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第十四話
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お父様は時間がかかっても良いと言いましたが、あまり待たせては申し訳ないのでメイドを総動員して準備しました。ドレスまで変えないといけなくなるとは思いませんでしたもの。
「アンナ、どうして黄色と緑なのかしら?」
「旦那様のご指示ですからわたくしには分かりかねます」
アンナは、ニコニコしながら準備をしてくれます。髪も3人がかりであっという間に完成しました。
「お嬢様! とっても美しいですわ! 仕上げに髪に黄色の花を散らしましょう!」
夜会では生花を飾る事はしませんが、わたくしは髪に生花を飾るのが好きなのです。生花はすぐ萎れてしまいますが、カルロ様とお話しする間くらいは問題なく美しさを保ってくれるでしょう。
「さ、完璧ですわ!」
「ありがとうみんな。だいぶお待たせしてしまったかしら?」
「いいえ、30分程です。問題ありませんわ」
「そうね、お父様とお話ししてれば30分なんてすぐよね」
「……それは、どうでしょう……おそらく団長様は胃が痛い思いをされてるのでは」
「どうして?」
「行ってみれば分かりますわ! すぐ参りましょう」
「分かったわ」
急いで応接室に行きました。
「おや、ずいぶん早かったね。シルヴィア、団長がシルヴィアに話があるそうだよ。聞いてあげてくれるかい?」
お父様が、楽しそうに笑ってらっしゃいます。カルロ様はなんだかお顔が赤いです。
「わかりました! わたくしもカルロ様にお会いしたかったんです」
まず、今日のお礼を言わないと。
「本日は、ありがとうございました。色々助けて頂いて、本当に助かりましたわ」
「いや、書類を勝手に出したりして申し訳なかった」
「ちゃんと私の許可は取ってくれたのですから問題ないですぞ」
「そうだったのですね! さすがですわ! あの時はアルベルト様に呼ばれて困ってましたの。拒否して暴れ出したら困りますし……書類を持っておくのも不安だったので、カルロ様がお声がけ下さって助かりました。提出までして頂けて本当に嬉しかったですわ」
「その……彼はいつもあんな態度だったのか?」
「ええ! お父様の前では猫を被ってましたけど、普段はあんなものですね。わたくしも教師を味方にしてしまったアルベルト様に逆らうのも面倒でしたからハイハイと仕事してましたわ。まぁ、キスを迫られるのだけは拒否しましたけど。手すら繋がないのにキスばかり求めてきて気持ち悪かったですもの」
「シルヴィア……そこまで気持ち悪かったなら、どうして教えてくれなかったんだ?」
「学園を卒業する為です。それに、お父様にこの話をしたら、我が家が有責でも破棄したでしょう? アルベルト様が得するなんて嫌だったのですわ」
「だがシルヴィアがクズと添い遂げるよりマシだった筈だよ?」
「学園を卒業してから、結婚準備の1年の間に見極めようとは思っていました。まさか、浮気を堂々と報告して、わたくしが悪い事にしようとするほどおバカさんだとは思いませんでしたけど」
「ははっ……おバカさんか」
「ええ、おバカさんですわ。普段は流せていたのですが、わたくしがアルベルト様を好きだから尽くしていたと言われて吐き気がして、思わず色々不満を言ってしまいました。でも、カルロ様がお優しい言葉をかけて下さったので、落ち着きました。ありがとうございます」
「確かに我々は助かりました。団長のおかげですな。まさか王太子殿下にまで協力を頼むとは思いませんでしたぞ」
「え?! 王太子殿下が協力的だったのは、アルベルト様達があまりに不快だったからではないのですか?」
「団長が、手を回してくれていたんだよ」
「そうだったのですね! ありがとうございます!」
「……ええ、本当にお優しい。何か、理由がおありですかな?」
お父様? なんだか意地悪そうに笑っておられますけど、どうしたのかしら?
「シルヴィア様」
「は、はいっ!」
カルロ様が、わたくしに近づいて来られました。とても真剣なお顔をなさっています。そういえば、わたくしに話があると仰っていましたわね。
何かしら? やっぱりわたくしが騎士を目指すのは無謀とか?!
「貴方を愛しています。どうか、私と結婚して下さい」
けっ……こん?
結婚?! わたくしが?! カルロ様と?!
「婚約破棄をしたばかりの貴方にこのような申し出は失礼だと分かっています。ですが、万が一また他の男性に取られたらと思うと居ても立っても居られませんでした。シルヴィア様が騎士を目指しているのも分かっています。結婚は、いくらでも待ちます。ですから、私の婚約者になって頂けませんか?」
「アンナ、どうして黄色と緑なのかしら?」
「旦那様のご指示ですからわたくしには分かりかねます」
アンナは、ニコニコしながら準備をしてくれます。髪も3人がかりであっという間に完成しました。
「お嬢様! とっても美しいですわ! 仕上げに髪に黄色の花を散らしましょう!」
夜会では生花を飾る事はしませんが、わたくしは髪に生花を飾るのが好きなのです。生花はすぐ萎れてしまいますが、カルロ様とお話しする間くらいは問題なく美しさを保ってくれるでしょう。
「さ、完璧ですわ!」
「ありがとうみんな。だいぶお待たせしてしまったかしら?」
「いいえ、30分程です。問題ありませんわ」
「そうね、お父様とお話ししてれば30分なんてすぐよね」
「……それは、どうでしょう……おそらく団長様は胃が痛い思いをされてるのでは」
「どうして?」
「行ってみれば分かりますわ! すぐ参りましょう」
「分かったわ」
急いで応接室に行きました。
「おや、ずいぶん早かったね。シルヴィア、団長がシルヴィアに話があるそうだよ。聞いてあげてくれるかい?」
お父様が、楽しそうに笑ってらっしゃいます。カルロ様はなんだかお顔が赤いです。
「わかりました! わたくしもカルロ様にお会いしたかったんです」
まず、今日のお礼を言わないと。
「本日は、ありがとうございました。色々助けて頂いて、本当に助かりましたわ」
「いや、書類を勝手に出したりして申し訳なかった」
「ちゃんと私の許可は取ってくれたのですから問題ないですぞ」
「そうだったのですね! さすがですわ! あの時はアルベルト様に呼ばれて困ってましたの。拒否して暴れ出したら困りますし……書類を持っておくのも不安だったので、カルロ様がお声がけ下さって助かりました。提出までして頂けて本当に嬉しかったですわ」
「その……彼はいつもあんな態度だったのか?」
「ええ! お父様の前では猫を被ってましたけど、普段はあんなものですね。わたくしも教師を味方にしてしまったアルベルト様に逆らうのも面倒でしたからハイハイと仕事してましたわ。まぁ、キスを迫られるのだけは拒否しましたけど。手すら繋がないのにキスばかり求めてきて気持ち悪かったですもの」
「シルヴィア……そこまで気持ち悪かったなら、どうして教えてくれなかったんだ?」
「学園を卒業する為です。それに、お父様にこの話をしたら、我が家が有責でも破棄したでしょう? アルベルト様が得するなんて嫌だったのですわ」
「だがシルヴィアがクズと添い遂げるよりマシだった筈だよ?」
「学園を卒業してから、結婚準備の1年の間に見極めようとは思っていました。まさか、浮気を堂々と報告して、わたくしが悪い事にしようとするほどおバカさんだとは思いませんでしたけど」
「ははっ……おバカさんか」
「ええ、おバカさんですわ。普段は流せていたのですが、わたくしがアルベルト様を好きだから尽くしていたと言われて吐き気がして、思わず色々不満を言ってしまいました。でも、カルロ様がお優しい言葉をかけて下さったので、落ち着きました。ありがとうございます」
「確かに我々は助かりました。団長のおかげですな。まさか王太子殿下にまで協力を頼むとは思いませんでしたぞ」
「え?! 王太子殿下が協力的だったのは、アルベルト様達があまりに不快だったからではないのですか?」
「団長が、手を回してくれていたんだよ」
「そうだったのですね! ありがとうございます!」
「……ええ、本当にお優しい。何か、理由がおありですかな?」
お父様? なんだか意地悪そうに笑っておられますけど、どうしたのかしら?
「シルヴィア様」
「は、はいっ!」
カルロ様が、わたくしに近づいて来られました。とても真剣なお顔をなさっています。そういえば、わたくしに話があると仰っていましたわね。
何かしら? やっぱりわたくしが騎士を目指すのは無謀とか?!
「貴方を愛しています。どうか、私と結婚して下さい」
けっ……こん?
結婚?! わたくしが?! カルロ様と?!
「婚約破棄をしたばかりの貴方にこのような申し出は失礼だと分かっています。ですが、万が一また他の男性に取られたらと思うと居ても立っても居られませんでした。シルヴィア様が騎士を目指しているのも分かっています。結婚は、いくらでも待ちます。ですから、私の婚約者になって頂けませんか?」
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