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第十話
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「みんなの門出を祝いに来たが、まさかこのような情熱的な夫婦の門出を祝福出来るとは思わなかった。なぁ、みんなありえないだろう?」
「ありえませんわ」
「ええ、本当に……」
このありえないは、褒めてないですわよね。全員、顔をしかめていらっしゃいますし。
「王太子殿下、証人は2人要るでしょう? 私も証人になりましょう」
カルロ様まで?! とってもいい笑顔ですわ! なんだかご迷惑おかけして申し訳ないです。あとで何かお詫びしなくては。
「そうか、王太子と騎士団長が認めた婚約破棄と婚姻だ。何か問題があるか? シャンドリ伯爵?」
「……いえ、ございません」
「我がボレッリ家は、賛成致します。婚姻の証人には、私がなりましょう。サブリナ、私は何度も何度もはしたない真似はするなと言っただろう。貴族のルールも教えた筈だ。だが、王太子殿下まで賛成なさるんだ。もう致し方ない。シャンドリ伯爵、後ほどゆっくりお話しを致しましょう」
「はい……よろしくお願いします……」
親御さんはこの事態を正しくご理解頂いているようですわね。だけど、さりげなく書類を提出すると言って預かろうとしてきますから油断出来ませんわ。
「そうそう、今日は卒業をする皆様に祝福を与える為に神官様も来て下さってるんだ。正式な結婚式は後日だけど、今ここで結婚の誓いをしないか?」
「まあ……なんてお優しいんでしょう……」
「サブリナ、僕たちは幸せ者だね」
王太子殿下、パーティーを汚されて怒ってらっしゃいますね。今式をすれば、2度目の結婚式は神官様を呼べません。神官様のいない華やかな結婚式、滑稽でしかありませんわ。
式でボレッリ侯爵とシャンドリ伯爵を引きつけて下さっているうちに、こっそり書類を出しに行きましょう。
「シルヴィア! お前も最前列に来い!」
アルベルト……馬鹿なの、馬鹿なの、お馬鹿なのね?!
「お前が近くにいれば、安全だ!」
ああ、ブチ切れているお父様からわたくしを盾にするおつもりね。はぁ、書類出したいのに。
「シルヴィア、その書類はオレが預かろう。アイツらの近くに書類を持って座るのは危険だ」
そう言って、カルロ様が預かって下さいました。カルロ様なら安心してお任せ出来ますわ。
わたくしが最前列に座ると、王太子殿下の主導で式が始まりました。ボレッリ侯爵とシャンドリ伯爵は王太子殿下が常に話しかけておられます。これでは逃げられませんわね。書類を持っているのはカルロ様ですからそうそう奪えもしないでしょう。
あら? カルロ様の姿が見えませんわ。
アルベルトとサブリナ様は婚姻の誓いを行い、また熱いキスシーンを見せつけてくれましたわ。サブリナ様、そんな勝ち誇った顔をなさらなくても、アルベルトは生涯サブリナ様の旦那様ですわよ。わたくし、アルベルトと婚姻するくらいなら生涯独身を貫きますわ。
カルロ様はいつの間にか王太子殿下の隣にいらっしゃいますわ。さっきいらっしゃらないと思ったのは気のせいだったのかしら?
幸せいっぱいの2人に、王太子殿下は仰いました。
「茶番はここまで。書類はさっき提出して、承認されたよ。簡易的な結婚式もした。君たちは生涯添い遂げてね。ボレッリ侯爵、シャンドリ伯爵、まだ卒業パーティーは続くから、早く汚物を連れて出て行け」
「ありえませんわ」
「ええ、本当に……」
このありえないは、褒めてないですわよね。全員、顔をしかめていらっしゃいますし。
「王太子殿下、証人は2人要るでしょう? 私も証人になりましょう」
カルロ様まで?! とってもいい笑顔ですわ! なんだかご迷惑おかけして申し訳ないです。あとで何かお詫びしなくては。
「そうか、王太子と騎士団長が認めた婚約破棄と婚姻だ。何か問題があるか? シャンドリ伯爵?」
「……いえ、ございません」
「我がボレッリ家は、賛成致します。婚姻の証人には、私がなりましょう。サブリナ、私は何度も何度もはしたない真似はするなと言っただろう。貴族のルールも教えた筈だ。だが、王太子殿下まで賛成なさるんだ。もう致し方ない。シャンドリ伯爵、後ほどゆっくりお話しを致しましょう」
「はい……よろしくお願いします……」
親御さんはこの事態を正しくご理解頂いているようですわね。だけど、さりげなく書類を提出すると言って預かろうとしてきますから油断出来ませんわ。
「そうそう、今日は卒業をする皆様に祝福を与える為に神官様も来て下さってるんだ。正式な結婚式は後日だけど、今ここで結婚の誓いをしないか?」
「まあ……なんてお優しいんでしょう……」
「サブリナ、僕たちは幸せ者だね」
王太子殿下、パーティーを汚されて怒ってらっしゃいますね。今式をすれば、2度目の結婚式は神官様を呼べません。神官様のいない華やかな結婚式、滑稽でしかありませんわ。
式でボレッリ侯爵とシャンドリ伯爵を引きつけて下さっているうちに、こっそり書類を出しに行きましょう。
「シルヴィア! お前も最前列に来い!」
アルベルト……馬鹿なの、馬鹿なの、お馬鹿なのね?!
「お前が近くにいれば、安全だ!」
ああ、ブチ切れているお父様からわたくしを盾にするおつもりね。はぁ、書類出したいのに。
「シルヴィア、その書類はオレが預かろう。アイツらの近くに書類を持って座るのは危険だ」
そう言って、カルロ様が預かって下さいました。カルロ様なら安心してお任せ出来ますわ。
わたくしが最前列に座ると、王太子殿下の主導で式が始まりました。ボレッリ侯爵とシャンドリ伯爵は王太子殿下が常に話しかけておられます。これでは逃げられませんわね。書類を持っているのはカルロ様ですからそうそう奪えもしないでしょう。
あら? カルロ様の姿が見えませんわ。
アルベルトとサブリナ様は婚姻の誓いを行い、また熱いキスシーンを見せつけてくれましたわ。サブリナ様、そんな勝ち誇った顔をなさらなくても、アルベルトは生涯サブリナ様の旦那様ですわよ。わたくし、アルベルトと婚姻するくらいなら生涯独身を貫きますわ。
カルロ様はいつの間にか王太子殿下の隣にいらっしゃいますわ。さっきいらっしゃらないと思ったのは気のせいだったのかしら?
幸せいっぱいの2人に、王太子殿下は仰いました。
「茶番はここまで。書類はさっき提出して、承認されたよ。簡易的な結婚式もした。君たちは生涯添い遂げてね。ボレッリ侯爵、シャンドリ伯爵、まだ卒業パーティーは続くから、早く汚物を連れて出て行け」
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