【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第3章 公爵令嬢の選択

エピローグ

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 前宰相テスタと、商業ギルドのギルドマスターが公開処刑されたのを確認し、フードを深く被った女は熱気渦巻く民衆の群れから外れた。

「キヒ♥ どう? 楽しかったぁ?」

 そこには同じくフードを被った女が、帽子の上部に手を当て、顔を扇いでいた。

「ジーニア、顔を隠しなさい。油断は禁物よ」

 一瞬、太陽に反射して女の顔が露になる。

 小顔で美少女と言って過言ではないが、歪んだ口元とその目は狂気を宿しており、何を仕出かすかわかったものではない。

 その女、魔女ジーニアは帽子を被り直し、再度問うた。

「別に、悪党が悪党の末路を迎えただけ。よかったんじゃない? 父も兄も死んだし、私の嫌いな人はみんな死んだわ。上々の戦果よ。……エマとオルガを喪ったのは痛手だけどね」

 悲劇の少女を演じた末の結末。

 望んでいた結果ではなかったが、今後のためにも、これは仕方がないと受け入れた。

「キヒ♥ あんたはぁ、あたしに連れ去られた可哀想な公爵令嬢って設定だしねぇ♥」

「ええ、晴れて自由の身よ。ようやく、やりたいことができるわ」

 ルインズベリー家を皆殺しにし、火を放ち、家人をグールに変え、不正の証拠をテシウスの書斎に置いたのは彼女であった。
 彼女は正義に反した行いをしていた父や、襲撃者に仕立てた人物の口を封じる商業ギルドのマスターのやり口、そしてそれを操るルインズベリー家のやり方に、激しい怒りを覚えていた。

 だから、正義を執行しただけである。
 オルガの復讐への筋書きを書いたのも彼女であった。
 兄、ポールに対する憐憫の情もない。

 ゆえに魔族に変える実験をしたいと言い出したジーニアにも協力した。

 王都の南の城門まで歩く2人。

「止まれ。通行証を」

 南の城門で、2人の門番が槍を持ち立ち塞がる。

「キヒ♥」

 ジーニアが込み上げる嗤いを抑える中、もう1人がフードを脱いだ。

 門番2人は長く赤い髪のポニーテールの少女を美しいと見惚れ、何も問い糾すことはせず、どうぞお通りをと道を開けていった。

「便利ねえ♥ 偽造手形も転移魔法で迂回も必要ないしぃ♥」

「別に、こんな力を誇っても意味ないわ。正義のために大陸を滅ぼすにはまだ力が足りない。もっと力が欲しい。もっともっと力を手に入れ、不愉快に居座り続ける6人の老婆をも凌駕し、『真実の眼』を私が手中に収めてみせる」

「フヒ♥ シャルロッテはぁ、欲張りだねぇ♥」

「欲張り? 当然の要求だわ。この世を滅ぼし、ローゼ様に捧げる。こんなクズしかいない世界など、存在する価値すらないわ。ローゼ様の横には私とヴィレッタ様が控えるの。それはとっても素敵なことでしょう? ねえ、ジーニア」

 狂気の笑みを見せたシャルロッテに、ジーニアは相槌を打ちつつも、ゾクリと背筋に寒気を覚えた。

(成果は上々。この実験結果はマツバ様も褒めてくれそう♥ 王女様もバカだねぇ。こいつは王女様が立ち上がって、王国のクズどもを皆殺しにする選択を望んだのにねぇ。……キヒ♥ そうすりゃ今頃、この心がぶっ壊れた公爵令嬢様は、心安らかに王女様の隣で戦ってただろうにさぁ♥)

 南の街道を歩く2人の姿は次第に小さくなる。

 日が落ち、月明かりが照らし始めた頃、凶星が流れ星となりて、消えていった。
 
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