お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり

文字の大きさ
23 / 57

第二十三話

しおりを挟む
「エリザベス! ボリス・ル・マリエールという男爵が犯人よ。ここはマリエール男爵の隠れ家だそうよ!」

「シャーリー、分かったわ! すぐに伝えるわ」

「見張ってるかもしれないから、通信は切るわね。他にも調べてみるわ!」

エリザベスと通信を切り、部屋を調べる。

豪華な部屋ね。貴族手当だけでこんな部屋用意できる訳ないわ。事業してるって言ってたわね。なんか店のものでもないかしら。

窓から景色が見えれば情報が集まるのに……。

窓は私が手を伸ばして鉄格子の端をようやく掴める程度。景色は見えないわ。

何か踏み台のようなものがあれば良いと探すが、家具は全て固定されていて動かせない。

何かないかと部屋を探し回り、ベッドの下を見ると鎖があったわ。手錠とかもある。

……何する気なのよ。

でも、この鎖なら窓の外が見えるかも。鎖を鉄格子に引っ掛けて、少し壁を登る。ここ、商店街だ! 以前バイトしてたレストランが見えるわ。だいぶ高い建物みたいね。

急いでエリザベスに通信で伝えたら、ガチャガチャとドアが開く音がした。まずい! 鎖を片付けるのと防音魔法解除どっちかしか無理。

魔法が使える事はバレたくないから、急いで防音魔法を解除してから、鎖を片付けようとしたがやはり間に合わなかった。

「おやおや、悪い子ですねぇ。窓からは何が見えましたか?」

「その、見た事ない場所でしたわ。ここは、高いところのようですね……やはり逃げられないのでしょうか……」

「無理ですね。さっさと諦めて下さい。ずっとここに居たくはないでしょう?」

「もう少ししたら諦めますから、ひとりにして下さいませんか?」

「ダメです。悪い子は見張らないとね」

やってしまった……。こうなったら、鉄格子の中に入ってこないように時間を稼ぐしかない。

「……ごめんなさい……許して下さい……」

閉じ込めるのは、わたくしを支配したいから。従順なフリをすれば、時間が稼げるかしら。

「許して欲しければ、ここで脱げ」

……は?!

「聞こえなかったか? 許して欲しければここで服を脱げと言ったんだ」

「……それは、無理です……」

「なら入って脱がしてやろうか?」

それはイヤ!
どうする? 繭に閉じ籠る? いや、まだ早い。

「やります……でも……すぐには無理です……」

とにかく、時間を稼げ。この人が近づいてこなければ良い。

「30分だけ待ってやる、だが30分しても何もしなければ中に入るぞ」

30分稼げたなら上等ね。

「……わかりました、時間をくれてありがとうございます」

満足そうに笑ってますけど、アンタに見せる肌は一ミリも無いんだから!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。 婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。 「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」 サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。 それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。 サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。 一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。 若きバラクロフ侯爵レジナルド。 「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」 フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。 「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」 互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。 その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは…… (予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

新しい人生を貴方と

緑谷めい
恋愛
 私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。  突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。  2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。 * 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。

姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。

ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」  ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。 「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」  一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。  だって。  ──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。

[完結中編]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜

コマメコノカ@女性向け・児童文学・絵本
恋愛
 王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。 そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです

しーしび
恋愛
「結婚しよう」 アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。 しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。 それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・

【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません

ゆうき
恋愛
婚約者とその家族に虐げられる日々を送っていたアイリーンは、赤ん坊の頃に森に捨てられていたところを、貧乏なのに拾って育ててくれた家族のために、つらい毎日を耐える日々を送っていた。 そんなアイリーンには、密かな夢があった。それは、世界的に有名な魔法学園に入学して勉強をし、宮廷魔術師になり、両親を楽させてあげたいというものだった。 婚約を結ぶ際に、両親を支援する約束をしていたアイリーンだったが、夢自体は諦めきれずに過ごしていたある日、別の女性と恋に落ちていた婚約者は、アイリーンなど体のいい使用人程度にしか思っておらず、支援も行っていないことを知る。 どういうことか問い詰めると、お前とは婚約破棄をすると言われてしまったアイリーンは、ついに我慢の限界に達し、婚約者に別れを告げてから婚約者の家を飛び出した。 実家に帰ってきたアイリーンは、唯一の知人で特別な男性であるエルヴィンから、とあることを提案される。 それは、特待生として魔法学園の編入試験を受けてみないかというものだった。 これは一人の少女が、夢を掴むために奮闘し、時には婚約者達の妨害に立ち向かいながら、幸せを手に入れる物語。 ☆すでに最終話まで執筆、予約投稿済みの作品となっております☆

処理中です...