魔力なしの役立たずだと婚約破棄されました

編端みどり

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改稿版

39-1 生まれ変わり【第一部 完】

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マックスと別れてから、2年が経ちました。娘はすくすくと育っています。ですが、最近ジェラールに笑顔がありません。嫌な予感がして聞いてみると、マックスが死んだと教えてくれました。

「そう……そっか……」

「黙ってて、ごめん」

「あの時、そんな予感がしたの。でも……ごめんなさい。やっぱり悲しくて……」

「エルザ、今ならどれだけ泣いても構わないよ」

「あれ……侍女が……」

「マックスが教えてくれたんだ。僕らは居るけど、何をしているかは認識されない。便利な魔法だよね。泣き腫らした顔をすぐに自然に癒して、お化粧する魔法も覚えたよ。だから、今だけは泣いても大丈夫」

そう聞くと、安心して……涙が……溢れて止まりません。マックスとは短い付き合いでしたが、彼が居なければわたくしは平民として暮らしていけなかったでしょう。

恐らくすぐにシモン様に見つかって、無理矢理婚約者に戻されて……魔力が上がらないと分かれば酷い目にあったでしょう。ジェラールと結ばれる事もなかったでしょうし、今ここで生きているのもマックスのおかげです。

「僕も散々泣いたけど……まだ涙が出るんだ。ごめんね……エルザを支えたいのに……今は……悲しくて……」

こんなに憔悴しているジェラールを見たのは、ナタリー様の葬儀以来です。ジェラールは、また大事な人と死に別れてしまったのです。

「大丈夫……大丈夫ですわ……ジェラール、わたくしが居るわ……わたくしがジェラールを支えるから。いつもわたくしを支えてくれている分、わたくしがジェラールを支えるわ」

「エルザ……ごめん……少しだけ……」

散々泣いた夜、わたくしとジェラールは同じ夢を見ました。マックスは以前のように笑っていて、傍らには美しい女性が居ました。

どなたかは分かりませんが、マックスは見た事がない程幸せそうな顔をしておりました。

声をかけたくても、身体が動きませんし声を発する事も出来ません。わたくし達は見守るしかないようです。

マックスは、女性を抱き締めて泣いていました。

「やっと会えましたね。師匠」

「馬鹿弟子が気になって転生出来なかったんだ。私が研究したものなんてどうでも良いだろう。やっと好きな子を見つけて前に進むかと思ったのに……結局良い人になるんだから……」

「だって、俺は長生き出来ませんもん。とっくに死んでる筈の男ですからね。師匠が待っててくれるなんて思わなかったから、嬉しいっす」

「マックスが幸せそうなら、転生するつもりだったのに……いつまで経ってもずーっと隠れ家にひとりでウジウジと住みおって! 気になって見守るしかなかったんだ!」

「ウジウジしたおかげで師匠に会えたんなら、嬉しいっす」

「そういう事ではない! この、馬鹿弟子め!」

マックスとお師匠様は、子どものように戯れあっておられます。

「俺はずっと師匠が好きなんです。生まれ変わったら、絶対また親友にも会いてぇし、次こそ師匠と一緒になりたいし。長生きしたら、欲張りになっちまったんですよ。死ぬ前に研究が完成して良かったです」

「とんでもない魔法を開発しおって……もし私が転生していたらどうするつもりだったんだ!」

「そん時は、師匠が人生を終えるまで見守ります。んで、その後に魔法を使うつもりでした。師匠、もう年齢差はありませんよね? 今度こそ、俺と結婚して下さい」

「負けたよ。次に生まれ変わったら、マックスと結婚してやる。マックスとなら、幸せな結婚生活が送れるだろうからな。魔法が完成してなかったらこの約束は無効だぞ」

「よっしゃ! 完璧に決まってますよ! どんだけ魔力注ぎ込んだと思ってんですか」

「そのせいで寿命が縮んだんだろうが! 大人しくしておればもう少し生きられただろうに!!!」

「もう俺は充分生きました。それに急がねぇとジェラールの子どもになれねぇんですよ。俺は次は王子だし……正直、めちゃくちゃ面倒そうだけど、師匠と一緒になれるなら何でもやるっすよ。絶対、約束忘れないで下さいよ! 記憶が戻るのは3歳くらいっす。俺は諦めませんからね!」

「どうやらマックスの魔法は完璧らしいな。私はそろそろ時間切れだ。また会おうな。マックス」

「すぐ、追っかけますから。既に俺の転生先もあるみたいですし。今度は魔力が無くてもあっても、大事にされますよ。テレーズ様は良い人です。俺が初めて出会った優しい貴族様なんです。あの人は、信じて大丈夫です。国王陛下も、すげぇ優しい良い人ですよ。ま、ジェラールには負けますけどね」

「ふん! そんなの見てれば分かる! ここは暇なんだ! 見守るしかやる事がないんだよ!」

「見てたなら分かりますよね。あの国は変わりました」

「ああ……だから転生する気になったんだ。今までここに居たのは、マックスが気になったのもあるが、王家に再び転生するのが怖かったんだ。面倒な特殊能力を得たせいで、次も王家に生まれるよう魔法で縛られた。次の生で特殊能力を得るとは限らないのに……だから……ここに居て転生しなければ良いと思っていた。けど、世の中は変わったんだな。マックスに確実に会えて、あの両親なら転生も悪くない」

「でしょう? ま、俺の両親には負けますけどね」

「何回も言わなくても分かってるわ! ふん、嬉しそうな顔をしおって」

「嬉しいっすよ。師匠と会えるのも嬉しいし、父親が親友ってのも、最高ですよ」

わたくしが男の子を産んだのは、それから7ヶ月後の事でした。1ヶ月程先に産まれたお姉様の娘と初めて会わせたのは、お互い3歳の時。

2人の婚約はすぐに纏まり、賢王と讃えられたジェラールが王位を譲ったのは、息子の結婚式の日でした。

早すぎると文句を言う息子に、これからはゆっくりするんだから頑張れ親友と笑ったジェラールは、とても嬉しそうでした。
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