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第6章 雪原は鮮血に染まる
第11話 ディンレル王国滅亡 姉王女アリス
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ディンレル王国の王宮、白亜宮の廊下をアリスとヒイラギが歩く。
「あまり、俺を連れ回すべきではないと思うのだが」
長身で漆黒の髪と瞳の青年ヒイラギは、王女にして主である少女へ嘆息した。
「あら? 知ってる? 奴隷って人扱いされないのよ。男の奴隷がいても、平気で着替える貴族の女の子もいるぐらい。心が私たちと同じだと理解できないのよ。つまり、いてもいなくても誰も気にしないの。王宮で一緒に歩いていたって誰も不思議に思ったりしないから安心して♪」
それは首枷をかけられた存在なら、その通りかもしれない。
だが支度ができていないから待てと言われ小半刻。
いつまで待たせるのかと部屋を開け、下着姿のアリスに魔法を連打され、危うく死にかけたのはつい数分前のことだ。
大体、俺が着せられた服はどう見てもディンレル王国の騎士の恰好ではないか、とヒイラギは思う。
「黒髪黒瞳! アリス様! お下がりを! とりゃあ喰らええええええ。我が魔法、とくと味わうがいい!」
中庭が見えた辺りで、紫色の髪の少女が問答無用と魔法弾を連打し、緑髪の少女がアリスを庇うようにいつの間にか立っている。
あ、これ死んだ。遠慮なしの魔法弾の光にヒイラギは、さらば妹よ、と心の中で呟いた。
「もう! ローレル! アロマティカス! 怒るよ!」
両腕を腰に当てたアリスは珍しく怒った様子だ。
魔法弾は直撃直前で霧散した。
「アリス姫様! なんで怒られなきゃならないんですか! 悪いのはこの黒髪黒瞳です! くっ! アリス姫様の傍らで侍る……それは私の役目ですううううう!」
「そうですアリス姫様。男はケダモノ。男は女神伝説に出てくる悪魔そのもの。今、この場で倒しておくか、せめて去勢しておいて後々の禍根を今から断ち切っておくべきですうううううう!」
紫髪癖っ毛のローレル、緑髪セミロングのアロマティカスが口々に言う。
ヒイラギはこの2人はアリスに気があるなと即座に悟る。
だがまあ、それはいい。問題はこの2人が去勢まで考えていることだ。
ヒイラギは生殖行為の経験はない。
だがなくなるのは嫌だと、この2人の少女に深い恐れを抱く。
「ローレル! アロマティカス! な~に言ってるの! この男の顔をよく見なさい! このぬぼっとした顔におっかない目つき! 私がこれを男として意識すると思う? 思わないよね!」
「いえいえアリス姫様! 男と思ってる時点で駄目なのです。アリス姫様の傍らを歩くそんな存在は、それだけで処刑に値するのですよ」
「ローレルの言う通りでございます。もしアリス姫様の傍らに置くなら、ちょん切っておかなければ安心できません。さあ、刈り取りましょう!」
ローレルとアロマティカスは幼い頃、アリスの魔法に命を救われたことがある。
それ以来、2人は強くて優しいアリスに絶対的な忠誠心と思慕を抱くようになったのだ。
「って! 何を想像してるんだあんたらは! てか、私には婚約者がいるんだから!」
アリスは両手でスカートを押さえ、顔を真っ赤にして叫んでいる。
すると紫髪と緑髪の少女は頷きあってハモった。
「「ビオレール公国のキース公子の暗殺。我ら2人にお命じください」」
「って! 何を言い出すんだああああああああ! 大戦争になるわ! 何万何十万の死者が出るわあああああああああ。もう2人とも! 下がって! これからお父様に面会するんだから!」
キース公子との婚約。それは政治的な取り決めに過ぎない。
アリスは表面上は冷静を装っていたが、心の中では不安が渦巻いていた。見知らぬ国の公子との結婚。
それは自分の人生だけでなく、国の未来をも左右する重大事だからだ。
「ならば、我々も御一緒します!」
「そうです! 男は逆に要りません! このアロマティカスとローレルは、アリス姫様の同い年にして永遠の忠誠を誓った存在。いつでもどこでも寝る時でも、お供いたす所存でございます」
ムフン♪ として告げる2人の少女に、アリスは心の中で深いため息をついた。
第一王女としての責任と、自分の意志との間で常に揺れ動いている自分自身。
そんな複雑な思いを、誰にも打ち明けられないもどかしさがあるから。
その様子にヒイラギも心の中で思う。
この少女たちは一体どんな躾をされているんだ?
大国であるディンレル王国の姫様に、これはちょっと酷すぎる態度だ。
ヒイラギは静かに状況を観察していた。
アリスの困惑した表情、ローレルとアロマティカスの過剰な反応、そして周囲の警備兵たちの嘆息。
これらすべてが、この国の日常なのだろう。
ヒイラギは幼い頃から、キルア族の戦士として厳しい訓練を積んできた。
その経験が、今の彼の冷静な判断力と洞察力を育んでいる。
ヒイラギはこの3人の関係、及びディンレル王国について、もっと理解するべきだなと思うのだった。
「あまり、俺を連れ回すべきではないと思うのだが」
長身で漆黒の髪と瞳の青年ヒイラギは、王女にして主である少女へ嘆息した。
「あら? 知ってる? 奴隷って人扱いされないのよ。男の奴隷がいても、平気で着替える貴族の女の子もいるぐらい。心が私たちと同じだと理解できないのよ。つまり、いてもいなくても誰も気にしないの。王宮で一緒に歩いていたって誰も不思議に思ったりしないから安心して♪」
それは首枷をかけられた存在なら、その通りかもしれない。
だが支度ができていないから待てと言われ小半刻。
いつまで待たせるのかと部屋を開け、下着姿のアリスに魔法を連打され、危うく死にかけたのはつい数分前のことだ。
大体、俺が着せられた服はどう見てもディンレル王国の騎士の恰好ではないか、とヒイラギは思う。
「黒髪黒瞳! アリス様! お下がりを! とりゃあ喰らええええええ。我が魔法、とくと味わうがいい!」
中庭が見えた辺りで、紫色の髪の少女が問答無用と魔法弾を連打し、緑髪の少女がアリスを庇うようにいつの間にか立っている。
あ、これ死んだ。遠慮なしの魔法弾の光にヒイラギは、さらば妹よ、と心の中で呟いた。
「もう! ローレル! アロマティカス! 怒るよ!」
両腕を腰に当てたアリスは珍しく怒った様子だ。
魔法弾は直撃直前で霧散した。
「アリス姫様! なんで怒られなきゃならないんですか! 悪いのはこの黒髪黒瞳です! くっ! アリス姫様の傍らで侍る……それは私の役目ですううううう!」
「そうですアリス姫様。男はケダモノ。男は女神伝説に出てくる悪魔そのもの。今、この場で倒しておくか、せめて去勢しておいて後々の禍根を今から断ち切っておくべきですうううううう!」
紫髪癖っ毛のローレル、緑髪セミロングのアロマティカスが口々に言う。
ヒイラギはこの2人はアリスに気があるなと即座に悟る。
だがまあ、それはいい。問題はこの2人が去勢まで考えていることだ。
ヒイラギは生殖行為の経験はない。
だがなくなるのは嫌だと、この2人の少女に深い恐れを抱く。
「ローレル! アロマティカス! な~に言ってるの! この男の顔をよく見なさい! このぬぼっとした顔におっかない目つき! 私がこれを男として意識すると思う? 思わないよね!」
「いえいえアリス姫様! 男と思ってる時点で駄目なのです。アリス姫様の傍らを歩くそんな存在は、それだけで処刑に値するのですよ」
「ローレルの言う通りでございます。もしアリス姫様の傍らに置くなら、ちょん切っておかなければ安心できません。さあ、刈り取りましょう!」
ローレルとアロマティカスは幼い頃、アリスの魔法に命を救われたことがある。
それ以来、2人は強くて優しいアリスに絶対的な忠誠心と思慕を抱くようになったのだ。
「って! 何を想像してるんだあんたらは! てか、私には婚約者がいるんだから!」
アリスは両手でスカートを押さえ、顔を真っ赤にして叫んでいる。
すると紫髪と緑髪の少女は頷きあってハモった。
「「ビオレール公国のキース公子の暗殺。我ら2人にお命じください」」
「って! 何を言い出すんだああああああああ! 大戦争になるわ! 何万何十万の死者が出るわあああああああああ。もう2人とも! 下がって! これからお父様に面会するんだから!」
キース公子との婚約。それは政治的な取り決めに過ぎない。
アリスは表面上は冷静を装っていたが、心の中では不安が渦巻いていた。見知らぬ国の公子との結婚。
それは自分の人生だけでなく、国の未来をも左右する重大事だからだ。
「ならば、我々も御一緒します!」
「そうです! 男は逆に要りません! このアロマティカスとローレルは、アリス姫様の同い年にして永遠の忠誠を誓った存在。いつでもどこでも寝る時でも、お供いたす所存でございます」
ムフン♪ として告げる2人の少女に、アリスは心の中で深いため息をついた。
第一王女としての責任と、自分の意志との間で常に揺れ動いている自分自身。
そんな複雑な思いを、誰にも打ち明けられないもどかしさがあるから。
その様子にヒイラギも心の中で思う。
この少女たちは一体どんな躾をされているんだ?
大国であるディンレル王国の姫様に、これはちょっと酷すぎる態度だ。
ヒイラギは静かに状況を観察していた。
アリスの困惑した表情、ローレルとアロマティカスの過剰な反応、そして周囲の警備兵たちの嘆息。
これらすべてが、この国の日常なのだろう。
ヒイラギは幼い頃から、キルア族の戦士として厳しい訓練を積んできた。
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