120 / 314
第3章 公爵令嬢の選択
最終話 晩餐会にて
しおりを挟む
ヴィレッタは直後の晩餐会で、「自由騎士なんてリョウ様に授ければいいのに」と愚痴った。
けれど、傭兵団に所属しているリョウに授けたら各所で軋轢が起きるでしょうとのラシルの説明に渋々納得し、サリウス叔父さんも「大反対が起きないのはヴィレッタだけだったぞ」なんて言いながら食事を楽しんでいる。
そう、なぜか今、私はこの3人と一緒のテーブルで談笑しているという状況に陥っているのだ。
「しかし、魔女とはのお。10年前の真実。知っていることは全て、叔父である余に教えるのだぞ」
「いやあ、隠し通せていると思っているのに、笑いが込み上げてくるよ」
「ローゼはローゼです。昔から変わったのは王籍ではないのみでした。全然性格が変わっていなかったのには呆れました」
しかも3人とも、普通に私をローゼマリーとして扱っているし!
「叔父さんに従兄妹に幼馴染に再会できて私は幸せで~す。黙っていたのはすいませんでした~」
やけくそ気味に軽い調子で謝罪してやる。
「なあに、僕にとって君が生きていても厄介なのは変わらない。公表も公言もしないから、自由に旅をしていればいいさ」
「ラシルも性格が変わらないね。ったく、叔父さん! 玉座をこれに奪われないように気をつけてよ!」
「はっ! 王様なんて罰ゲームを誰が望むかよ。あっ、いえ陛下、これは言葉の綾でして」
うっかり本音をポロリと漏らした失言に、ラシルは慌てて取り繕う。
「わかっておる。ラシルが余に仕えるのも私利私欲のためよ。だが、ラシルの望みはまだまだ叶えられそうにない。知恵者のテシウスやトールですら、『考えておきましょう』と言ったまま音沙汰ない故に厳しい。そうだローゼマリー……いや、魔女ローゼよ。この難題を解決する方策を思案してみぬか?」
「あの2人が無理? 一体何が望みなんですか? この私の元許嫁は?」
「へ、陛下! この話題は、なしでお願いします!」
慌てるラシルを横目に、ヴィレッタがそっと教えてくれる。
「有名な話として、ラシル殿下は王立学校時代の同級生に一途なのです。きっと願いは、その方と恋仲になるにはどうすればいいかでしょう」
「ヴィ、ヴィレッタちゃんまで……」
弱った顔をするラシルに、私はすかさずニヤニヤ顔で詰め寄っていく。
「ほほう? 顔だけはいいラシル殿下に好かれている幸運? な女性って一体誰でしょう? 私も興味がありますわー」
「何故幸運に? をつけた。しかも棒読みだと⁉」
私の視線から逃れようとそっぽを向くラシル。
耳まで赤いのは隠せないみたいだ。
テシウスさんとトールさんに望みを相談しているってことは、この国で解決できることではないってことね。
なら他国? それとも誰かの夫人だったりして。
「うわ、最低! 人の奥さんに手を出す気? 犯罪じゃない!」
「何を想像しているんだ、このバカ妹は! ……あっちのテラスで、君のいい人と話し込んでいるアデル殿の娘だよ。トール殿から聞いて知っているぞ! 君たちがビオレールで世話になったオルタナ・アーノルドだよ!」
「なっ⁉……なるほど……ん? って! 誰が私のいい人だ! リョウとはそういう関係じゃないし‼……ていうか、何を話しているんだろ? ちょっと行ってくるね」
私の旗色が悪くなりそうだったので、リョウとアデルが談笑しているテラスへ逃げるように向かうのだった。
***
アデルが感極まって涙を流し、あたふたしているローゼとリョウの背中を見つつ、残ったヴィレッタは嘆息して呟くのだった。
「ローゼもラシル様も、一途で恋に不器用なのもそっくりですね」
「ふん。あの子はうまくやったさ。きっと王族にこだわらないのは、リョウ・アルバースの存在があるからだろう。僕は違う。王族のまま身分違いを乗り越えるさ」
「余はヴィレッタが心配だ。旅先で変な男にだけは騙されるでないぞ」
「ご心配ありがとうございます、陛下。ですが、その不安は無用でございます」
意味深な笑みを浮かべたヴィレッタの台詞に、サリウス王とラシルは顔を見合わせた。
ヴィレッタは一礼をして、大食い競争をしているベレニスとフィーリアのテーブルへと向かう。
ラシルはクスリと笑い、サリウス王もため息を吐いて、ローゼたちのいるテラスを眺めていくのであった。
けれど、傭兵団に所属しているリョウに授けたら各所で軋轢が起きるでしょうとのラシルの説明に渋々納得し、サリウス叔父さんも「大反対が起きないのはヴィレッタだけだったぞ」なんて言いながら食事を楽しんでいる。
そう、なぜか今、私はこの3人と一緒のテーブルで談笑しているという状況に陥っているのだ。
「しかし、魔女とはのお。10年前の真実。知っていることは全て、叔父である余に教えるのだぞ」
「いやあ、隠し通せていると思っているのに、笑いが込み上げてくるよ」
「ローゼはローゼです。昔から変わったのは王籍ではないのみでした。全然性格が変わっていなかったのには呆れました」
しかも3人とも、普通に私をローゼマリーとして扱っているし!
「叔父さんに従兄妹に幼馴染に再会できて私は幸せで~す。黙っていたのはすいませんでした~」
やけくそ気味に軽い調子で謝罪してやる。
「なあに、僕にとって君が生きていても厄介なのは変わらない。公表も公言もしないから、自由に旅をしていればいいさ」
「ラシルも性格が変わらないね。ったく、叔父さん! 玉座をこれに奪われないように気をつけてよ!」
「はっ! 王様なんて罰ゲームを誰が望むかよ。あっ、いえ陛下、これは言葉の綾でして」
うっかり本音をポロリと漏らした失言に、ラシルは慌てて取り繕う。
「わかっておる。ラシルが余に仕えるのも私利私欲のためよ。だが、ラシルの望みはまだまだ叶えられそうにない。知恵者のテシウスやトールですら、『考えておきましょう』と言ったまま音沙汰ない故に厳しい。そうだローゼマリー……いや、魔女ローゼよ。この難題を解決する方策を思案してみぬか?」
「あの2人が無理? 一体何が望みなんですか? この私の元許嫁は?」
「へ、陛下! この話題は、なしでお願いします!」
慌てるラシルを横目に、ヴィレッタがそっと教えてくれる。
「有名な話として、ラシル殿下は王立学校時代の同級生に一途なのです。きっと願いは、その方と恋仲になるにはどうすればいいかでしょう」
「ヴィ、ヴィレッタちゃんまで……」
弱った顔をするラシルに、私はすかさずニヤニヤ顔で詰め寄っていく。
「ほほう? 顔だけはいいラシル殿下に好かれている幸運? な女性って一体誰でしょう? 私も興味がありますわー」
「何故幸運に? をつけた。しかも棒読みだと⁉」
私の視線から逃れようとそっぽを向くラシル。
耳まで赤いのは隠せないみたいだ。
テシウスさんとトールさんに望みを相談しているってことは、この国で解決できることではないってことね。
なら他国? それとも誰かの夫人だったりして。
「うわ、最低! 人の奥さんに手を出す気? 犯罪じゃない!」
「何を想像しているんだ、このバカ妹は! ……あっちのテラスで、君のいい人と話し込んでいるアデル殿の娘だよ。トール殿から聞いて知っているぞ! 君たちがビオレールで世話になったオルタナ・アーノルドだよ!」
「なっ⁉……なるほど……ん? って! 誰が私のいい人だ! リョウとはそういう関係じゃないし‼……ていうか、何を話しているんだろ? ちょっと行ってくるね」
私の旗色が悪くなりそうだったので、リョウとアデルが談笑しているテラスへ逃げるように向かうのだった。
***
アデルが感極まって涙を流し、あたふたしているローゼとリョウの背中を見つつ、残ったヴィレッタは嘆息して呟くのだった。
「ローゼもラシル様も、一途で恋に不器用なのもそっくりですね」
「ふん。あの子はうまくやったさ。きっと王族にこだわらないのは、リョウ・アルバースの存在があるからだろう。僕は違う。王族のまま身分違いを乗り越えるさ」
「余はヴィレッタが心配だ。旅先で変な男にだけは騙されるでないぞ」
「ご心配ありがとうございます、陛下。ですが、その不安は無用でございます」
意味深な笑みを浮かべたヴィレッタの台詞に、サリウス王とラシルは顔を見合わせた。
ヴィレッタは一礼をして、大食い競争をしているベレニスとフィーリアのテーブルへと向かう。
ラシルはクスリと笑い、サリウス王もため息を吐いて、ローゼたちのいるテラスを眺めていくのであった。
2
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる