婚約破棄は夜会でお願いします

編端みどり

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第七話【カルロ視点】

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初めてシルヴィアと会ったのは、騎士団の訓練に来た時だった。

近衛騎士は、騎士団のエリート集団だ。その近衛騎士の隊長の娘、それがシルヴィアだった。鍛錬に参加した時も、最初はお嬢様の道楽だと思っていた。

だけど、シルヴィアは誰よりも真剣に鍛錬を受けていた。悪戯心で、ついてこれねえようにいつもより厳しめに訓練しても、汗も拭わず必死でついてきていた。

そして、オレたち騎士を毎日こんな鍛練をするなんて素晴らしいと褒めてくれた。

そん時から、オレはシルヴィアが来る日を待ち望むようになった。

シルヴィアはすぐに女性騎士達のアイドルになった。と言うかありゃ、親衛隊だな。シルヴィアも楽しそうにしてるから良いけどよ。

男性騎士にも、シルヴィアは人気だ。平民出身の奴なんて貞操観念が違うから、シルヴィアに近づこうとする。そんな不埒な奴を排除する親衛隊はありがたい。たまにオレもガードされるのは困るけどよ。

シルヴィアには婚約者が居る。同じ学園に通う同級生だそうだ。アルベルトと言うらしい。父上と兄上に頼んで調べて貰った。婚約者……居るのか。くっそ、もっと早く出会えてりゃ良かったのに。

オレは、騎士一筋で婚約者も居ない。シルヴィアの事を調べるように頼んだ時に、兄上達はオレにようやく春が来たかと喜んでいたから、シルヴィアに婚約者が居ると分かってガッカリしていた。相手は学園でも優秀だと言われているらしいから、破棄もなさそうだと言っていた。シルヴィアは、その婚約者にかなり尽くしているらしい。

それからは、なんだかモヤモヤして、シルヴィアともどう話したら良いか分かんなくて、つい厳しい言い方をしちまう。

そんで、シルヴィアの親衛隊に怒られるんだ。

そんなシルヴィアが、婚約破棄をすると言う。嬉しくて心が震えた。シルヴィアが、フリーになるって事か?!

よくよく聞いてみると、シルヴィアは婚約者のアルベルトが好きな訳ではないらしい。あんなに尽してたのにか! しかも、騎士になりたいと言う。

シルヴィアが騎士になったら、今よりもっと会えるんだよな。しかも、シルヴィアはフリー……。

今のうちからシルヴィアにオレを意識して貰いたい。そう思ってシルヴィアに迫るような事を言うようになった。

シルヴィアは、最初は真っ赤な顔をしていたが、最近はお礼を言うようになった。どうやら騎士になったら街の巡回でキスシーンなんてよく見るとオレが言ったから、そういった事に慣れる為にオレが練習で迫ってると判断したらしい。

そう言うとこは、鈍感だよなぁ。いくらなんでも、好きじゃねぇ女性にキスを迫ったりするかよ。本当にキス出来るのは結婚式なんだから、ほぼプロポーズだって言うのに。

明日には婚約破棄が成立する。オレらも警備に行くから見届ける予定だ。

シルヴィアの親衛隊は、事情を聞いてブチ切れているから、アルベルト達に危害を加えねぇように指導しねぇと。
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