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両親との再会
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アルテオ国から帰国したヨハンはなんと、エミリアの両親を連れて帰ってきた。
両親はエミリアを見るなり謝罪した。
「・・・。」
エミリアは驚いて言葉がなかった。
婚約に関する事でエミリアの心情を全く思いやらなかったこと、婚約で得られる利益に目がくらみ大切な娘を傷つけたあげく、家出させることになってしまった後悔と謝罪。
バランド家にも多大なる迷惑をかけたこと、娘の覚悟を知り、悩みをあしらったことを心から後悔して反省している。許してくれとは言えないが、異国の地で生きると決め、ヨハン殿と婚姻を結ぶのなら精一杯できる援助はさせて欲しいと長々と両親の気持ちを伝えてくれた。
「・・・今更どうされたのですか?お父様にはお父様のお考えがあります。謝っていただく事ではありません。」
「お前が私を尊敬してくれていたとヨハン殿から聞いた。そして今は・・・失望させてしまったのだな。私はお前の事を幸せにしてくれる相手だと思ってヨハン殿と婚約させたのだ、しかしそれ以来バランド家から何かと助言をしていただき、私の仕事に欠かせなくなっていったのだ。どんどん目的が逆転していき、いつの間にかバランド家の力と知識が私にとって手離せないものになってしまっていた・・・だからそれを脅かすお前に苛立ってしまった。すまなかった。」
ヨハンは帰国して、まず自分の両親を説得した。
レイノー国で弁護士をし、侯爵家の後ろ盾も得ており経済的にも社会的にもしっかりやっている。だから実家の力を当てにしないからフィネル家とバランド家の婚約破棄騒動を治めて欲しいと。
しかし父親は、体面があるという。
自分も不貞をしているくせに浮気者のヨハンを嫌ってエミリアが異国へ逃亡したという醜聞がでたらしい。その噂はエミリア、ヨハン両方ともを貶めていた。
バランド子爵は、直ちに噂の出所を突き止め、アイラ親子を徹底的に叩きのめした。二度と社交界に顔を出すどころか、領地で暮らすこともできないほどの慰謝料をむしり取った。
しかし、その折にヨハンの愚かな行動が世間に知られ、現在はフィネル家への同情が集まっているという。それに便乗したフィネル家は慰謝料を増額してきたという。バランド家としてはもう縁を切りたい対象となっていた。
「わかりました。私の事はいなかった者としてお考え下さい。これまでお世話になりました。」
父には父の考え、矜持がある。それは尊重したい。
「何を言ってる!」
平民となりエミリアと結婚するつもりである。
「肝心のエミリア嬢の気持ちはどうなのだ。あれだけ追いかけても駄目なのだろう。」
「いいえ、ついに気持ちをわかってくださったのです!結婚を承知くださいました。」
満面の笑顔で言うヨハンにバランド子爵は心の中で溜息をついた。
我が子ながら、恐ろしいほどの執着と執念。
一歩間違えれば怖い。それをさわやかそうな見た目と一見明るい性格がかろうじて怖さを薄めているが、エミリア嬢も根負けしたのだろうと少々気の毒に思った。
「エミリア様は私の仕事ぶりを認めて下さり、私にその・・惚れたと。」
少し顔を赤らめていうヨハンに
「そ、そうか。」
としか言えなかった。
頼る者がいない異国の地で、商売をする心労不安はいかばかりであっただろう。そこに同郷の、仕事だけはできる優しさと真面目さだけが取り柄の少々抜けているこの三男が追いかけてきた時、その胸によぎったのは恐怖か、望郷か。
厭うていた相手とはいえ、仕事で頼るうちにほだされたに違いない。
ヨハンの執念勝ちという事か。
「・・・わかった。お前がそこまで頑張り、彼女を望むのなら彼女は認めよう。ただし、あちらが謝罪するまでは家同士の付き合いはするつもりはない。」
「ありがとうございます!十分です。ではフィネル子爵夫妻にもお許しをいただいてまいります!」
そしてヨハンは、フィネル家子爵夫妻に会いに行ったのだった。
両親はエミリアを見るなり謝罪した。
「・・・。」
エミリアは驚いて言葉がなかった。
婚約に関する事でエミリアの心情を全く思いやらなかったこと、婚約で得られる利益に目がくらみ大切な娘を傷つけたあげく、家出させることになってしまった後悔と謝罪。
バランド家にも多大なる迷惑をかけたこと、娘の覚悟を知り、悩みをあしらったことを心から後悔して反省している。許してくれとは言えないが、異国の地で生きると決め、ヨハン殿と婚姻を結ぶのなら精一杯できる援助はさせて欲しいと長々と両親の気持ちを伝えてくれた。
「・・・今更どうされたのですか?お父様にはお父様のお考えがあります。謝っていただく事ではありません。」
「お前が私を尊敬してくれていたとヨハン殿から聞いた。そして今は・・・失望させてしまったのだな。私はお前の事を幸せにしてくれる相手だと思ってヨハン殿と婚約させたのだ、しかしそれ以来バランド家から何かと助言をしていただき、私の仕事に欠かせなくなっていったのだ。どんどん目的が逆転していき、いつの間にかバランド家の力と知識が私にとって手離せないものになってしまっていた・・・だからそれを脅かすお前に苛立ってしまった。すまなかった。」
ヨハンは帰国して、まず自分の両親を説得した。
レイノー国で弁護士をし、侯爵家の後ろ盾も得ており経済的にも社会的にもしっかりやっている。だから実家の力を当てにしないからフィネル家とバランド家の婚約破棄騒動を治めて欲しいと。
しかし父親は、体面があるという。
自分も不貞をしているくせに浮気者のヨハンを嫌ってエミリアが異国へ逃亡したという醜聞がでたらしい。その噂はエミリア、ヨハン両方ともを貶めていた。
バランド子爵は、直ちに噂の出所を突き止め、アイラ親子を徹底的に叩きのめした。二度と社交界に顔を出すどころか、領地で暮らすこともできないほどの慰謝料をむしり取った。
しかし、その折にヨハンの愚かな行動が世間に知られ、現在はフィネル家への同情が集まっているという。それに便乗したフィネル家は慰謝料を増額してきたという。バランド家としてはもう縁を切りたい対象となっていた。
「わかりました。私の事はいなかった者としてお考え下さい。これまでお世話になりました。」
父には父の考え、矜持がある。それは尊重したい。
「何を言ってる!」
平民となりエミリアと結婚するつもりである。
「肝心のエミリア嬢の気持ちはどうなのだ。あれだけ追いかけても駄目なのだろう。」
「いいえ、ついに気持ちをわかってくださったのです!結婚を承知くださいました。」
満面の笑顔で言うヨハンにバランド子爵は心の中で溜息をついた。
我が子ながら、恐ろしいほどの執着と執念。
一歩間違えれば怖い。それをさわやかそうな見た目と一見明るい性格がかろうじて怖さを薄めているが、エミリア嬢も根負けしたのだろうと少々気の毒に思った。
「エミリア様は私の仕事ぶりを認めて下さり、私にその・・惚れたと。」
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「そ、そうか。」
としか言えなかった。
頼る者がいない異国の地で、商売をする心労不安はいかばかりであっただろう。そこに同郷の、仕事だけはできる優しさと真面目さだけが取り柄の少々抜けているこの三男が追いかけてきた時、その胸によぎったのは恐怖か、望郷か。
厭うていた相手とはいえ、仕事で頼るうちにほだされたに違いない。
ヨハンの執念勝ちという事か。
「・・・わかった。お前がそこまで頑張り、彼女を望むのなら彼女は認めよう。ただし、あちらが謝罪するまでは家同士の付き合いはするつもりはない。」
「ありがとうございます!十分です。ではフィネル子爵夫妻にもお許しをいただいてまいります!」
そしてヨハンは、フィネル家子爵夫妻に会いに行ったのだった。
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