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第3章 公爵令嬢の選択
第37話 ヴィレッタの選択(前編)
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翌朝もいつもと同じ目覚め。
おにょれベレニスにフィーリア。
なんで毎回、私の足を枕にして寝るんだよ!
っと、いけない。今日は私が食事当番だっけ。
エマさんを喪ったレスティア公爵邸は、あれからメイドの募集などしていない。
それもそのはず、今日の王との謁見でヴィレッタが正式に王宮住まいとなるのが確実視されているからだ。
多分、明日にはこの屋敷を引き払うことになる。
それは即ち、その時をもって私たちがヴィレッタの護衛任務を解かれ、別れとなるという意味だ。
それまで、大事に時間を使わなくちゃ……
起き上がって着替えていると、リョウが中庭で素振りする音が耳に入る。
エマさんがあの音で敵襲と勘違いしたっけと思い出して、少し暗い気分になって台所へ向かい、朝食の準備をしようとしたのだが……
「おはようございます、ローゼ。お早いのですね」
そこには、バスケットに美味しそうな匂いを漂わせている、料理を準備したヴィレッタが儚げな笑顔で立っていた。
「ヴィレッタおはよう。もう! 公爵令嬢様で王様のお嫁さんになる人が、朝から何をしてるの。学校も休校状態なんだし、まだ寝てなくっちゃ! 今日は王宮で王様と会うんだし、尚更でしょ」
「あら、わたくしだって料理ぐらい作れることをお見せしようと思いまして。……最期でしょうから」
「ヴィレッタ……」
「あっ! ごめんなさい。ですが昔より夢を見ていたのです。大事な人に手料理を振る舞うという。絶好の機会ですから、どうぞ召し上がってくださいまし」
「てかなんでバスケット?」
クンクンと匂いを嗅いでしまう。
こ、これはサンドイッチに違いない! いや、絶対そうだ!
芳醇なパンの薫りに、卵とマヨネーズのたまらない匂いが私の胃袋を刺激する。
「まだ駄目ですよローゼ。……折角ですので、朝日を見ながら食べませんか? 近くにピクニックに最適な場所があるのです。フフ♪ リョウ様はあと1時間は稽古でしょうし、ベレニスもフィーリアも2時間は起きないでしょうから、2人っきりで行きませんか?」
「こんな美味しそうな匂いを嗅がされて断れないよ。ゴクリ。3人には悪いけど行こっか♪」
ヴィレッタに言われるまま、私たちは屋敷を出て暫く歩く。
王都はまだ眠ったままの薄暗い道。
まるで世界に私とヴィレッタしか歩いていないんじゃないかって錯覚するぐらいの楽しい道のりだった。
やがて辿り着いた場所。
なんとそこには、一面に咲き乱れるお花畑が広がっていたのである。
景色は絶景そのものであり、色とりどりの花々が咲き乱れ、馨しい香りに包まれた絶景は、私に安らぎを与えてくれた。
少し風が強くて肌寒いけど、そんなのを忘れるぐらいの光景が私たちを歓迎してくれる。
朝日が登ってくるまで、私たちは芝生に座りながらサンドイッチを食べることにした。
私は卵サンドにハムサンド。
ヴィレッタはツナマヨと野菜のサンドイッチだ。
一口食べてみると……美味しい! 美味しすぎる! この味なら毎日食べたいよ! ってぐらいに私の好みの味だった。
「うひゃあ。ヴィレッタは料理も上手だなあ。私より上手いから、もう私のお嫁さんになるしかないね♪」
だって、本当に美味しいんだもん!
私のために毎日作ってほしいくらいだよ。
「フフ♪ まだまだありますから、沢山召し上がってくださいね」
お腹だけでなく、心までも満たすヴィレッタのサンドイッチ。
あっという間に食べ尽くすのが惜しい。
この時間がずっと続けばいいな、なんて感傷的な気分になってしまう。
……だから、油断した。
「お願いがあります。ローゼマリー様」
「もう、ヴィレッタったら、ローゼでいいって……あっ!」
視界に入るヴィレッタの微笑は、まるでこのまま消えてしまいそうなくらい儚いのに、その目は力強かった。
「フフ♪ やはりローゼはローゼマリー姫殿下だったのですね。今更取り繕って隠しても無駄ですよ? 幼い時からのサンドイッチの食べ方でわかっていましたから」
「た、食べ方?」
「ええ、両手で持って、小さな口で一生懸命食べる姿は、昔と変わらず可愛いです」
なんだか恥ずかしい……まさか食べ方で断定されるなんて。
「……ごめん。ヴィレッタ……黙っていて」
「どうせローゼのことです。巻き込みたくないとか、誰かに利用されて国が乱れて多くの民が犠牲になるのを避けたいからでしょう?」
「まあ、結局は邪教に利用されちゃったけどねえ。ディアナさんも王女生存説の噂を流したのは、結局のところ宰相派を揺さぶるのに利用するためだったもんな~。ホント世の中って理不尽」
「でも……そのお陰でわたくしはローゼと再会できたのですね」
ヴィレッタが私の手に自分の手を重ねてくる。
「……うん。そうだね……色々あったけど、今はヴィレッタと再会できてよかったって心から思うよ」
手から伝わる温もりは、私の心に安らぎを与えてくれる。
今すぐ抱きしめて、このまま連れ去って花嫁泥棒として追われるのも悪くないかなって思うほどに。
「……わたくしのこの10年は辛い日々でしたが、貴女に会えたことだけが唯一の幸せだったのです」
「ヴィレッタ?」
口調が変わった。なに? どうしたのヴィレッタ?
「先王様、先王妃様、そして王女である貴女が病死したとの報せを耳にした時から、わたくしの時間は止まってしまったのです。何も感じなくなって、全ての光が消え去りました」
ヴィレッタの目から涙が零れてくる……
泣かないでヴィレッタ。
……あれ? 手が動かないし、声も出ないんだけど。
「シャルロッテ様もきっと同じ想いだったはず。王女の棺に花束を添えた時、わたくしは叫びました。『ローゼ様じゃない』と。シャルロッテ様に制止されましたが、彼女も気づいたはずです。だって彼女の目には必ず陰謀を暴くとの強い意思を感じましたから。……わたくしは駄目です。ただ女神様に祈りを捧げ、大人たちが正しき道を進むように祈って生きることしかできない、臆病で情けない女です」
私と重ねていた手を放し、ヴィレッタはサンドイッチを手にする。
「父も事故で喪い、政治の表舞台から除外されたレスティア公爵家公爵令嬢。こんな肩書だけの令嬢に、誰がついてきてくれるのでしょうか?」
ヴィレッタの目……それはまるで懺悔のように見えた。
私は何も言えず、ただ彼女の言葉を待つしかなかった。
「エマがわたくしに仕えたいと言ってきた時は驚きました。こんなに優秀な人がどうしてわたくしへ? もっと権力のある家に雇われていれば違う道もあったでしょうに。……でも、エマはわたくしに尽くしてくれました。例え、その裏に企みがあろうとも。……わたくしは駄目な主でした。もっと彼女について知り、真摯に向き合い、こんな結末を迎えないように努力すべきでした。彼女の献身に甘え、結局わたくしの力では何も守れませんでした。……でも、でも!」
ヴィレッタの目からは、また涙が溢れて止まらない。
ようやく、私は私の身に起きている異常を理解する。
毒だ。
命には別状ないが、私の食べたサンドイッチには身体の自由を麻痺させる毒が入っていた。
ヴィレッタが入れたんだ……
「シャルロッテ様は家族も使用人も皆殺しにされ、邪教の魔女ジーニアに連れ去られました。エマは邪教の協力者の汚名だけが残り、死んでしまった‼ ……なのにわたくしは陛下へ嫁ぐという。さらに神聖魔法の使い手として……邪教から守護する対象として、多くの兵から護られていくと約束までされている。……フフ、笑っちゃいます。エマとシャルロッテ様がこうなったのに、わたくしだけが幸せになるなんて。多くの人を不幸にして、民の上に立つ気なのかと……女神様も呆れているはずです」
違う! ヴィレッタ!
エマさんもシャルロッテもヴィレッタのせいじゃない!
そう叫ぼうにも、声が出ない。
「でも、そんなわたくしにもできる唯一の償いと未来を託す方法がございます。……ローゼ様、このバスケットの中にわたくしの遺書が入っています。内容は『王女を騙った女を許せないから道連れにして死にます』と。……ですが安心してくださいまし。ローゼ様は死にません。世間はこう思うでしょう。『ああ、ローゼマリー姫殿下の幼馴染だった公爵令嬢がそこまでするんだ。あの魔女ローゼは王女なんかじゃない、偽物だったんだ。公爵令嬢もメイドの裏切りにきっと病んでしまわれたのだ』と……」
ヴィレッタはサンドイッチを一口頬張った。
「そんな顔をしないでくださいまし、わたくしの魂はローゼ様の旅路を共にする覚悟です。この命を……ローゼ様のために………捧げられるなら……本……望です……」
意識を混濁させ、ヴィレッタは倒れた。
なんて馬鹿な真似を!
こんな私を救うためだけに死ぬなんて間違っている!
私の責任だ! 彼女に全てを打ち明けていたら、こんなことにはならなかったのに‼
こんな結末、私は絶対に認めない‼
できるか? じゃない。やってみせる‼
全身の魔力を研ぎ澄ませ、動かぬ口に動かぬ手足は無視し、思考のみで魔法の構成を完了させ、発動する。
転移の魔法の応用だ。
ヴィレッタの体内に入った毒を、全て私の身体に移動させる‼
魔力よ! 私の願いを動かす力に変われ‼
できないなら二度と魔女なんて名乗るな‼
私の幼馴染を私なんかの犠牲にするなあああああああああ‼
私の想いを込めた魔力がうねり、私の身体とヴィレッタの身体を駆け巡るのであった。
おにょれベレニスにフィーリア。
なんで毎回、私の足を枕にして寝るんだよ!
っと、いけない。今日は私が食事当番だっけ。
エマさんを喪ったレスティア公爵邸は、あれからメイドの募集などしていない。
それもそのはず、今日の王との謁見でヴィレッタが正式に王宮住まいとなるのが確実視されているからだ。
多分、明日にはこの屋敷を引き払うことになる。
それは即ち、その時をもって私たちがヴィレッタの護衛任務を解かれ、別れとなるという意味だ。
それまで、大事に時間を使わなくちゃ……
起き上がって着替えていると、リョウが中庭で素振りする音が耳に入る。
エマさんがあの音で敵襲と勘違いしたっけと思い出して、少し暗い気分になって台所へ向かい、朝食の準備をしようとしたのだが……
「おはようございます、ローゼ。お早いのですね」
そこには、バスケットに美味しそうな匂いを漂わせている、料理を準備したヴィレッタが儚げな笑顔で立っていた。
「ヴィレッタおはよう。もう! 公爵令嬢様で王様のお嫁さんになる人が、朝から何をしてるの。学校も休校状態なんだし、まだ寝てなくっちゃ! 今日は王宮で王様と会うんだし、尚更でしょ」
「あら、わたくしだって料理ぐらい作れることをお見せしようと思いまして。……最期でしょうから」
「ヴィレッタ……」
「あっ! ごめんなさい。ですが昔より夢を見ていたのです。大事な人に手料理を振る舞うという。絶好の機会ですから、どうぞ召し上がってくださいまし」
「てかなんでバスケット?」
クンクンと匂いを嗅いでしまう。
こ、これはサンドイッチに違いない! いや、絶対そうだ!
芳醇なパンの薫りに、卵とマヨネーズのたまらない匂いが私の胃袋を刺激する。
「まだ駄目ですよローゼ。……折角ですので、朝日を見ながら食べませんか? 近くにピクニックに最適な場所があるのです。フフ♪ リョウ様はあと1時間は稽古でしょうし、ベレニスもフィーリアも2時間は起きないでしょうから、2人っきりで行きませんか?」
「こんな美味しそうな匂いを嗅がされて断れないよ。ゴクリ。3人には悪いけど行こっか♪」
ヴィレッタに言われるまま、私たちは屋敷を出て暫く歩く。
王都はまだ眠ったままの薄暗い道。
まるで世界に私とヴィレッタしか歩いていないんじゃないかって錯覚するぐらいの楽しい道のりだった。
やがて辿り着いた場所。
なんとそこには、一面に咲き乱れるお花畑が広がっていたのである。
景色は絶景そのものであり、色とりどりの花々が咲き乱れ、馨しい香りに包まれた絶景は、私に安らぎを与えてくれた。
少し風が強くて肌寒いけど、そんなのを忘れるぐらいの光景が私たちを歓迎してくれる。
朝日が登ってくるまで、私たちは芝生に座りながらサンドイッチを食べることにした。
私は卵サンドにハムサンド。
ヴィレッタはツナマヨと野菜のサンドイッチだ。
一口食べてみると……美味しい! 美味しすぎる! この味なら毎日食べたいよ! ってぐらいに私の好みの味だった。
「うひゃあ。ヴィレッタは料理も上手だなあ。私より上手いから、もう私のお嫁さんになるしかないね♪」
だって、本当に美味しいんだもん!
私のために毎日作ってほしいくらいだよ。
「フフ♪ まだまだありますから、沢山召し上がってくださいね」
お腹だけでなく、心までも満たすヴィレッタのサンドイッチ。
あっという間に食べ尽くすのが惜しい。
この時間がずっと続けばいいな、なんて感傷的な気分になってしまう。
……だから、油断した。
「お願いがあります。ローゼマリー様」
「もう、ヴィレッタったら、ローゼでいいって……あっ!」
視界に入るヴィレッタの微笑は、まるでこのまま消えてしまいそうなくらい儚いのに、その目は力強かった。
「フフ♪ やはりローゼはローゼマリー姫殿下だったのですね。今更取り繕って隠しても無駄ですよ? 幼い時からのサンドイッチの食べ方でわかっていましたから」
「た、食べ方?」
「ええ、両手で持って、小さな口で一生懸命食べる姿は、昔と変わらず可愛いです」
なんだか恥ずかしい……まさか食べ方で断定されるなんて。
「……ごめん。ヴィレッタ……黙っていて」
「どうせローゼのことです。巻き込みたくないとか、誰かに利用されて国が乱れて多くの民が犠牲になるのを避けたいからでしょう?」
「まあ、結局は邪教に利用されちゃったけどねえ。ディアナさんも王女生存説の噂を流したのは、結局のところ宰相派を揺さぶるのに利用するためだったもんな~。ホント世の中って理不尽」
「でも……そのお陰でわたくしはローゼと再会できたのですね」
ヴィレッタが私の手に自分の手を重ねてくる。
「……うん。そうだね……色々あったけど、今はヴィレッタと再会できてよかったって心から思うよ」
手から伝わる温もりは、私の心に安らぎを与えてくれる。
今すぐ抱きしめて、このまま連れ去って花嫁泥棒として追われるのも悪くないかなって思うほどに。
「……わたくしのこの10年は辛い日々でしたが、貴女に会えたことだけが唯一の幸せだったのです」
「ヴィレッタ?」
口調が変わった。なに? どうしたのヴィレッタ?
「先王様、先王妃様、そして王女である貴女が病死したとの報せを耳にした時から、わたくしの時間は止まってしまったのです。何も感じなくなって、全ての光が消え去りました」
ヴィレッタの目から涙が零れてくる……
泣かないでヴィレッタ。
……あれ? 手が動かないし、声も出ないんだけど。
「シャルロッテ様もきっと同じ想いだったはず。王女の棺に花束を添えた時、わたくしは叫びました。『ローゼ様じゃない』と。シャルロッテ様に制止されましたが、彼女も気づいたはずです。だって彼女の目には必ず陰謀を暴くとの強い意思を感じましたから。……わたくしは駄目です。ただ女神様に祈りを捧げ、大人たちが正しき道を進むように祈って生きることしかできない、臆病で情けない女です」
私と重ねていた手を放し、ヴィレッタはサンドイッチを手にする。
「父も事故で喪い、政治の表舞台から除外されたレスティア公爵家公爵令嬢。こんな肩書だけの令嬢に、誰がついてきてくれるのでしょうか?」
ヴィレッタの目……それはまるで懺悔のように見えた。
私は何も言えず、ただ彼女の言葉を待つしかなかった。
「エマがわたくしに仕えたいと言ってきた時は驚きました。こんなに優秀な人がどうしてわたくしへ? もっと権力のある家に雇われていれば違う道もあったでしょうに。……でも、エマはわたくしに尽くしてくれました。例え、その裏に企みがあろうとも。……わたくしは駄目な主でした。もっと彼女について知り、真摯に向き合い、こんな結末を迎えないように努力すべきでした。彼女の献身に甘え、結局わたくしの力では何も守れませんでした。……でも、でも!」
ヴィレッタの目からは、また涙が溢れて止まらない。
ようやく、私は私の身に起きている異常を理解する。
毒だ。
命には別状ないが、私の食べたサンドイッチには身体の自由を麻痺させる毒が入っていた。
ヴィレッタが入れたんだ……
「シャルロッテ様は家族も使用人も皆殺しにされ、邪教の魔女ジーニアに連れ去られました。エマは邪教の協力者の汚名だけが残り、死んでしまった‼ ……なのにわたくしは陛下へ嫁ぐという。さらに神聖魔法の使い手として……邪教から守護する対象として、多くの兵から護られていくと約束までされている。……フフ、笑っちゃいます。エマとシャルロッテ様がこうなったのに、わたくしだけが幸せになるなんて。多くの人を不幸にして、民の上に立つ気なのかと……女神様も呆れているはずです」
違う! ヴィレッタ!
エマさんもシャルロッテもヴィレッタのせいじゃない!
そう叫ぼうにも、声が出ない。
「でも、そんなわたくしにもできる唯一の償いと未来を託す方法がございます。……ローゼ様、このバスケットの中にわたくしの遺書が入っています。内容は『王女を騙った女を許せないから道連れにして死にます』と。……ですが安心してくださいまし。ローゼ様は死にません。世間はこう思うでしょう。『ああ、ローゼマリー姫殿下の幼馴染だった公爵令嬢がそこまでするんだ。あの魔女ローゼは王女なんかじゃない、偽物だったんだ。公爵令嬢もメイドの裏切りにきっと病んでしまわれたのだ』と……」
ヴィレッタはサンドイッチを一口頬張った。
「そんな顔をしないでくださいまし、わたくしの魂はローゼ様の旅路を共にする覚悟です。この命を……ローゼ様のために………捧げられるなら……本……望です……」
意識を混濁させ、ヴィレッタは倒れた。
なんて馬鹿な真似を!
こんな私を救うためだけに死ぬなんて間違っている!
私の責任だ! 彼女に全てを打ち明けていたら、こんなことにはならなかったのに‼
こんな結末、私は絶対に認めない‼
できるか? じゃない。やってみせる‼
全身の魔力を研ぎ澄ませ、動かぬ口に動かぬ手足は無視し、思考のみで魔法の構成を完了させ、発動する。
転移の魔法の応用だ。
ヴィレッタの体内に入った毒を、全て私の身体に移動させる‼
魔力よ! 私の願いを動かす力に変われ‼
できないなら二度と魔女なんて名乗るな‼
私の幼馴染を私なんかの犠牲にするなあああああああああ‼
私の想いを込めた魔力がうねり、私の身体とヴィレッタの身体を駆け巡るのであった。
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