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第八話

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「ようやく、ようやくですわ……」

先ほど無事に卒業式が終わりました。わたくしは、最後のテストで成績トップでしたので、卒業生代表になりました。

先生には、生徒会長に花を持たせろと嫌味を言われましたが、サブリナ様に花を持たせる気はありませんわ!

「あら、公平であらねばならない教師が不正の斡旋ですか?」

そう言ったら、黙りましたわ。まぁ確かに、今までは鬱陶しいからテストでわざと手を抜いていて、一位はいつもサブリナ様でしたからね。

サブリナ様に卒業式でものすごく睨まれました。

「だってもうすぐアルベルトはサブリナ様と婚約なさるでしょう? これくらいの意趣返し、お許し下さいな」

面倒なので、サブリナ様にそう囁いたら、ニンマリ笑って去っていかれました。……単純ですわ。

パーティーは、学園の広場で行われます。たくさんの招待客、生徒の身内などが来場しますので、騎士の皆様が警備をしてくださいますの。

「シルヴィア様! ドレス姿素敵ですわ!」

女性騎士の皆様が、声をかけて下さいました。

「皆様の騎士服の方が素敵ですわ!」

「ふふ、これは礼服なんです。普段はもうちょっとラフなんですけど、こういった正式な場では着るんです」

「最初は慣れないし、立ち振る舞いも難しかったですけど、シルヴィア様のおかげで問題なく仕事出来るようになりました!」

「それは皆さまが努力なさったからですわ」

わたくしのように、子どもの頃から立ち振る舞いを習っている訳ではありませんから、とても大変だったと思います。ですが今では、貴族と変わらぬ立ち振る舞いをなさいます。

わたくしも、見習わねばと思いますわ。

「シルヴィア様に誉められると、もっと頑張ろうと思いますね」

「ところでシルヴィア様、例の男はどこですか?」

「例の男?」

「シルヴィア様を侮辱する男です」

「ああ、アルベルト? あそこでサブリナ様をエスコートしていますわ」

イチャイチャしてますわね。周りが引いてるのに気がついておりませんのかしら。

「婚約者放置して何してんのよ……」

「ダメよ! 昨日散々怒られたでしよ! 流石に手は出しちゃダメ!」

「そうね……。シルヴィア様! 頑張って破棄してきて下さい! 団長も、フォローしてくれる筈だから」

「え? カルロ様がフォロー?」

「ダメ! それは騎士団の機密事項よ!」

「ああ、シルヴィア様、聞かなかった事にして下さい!」

「もちろん、騎士団ですもの。機密はありますわよね。聞かなかった事にしますわ」

「ありがとうございます! ……良かった、団長に叱られないで済んだわ」

民を守る騎士団ですもの。色々ありますわよね。わたくしも、頑張って騎士になりますわ!

「シルヴィア! 約束を果たしてやる! 早く来い!」

あらあら、アルベルトが大声で呼んでおりますわ。まぁ、注目を集めますからありがたいですわね。サブリナ様も既にアルベルトと腕を絡ませています。もう、これで充分浮気の証拠になりませんか?

「シルヴィア、さっさとあんな男捨ててこい」

アルベルトの所へ向かう途中に、カルロ様とお会いして、小声で励まして下さいました。

そうですわ! わたくし騎士になりますの。あんな男、こちらからお断りですわ!
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