【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第1章 復讐の魔女

第22話 ハイエルフ

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「いやあ、お見事ですなあ。お陰で村の被害が最小限で済みました」

 王国兵が去り、無事に事件が解決した直後、依頼主の村長さんはニコニコと私たちを労う。

「ビオレールでは大きな事件が起きたということで、すぐに解決できるか難しいかもと言われました。ですが、魔女様やハイエルフ様に傭兵様が依頼を受けてくれたお陰で、すぐに解決出来ました。さすがは冒険者ギルドが誇る凄腕たちですな」

「いえ、そんな」

 村長さんに褒められてちょっと照れてしまう。
 ベレニスは満足そうにムフンとしている。

「どうでしょう? 今夜は村に泊まっていかれてはいかがでしょう? 大した持て成しは出来ませんが、料理は豚の丸焼きと山菜をふんだんに使った鍋料理です」

 村長さんのお誘いに私たちは顔を見合わせ、そして笑顔で頷いたのだった。

 その夜の宴会で出された豚の丸焼きはジューシーで柔らかく、様々な野菜も入った具沢山のスープは素材の旨味を引き立てて、とても美味しかった。

 温泉も湧いていて、最高じゃないですかこの村!
 カルデ村と大違い!
 まあ、カルデ村にはない温泉があるから、この村は潤っていたりするのかな?

「ふひ~」

 なんて声が思わず漏れちゃう♪
 まあ仕方がないでしょ?
 ビオレールでは色々あって緊張状態が続いたし、今ぐらいはゆっくりさせて下さいよ。
 私とベレニスは温泉にゆっくりと浸かるのだった。

「ローゼ、弛んでるわよ。傭兵が覗きに来るかもだから、気を引き締めなきゃ駄目だわ」

「リョウはそんなことしないよ~」

「呆れたわ。ローゼはこれだからローゼなのよ。いい? 傭兵は私の推測だとムッツリよ。これは間違いないわ!」

「ちょっと待て、私はこれだから私って何?」

「フフン♪ ローゼは見てて退屈しないわね。楽しいわ♪」

 ベレニスの滅茶苦茶な理論に反論したかったが、そのタイミングで先に湯船から出ていかれてしまった。

 おにょれベレニス、人をからかいおって。

 でもリョウがムッツリかあ~。
 ……まあ興味持たれないとか、男がいいとか言われるよりマシかな。
 って! 何を考えてるんだ私は!
 そんなこんなで温泉を出て、今日は後は寝るだけ。
 そう思っていた時だった。

「2人共、ちょっといいか?」

 珍しくリョウが話しかけてきたのだった。

「何? 眠いから明日にしてくんない? てか、乙女の泊まる部屋の前で待ち伏せって……はっ⁉ まさかアンタはロリコンなの⁉ キャー! 誰か助けてー!」

 ベレニスは悲鳴をあげながら私に抱き着くけど、お前絶対楽しんでるだろ。

「えっと……それで何……かな?」

 ベレニスの頭にコツンとしてから呟くけど、ベレニスのせいでちょっと緊張してしまったぞ。

「村長から聞き慣れない単語が出てな。2人が気にしてないようだから、俺の気のせいかもしれんが……」

 ん? なんだろう。なんかあったっけ?

「ハイエルフとベレニスが言われていたが……」

 あ~、と私とベレニスが声を漏らす。

「フ、無学な傭兵はこれだから駄目ね。ハイエルフってのは他種族の血が一切混じってない純血のエルフなの。つまり私のこと。フフン♪ 結構レアなのよ♪」

 ベレニスはドヤ顔で胸を張る。

「まあ、エルフ自体が珍しいけどね」

 私は思わず呟く。
 ハイエルフは更に希少な存在だろう。

 リョウは微妙な表情をした。
 まあその気持ちはわかるぞ。

 でもベレニスがハイエルフなのは事実だろうし、別に嘘は言っていない。

「それがどうしたの?」

「……それはちょっと教養があれば、初対面のエルフでも見分けられるのか?」

 リョウの問いに、あっ、と私とベレニスは声を漏らす。

「無理ね。私だって特に気にしてなかったし。……わざわざハイエルフって断定して言ったのは妙かも。ハイエルフって言葉を選ぶ理由なんてないし……」

 私の呟きにベレニスも微妙な表情になる。

「爺さんだったし、呆けて言っただけなんじゃないの~? 傭兵はホント変なとこで細かいんだから」

 ベレニスはやれやれといったポーズをとる。

「気にしても仕方ないけど、警戒はしましょ。もしかしたら私たちを嵌めようとしているって線もあるし」

 ジーニアら邪教の関係者がよくわかっていない現状だ。
 念の為に用心するに越したことはない。

「てか、傭兵……湯上がりの私とローゼを見て興奮してない? うわぁ~、最低~。キモ」

 ベレニスがニヤニヤしながら言うけど、何故に私の背中に隠れるんだっての。

「してない!」

 リョウは怒鳴りつけるけど、え~? 本当かな~。
 ちょっと疑わしいなぁ~。
 ベレニスと2人でジトーって見つめてやる。

 リョウは顔を赤くしながら、お休みと言って背中を見せる。

 なんか面白いなあコイツ。

「ローゼも顔が赤いわよ」

「これはお風呂入ったから! もうベレニス! 寝よ」

「はいはい、お休みね~」

 私はベレニスを引きずって部屋へと戻る。

 リョウはやっぱりムッツリなんだと判明したのであった。

 翌朝、村長さんは村の入口まで見送ってくれた。

「また何かあったらよろしくお願いしますぞ。若き冒険者様方」

 村長さんは頭を下げて言ってきた。
 なんかむず痒いなあ……

「そういえば村長さん。ベレニスのことをハイエルフって呼んでましたけど……」

「おや? 違ったかね?」

「いえ、合ってますけどなんでそう思ったのかな~って思いまして」

 結局何も起きずに迎えた朝、リョウはまだ警戒してる感じだし、私も気になったので聞いてみた。

 ベレニスはのほほんとしている。
 なんか危機感ないな~コイツ……

「儂が若い頃にエルフに出会いましてな。恥ずかしながらそのエルフに恋したんですが、ハイエルフの血を穢すつもりはないと言われまして。その見た目がベレニス様とそっくりでしてな。つい重ねてしまいましたわい」

 村長さんは、はははと笑いながら語るがベレニスは微妙な表情だ。

「オチなんて聞いてみればこんなもんなのよねえ。傭兵は疑い過ぎなのよ。ローゼぐらいあっけらかんとしてる方がいいわ」

 ビオレールへの帰路でベレニスが言ってくる。

 けど……ベレニス? あんたにあっけらかんとか言われたかないぞ。

「ま、世の中悪人ばかりじゃないってわかって良かったじゃない」

 私のフォローにリョウはそうだなと頷いた。
 少しは元気出たかな?
 あ、でもリョウのムッツリ疑惑は晴れたわけじゃないから!
 そこんところは注意せねば。

 そうして戻ったビオレール。

 ギルドで受付嬢に依頼達成の報告をしている私たちに、驚愕の報せが舞い込んでくる。

「大変だ! 領主のハインツ伯爵が殺されたぞ!」

 それはビオレールでの騒動が、まだまだ終わりそうもないことを意味するのだった。
 
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