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第一話
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「僕とアンナとの婚約が破棄されることとなった」
「はあ」
今まで私は上手くやっていたつもりだったけれど、なぜだか今私は結婚する相手がいなくなってしまった。七歳の時に婚約をして、十七の今まで婚約が続いていた。今年か来年挙式の予定だったために、もう結婚できないなんて事ないと、思い込んでいた。
「君では役不足だと、僕の父上と母上がご判断なさったんだ」
「役不足」
では役を全うできるのが今エリック様のお隣にいる女性なのかしら。金髪の美しい髪をしてにっこりと笑っている。私より何倍も胸が大きいし、ウエストが細いし、簡単に言えば私よりスタイルが良い。でも品があるというより、自信があふれているような人。
「どうやら君は魔法使いとしてとても優秀なそうだが。どうもアンナはいつも上の空だ。今だってまともに僕の話を聞いているのか?」
眉間にしわを寄せていつも私と顔を合わせている。エリック様は眉目秀麗な部類なはずなのだけれど、その顔はいつも中心によっている。隣の女性はニコニコと私を見ている。
「いえ、今は。唐突なことで頭が追い付いていないだけです」
私にはっきりと聞こえるようにエリック様は頭を抱えて、ため息を吐いた。
「それにアンナより、このキャサリンの方が随分と僕と釣り合っている。両親の権力と言い、財力といい、優秀なのもキャサリンだ。僕と釣り合っている」
ずっと笑っているだけだったキャサリンが、目を細く、眉を困ったように下げて申し訳なさそうに笑って口を開いた。
「ごめんなさい。アンナさん。唐突な出来事になってしまって」
「貴族の権力や財力と言うのは結構繊細な物ですから、仕方がありません。それに私は素直に受け入れる以外の選択肢はありませんし」
実際に私には大声を荒げてキャサリンを怒鳴り散らかすこともできないし、エリック様を責め立てることもできない。したところで何も意味が無いし、きっとそんなことをしてしまったら、もっと私の立場が不利になってしまう。お父様はしがない男爵だし、お母様は気が弱いし。きっとことを荒げてしまっては、両親にまで叱られて何の良いこともない。 この婚約破棄がエリック様とキャサリンの恋愛結婚だとしても、私は何も言えない。
「これから僕は侯爵となり、騎士団の団長としての座も約束されている。領土もあるというのに、お前のような人間に領土を任せておけない」
そういえばエリック様の剣術は優れているらしい。その剣術を見たことはないけど。その実力はこの国で一番強いといわれている筋肉だるまの騎士団長に勝ったほどであるらしい。細い腕だというのになぜあそこまでのパワーが出るのか皆が不思議そうに話しているのを聞いた。きっとエリック様は鼻高々だったでしょうね。 女性二人を抱えたとかも聞いた、ような?
これは話しておかなければ大きな歪を産むかもしれない。
「あ、そのことですけど」
「そのこと?何の話だ」
口をはさんだから、エリック様は貧乏ゆすりを始めた。こういう時は何を言っても彼は聞き入れてくれないかもしれない。それに大した話では無いし。話す必要はないか。
「いえ、口をはさんですみません。何でもありません」
「そうやって、いつも口をはさむしな。結婚したのちの会食などができたものか。冷や冷やして見ていられない」
「あら、可哀そうよ。エリック」
ずっと私の事を批判し続けていたエリック様の事をキャサリンが止めた。話が長すぎて聞いていられなかったのかしら。案外良い人なのかも。
「そんないい方しないで。こういう子には何を言っても通じないんだから」
前言撤回。この女性を今私は嫌いになった。そういう言い方しなくてもいいのに。私だって領土の運営ぐらいできる。そうするために教育されて来たんだから。
「はは!そうだな。もう行っていいぞ。両親たちは両親たちで話をするだろう」
「失礼いたします」
不満と、小さな怒りのわだかまりを抱えたままで、私はソファから立ち上がり、一礼してから部屋から出た。部屋の外はさっきよりも空気が吸いやすかった。窓から差し込む太陽の光が眩しい。
「うん。まあ。いいか。この魔法も解いてしまおう」
何もない宙に『cancel』の文字が浮かび上がり、私はそれをタップした。
「はあ」
今まで私は上手くやっていたつもりだったけれど、なぜだか今私は結婚する相手がいなくなってしまった。七歳の時に婚約をして、十七の今まで婚約が続いていた。今年か来年挙式の予定だったために、もう結婚できないなんて事ないと、思い込んでいた。
「君では役不足だと、僕の父上と母上がご判断なさったんだ」
「役不足」
では役を全うできるのが今エリック様のお隣にいる女性なのかしら。金髪の美しい髪をしてにっこりと笑っている。私より何倍も胸が大きいし、ウエストが細いし、簡単に言えば私よりスタイルが良い。でも品があるというより、自信があふれているような人。
「どうやら君は魔法使いとしてとても優秀なそうだが。どうもアンナはいつも上の空だ。今だってまともに僕の話を聞いているのか?」
眉間にしわを寄せていつも私と顔を合わせている。エリック様は眉目秀麗な部類なはずなのだけれど、その顔はいつも中心によっている。隣の女性はニコニコと私を見ている。
「いえ、今は。唐突なことで頭が追い付いていないだけです」
私にはっきりと聞こえるようにエリック様は頭を抱えて、ため息を吐いた。
「それにアンナより、このキャサリンの方が随分と僕と釣り合っている。両親の権力と言い、財力といい、優秀なのもキャサリンだ。僕と釣り合っている」
ずっと笑っているだけだったキャサリンが、目を細く、眉を困ったように下げて申し訳なさそうに笑って口を開いた。
「ごめんなさい。アンナさん。唐突な出来事になってしまって」
「貴族の権力や財力と言うのは結構繊細な物ですから、仕方がありません。それに私は素直に受け入れる以外の選択肢はありませんし」
実際に私には大声を荒げてキャサリンを怒鳴り散らかすこともできないし、エリック様を責め立てることもできない。したところで何も意味が無いし、きっとそんなことをしてしまったら、もっと私の立場が不利になってしまう。お父様はしがない男爵だし、お母様は気が弱いし。きっとことを荒げてしまっては、両親にまで叱られて何の良いこともない。 この婚約破棄がエリック様とキャサリンの恋愛結婚だとしても、私は何も言えない。
「これから僕は侯爵となり、騎士団の団長としての座も約束されている。領土もあるというのに、お前のような人間に領土を任せておけない」
そういえばエリック様の剣術は優れているらしい。その剣術を見たことはないけど。その実力はこの国で一番強いといわれている筋肉だるまの騎士団長に勝ったほどであるらしい。細い腕だというのになぜあそこまでのパワーが出るのか皆が不思議そうに話しているのを聞いた。きっとエリック様は鼻高々だったでしょうね。 女性二人を抱えたとかも聞いた、ような?
これは話しておかなければ大きな歪を産むかもしれない。
「あ、そのことですけど」
「そのこと?何の話だ」
口をはさんだから、エリック様は貧乏ゆすりを始めた。こういう時は何を言っても彼は聞き入れてくれないかもしれない。それに大した話では無いし。話す必要はないか。
「いえ、口をはさんですみません。何でもありません」
「そうやって、いつも口をはさむしな。結婚したのちの会食などができたものか。冷や冷やして見ていられない」
「あら、可哀そうよ。エリック」
ずっと私の事を批判し続けていたエリック様の事をキャサリンが止めた。話が長すぎて聞いていられなかったのかしら。案外良い人なのかも。
「そんないい方しないで。こういう子には何を言っても通じないんだから」
前言撤回。この女性を今私は嫌いになった。そういう言い方しなくてもいいのに。私だって領土の運営ぐらいできる。そうするために教育されて来たんだから。
「はは!そうだな。もう行っていいぞ。両親たちは両親たちで話をするだろう」
「失礼いたします」
不満と、小さな怒りのわだかまりを抱えたままで、私はソファから立ち上がり、一礼してから部屋から出た。部屋の外はさっきよりも空気が吸いやすかった。窓から差し込む太陽の光が眩しい。
「うん。まあ。いいか。この魔法も解いてしまおう」
何もない宙に『cancel』の文字が浮かび上がり、私はそれをタップした。
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