婚約破棄は夜会でお願いします

編端みどり

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第三話

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「騎士団か?」

「ええ、女性騎士も多数いらっしゃるでしょう?」

「たしかに居るが、貴族出身の女騎士は居ないぞ」

「もちろん、試験に落ちれば諦めますわ。お父様から見て、わたくしは試験を受ける価値がないほど弱いですか?」

「……いや、シルヴィアは騎士団でも充分通用する腕を持っている」

「なら、試験を受けるくらいはお許し下さいな」

「分かった。だが、余計な悪口を言う輩もいるかもしれんぞ」

貴族の女性は、学園を卒業したらすぐに婚姻する事が多いのです。婚姻しないのは、よほど優秀で王室に勤めるようになる者くらいですから、騎士になりたいわたくしが、異質なのは分かっております。だけど……。

「分かっておりますわ。ですがわたくし昔から騎士になりたかったんですの! こんなチャンスありませんわ。アルベルトに感謝したいくらいです」

「そうか、ならば夢を叶えると良い。私が斡旋した結婚で、いらぬ苦労をかけたな……」

「お父様は悪くありませんわ! わたくしだってあんな男だと思わなかったんですもの! 次の夜会は、卒業後の記念パーティーですわ。それまで、アルベルトのフォローをしつつ、騎士団の入団試験の準備をしますわ。入団試験は、卒業パーティーの後でしたわよね? エントリーは、いつまでですか?」

「エントリーは、当日でも可能だから安心しなさい」

「ありがとうございますお父様!」

ふふ、嬉しいですわ! 嬉しくてクルクル回りながら踊っていたら、皆さんの注目を集めてしまいました。恥ずかしいですわ!

「シルヴィア様! 騎士団に入られるんですか?!」

女性騎士の皆様が、お声がけ下さいました。

自主練習は、外部の者も参加できるのでわたくしはよく参加しております。

元々は、貴族の道楽だと騎士の皆様によく思われていなかったのですが、貴族の護衛で困っていた女性騎士の皆様に、貴族の女性のマナーや暗黙のルールをお教えした辺りから、優しくして下さるようになりましたわ。

今では、恋の悩みも聞く仲ですのよ。

「入れたら嬉しいなとは思っておりますの。試験に受かったら、わたくしもお仲間として受け入れて頂けますか?」

こうやって、オマケで鍛錬に混ぜていただいているのと、騎士として仲間になるのは違いますわ。わたくしは本気ですが、貴族のお嬢様の気まぐれなどと思われる可能性もありますわよね。

大丈夫でしょうか?

「もちろんです! シルヴィア様なら合格間違いなしです!」

良かったですわ! 少なくとも嫌われてはいなさそうです。今日から鍛錬を倍にしますわ!

「シルヴィアはアルベルトと結婚するんじゃねぇのかよ。なんで騎士になろうとしてんだ? シルヴィアに騎士は無理だと思うぞ」
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