベレニスはそう話し、村の人に伝言をお願いした。

 暫くして駆けつけたのは、オルタナさんの部下のヴィムって人を含む数人の王国兵。

「ああ、こいつらか。御苦労だったなあ、傭兵君よお。しっかし、若いのに腕が立つねえ。今度、俺と勝負しねえか?」

 なんか、リョウ1人で倒したと思われているみたい。
 ムムッ! ムカつく!

「オルタナはどうしたのよ? あんたは信用できるんでしょうね⁉」

 ベレニスもムッとしてヴィムに突っかかっていく。

「へっ! 俺をビオレールの衛兵と一緒にすんなよ! こいつらをカルデ村で捕まえて釈放したのはフォームって子爵だ。そいつと領主が、盗賊と裏で繋がってた証拠も暴いてやるぜ!」

 鼻息荒くするヴィムさんは、どうやら直情の人っぽい。
 任せて大丈夫そう、かな?

 リョウが私とベレニスがムッとしているのに気づいて、ヴィムさんに説明しているが全く相手にされていない。

「オルタナ隊長なら、ディアナって綺麗な占い師さんと例の古い教会に行ってるさ。じゃあな! 今度ゆっくり剣を語ろうぜ!」

 そう言い残し、馬に跨り盗賊共を引き連れて、ヴィムさんたちは去っていった。

 ま、リョウの態度で、ヴィムさん以外の王国兵は気づいてくれたみたいだから良しとするかな。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...