18 / 68
第三章 孫を追いかけ北を目指す旅で御座います。
3-2 王都目指して出発で御座います。
しおりを挟む
「探偵さんよぅ。もう用は済んだのかい?」
「ええ。光江さんのギルド証と報酬を受け取ったので、これで町を出ます」
「ほぅ、そうかい、そうかい。それで何処へ行くんだ? 町を出てから」
そうでした。探偵さんにお任せしておけば、間違いはないのですが、この後どこへ向かうか聞いておりませんでした。
「王宮のある王都、ライネルスへ向かいましょう。このパノスの町でも少し噂は耳にしましたが、やはりこの国の片田舎では噂も曖昧です。ここはこの国の中心に向かうのが一番かと」
「そうですね。異世界から集められた若者が王宮の護衛隊になったなんて噂もあったんでしょ?」
「何だ? その護衛隊に雷人もいるんじゃろか?」
「いえ、分かりません。ですが、このパノスよりは確かな情報が手に入るはずです」
王都……この国の都なら、雷人の事が何か分かるかもしれません。今は少しの情報でも欲しいところで御座います。いざ、王都、ライネルス目指して前進で御座いますね。
「それでじゃ、探偵さんよぅ。その王都まではどれくらいかかるんじゃ? 1時間か? 2時間か?」
探偵さんが、ハハハと笑い出しました。
「1、2時間で行けるのなら、いいのですが。1週間から10日はかかるかと……」
「10日じゃと!」
じぃじがびっくりしておりますが、私はたかだか10日なんて日数には驚きません。雷人に会えない1日より、雷人に近づく10日の方が、どれだけ有難い事か、私は存じ上げております。
「途中で何事もなければ、1週間で辿り着けるかと思います」
「何事もなければ?」
探偵さんのお言葉に、じぃじはまだ勘付いていないようです。ここは私がビシッと申し上げた方がよろしいのでしょう。
「何事……それは途中で、魔物に出会したり、何があるか分からないと言う事です。ですが、全て雷人のためです。じぃじも覚悟をお決めください!」
「覚悟って言われてものぅ」
何だか頼りない返事です。
「……大丈夫です。私もいますし、王都まではレオンが護衛に付いてくれますから」
「あら、レオンさんがご一緒してくださるのですね。それは心強い。……昨日、お一人でゴブリンさんを4匹も倒されたレオンさんがご一緒なら、何も怖くありませんね」
「私がお二人をお守り致します」
丁寧に膝をついて、まるで忠誠を誓う騎士のような、レオンさんのお姿には、目を見はるものが御座います。本当に紳士的なお方です。
私も丁寧に御礼を申し上げないといけません。スカートの端をつまんで、頭を下げようと致しましたら。……あら、目の前にパンさんが、飛んで入ってまいりました。
「俺も一緒に行くにゃー! 俺も上手い飯、一緒に食うにゃー!」
あらあら、大変です。パンさんは、プクぅっと、頬を膨らませていらっしゃいます。
「パン。お前が来ても、何の役にも立たないだろ。昨夜だって、真っ先に逃げ出したのは誰だ?」
レオンさんがパンさんを嗜めていらっしゃいます。確かに怖がりなパンさんに、レオンさんのような護衛は期待出来ませんね。ですが一緒に行くと言うパンさんを、突き放す理由も御座いません。
「お願いにゃー! 一緒に行くにゃー! 何でも言う事、聞くにゃー!」
「どうされますか? 康夫さん、光江さん」
探偵さんに判断を委ねられました。私はもう決めておりますが、じぃじは何と答えますでしょうか?
「何じゃ? お前はゴブリンを見て、真っ先に逃げ出したのか? 情け無い奴じゃのぅ」
「だって怖かったにゃー」
「ほぅ、そうか、そうか。怖かったんじゃのぅ」
「怖かったにゃー」
「そうじゃのぅ。一緒に来ても良いが……」
「いいにゃ?」
「役に立たなかったら、それで終わりだからのぅ」
「役に立つにゃ!」
パンさんが短い両手を上げて、喜んでいらっしゃいます。じぃじの意図は分かりませんが、結果よかったんじゃないでしょうか。
「光江さんはよろしいんですか?」
「ええ、私はもちろん」
旅は賑やかな方が、よろしいじゃ御座いませんか。じぃじと探偵さん、それにレオンさんとパンさん。そして私、こんな私達の事をパーティと呼ぶ事を、後に探偵さんが教えてくださいました。
それでは、王都、ライネルスを目指して、いざ、出発で御座います。
「ええ。光江さんのギルド証と報酬を受け取ったので、これで町を出ます」
「ほぅ、そうかい、そうかい。それで何処へ行くんだ? 町を出てから」
そうでした。探偵さんにお任せしておけば、間違いはないのですが、この後どこへ向かうか聞いておりませんでした。
「王宮のある王都、ライネルスへ向かいましょう。このパノスの町でも少し噂は耳にしましたが、やはりこの国の片田舎では噂も曖昧です。ここはこの国の中心に向かうのが一番かと」
「そうですね。異世界から集められた若者が王宮の護衛隊になったなんて噂もあったんでしょ?」
「何だ? その護衛隊に雷人もいるんじゃろか?」
「いえ、分かりません。ですが、このパノスよりは確かな情報が手に入るはずです」
王都……この国の都なら、雷人の事が何か分かるかもしれません。今は少しの情報でも欲しいところで御座います。いざ、王都、ライネルス目指して前進で御座いますね。
「それでじゃ、探偵さんよぅ。その王都まではどれくらいかかるんじゃ? 1時間か? 2時間か?」
探偵さんが、ハハハと笑い出しました。
「1、2時間で行けるのなら、いいのですが。1週間から10日はかかるかと……」
「10日じゃと!」
じぃじがびっくりしておりますが、私はたかだか10日なんて日数には驚きません。雷人に会えない1日より、雷人に近づく10日の方が、どれだけ有難い事か、私は存じ上げております。
「途中で何事もなければ、1週間で辿り着けるかと思います」
「何事もなければ?」
探偵さんのお言葉に、じぃじはまだ勘付いていないようです。ここは私がビシッと申し上げた方がよろしいのでしょう。
「何事……それは途中で、魔物に出会したり、何があるか分からないと言う事です。ですが、全て雷人のためです。じぃじも覚悟をお決めください!」
「覚悟って言われてものぅ」
何だか頼りない返事です。
「……大丈夫です。私もいますし、王都まではレオンが護衛に付いてくれますから」
「あら、レオンさんがご一緒してくださるのですね。それは心強い。……昨日、お一人でゴブリンさんを4匹も倒されたレオンさんがご一緒なら、何も怖くありませんね」
「私がお二人をお守り致します」
丁寧に膝をついて、まるで忠誠を誓う騎士のような、レオンさんのお姿には、目を見はるものが御座います。本当に紳士的なお方です。
私も丁寧に御礼を申し上げないといけません。スカートの端をつまんで、頭を下げようと致しましたら。……あら、目の前にパンさんが、飛んで入ってまいりました。
「俺も一緒に行くにゃー! 俺も上手い飯、一緒に食うにゃー!」
あらあら、大変です。パンさんは、プクぅっと、頬を膨らませていらっしゃいます。
「パン。お前が来ても、何の役にも立たないだろ。昨夜だって、真っ先に逃げ出したのは誰だ?」
レオンさんがパンさんを嗜めていらっしゃいます。確かに怖がりなパンさんに、レオンさんのような護衛は期待出来ませんね。ですが一緒に行くと言うパンさんを、突き放す理由も御座いません。
「お願いにゃー! 一緒に行くにゃー! 何でも言う事、聞くにゃー!」
「どうされますか? 康夫さん、光江さん」
探偵さんに判断を委ねられました。私はもう決めておりますが、じぃじは何と答えますでしょうか?
「何じゃ? お前はゴブリンを見て、真っ先に逃げ出したのか? 情け無い奴じゃのぅ」
「だって怖かったにゃー」
「ほぅ、そうか、そうか。怖かったんじゃのぅ」
「怖かったにゃー」
「そうじゃのぅ。一緒に来ても良いが……」
「いいにゃ?」
「役に立たなかったら、それで終わりだからのぅ」
「役に立つにゃ!」
パンさんが短い両手を上げて、喜んでいらっしゃいます。じぃじの意図は分かりませんが、結果よかったんじゃないでしょうか。
「光江さんはよろしいんですか?」
「ええ、私はもちろん」
旅は賑やかな方が、よろしいじゃ御座いませんか。じぃじと探偵さん、それにレオンさんとパンさん。そして私、こんな私達の事をパーティと呼ぶ事を、後に探偵さんが教えてくださいました。
それでは、王都、ライネルスを目指して、いざ、出発で御座います。
43
あなたにおすすめの小説
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
きっと幸せな異世界生活
スノウ
ファンタジー
神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。
そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。
時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。
女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?
毎日12時頃に投稿します。
─────────────────
いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
異世界転移! 幼女の女神が世界を救う!?
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
アイは鮎川 愛って言うの
お父さんとお母さんがアイを置いて、何処かに行ってしまったの。
真っ白なお人形さんがお父さん、お母さんがいるって言ったからついていったの。
気付いたら知らない所にいたの。
とてもこまったの。
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる