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改稿版
31-2 愛してなかった
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「なるほど……つまり貴女は、此方の王子様に一方的に婚約破棄されたんだな」
「ええ。そうですわ」
ガタン!
ガタガタ!
シモン様が暴れております。何かを叫んでおりますがマックスの魔法で何を言っているか分かりません。
「マックス殿、悪いが魔法を解いて貰えるか? 一方的に君達の話だけを信じる訳にはいかない」
護衛の方がシモン様を取り押さえて下さりながら仰いました。マックスはとても嫌そうです。
「魔法を解くなら俺らは退室していいっすか? あんまりエルザに汚ねぇ言葉聞かせたくありません」
「大丈夫よ。シモン様が何を言っても気にならないから。マックスは、一緒に居てくれるんでしょう?」
本当は、怖いです。けど、ここで逃げればシモン様はいつまでも追って来るでしょう。見つかってしまった以上、ここでシモン様に諦めて貰うしかありません。
必死で、無理矢理笑顔を作ります。大丈夫、これくらい出来るわ。
「……無理すんなって言いたいけど、エルザが決めたんなら付き合うぜ。じゃ、魔法解くぞ。覚悟は良いか?」
「ええ、大丈夫」
マックスが指を弾くと、シモン様が喋り出しました。聞くに耐えない罵詈雑言です。
マックスや、護衛の方々が呆れておられます。わたくしは何故かとても恐ろしくて震えてしまいました。マックスが、そっと手を握ってくれました。
安心したら、思い出しましたわ。
シモン様に逆らった時。いつもこうやって罵詈雑言を浴びせられておりました。それが怖くて……。王妃教育でシモン様に逆らわないよう叩き込まれた事もありいつの間にかシモン様に逆らう事を忘れていました。
シモン様の望みを見極め、先回りしてお助けすればシモン様は優しかった。だから……わたくしはシモン様を好きだと勘違いしていたのですね。
きっと、わたくしは昔から……シモン様の事が怖かったのでしょう。好きなんて、思ってなかったんだわ。
「マックス殿、もう充分だ。聞くに耐えない。この王子様を黙らせてくれ」
「ういっす」
部屋に、静寂が訪れました。
マックスが、優しく頭を撫でてくれました。
「怖くなかったか?」
「大丈夫よ。マックスが居てくれたから。それにね、シモン様にも会えて良かった」
シモン様が、目を輝かせます。警備の方に止められておりますが、わたくしに近寄ろうとなさっています。
「シモン様、わたくしに近寄らないで下さいまし。マックス、魔法を解いて。また罵詈雑言を言うだけならお話しは致しませんわよ」
何度も頷くシモン様に笑顔で微笑みます。頭の中に、今までの思い出が浮かびます。何度も見たシモン様の笑顔。これは、自分の思い通りになって満足する笑みだったのですね。
「エルザ!! わかってくれたんだね! さぁ、私の元へ!」
「貴方みたいなクズの元に行かないわ」
「……は? エルザ、何を言ってるんだ?」
「クズって言いましたのよ」
「そ、そんな乱暴な言葉を使うなんて! まるで下賎な民のようではないか! エルザは下賎な平民ではない! 僕に相応しい、公爵令嬢だ! 躾直してやる!」
「平民は下賎な民ではありません。国を支えてくれる、大事な国民ですわ。それに、もうわたくしは勘当されましたから貴族ではありません」
「安心しろ! 公爵を脅して、君の戸籍を戻してある!」
「わたくしは確かに勘当された筈ですわ。お姉様が結婚する時に戸籍を見たらわたくしの名は消されていたと聞いております」
「あの馬鹿は本当に仕方ないよね。安心して、エルザの力が分かったからすぐ戸籍を戻した。だから君は、公爵令嬢だ」
「……履歴は残しておりますの?」
わたくしが戸籍から消されたのは間違いない。また貴族に戻すならそれなりの理由がいる。どんな理由で、貴族に戻されたと言うのかしら。
「履歴? なんの事だ。私の婚約者であるエルザに瑕疵などあってはいけない。ちゃんと、書類を元通りにしたから安心して」
「……まさか……戸籍を偽造しましたの? いくら王族でも、罪になりますわよ!」
「そんな訳ないじゃないか。私は王太子だよ。何故か、誰に言っても命令を聞かないから自らの手で行ったんだ。魔法で消したから、エルザが勘当された履歴なんて残ってない。問題ないよ」
「何をやっておられるのですか! そんな事をしたら、シモン様は王子ではいられなくなりますわよ!」
「そんな脅し、効かないよ。父上の子は私だけ。王になるのは私だ。エルザ、君は王妃だ。さぁ、私の魔力を上げて」
「……わたくしはまだ、公爵令嬢なのですね?」
「そうだ! 分かってくれたか! さぁ! 魔力を上げろぉ!」
「嫌です。シモン様みたいな我儘王子様を好きになる事などありませんわ。先程ようやく分かりましたの。わたくしは以前からシモン様の事は好きではなかったのだと」
「は……何を言って……?!」
「先程、聞くに耐えない罵詈雑言を仰るシモン様を見て思い出しましたの。わたくしは、貴方が怖かった。だから、怒らせたくなくて貴方の望みを叶えていたんです。シモン様に尽くしたのは、シモン様が好きだったからじゃない。シモン様が、怖かったからなんです。元々わたくしは、シモン様の事が好きではなかった。その事に気が付けて良かった。貴方を愛した過去が間違いだと、勘違いだと分かって良かった」
「エルザ……そんな……」
「わたくしは、貴方みたいな最低男を愛した事なんてない。今までも、単に脅されていただけだったのよ。それから、戸籍の改竄は重罪よ。この図書館で暴れるのも罪になるわ。国を継ぐのなら、なんでもわたくしに押し付けずに法律くらい学びなさいよ馬鹿王子」
「ええ。そうですわ」
ガタン!
ガタガタ!
シモン様が暴れております。何かを叫んでおりますがマックスの魔法で何を言っているか分かりません。
「マックス殿、悪いが魔法を解いて貰えるか? 一方的に君達の話だけを信じる訳にはいかない」
護衛の方がシモン様を取り押さえて下さりながら仰いました。マックスはとても嫌そうです。
「魔法を解くなら俺らは退室していいっすか? あんまりエルザに汚ねぇ言葉聞かせたくありません」
「大丈夫よ。シモン様が何を言っても気にならないから。マックスは、一緒に居てくれるんでしょう?」
本当は、怖いです。けど、ここで逃げればシモン様はいつまでも追って来るでしょう。見つかってしまった以上、ここでシモン様に諦めて貰うしかありません。
必死で、無理矢理笑顔を作ります。大丈夫、これくらい出来るわ。
「……無理すんなって言いたいけど、エルザが決めたんなら付き合うぜ。じゃ、魔法解くぞ。覚悟は良いか?」
「ええ、大丈夫」
マックスが指を弾くと、シモン様が喋り出しました。聞くに耐えない罵詈雑言です。
マックスや、護衛の方々が呆れておられます。わたくしは何故かとても恐ろしくて震えてしまいました。マックスが、そっと手を握ってくれました。
安心したら、思い出しましたわ。
シモン様に逆らった時。いつもこうやって罵詈雑言を浴びせられておりました。それが怖くて……。王妃教育でシモン様に逆らわないよう叩き込まれた事もありいつの間にかシモン様に逆らう事を忘れていました。
シモン様の望みを見極め、先回りしてお助けすればシモン様は優しかった。だから……わたくしはシモン様を好きだと勘違いしていたのですね。
きっと、わたくしは昔から……シモン様の事が怖かったのでしょう。好きなんて、思ってなかったんだわ。
「マックス殿、もう充分だ。聞くに耐えない。この王子様を黙らせてくれ」
「ういっす」
部屋に、静寂が訪れました。
マックスが、優しく頭を撫でてくれました。
「怖くなかったか?」
「大丈夫よ。マックスが居てくれたから。それにね、シモン様にも会えて良かった」
シモン様が、目を輝かせます。警備の方に止められておりますが、わたくしに近寄ろうとなさっています。
「シモン様、わたくしに近寄らないで下さいまし。マックス、魔法を解いて。また罵詈雑言を言うだけならお話しは致しませんわよ」
何度も頷くシモン様に笑顔で微笑みます。頭の中に、今までの思い出が浮かびます。何度も見たシモン様の笑顔。これは、自分の思い通りになって満足する笑みだったのですね。
「エルザ!! わかってくれたんだね! さぁ、私の元へ!」
「貴方みたいなクズの元に行かないわ」
「……は? エルザ、何を言ってるんだ?」
「クズって言いましたのよ」
「そ、そんな乱暴な言葉を使うなんて! まるで下賎な民のようではないか! エルザは下賎な平民ではない! 僕に相応しい、公爵令嬢だ! 躾直してやる!」
「平民は下賎な民ではありません。国を支えてくれる、大事な国民ですわ。それに、もうわたくしは勘当されましたから貴族ではありません」
「安心しろ! 公爵を脅して、君の戸籍を戻してある!」
「わたくしは確かに勘当された筈ですわ。お姉様が結婚する時に戸籍を見たらわたくしの名は消されていたと聞いております」
「あの馬鹿は本当に仕方ないよね。安心して、エルザの力が分かったからすぐ戸籍を戻した。だから君は、公爵令嬢だ」
「……履歴は残しておりますの?」
わたくしが戸籍から消されたのは間違いない。また貴族に戻すならそれなりの理由がいる。どんな理由で、貴族に戻されたと言うのかしら。
「履歴? なんの事だ。私の婚約者であるエルザに瑕疵などあってはいけない。ちゃんと、書類を元通りにしたから安心して」
「……まさか……戸籍を偽造しましたの? いくら王族でも、罪になりますわよ!」
「そんな訳ないじゃないか。私は王太子だよ。何故か、誰に言っても命令を聞かないから自らの手で行ったんだ。魔法で消したから、エルザが勘当された履歴なんて残ってない。問題ないよ」
「何をやっておられるのですか! そんな事をしたら、シモン様は王子ではいられなくなりますわよ!」
「そんな脅し、効かないよ。父上の子は私だけ。王になるのは私だ。エルザ、君は王妃だ。さぁ、私の魔力を上げて」
「……わたくしはまだ、公爵令嬢なのですね?」
「そうだ! 分かってくれたか! さぁ! 魔力を上げろぉ!」
「嫌です。シモン様みたいな我儘王子様を好きになる事などありませんわ。先程ようやく分かりましたの。わたくしは以前からシモン様の事は好きではなかったのだと」
「は……何を言って……?!」
「先程、聞くに耐えない罵詈雑言を仰るシモン様を見て思い出しましたの。わたくしは、貴方が怖かった。だから、怒らせたくなくて貴方の望みを叶えていたんです。シモン様に尽くしたのは、シモン様が好きだったからじゃない。シモン様が、怖かったからなんです。元々わたくしは、シモン様の事が好きではなかった。その事に気が付けて良かった。貴方を愛した過去が間違いだと、勘違いだと分かって良かった」
「エルザ……そんな……」
「わたくしは、貴方みたいな最低男を愛した事なんてない。今までも、単に脅されていただけだったのよ。それから、戸籍の改竄は重罪よ。この図書館で暴れるのも罪になるわ。国を継ぐのなら、なんでもわたくしに押し付けずに法律くらい学びなさいよ馬鹿王子」
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