【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第3章 公爵令嬢の選択

最終話 晩餐会にて

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 ヴィレッタは直後の晩餐会で、「自由騎士なんてリョウ様に授ければいいのに」と愚痴った。
 けれど、傭兵団に所属しているリョウに授けたら各所で軋轢が起きるでしょうとのラシルの説明に渋々納得し、サリウス叔父さんも「大反対が起きないのはヴィレッタだけだったぞ」なんて言いながら食事を楽しんでいる。

 そう、なぜか今、私はこの3人と一緒のテーブルで談笑しているという状況に陥っているのだ。

「しかし、魔女とはのお。10年前の真実。知っていることは全て、叔父である余に教えるのだぞ」

「いやあ、隠し通せていると思っているのに、笑いが込み上げてくるよ」

「ローゼはローゼです。昔から変わったのは王籍ではないのみでした。全然性格が変わっていなかったのには呆れました」

 しかも3人とも、普通に私をローゼマリーとして扱っているし!

「叔父さんに従兄妹に幼馴染に再会できて私は幸せで~す。黙っていたのはすいませんでした~」

 やけくそ気味に軽い調子で謝罪してやる。

「なあに、僕にとって君が生きていても厄介なのは変わらない。公表も公言もしないから、自由に旅をしていればいいさ」

「ラシルも性格が変わらないね。ったく、叔父さん! 玉座をこれに奪われないように気をつけてよ!」

「はっ! 王様なんて罰ゲームを誰が望むかよ。あっ、いえ陛下、これは言葉の綾でして」

 うっかり本音をポロリと漏らした失言に、ラシルは慌てて取り繕う。

「わかっておる。ラシルが余に仕えるのも私利私欲のためよ。だが、ラシルの望みはまだまだ叶えられそうにない。知恵者のテシウスやトールですら、『考えておきましょう』と言ったまま音沙汰ない故に厳しい。そうだローゼマリー……いや、魔女ローゼよ。この難題を解決する方策を思案してみぬか?」

「あの2人が無理? 一体何が望みなんですか? この私の元許嫁は?」

「へ、陛下! この話題は、なしでお願いします!」

 慌てるラシルを横目に、ヴィレッタがそっと教えてくれる。

「有名な話として、ラシル殿下は王立学校時代の同級生に一途なのです。きっと願いは、その方と恋仲になるにはどうすればいいかでしょう」

「ヴィ、ヴィレッタちゃんまで……」

 弱った顔をするラシルに、私はすかさずニヤニヤ顔で詰め寄っていく。

「ほほう? 顔だけはいいラシル殿下に好かれている幸運? な女性って一体誰でしょう? 私も興味がありますわー」

「何故幸運に? をつけた。しかも棒読みだと⁉」

 私の視線から逃れようとそっぽを向くラシル。
 耳まで赤いのは隠せないみたいだ。

 テシウスさんとトールさんに望みを相談しているってことは、この国で解決できることではないってことね。

 なら他国? それとも誰かの夫人だったりして。

「うわ、最低! 人の奥さんに手を出す気? 犯罪じゃない!」

「何を想像しているんだ、このバカ妹は! ……あっちのテラスで、君のいい人と話し込んでいるアデル殿の娘だよ。トール殿から聞いて知っているぞ! 君たちがビオレールで世話になったオルタナ・アーノルドだよ!」

「なっ⁉……なるほど……ん? って! 誰が私のいい人だ! リョウとはそういう関係じゃないし‼……ていうか、何を話しているんだろ? ちょっと行ってくるね」

 私の旗色が悪くなりそうだったので、リョウとアデルが談笑しているテラスへ逃げるように向かうのだった。

 ***

 アデルが感極まって涙を流し、あたふたしているローゼとリョウの背中を見つつ、残ったヴィレッタは嘆息して呟くのだった。

「ローゼもラシル様も、一途で恋に不器用なのもそっくりですね」

「ふん。あの子はうまくやったさ。きっと王族にこだわらないのは、リョウ・アルバースの存在があるからだろう。僕は違う。王族のまま身分違いを乗り越えるさ」

「余はヴィレッタが心配だ。旅先で変な男にだけは騙されるでないぞ」

「ご心配ありがとうございます、陛下。ですが、その不安は無用でございます」

 意味深な笑みを浮かべたヴィレッタの台詞に、サリウス王とラシルは顔を見合わせた。

 ヴィレッタは一礼をして、大食い競争をしているベレニスとフィーリアのテーブルへと向かう。

 ラシルはクスリと笑い、サリウス王もため息を吐いて、ローゼたちのいるテラスを眺めていくのであった。
 
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